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― 雪の思い出 ―
[自分はこの村の生まれではあるが
この村で腰を落ちつけていたじーさんと違って、
両親は宣教も兼ねて、己が小さな頃は
子供も連れだってあちこち布教に出かけていた
とはいえ、それは小さい頃ってもんだから粗覚えちゃいないし
1か月に1度はこの村に帰ってきてた
自分が確か4つの頃くらいまでの噺だ
覚えている事といえば、とある小さな村に自分を預けて
隣の村に神様の仕事をしに行くのだと
親2人ともその村の教会から出てく時であった
その日は雪が降っていた
今自分が住んでいる生まれ故郷でもある、豊穣の村
雪が降ったのは100年前が最後らしい>>225
だから、雪と言えば自分は
”これ”が今日まで唯一の思い出であった]
[必ず帰ってくると父は言った
いい子で神様に祈っていればきっと帰ってくると母は言った
だが、必死に神様に祈っても、2人は帰ってこなかった
その村での”はやり病”で死んだのだと
隣村で唯一生き残った人が教えてくれた
荷馬車に乗せられ、ことこと。と
豊穣の村へとゆく馬車
1か月ぶりにあうじーさんは相変わらずのんびりとしていて
親を亡くしたと知ったレジーナは
じーさんと子供に宿屋で料理をふるまってくれて
――だから雪の事はどんどん忘れていった
その時抱いた寂しさも、何もかも]
[でも。神様は信じなくなったし
神父としての道も決まってしまったことにより
名前も唯のジムゾン、になった
己はこの村で生まれた。この村で生き
この村で死ぬのだ、と自分で思い込んだまま大人になった]
(それでも、声がする
―――小さな子供が。帰ってくるっていったではないか、と
1人になるのを怖がる声が)
(聞かない、ふりをして*)
ああ、そうするか
じゃあ宿のカウンターで待ち合わせだ
[と言って、食堂を後にしよう
自分も防寒具であるコートを着込んで
カタリナがやってきたらともに、外へと向かおうか
――風呂上がりだからおお、風が身に染みる*]
でも、少しだけ、気にはなってるんだ
ゲルトが言ってたろ?2匹犬か狼がいるって
もしあの賢いわんこだった子の幽霊が見えてたら
普通は犬、って言いきらないかなぁってさ
……ゲルトは不思議な奴でな―
目を怪我してからなのか、時々
俺らが気づかない何かを気づくときがあるんだ
例えば、天気の変わり目だったり
例えば、がけ崩れがしやすい場所だったりさ
そんなゲルトが、犬ってだけじゃなく
どうして狼も、言ったんだろうって
……不安にさせたなら、ごめんね
[でも、俺はゲルトの発言を不思議には思うけれど。そこまで重要には思っていなかった。この時は、まだ
――ああでも嫌な予感はしていたんだよ
若しその声をおとぎ話の”狼”が聞いたら
真っ先に狙うのは、誰だろう、ってね
そんなこと、ゲルトの妹には言えない]
[そんなことを話しているうちに、教会に着いて
鍵を確認した後――……一寸自分の部屋にと入って
戻ってきたときには1つのロザリオを身に着けていた
純銀製ではあるが少しばかりくすんでいるもの
先端が少し尖っていて、昔指を刺して
痛かったのでぎゃん泣きした思い出がよみがえる]
これ、じーさんの形見でな
どーせなら持っていこーかと思って
[何時もであれば夜であれ、月明かりを反射して
淡く美しい筈のステンドグラスだが
今日は雲に隠れたからか、ほの暗く
序にと持ってきたカンテラをつけて
之で帰り道も安心だとばかりに、笑みを向けた*]
……無理はしていないか?
[その際、尋ねる聲は密やかに
昔から頑張りすぎるきらいのある子であったから
今なら。人はいないから
ちょっと寒いかもしれないが、
此処でなら弱音も吐き出せるだろうかと思っての事]
大丈夫です。
[躊躇い無く、直ぐに返したのは
六年分の成長と言えるかもしれない。]
確かに、……レジーナさんのことは、辛いですけど。
お風呂に入って、ゆっくり寝たら
明日には元気になっていますよ。
[同じように密やかでも、声色は柔らかい。
非常事態に誰より立ち回っていた
村唯一の教会の聖職者、頼られる大人の男性。
彼にこれ以上心配を掛けまいという気持ちは確かにあったが。
告げたのは紛れもない本心だった。]*
[聞こえた小さな声は、どこかか弱くも聞こえた
不安を孕めど、違うと思いつつも
何処かそうであればいいのにと思うような
そんな希望が否定された時の落胆にも似ていたものだから
つい、自分の考えを喋ってしまった
それからもし狼であれば――と、
仮定した場合に彼女の兄がどうなるのか
までは、行きつかなさそうではあるが]
自分の家族みたいな存在を
言い切れないのはやっぱり、ないんだろうなとね
……だとすればその2匹ってのは一体何なのか
それもあってな、少しばかり宿から離れたかったのもある
宿の外にいるっていうのなら追い払えばいいと思って
……実際、外にはいなさそうだったけどな
[100年も昔の、吹雪――……お伽噺の再来の様なこの天気が
嫌な予感を加速させてゆく]
見えればよかったんだがな
俺にはゲルトみたいな直感のようなものはないから
[神様を信じていないからこそ、
自分に奇跡とやらはおこらないのかもしれない
まぁ、きっと気のせいだろう
明日になれば吹雪もやんで、積もった雪
雪下ろしが大変そうだなぁと教会の屋根を見遣った]
そう、じーさんのもの
銀でできてるんだとさ。魔除けにいいかなって
獣にも効きそうじゃないか?
[戻ってきた自分のつけたものはくすみつつも
淡い光と共に胸元にある
口元を緩めて、頷く彼女と連れ立って
宿に戻ろうとするだろう――ああ、そうそう]
知ってるか、あの宿は風呂1つしかないんだ
男女が鉢合わせしたらまずいことになるかもしれん
さっき伝えるの忘れてた、誰かに入浴してます看板を、
作ってもらおうって思ってたんだが
[なんて、帰り道に話したかも、しれない]
そっか……なら、いいんだ
でも、人の死ってのは
その人の喪失を受け入れられるまでには
やっぱ時間もかかるしさ
時折、感情が制御できなくなる時もあるかもしれん
その時は、いつでも尋ねておいで
神父としてってより、ゲルトの幼馴染として
カタリナの事はちーさな頃からしってるし、
やっぱ心配は、心配だしね
元気になるのを見らればそれが一番だけど
[ま、ヤコブのスープとかもあるし
彼女の兄もいるのなら――きっと
乗り越えてゆけるのではないだろうかと、思った
兄を支えると1人決めて、懸命にこの6年
強くあろうと生きてきた子だから
柔らかな声音に、微笑んで。ぽんぽんと頭を優しく撫でた]*
[その日は疲れていたからだろう
風呂に入ってパジャマに着替えてすぐ布団の中
ぐっすりと、深い深い眠りについて
――夢を見た、幼い頃の夢だった]
[父と母が宣教師としてあちこち旅をしている
ぱかぱか、馬の蹄の音がする
――草原の草の音が、優しく耳を擽って
頬を撫でるそよ風がもう直ぐ季節が冬を告げることを
ぼくに、教えてくれる]
とーさん、かーさん
次の村は、どんなところ?
[尋ねながら、俺は2人に笑う
旅は好き。帰ってくる場所があるからこそ
待ってくれるじーさんがいるからこそ
1人じゃないからこそ、親と一緒にでかけられるのが
何よりも嬉しかった、幼い日]
[両親の死因が、流行り病というのが
うすうす嘘だと知っている
だって。隣村で流行して、その生存者が
自分がいた村に、やってきて
病気が蔓延しないなどということがあるのだろうか
ぱかぱか、蹄の音。帰りの馬車、1人だけ
ちらちら舞う粉雪が
己をあざ笑うかのように天から降っている]
――……かーさん、とーさん
嘘つき、かえってくるって、いったのに
[ほろり、ほろりと零れ落ちる雫
揺れる馬車の車輪ががたり、と石を踏むたびに
空に散る、涙]
一人は、やだよぉ
[あんなに好きだった。親との旅の記憶を
思い出を、頭の底に封印して
忘れてゆく、帰ってきたこの村で暮らして
この村で生きて死ぬために、忘れてゆく
―― 何も知らずにいれば しあわせなんだと
唯、居場所を定めて、其処で暮らしていれば
きっともう1人にはならないと
小さな頃の俺は愚かにも信じていたんだ*]
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