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この場に集った魔の士たちよ。
望むものを手に入れたこと、まずは重畳。
[天獄の泉全体に、声が響いた。
同時に、一つのイメージが各々の脳裏に等しく像を結ぶ。
天使たちを侍らせて寛ぐ、魔王そのひとの姿である。]
初めて天使を飼うにあたり、戸惑うこともあろう。
まずは余より、指針を示す。
[全体に聞こえていた声と幻視は、次第に闇に滲んでいく。
天使の耳に届くのは、後は沈黙のみ。]*
名を与えよ。
[言葉の続きは、魔にのみ届く思念によった。]
天与の名で呼べば、天を思い出す。
ぬしだけの特別な名を与えよ。
名を呼び続ければ心掴むのも早くなる。
名を呼んで、返事をさせたならば、最初の壁は超えたとみなせよう。
もっとも、天使もまた千差万別。
名を与えるのが適当と思わぬならば、
あるいは既に名を与えたのならば、
気に入りの服か装身具を与えて、身に付けさせておくのも良い。
余に見せびらかしに来ても良いぞ。
[笑いと共に、一旦声は遠のいた。]*
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1.名前を付けよう!
初めて天使を手に入れたあなた!
これから一緒に何をしようか、どんな服を着せようか、どこに連れてお出かけしようかと楽しい想像を巡らせていることでしょう。
けれども、服や首輪を用意するより先にやるべきことがあります。
それは、名前を付けてあげること。
あなただけの名前で呼んであげることで、だんだん懐いてくれるようになります。
天使によっては「自分には名前がある」と反発してくることがありますが、そんな名前は忘れさせてやりましょう。
もう天のものではなく、あなたのものだときちんとわからせることが、これからのしつけに重要です。
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『月刊 天使の飼い方 Vol.7付録
あなたにも飼える!ミニハンドブック・天使の飼い方十の手順』
賑わっているな。
喜ばしいことだ。
[思念の流れに、魔王さらりと混ざりこむ。]
《泉》の結界には念話を容易くする力も付加しておいた。
行き詰った時には相談するも良い。息抜きをするのも良い。
大いに交流などするがいい。
[広がれ天使飼いの輪、である。]
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『月刊天使を飼おう 読者投稿コーナー』
二頭目を飼い始めました! PN:暗黒魔導の滅雷帝さん
「先日、念願だった二頭目を手に入れました。
一頭目と違って元気いっぱい跳ねまわって、一日中鳴いています。
ちょっとうるさいくらいだけれど、それも可愛い!
先住天使は新しい子が気になるのか、どこに行くにもついて行って手本を見せたりしているのがまた見ていて癒されます。
多頭飼い、お勧めです!」
多頭飼い、無理です。 PN:となりの屍霊くんさん
「友人に勧められて天使の多頭飼いを始めたが、散々だった。
三匹まとめて買ってきたのだが、家に連れて帰った途端に天使同士で固まってばかり。
餌でもやろうと近づいたら急に攻撃してきて、危うく浄化されるところだった。
天使を飼うなら、やはり一匹が限度ではないだろうか。」
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― 第二イベント ―
[寛ぐ魔王の元へ、小悪魔が羽ばたき近づいた。
囁かれる報告に耳を傾け、魔王は面白がるような声を上げる。
いくばくかの後、《天獄の泉》にあるすべての者の意識に、声が届いた。]
聞け。
我が《天獄の泉》の近辺に、天界の斥候が現れた。
彼奴らを打ち払い名を上げんとするならば、今が好機である。
[我こそは、と思う者は迎え撃ちこれを撃退せよとの言葉は、命令というよりは遊戯に誘うに似る。]
天の者共は、この施設の意味を知っているわけではなかろう。
ここに天使が捕らえられていると知れば、
あるいは、解放のための軍を送ってくるかもしれぬ。
そうでなくとも、天界の警戒が強くはなろう。
面倒なことだ。
[慨嘆は、飼われている天使たちへも届くほどに大きかった。]
面倒なことだ。
[思念の声は、表に流れるものよりも笑みを含む。]
いずれにせよ連中が天界の門まで帰り着くことはあるまいが、
調教途中の天使は勢いづくかもしれぬな。
面倒なことだ。
[楽しみなことだ、と、声は響いた。]
余は、天使の性別によって分け隔てなどせぬ。
[ソマリには当然だというように答え、サイン付き書籍プレゼントについては、「良かろう。特別に我が愛天使の
それはそうと、
『天使を飼おう』最新刊の初稿が上がってきたのだ。
好きに読んでも構わぬぞ。
[思念空間にぽんと紙束が現れる。]
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天使の死の危険を知る。 寄稿:黎明の魔 J
「天使とは、人間よりも死ににくいとされている。
体力、戦闘能力の面においてその認識は正しい。
一般的な人間と比較するならば、天使及び受肉後の天使の身体は、人間よりも頑強である。
然しながら、受肉した天使は一般的に人間相応の肉体強度となる例が報告されている他、天使(受肉したものを含む)には特有の脆弱性があることを留意する必要がある。
天使の個体差により、脆弱性も様々なものが考え得る。
例えば、正気に極端に弱い者であれば、魔界の環境に置くだけでも弱ってゆく。
天の光のみを活力源にしていたものであれば、定期的な光の摂取が必要となる。
私事となるが、筆者は手元の天使の健康状態を維持するために、数日に一度、全裸での日光浴を行わせている。
………」
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