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報告、
こちらはベルガー島からファットリア地方へ順調に航海中だ。
今のところ、向こう岸に変な動きは見られない。
これからルストと偵察に行ってくるよ。
上陸に適した場所を偵察に行ってくる!
[甲板へ声を投げ落とすと、翼を羽搏かせたペガサスに空中で飛び乗り、船を離れた。**]
もちろん俺が偵察に行くよ。
おまえだって、重要な仕入れには自分で出向くじゃないか。
ましてや今の俺は、義勇兵の命を預かっているんだ。
今、船は海上で、他に動ける手勢もいないしね。
大将だろうと有効活用しないと。
[昔から腰が軽い王子であった。]
− ファットリア地方 −
[上空から上陸に適した場所を選び、船を誘導する。]
まず、ここまでは問題なく進めたね。
次、弓部隊と工兵の半数は、山伝いに峡谷へ向かってもらうよ。
残り半数は、ここに船着き場とベースキャンプを設営してから、その後を追うこと。
定期的に連絡員をベースキャンプに送って連絡をとるように。
わたしは空から周囲を探索して、潜伏している民をベースキャンプへ導こう。
敵に会ったら? 大丈夫、負けないよ。
あと、矢的の案山子も配備して、大人数に見せかけることも忘れずに。
ゴブリン程度なら、相手の数や大きさにビビれば攻撃してこないはずだ。
弓で追い払えないなら船で海上へ逃げていいから。
[身軽さを重視して、防具は篭手とキルティングのみ。武器は木の棒とスリングショットという軽装備でカレルはペガサスにまたがる。]
− ファットリア地方 −
[レトに、目立つのが仕事と言われたのをいいことに、ペガサスで上空から人の姿を探しては接触する。
運んで来た簡素な槍を武器として渡し、海岸のベースキャンプへ向かうよう呼びかけた。
集まった者のうち、戦闘に加わることを望まない者は先にベルガー島へ送らせる。
志願者には基本的な調練を施してそのまま参戦してもらった。
稽古をつけるのはカレルではなく、正規兵あがりの義勇兵である。
その際に教え込んだのは、弱小魔族相手に数でかかれということ。]
[小悪党や魔軍側の人間が入り込む可能性もあったが、現時点でできる悪さもさしてないだろうと、素性を問いただしはしない。
むろん、自分の身に暗殺の刃が届くようなことはないよう気をつけてはいた。
ベネディクトがエディの分まで心配しているようだから。]
[人ではなく魔物の群れを見つけた場合、カレルは堂々と名乗りを上げて、宣戦布告を聞いているか、と問うた。
その答えで魔物の情報伝達の範囲がそこそこ掴める。
いざ戦いになれば、カレルはペガサスで高度をとって、スリングショットで群れのリーダー格を倒し、魔物の指揮と士気を挫いて勝利する戦術をとった。
逃げる敵は無理には追わない。
北の渓谷には弓兵と工作兵が待ち構えている。
そうして、少しずつ拠点を北上させて、奪還区域を広げていった。]
そろそろ、ローランドが合流地点に到着している頃合いだな。
打ち合せに行ってくる!
[ちょっと留守にするね、と味方に言いおいて、カレルはペガサスを飛ばして単騎、峡谷の北にローランドを探しに向かった。]
― 昔語り ―
[修行の合間、カレルにねだられた昔語りには時折答えた。
長い話になる時もあれば、短く済んだ事もあった。]
英雄王か。
…怖い、男だったね。
恐怖とは違う、畏怖に似た何かだ。
あれは…人間ではなかったかもしれないねぇ。
よく覚えているのは、
あたしの故郷にクロドルフを連れて行った時だった。
あの時は渋ったものさ。
人間を竜の故郷へ連れていくなんぞ、魔族を”世界支える樹”に連れていくようなもんだ。
それでも、条件つきであたしは案内をしてやった。
他の竜に大層怒られたもんだったけど、あの男は竜を手懐け、その信頼を勝ち得て一手とした。
あの時は単純に、すごいと思っていたけれど、
今にして思えばあれは…あの男は竜を手駒にしたんだ。
それはすごい事で、同時に恐ろしい事でもある。
人間の領分を越えようとしていた者。
それが英雄王クロドルフだ。
まぁ、随分昔の話だから、
あたしの過大評価もあるかもしれないがね。
あの時は若かったからねぇ…。
― 昔語り ―
で、魔王についてだけど。
会ったのは数度だから、赤毛の男だってのは覚えているね。
後はそうだねぇ。
元々人間だったって話と、それから…
[そう老婆は言いかけたが、途中で語るを止めた。]
…いいや、止めておこう。
あれはお前が見たまま、感じたままのの男。
それだけで十分だ。
― 昔語り ―
魔物はそれこそ千も万もいるからねぇ…
あれやこれや、教えるのは骨だ。
後で良いものをやろう。寝入りにでも見ると良いよ。
[そうして老婆が寝る前に持ってきたのは、魔物の姿と詳細が書かれた本。
図鑑と呼ぶには少々乱文も目立つそれは、昔変わり者の妖精たちが、暇つぶしに好き勝手に書いたものを纏めた一冊だった。竜が推敲代わりに流し見た分には、それほど間違った事はないように思った為にカレルに寄越した。]
― 刹那の夢 ―
―――は、 終わる
もうすぐ、 平和 ………
[幾重にも積み重ねられ紗幕のように荒くなった記憶の合間、煌めくような輝きを放つ一時もあった。
その時竜は人の姿を取り、高い丘から友と共に眼下を眺めていた。
夕焼けに互いの顔が朱色に染まる。
竜は互いの間に纏う空気を好んだ。
物言わず語らずとも通じる心があった。
竜が竜を思いやる事は簡単だ。
だが竜が人を思いやる事は難しい。その存在自体がかけ離れてしまっている。
それが出来た事が、まだ若い竜にとってはとても不思議で貴重なもので、何よりかけがえのない宝のように思えて、故郷へ戻らずひたすら友の傍にいた。
人の命が短い事を、竜は良く知っていたからだ。]
――――――…
[夕焼けは美しかった。
友は一人と一匹の時、クラリッサと竜を呼んだ。
盟友の証にと告げた真名。
親族以外、暴かれぬ限り伝えた相手は唯一人。]
――――――…
[他愛のない会話。未来への話。]
(嗚呼終生の我が友よ
お前のその鮮やかな瞳の色も、
光のような髪の輝きも、
目を閉じれば何時でも思い出すことが出来る)
[それは血腥くある中に、光満ちた遠い過去。]
[いつも背に乗せる事でしか人とふれあえぬ竜は、人の姿の時手を握ってもらうのが好きだった。
若いというよりは幼くもある仕草をしたまま、人の時は少し高い位置にある友の顔を見上げた。]
ロル。
[人の姿の若い竜は、澄んだ色の目を丸く、不思議そうにしながら問いかけた。]
じゃあロルは、あたしが人間のままでいたら、
ずうっと傍にいてくれる?
[友の答えは―――――どうだったか。]
[どちらにせよ、結果竜は竜の生き方からは抜けず。
友は王となりこの地を平定する。
竜は王と盟約を交わし、この地の一角を自らの巣とした。
それは答えではなかったが。
青銀色の竜とローラントの始祖の物語のひとつの結末だった*]
− ハールト=ファットリア間の渓谷 北 −
[数多の人間の中でも、ローランドの存在感は際立っていた。
見落とすはずもない。]
ローランド、怪我はない?
大任、よく果たしてくれた。
[ペガサスから下りて、ローランドの側に行って労を労う。
ちょっと呆れたような顔をされたとしても構わなかった。]
これだけの人数を連れて、ここまで来るのは並大抵ではなかったろう── 第一陣?
集まってくれた皆も、
[民たちの方を振り向き、その全員を視界に収める。
天青の双眸が煌めいた。]
よく立ち上がってくれた。
わたしは、その気持ちが嬉しい。皆に会えて嬉しい。
[よく通る声に、素直な想いを乗せる。]
すぐにでも屋根の下でゆっくりと傷を癒してもらいたいところだけれど、ここはまだ魔物が徘徊する地だ。
夕飯の前にもうひと頑張り、力を貸してくれ。
── 海側より攻めている味方と呼応して、ハールトを奪還する。
ベネディクト、
ローランドが集めた人たちと合流した。
タイミングを見計らってハールトに仕掛ける。
うまく挟撃になるよう、差配を頼むよ。
落ち着いたらお風呂に入ろうね。
[怪我の報告をするローランドを気遣いつつも、その振る舞いには安心している。
あえて心配の色を見せずに受け止めた。]
[そのまま、ローランドに簡潔に戦況を伝えてゆく。]
ファットリア地方では、大規模な反抗はなかった。
魔物を率いているのもオークくらいで、やはり、あまり戦略的価値がないと見られていたようだ。
南の方で集まってくれた義勇兵たちも、わたしの後を追って到着する。
工兵隊は砦の工事にとりかかっているよ。
形になれば、少ない兵でファットリアの維持はできるようになるだろう。
志願者の皆、戦闘が本職じゃないのに頑張ってくれてる。
元の職業がいろいろだから、いろんな才能を持った人がいてすごいんだ。
ただ、接触した中には、志には感じるものがあるけど、軍の中で皆とうまくやっていける自信がないって、島に渡った人たちもいる。
集団になじめない人っていうのは、どうしても一定数いるんだと思う。
この戦いの後、そういう人たちを、あなたに預けていいかな?
あなたなら、彼らの異才を活かせると思うんだ。
[ここへ皆を率いてきた功を誇らず、騎士たちや一族の活躍を告げるローランドならばと望んだ。]
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