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覆盆子の涙 アイリ の役職希望が 村人 に自動決定されました。
………。
[フレデリカのありきたりで、それでいて本人もまた気休めだと思っている言葉(>>1)を聞いたアイリは…
…ただ無言で、一度だけその言葉に頷いてからフレデリカの顔を見つめていた。
フレデリカにとっては気休めにしかならないと思っていたかもしれないが、アイリに取っては今正に欲しい言葉であった。だから、アイリの瞳からは涙がさらに溢れてしまう結果になったのだが。
そうして、フレデリカは続けてアイリを自分の家へと誘う。その事に、アイリが拒否を示すわけがなかった。再度無言のまま頷いて、止め処なく溢れる涙をハンカチでどうにか抑えようとして、ようやく止まった所で…]
……ありがと。
[それだけ、少し枯れた声でどうにか伝えて。
差し出されたフレデリカの手をしっかり握って、アイリはフレデリカに連れられる様に食堂から出ていっただろう。]
■PM フレデリカの家
[フレデリカの家に行く間、アイリは静かに歩いていた。
フレデリカに語り掛けられれば、一言二言答える事はあったが、それ以上何かを言う事はなかった。
それは即ち、フレデリカが期待したような"ネタばらし"がなかった事を意味しており。
…気付けば、こうしてアイリはフレデリカの家へとやって来ていた(>>3)。そのままフレデリカに案内されるままに玄関で靴を脱ぎ、階段を上り、二階にあるフレデリカの自室に入り…]
…ありがと。余計な心配かけさせちゃって。
[そうフレデリカの顔を見ながら、名残惜しそうにフレデリカの手を離した。それでも、アイリはフレデリカと繋いでいた手をもう片方の手で大事そうに撫でていた。
…何処か遠い目をしながら。]
ほんと…ありがと。
フレデリカが私の親友で…ほんと、私は、嬉しいよ…。
…あ、こんな時は、"私がフレデリカのお嫁さんになるのだ〜!"
……って言えば良かったんだっけ?あはは…。
[フレデリカに再度優しい言葉を投げかけて貰った(>>5)アイリは、フレデリカの方へと向き直し、頭に手を当てながらそう言った。フレデリカの優しさに触れる事で、アイリも少しではあったが冗談を言える…否、半分くらいは本気な部分も混ざっていたが…ともかく、軽口が少しは叩けるくらいには立ち直ったようだった。
そしてフレデリカに誘われる様に同じソファーに座り、フレデリカの手を…恐る恐る、震える手で、まるで割れ物を扱う様に、慎重に慎重に握って…フレデリカの話を聞く。]
…それはね…私と同じように、悪魔に願いを
叶えて貰った人がいるんだ。
何人いるのか、何処にいるかは私にも全然わからないけど。
それと私は知らなかったけど…そういう人を
"能力者"って言うみたい。
それでね…この周辺にその、"能力者"がいるかって
言うのは…多分"はい"だと思う。
だけど、能力者同士が出会ったとしても…
必ず殺し合いになる、ってわけでもないの。
お互いが殺意衝動を抑えたまま離れれば…何とかなるんだ。
だけど、能力者は能力者が誰かっていうのはすぐにわかっちゃう。
目で見なくても、近くにいれば察知しちゃう。
だから、今この瞬間にも…能力者がここに来たら…
私は、その衝動を抑えられるかどうかは…
わかんない。
……そんな綱渡りの生活を、強いられてるんだ。
[言葉を重ねる度、アイリは手だけではなく身体も小刻みに震えていった。それは恐怖なのか、喪失なのか、はたまた別の感情なのか…アイリ自身もわかってはいなかった。]
……フレ、デリカ…?
[震えているアイリの元に、肩を優しく抱いてその身体を包むフレデリカ(>>11)。そうして伝えられる言葉は、アイリの疲弊した心に深く深く染みこんで行き…
―自然とアイリは、フレデリカと繋いでいた手を離し、その手をフレデリカの背中に回して、ぎゅっとしがみ付く様に服を掴んだ。]
……ごめん、ごめん…。
本当に、ごめん…。ごめん…フレデリカ…。
[そして、アイリはフレデリカにただ謝りながら、また涙を流した。
それは、こんな危険な事にフレデリカを巻き込んでしまったという自責の念と…
…それでもフレデリカに寄り掛かってしまった自分の弱さに対しての、涙だった。]
[泣きじゃくるアイリを、優しく背中を叩くフレデリカ(>>13)。その優しさに、温もりに甘える様に、さらに背中にしがみ付くアイリ。今のアイリは何処にでもいる様な、弱い女の子でしかなかった。
やがて、フレデリカはアイリの身体を抱いたまま、今後の展望を話し始める。それに対して―]
……うん。わかった。
[アイリはNo、とは言えなかった。確かにフレデリカにも、そしてその家族にも迷惑がかかる。だが、この時のアイリはまだ本当の意味での危機感は持っていなかったのだ。
今まで出会った能力者が、周りの人間を襲う様なタイプがいなかったからである。だから、アイリはこうしてフレデリカの元で暮らせば…どうにかなると、そう思いたかったから…拒否をしなかったのである。]
あ、そしたら…服とか、どうしよ?
流石に一回家に戻って取りに帰らないと、だよね?
[そして突然明るい声を出して喋るアイリ。一応、アイリの家族は父母が海外出張が多い共働きの家族である為、アイリがフレデリカの家に泊まりこみになった所でアイリ自身の家族に迷惑がかかる事は余り無い。知られなければいいだけの話なのだから。
…だが、今のアイリには一人で家に帰る事が出来ない。
――その証拠に、そんな事を言いながら…アイリはいまだフレデリカの身体にしがみ付いたままなのだから。]
そ、そりゃ私だってがさつだけど女の子だし…
さすがにそんなデリカシーのない事は言わないよ…
[フレデリカに苦笑いをされながら言われた事には(>>18)、アイリも苦笑いをしてあたふたと言葉を返した。
…そして、少しだけ間を置いてから]
うん…それなら…
今日はもう暗くなりそうだから…その…
明日、荷物を一緒に取りに行く、でいいかな…?
[そうアイリは提案した。すでに陽は傾き始め、淡い夕焼けが窓から見える時間帯になっていた。
アイリの言うとおり、今からアイリの家に行って荷物を整理していれば帰りは夜になるだろう。
…そうなれば、間違いなく危険度は跳ね上がる。その程度の危機感は流石のアイリも持ち合わせていた。]
(これで本当に良かったのかな…?
私は、フレデリカを危険な目に巻き込んじゃった
疫病神じゃないの…?
でも…フレデリカに相談してなかったら…
きっと私は、心が死んでた気がする…
だから、うん。そうだよ。
後悔ばかりしてたって、意味ない。
今出来る事を考えて、もう一度幸せを探すのが―
―私の為に尽くしてくれたフレデリカへの恩返しだよね…)
[そう考えながら、アイリはうとうととして…
やがて目を閉じて、意識を手放した。
―だがこの時のアイリは知らない。
――アイリが危惧した"危険"が、すぐ側に迫っている事を…]
■深夜 フレデリカの家/フレデリカの部屋
……んっ…?
[目をゆっくりと開け、身体を起こすアイリ。
ふと周りを見れば、部屋の中は暗く、すっかり夜の帳が落ちていた。
…どうやら心が安堵した事により、今まで溜まっていた疲労が一気に噴出し眠りについてしまった…
…と、アイリは思った。]
(…あれ、フレデリカは何処に行ったのかな…?
飲み物でも取りに行ったの…?)
[ぐるりと部屋の中を見渡すアイリであったが、部屋の中にフレデリカがいない事に気付く。
何処へ行ったのだろう、と考えている内に…]
(…一階の方で声がする?こんな時間に?)
[フレデリカの声が一階から木霊する(>>29)。その事にアイリ自身もまた不審に思いながら。
―フレデリカの部屋を出て、一階へと降りていくだろう。]
あれ、フレデリカ。起きてたんだ。
…って、あはは…私が寝ちゃっただけだよね。
ごめんごめん。つい、ソファーがふかふかふわふわ
だったからさ…えへへ。
[アイリが階段から降りて来た所で、フレデリカがアイリの方に顔が向いたのを(>>33)確認する。どうやらフレデリカは玄関越しに誰かと会話をしているようだと把握した。]
(こんな遅い時間なのに…フレデリカも断ればいいのに…)
[…二人にとって運が悪かったのは、アイリが聞こえていた部分は"‥‥分かりました。この場で良ければ"という部分からだったのだ。だから、玄関越しの相手の罠を未然に回避する事が叶わなかったのだ。その結果―]
―――っ!!
[アイリは背筋にぞわりとした悪寒を感じる事になる。
そして玄関越しにいる相手の声を聞き、アイリはすぐに理解した。
―――玄関越しにいるのは、能力者だと。]
フレデリカ!離れて!
玄関の先にいるのは、能力者だよっ!
[だからアイリはまず心の底から湧き上がる破壊衝動を荒い息を吐きながら抑え付けつつ、フレデリカに大声で警告した。
…だが、アイリは知らない。自身が能力者故に。
目の前の相手が、フレデリカの精神を操ろうとしている事に…気付いてはいなかったのだから。]
…っ?!出来るわけないじゃん!
フレデリカを見捨てて逃げるくらいなら、死んだ方がマシっ!
[フレデリカの身体がまるでロボットの様にぎこちない動きでドアの方へと向かう(>>37)のにようやく気付いたアイリ。だがもうフレデリカを静止する時間もなく、ただ嘆きの叫びを上げるだけしか出来ず…
…そして、扉は開かれた。
二人にとっては、災厄を降り注ぐパンドラの箱が開かれた。その瞬間フレデリカを押しのけて入ってくる人の波。そのそれぞれが、日常品であり…同時に、人の命を奪う事が出来る"武器"を携えていた。その人の波の奥には…
…アイリの命を奪おうとする、狩猟者。
真っ直ぐアイリの姿だけを見て、ただ冷酷な眼を向けていた(>>38)。
そのまま彼女はアイリにたった二言呟き、そしてアイリに"死ね"と言った。その瞬間に人の波がアイリの元へと押し寄せる。
―アイリを蹂躙せんと、襲い掛かる。]
――っく!
[それを黙って受け入れる程アイリは諦めが良いわけがない。ましてや目の前にはフレデリカがいる。何故かはわからないが、フレデリカには誰も襲いかかろうとはしてはいなかったが…それでも、危険な状態には変わりない。故に―]
…勝手に、殺すなっ!
[アイリは右手に黒い影を集め…昼間フレデリカに見せたあの湾曲刀を作り上げ、振り下ろされた鈍器を斬った。
アイリの能力は武器を作るだけである。そして武器を作れるだけであり―アイリの身体能力が上がるわけでもない。だが、その武器の鋭さは名刀にも劣らない。それと同時に、身体能力そのものは上がらないが―作った武器の使い方は、頭の中で理解出来るのだ。故にどうすれば上手く武器を振るう事が出来るのかを、アイリは知っていた。だからこそ、とっさの攻撃にも対応が出来た。
だが、身体能力は上がらない以上。
……多数との戦いは、アイリの身体を疲弊させる。
しかもアイリは可能な限り武器を破壊するだけに留めており、相手をむやみに傷付けようとはしなかった。
このままでは、いずれ限界は訪れる。
その事を理解しているアイリは内心冷や汗をかきながら、それでもただ耐え忍んでいた。]
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