情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
お応えしよう。
“これ”が天の仕業だというのなら、
[刃の先で地上の惨状を差し示し、わずかに目を細めた。]
貴様の仲間になることは、金輪際、御免被る。
“これ”が天の仕業だというのなら、
[刃の先で地上の惨状を差し示し、わずかに目を細めた。]
貴様らの慈悲は、金輪際、御免被る。
− 宇宙船発射場上空 −
[「愚かな」と告げられた言葉に、諾と頷く。>>186]
ああ、我ながら愚かだと思うけど、
義を見てせざるは勇無きなり、という教えは守っているつもりでな。
[でもって、あんな啖呵を切ったからには相手の怒りを買うことも承知の上で、
陽光の天使が杖をわずかに持ち上げた瞬間には、飛竜の腹を蹴って合図していた。]
ずらかるぞ、 派手にいけ!
[ボッボッ…と火球が飛竜の口から打ち出される。
それはさらに小さな火球に分裂して、弾幕を張った。
同時に飛竜は金属製の皮膜をドーム状に変形させて、ダーフィトを守る。
光を束ねた戒めの杭が、到達した。
── 烈光。 そして衝撃波。
光の欠片を散らしながらそのまま、地上へ降る流星となる。*]
− ??? −
[ゆっくりと浮かび上がる感触。]
── …、 っ、 痛て
[どうやら気を失っていたらしい。
目覚めると同時に痛みがぶり返す。]
ええ…と、 あー、 天使。
[思い出した。
非常に無謀なことをした気がする。 勢いってこわい。
天使の憤怒の光を喰らって、まだ生きていることを祝福すべきだろう。]
ワァズ…は、変わりないようだな。
今どこだ。
[問えば、防御壁の一部がスライドして小さなガラス窓になった。]
…はい?
[窓の外に魚が泳いでいるのを見て、素っ頓狂な声をあげる。
ゴシゴシと目を擦ってみるが、見間違いではない。]
− 川の中 −
なるほど、川あったな。 そういえば。
[アーキファクト級のオートマタとはいえ、天罰の光撃に晒されて平気ではなかったのだろう。
籠った熱でダーフィトを殺さないようにするためにも川へと飛び込んだのだと予測がつく。
さぞ派手な水蒸気があがったろうが、それもまた目くらましの役に立ったか。]
潜望鏡。
[命ずれば、筒状の一端が伸びてくる。
天使が見えませんように、と願いながら覗く。
頃合いを見て、陸に上がろう。*]
− 川岸 −
[天使が地表に満ち満ちていないことを確認して陸へとあがる。
石橋の欄干に腰を下ろし、人の姿に戻したワァズに簡易手当を頼んだ。
その間、傍らで小さなトーチを燃やす。
暖をとるためではない。
仲間への合図だ。
しばらく待って会えなければ、艦に戻るつもり。
別の誰が声をかけてくるならそれはそれ。**]
− 川岸 −
[エンジン音と土煙から、近づいてくるのが自動車だとわかった。
乗っていたのはマチスらである。>>232]
よーそろー
[声をかけてきたマチスは、快活さを失っていないように見えた。
壊されたもののことを惜しむより、先へと意識を切り替えたか。]
天使らもツメが甘いな。
おまえとおれを生かしておくなんて。
[彼らが急いでいるのは自明だから、引き止めるつもりもなかったけれど、
突然、指輪を差し出されて、きょとんとする。>>233
説明を聞けば、]
えー、人工宝石かよ。 質草にならないじゃないか。
[軽口の裡に、手元においておく、と示した。]
形状は気にするな。
おまえがあちこちに手作りアイテムを振る舞っているのは知ってる。
[ファンが多いようで、と揶揄して、今もこの邂逅を見つめる連中に、にこりと笑いかけた。>>240]
[今後の方針を訊かれ、]
空がアイツらでいっぱいになったら、おれら飛空艦乗りは息ができなくなっちまう。
そうならんように自助努力するさ。
[すでにいろいろ抱えているだろうマチスの負担を軽くしてやるべく、勝手に動くつもりを伝えた。]
おれは義理堅いからな、
この指輪の対価くらいは加勢しよう。
おまえの形見にならんようにな。
[もらったばかりの指輪にキスしてみせる。]
[会話を終えるとすぐに立ち去るマチスらを見送りながら、]
空がそこにある限り、人間は飛ぶ夢を捨てないと教えてやろうぜ。
[拳を突き合わせるのだった。**]
− 大陸北部リュベロン山間部 −
[《シャドウ・パレス》に戻って、艦員たちが戻るのを待つ。
ほとんどの者が戻ってきたが、2名、行方不明の者がいた。
コネを駆使して管制塔の方まで行ってみると言っていたと伝え聞き、生存の望みは薄いと瞑目する。
あの時、上空から見た発着場中心部の惨状は、地形が変わったと表現していいレベルだった。]
総員、喪章をつけろ。
[古い帆布を裂いた黒い肩巾を、おのおの身につける。]
おれは、
[二人の仲間を追悼し、500名ほどの乗組員を前に、静かな威をみせた。]
王国軍の兵とはケタ違いの相手だ。
おまけに神の救済なし確定ときてる。
補給も、正直、これから算段するところだ。
無謀にも程があるが、ここで退くってのは、おれたちがこれまで築いてきた全てを諦めるのと同義だろ。
[一同の顔を見渡せば、返されるのは不敵な笑みだ。
誰一人、怯懦に負けてはいない。]
ありがとうよ、
《
存分に魂を燃やせ!
[おう!と男たちの声が揃った。]
− ミロワール湖 −
[その晩のうちに、ダーフィトは《シャドウ・パレス》を山麓に広がるミロワール湖へと移動させる。
天使らが渦を描く空は夜でも明るかったが、山陰に沿うように低空飛行をし、魔術の才がある仲間にカモフラージュの術をかけてもらった上での隠密行動だった。
天使にしろ共和国にしろ、手の内はまだ明かさないでいい。
湖につけば、停留している船に何食わぬふりで紛れておいた。]
[独自に抗戦を決めたとはいえ、まさか単艦で特攻するつもりはなかった。]
おれとワァズで共和国政府の出方を探ってくる。
[馬に変身したワァズにまたがると、相変わらずの機動力を発揮して、街道へと駆け出すのだった。]
− 首都ローバンスへの途上 −
よう、スパナ使い。
これ、おまえだけに聞こえてるのか。
[もらった指輪の機能をテストしてみる。
混線したりしないんだろうかと、まだ用心して、マチスの名を呼ばずに声を送ってみた。**]
− 首都ローバンスへの途上 −
[待たされることなく返事が返ってきた。>>276]
タイムラグなしか。 スゴいな。
あー、おまえも忙しいだろうから、手短に聞く。
政府の方針、決まったか?
− 首都ローバンスへの途上 −
[告げられた数字を復唱する。>>280
反撃の日。]
あいよ、ランデヴーな。
じゃあ、おれからも情報をひとつ。
天使たち全員が平等ってワケじゃなさそうだ。
少なくともおれは、一軍の指揮官と思しきヤツに会った。
他のと違って色がついてるし、表情もあるし、言葉も話す。
もっとも、言葉は通じても話の通じない手合いと思っておいた方がいい。
── 出撃する連中にアドバイスよろしく。
− 首都ローバンスへの途上 −
[忙しそうな気配の中で、マチスは情報を共有してくれた。]
さてと、
[マチスの努力を疑ってはいないが、万端の準備を整えられるとは考えていない。
反撃も生存も、天使らがどう出るか次第だろう。
今のところ、天使の攻撃は散発的なものに留まっている。
最初の攻撃で力を使い果たした…というのは楽観に過ぎよう。
おそらくは、律儀にカウントダウンしているのだ。
「未だ天の門は閉じてはおらぬ」>>33とのお告げを遵守するために。
人は弱い生き物だ。
動揺し、天使の側につけば助かると、人間の中でもマチスらに矛先を向ける者が出るかもしれない。]
またな。 セルフメンテも忘れるなよ。
[この通信機は周囲の音をどこまで拾うんだろうと思いながら、リップノイズを響かせて、先へ進んだ。*]
− 首都ローバンスへの途上 −
[くたびれることのない機械仕掛けの馬の背から、同じく首都へと向かう小規模な軍隊の移動をいくつも目撃した。
休憩がてら、うわさ話を仕入れれば、デューラー閣下が元帥の地位に復帰し、指揮を執っているという。]
これぞ天の配剤ってもんだが、あいにく敵が天使なんで、神は無関係なことが証明されたな。
陰ながら、応援させていただく。
[昔からのファンだから、とひとりごつ。]
[義母の奸計で殺されかけた時、共和国に逃げ込むことを考えなくもなかった。
けれど、それは内政干渉と内乱を引き起こしかねないと、わからぬほど愚昧でもなかったし、自分で状況を打破するのだという誇りもあった。]
憧れの人の采配をこの目で見せてもらえるとはな。
[ある意味、夢がひとつ叶うのだろう。]
− 首都ローバンスへの途上 −
[うわさ話の中に、「天使は教会を襲わない」というのもあった。]
へえ、
聖印で見分けてんのかね。
[中でも、『天使の翼教会』には、奇跡の御子がいるとか、天使が直接に声を賜ったとか聞く。]
うわ、デマ臭い。 見に行こう。
[こういう時は、直感の赴くままに。*]
− 天使の翼教会 −
[予想以上の人出だった。
騎馬のままでは危険なので、ワァズを人型に戻して、もう少し近くまで行ってみる。]
なんだあれ、 船、か?
いかにも素人の作品っぽいんだが ── こう、鬼気迫るというか、な?
[巨大な建造物>>259に、ぞっとするものを感じる。]
− 天使の翼教会 −
[教会の門を守る男に警戒されたようだ。>>320
飯、と言われて腹が鳴る。]
ああ、どうも。
あんたも大変だね。
[私見だが、天使は、こういう人間に目を向けることはないような気がする。]
[信心深い老若男女をここで押しのける気もなかったので、流れから外れてみたところ、
先日、マチスと同じ車に乗っていた赤毛の青年を見つけた。>>322]
やあ、あっちで炊き出しがあるってさ。
だが、君の方が、よっぽど美味そうだよ。
[満面の笑みで近づいてゆき、手を伸ばした。*]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新