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[例によって授業内容が右から左へ抜けていくままに、三限目も終了しようとしている。
苦痛な時間も終わり、笑顔を見せない少女の表情は、どことなく弛緩していた**]
― 放課後 ―
[授業と帰りの挨拶を終えると、昼食を取ったり私服に着替えたりする為、少女は一度自宅へ戻る事にした。]
白水さん、……
……また、後でショーの会場でね。
[何か言いたげに言葉を詰まらせたが、結局は小さく手を振って、一人教室を出た。]
[白水とは家が近所だし、村の人間の中では、少女にとってかなり言葉を交わす相手に当たるだろう。]
[けれど、登下校時に自身から誘いの声をかけた事は、これまでにも無かった。]
― 校門 ―
……まだいたの、アンタ。
[どうやらまだ夢の中らしい。
校門まで歩くと、その脇に例の小悪魔が浮いていた。
立ち止まらずに少女は商店街方面へ足を進める。]
『ぼちぼち契約の時が近いしな、戻ってきたわ。』
(まだ言ってる。
別に叶えたい願いなんてないのに)
『もっとこの村の奴と打ち解けたいとか、ないんかい。』
(……別に。
あの頃に比べれば、今の生活は静かでいいよ)
『…………。
さよか。』
(そういうわけだから諦めな。
私は帰って寝て……や、花びら撒いてから現実に戻るよ)
『……………………。』
[すたすたと校門を出る少女の後を、小悪魔は何も言わずに追った。]
― 商店街 ―
へー、あの店も屋台出すんだ……
[帰り道、ブティック前に店と同じ名前の屋台が出ている事に気がつき、足を止めた。]
[屋台に出す服は殆どが見覚えのあるもの。
恐らくは売れ残りを安値で出すのだろう。]
あ、新しいのもある。
[店頭に並んでいるドレスは新作だ。そのせいか、他の服よりもかなり高い。
そもそも売れ残りの服も、中学生が買うには苦しい値段なのだが。]
『買うんかい』
(買わないよ)
『せやろな。
ああいうん自分で作る為に手芸部入っとるわけやし。』
(……あんまりクオリティ高いの作れないけどね)
『そらしゃーないわ、今まで手芸なんて家庭科の授業でしかやっとらんかったやろ。
前の学校じゃ、別の部に入っとったもんな。』
(…………。)
[小悪魔の発言に僅かに顔を顰めながらも、少女は遠目でドレスを眺めている。]
[そこへ、]
「すみませーん」
[声を掛けられ、はっとそちらを向いた。]
「ちょっとお尋ねしたいんですけどー」
[そこには、大学生くらいのチャラそうな……いや見知らぬ男が立っていた。
恐らくは、祭りの為に村へ足を運んだ観光客だろう。]
[道でも尋ねるつもりなのだろうと、少女は首を縦に振る。]
[男はにこにこと笑いながら、ポケットからスマートフォンを取り出して、少女へ見せた。]
「あんた、殺人鬼少女でしょ?」
[男はいきなり、物騒な通り名で少女を呼んだ。
周辺に人が居れば、聞こえてしまう程度の声の大きさで。]
『……来てもうたんや、その時が。』
[吐き捨てるように、契約者が呟いた。]
[青褪めた少女に、男は笑みを深くする。]
「祭りが始まったら、俺と一緒に公園に来てよ。
みんな祭りに集中してるから、人目なんて気にならないでしょ?」
[わかるよね?と言いながら、男はスマフォの写真を再度見せ、
何事もなかったかのように、その場を後にした。]
…………。
[少女は暫くの間、商店街のど真ん中で震えながらうずくまり、契約者はその姿を横でじっと眺めていた**]
― 商店街 ―
(……何?
これが、アンタの言う“システム”?)
[少女へ近づく者はいただろうか。
誰かが声をかけたとしても、耳に入ってもいないかのように虚ろな目を泳がせ。]
[少女は小悪魔へ話しかけた。]
『せや。
アイツは都会モンのゴロツキや。
こっちに実家がある彼女が祭りに参加するってんで、3日くらい前からこの村に来とって、昨日偶然あんさんを発見したんや。
さしずめ、正義感()と彼女への愛()の為に、あんさんを村から追い出そう思って行動に移したんやろな。』
(アイツの言う通りにしなかったら、私……どうなるの)
『んなこた分かっとるやろ、あの写真とあんさんの住所がネット上に拡散される。
この村の奴にも知られるやろな、あんさんがあの――』
やめてよ!!
[声を出さずに会話できる事も忘れ、声を張り上げる。]
『それが嫌なら、白水はんとの約束破って公園行くか?
良くて金の要求、悪ければ……いや、言わん方がええな。
つか、それはそれで別の脅迫ネタ作られるんは分かりきっとるやろ。
どのみち、あんさんの静かな生活とやらはここで終わりや。』
(……わかった、わかったよ!
アンタと契約して魔女になる。
それしかないっていうんでしょ!?)
(私は静かに暮らしたいの……
もうやだ、こんな人目を気にしながらの生活!
なんで私がこんな目に遭わなきゃいけないの?
……誰にも干渉されたくない。
誰も私を……あの頃の私を知らない世界にしたい。
そう、私は……皆に忘れて欲しいんだ。)
『……ワイは“方法”は一つとは思わんけどな。
けど、あんさんがその願いを変えん限り、契約一択や。』
[小悪魔が小さく溜息を吐くと同時、少女はゆらりと起き上がり、よろめきながらもコンビニまで歩いて、外壁にもたれ掛かった**]
― コンビニ横 ―
っ!?
[背後からの声>>279に、びくりと肩が跳ねる。]
[どくどくと異常に鼓動する心臓を抑えようとするように、制服の胸ぐらをぎゅっと握り締めた。]
[呼吸を落ち着けながら恐る恐る振り返った少女の額からは、冷え込みが厳しい季節にも関わらず、止めどなく汗が流れている。]
あ、……
[この少年は、確か。
合同授業の時に何度か見かけたことがある。]
[先の男やその仲間とかではなかった事に、安堵の息を吐く。]
え、と、いいえ、くん。
[合同授業もある中学生全体で30人程度、生徒の名前と顔を一致させることは難しくない。
けれど、別学年の生徒の名を呼ぶ機会などそうそう無かったから、確認をするように、ゆっくりと少年を呼んだ。]
うん、大丈夫……。
[なんでもないというように首を横に振る。]
[何があったかなんて、自分の素性なんて、絶対に悟られてはいけない。]
ま、祭りが楽しみすぎてついはしゃいじゃってさ。
ちょっと疲れただけだよ。
[直前の様子を見られていた事も知らず>>277、そんな嘘を。
おまけに、少女の演技はまさに大根だった。そもそも顔が笑っていない。]
うん、……糸瀬、英美。
[同じように姓を確認されて>>206、一瞬困ったような顔を浮かべるものの、すぐに頷いて隠した。]
大丈夫だよ、大丈夫。
[念を押すように、大丈夫、と繰り返す。]
大げさだなぁ。
そこまで疲れてないよ。
[病院に>>308、と聞いて、無表情の口元から、ははっと笑い声を漏らす。]
祭り……うん、そうだね。
……クラスメートの手伝い、するって約束したし。
ありがと。
ごめん、心配かけて。
[もう大丈夫だから、と、一度は申し出を断り、歩き出そうとするも、]
あ。
[再びへなりと壁にもたれてしまい]
……ごめん。
途中まで送ってくれると、助かる……。
[住宅街のアパートに自宅がある、と付け足して、後輩の申し出に甘えることにした。]
『やけに素直やないかい。
ガキんちょとはいえ、なかなかのイケメンやしな。』
(うるさい、そんなんじゃない)
[からかう小悪魔を睨みつけようにも、消耗するだけなので返事をするに留めた。]
『……ま、あんな事の後じゃ、伸ばされる手に縋りたくなるのもしゃーないわな。』
…………。
『一旦家戻って、パパッと仮契約済ませて、……日没までには何処行くん。
あんさんはどないしたいねん。』
(私は、……)
『静かな生活、で満足しとるんか?』
(私は……)
『そうやないやろ、ありのままのあんさんは。』
(……決まってる。
今、私が行きたい場所は、あそこしかない。)
『……ん。』
[少女の答えに満足したように、小悪魔は笑った。]
あ、りがと……。
[制服の肩口に指先が触れた感触>>336
気づいたけれど、反応しない事にした。
なんだか気まずいから。]
か、肩までは大丈夫だから。
[荷物など学生鞄くらいのものだが、持つというのなら素直に渡した。]
お互い様っていっても、私は何もしてないんだけどな……。
……そだ。
井家くんに何か困った事があったら、力になれる事があれば手伝うよ。
先輩なのに助けられっぱなしじゃ、情けないからね。
[情けないと言いつつも、小悪魔の言った通り、縋りたいのだろうかと。
苦笑するように、小さく笑い声を漏らした。]
― アパート前 ―
面倒かけちゃってごめ……、
……ありがと、井家くん。
私、祭りでゆるキャラのショーの手伝いをするんだ。
良かったら遊びに来てね。
[といっても、内容がどんなものかまでは知らないのだけれど。]
[精一杯の柔らかい表情で、少年に別れを告げた。]
― 祭りの開始直前 ―
[ばん!!
慌てて家から出てきた少女の左手には、シャンパンゴールドがキラリと光っていた。]
やっ……ばい!
すっかり眠りこけてた!!
[少し仮眠を取るつもりが、ガン寝してしまっていたらしい。
いや、今から走れば祭りの開始時刻には間に合う。
手伝いをするのにそれでいいのか、という感じではあるが。]
[少女の向かう場所は公園――]
― 商店街 ―
[――などではなく。]
白水さーん!
ごめん、遅くなって!!
[ゆるキャラショーが行われる場所へと走る。]
[そこに白水の姿があったかどうかも確認せぬままに、白水を呼んだ。]
(ちゃんと言えるかわからない……けど、
私の行きたい場所は、ここだ
それだけは、はっきりわかる)
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