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あたし、別に酔いやすいわけじゃないし。
…席、変わる?
[そう聞いてみたのは、初めてなら楽しめた方が良いんじゃないかって、
そんな単純な理由からだった。**]
/*
というわけで退魔師コンビ出揃いました。
蒼生と申します。
はじめましての方はどうぞよしなに。
えんじゅさんのペア村は初めてです。
ヒセツさんに拾って頂きましたー。
[玲緒が頷けば席を交換する。
首を横に振るならばそのままに。]
わ…。
[やがて富士山が見えれば其方に視線を向ける。
晴天のお蔭で美しい稜線がよく見えた。
青々とした山体の、山頂近くは薄い雪化粧を纏っている。
霊峰であるあの山には修行という名目で何度か行った事があった。
うっかりと遭難しかけた事は今では笑って話せる思い出だ。詳細は言えないけど。]
む…!
[>>40同じクラスの好葉の声が聞こえれば、彼女の座っている席の方を見た。
視える人間であるあたしには狐色の影がちらと見えた。
セクハラの気配に目を眇める。]
[無意識に首から提げた赤翡翠の首飾りに触れる。
赤翡翠の両隣には白みがかった管型の水晶と黒みの強い杉石が、交互に三つずつ黒い革紐に連なっている。
掌に収まる程度の大きさの翡翠のひやりとした感触は手によく馴染んだ。]
悪いモノなら調伏するけど…、神サマだもんね。
[そっと息をついて離した。
‘彼’が一緒にいるのは、彼女の実家が神社だからだろうか。
修学旅行にまで付いて来るなんて、余程大切にされているらしい。
だけどその所為で電波系とか不思議ちゃんとか言われているクラスメートにひっそりと同情した。**]
[貰えた言葉に、胸の内が春の陽射しの様にぬくくなるのを感じていた。
けれどそれを出さずに首を横に振ったのは──……]
(こっちなら、窓見るついでに亜梨沙も見られるから)
[自分でも理解出来ない、自然な欲求のせい]
/*
ふふふ、による。
他のペアさんも今晩には見えるんですよね。
どんな風に展開していくか楽しみです。
そして玲緒ちゃんがかわいくて。
秘話見て下さい!
うちのペアの子可愛いの!(※エピまで見えない)
でもツンするんだ。
[>>44あたしの言葉に玲緒は僅かに目を瞬かせる。
>>45少し間が空いた後、彼女は首を横に振った。]
…そーぉ。
[この子が嬉々として席を替わるなんて思っていなかったけど。
だけど続く言葉には少しだけむっとした。]
――何それ。
それじゃ、あたしが冷血人間みたいじゃない。
[確かにあたし達は気遣い合うような間柄じゃないけど。
修学旅行くらい平和に楽しく過ごしたいのに。
ついと視線は窓際に向けつつ、紡いだ言葉はそれ程大きくはないものの、少し尖った声色になってしまっただろう。**]
[彼女の心中に気付かないあたしは、
この子、修学旅行楽しめるのかな。
楽しんでる顔、見た事ないけど。
何であたしと同じ班で隣の席をOKしたんだろう。
折角なら他の子と行動すればいいのに。
改めてそんな事を頭に浮かべながら、車窓から見える風景を眺めていた。]
……来て良かった。
[見た事のない景色を視界に入れて、少女はそう思う。
仲良くする事は出来なくても、隣にいられる事で、初めて見る景色をうんと特別なものにする事が出来たから]
(きっと驚いているんだろうな)
(同じ班は、たまたまだったけど)
[そう、この状況は偶然であった。
取り立てて仲がいいと言える友人がいない玲緒は、あらかじめ適当な所に入れて貰えればと告げていた。
その適当な所が、亜梨沙のいる班であったのだ]
(席は隣にしてっていうのは、私がひっそりと班長さんにお願いしたんだけど)
[きっと言える事のない秘密の話。
まさか修学旅行を楽しんでいるのかどうかと思案されているは知らず、当人はこの状況を、割と楽しんでいた]
[多少の居心地の悪さを覚悟しながら]
うん…?
[研ぎ澄まされた視線を感じる。>>42
いるんだよね、たまに。「感じ取れる」人。
天性なのか、訓練の賜物か──]
見えないー見えないー♪
[笑顔を返して、隠形の術に気合いを入れた。]
─ 回想/出会い ─
[とある事情>>83から未谷待望の後継候補としての力が備わっていると判じられてから、玲緒は退魔術の修行を課せられていた]
(どうして)
(こんなこと、したくない……!)
(おともだちと、ふつうに、あそびたいのに……!!)
[けれどそれは、玲緒自身が望んだ力ではなかった。
既に
そのせいか、玲緒に課せられた修練は常に厳しく、そうして子供が望む自由すらろくに与えられなかった]
[そんな、とある夏の日。
まだ小学生の頃だ。
当時仲良くしてくれた友達のお誕生日会に内緒で行こうとしたのを祖父に見つかり、無理やり坤央一門の修練場へと放り投げられた。
いつもなら祖父が怖く逃げ出す事など考えない玲緒だったが、その日の修練の目付け役は、祖父の片腕と言われていた初老の男性。
春の日差しの様に穏やかで、常に冷めた表情を浮かべる祖父の傍らにいるには、随分と不釣合いな人だと、幼ない玲緒ですら思える人だった]
(この人なら、きっと……!)
[優しい人だった。その優しさを、祖父よりも格下の者として捉えた子供は修練場から飛び出し、そうしてまだ敷地の経路を把握しきれていない広大な修練場で迷う事となり、決して行ってはいけないと言われていた場所まで足を向けていたのだ。
“あの辺りでは、丑ケ谷の者が修練をしている。
……未谷家にとっては、敵となる一族だ。”
祖父にそう言われていた場所に]
[心細い表情をしていた。
帰り道が判らなくて、どうしようもなくて、祖父にしごかれた時よりもうんと涙を流していた。
だってもう、帰る事は出来ないと思ったから。
そんな玲緒に声をかけてくれたのが、丑ケ谷亜梨沙だった。
同じ年頃の、修練場にいる女の子。
それまで同年代の退魔師修行をしている者を知らなかった事もあり、学校の友人達と自分は違う存在だと認識していた玲緒にとって、その姿がひどく嬉しかったのだ。
床に、
そうして地面に。
ぽたぽたとこぼしていた涙が引っ込むくらいに、亜梨沙の存在が嬉しかった。
だからつい駆け寄って、手を伸ばしたのだ]
わたし、玲緒っていうの。
あなたは?
ねぇ、お友達になって!
[涙を引っ込めて、じゃれつく様に手を伸ばして。
そうして、笑ってみせた。
今では見せない様な、花の咲いた様な笑顔で]
[そうして暫くしてから、例の祖父の片腕の男性が玲緒を見つけた。
けれど彼は、亜梨沙が丑ケ谷の子供だと知りながらも、玲緒には何も言わなかった。
ただ、祖父に怒られない様に修練をしようと玲緒の手を引いた。
それに大人しく従ったのは、亜梨沙の存在を知れた嬉しさからだろう。
今でも玲緒自身が知らぬ事だが、今は亡きこの男性は、祖父達が決裂する前に、丑ケ谷の当主と未谷の当主……つまりは亜梨沙と玲緒の祖父、どちらも支えた存在だったらしい。
だからこそ、玲緒が亜梨沙と接した事を黙認してくれていたのだろう。
けれど、それは長く続かなかった]
亜梨沙ちゃんのお誕生日、もうすぐなんだね。
じゃあ、亜梨沙ちゃんのお誕生日は、お祝い出来るんだね……!
[その日、玲緒は亜梨沙の所に迷い込んだ経緯を話していた。
友達の誕生日会に行けなかった話の流れで、亜梨沙の誕生日を聞き、そうして目を輝かせた。
けれど──……。
話している最中に、祖父が酷く冷たい声で玲緒を呼び、亜梨沙の傍から引き離された。
その後は頬を張られ、丑ケ谷への敵意を祖父の口から吐き出されるのを黙って聞いた。
その頃亜梨沙も、彼女の父に未谷家との因縁関係を聞かされていただろうか>>10]
(お祝い、出来なかった)
(友達になることも、出来ないんだって)
(でも……)
(でも──……!)
[以来修練場で会うのを禁じられながらも、それでも時折腕試しの場で会う機会もあり、だからこそと玲緒は決めたのだ。
>>12家業を誇りに思っている事を、話している事から察せた亜梨沙の、せめてライバルとしていられる様にと。
あれ以来亜梨沙と仲良く話す事は出来ずとも、修練に身が入り、それが修行中とはいえ退魔師である玲緒を支えたのは事実であった]
[もっとも、同じ様な境遇である友人になれなかった亜梨沙の誕生日すら祝えなかった事で、以来玲緒は取り立てて仲のいい友人を作ろうとはしなかった。
友人だった子よりも、友人とも言えずにいた亜梨沙の誕生日を祝えなかった事がつらかったのを自覚していたから。**]
―少し前―
[>>81>>82玲緒からは反応も返事も暫く戻って来なかった。
そこではたと我に返って胸に苦いものがこみ上げてくるけど、しおらしく謝る事は出来ない。
物心がつく頃には修練に励んでいたから学校の後は当然家に直帰する形だったし、友達はいても深く付き合えるような子はいなくて。
似たような境遇の女の子は玲緒が初めてだったから凄く嬉しかった。
仲良く出来たらいいなって思った。
約束も、した。
そんな時間があっという間に終わってしまうなんて思ってもいなかった。]
…そう。
[結局返って来たのは短いもの。
鈴の音のような静かなその声からは温度を感じる事は出来ない。
それに返すあたしの声も、多分そっけなく聞こえただろう。*]
[あちこちで富士山に歓声を上げる声が聞こえた。
>>83それは隣からも。
紡がれた感嘆の言葉を、あたしは富士山を見たまま聞いていた。
未谷の家の事情はほんの少し聞きかじった程度だ。
あたしの世代は無事に三人共能力の発露が見られて、共に修練を積んでいる。
一応はあたしが跡取りだけど、妹や弟があたしよりも才能が上だったら跡取りに据えられる事になっている。
負けて堪るかって意欲が湧いてくるから、あたしは嫌いじゃない。]
[こうなった経緯をあたしは知らない。
それは班長がきちんと口を噤んだお蔭だろう。
富士山を見て綺麗、と言う声は、玲緒の素直な思いの発露に思えた。
少なくともつらくて堪らないってわけじゃないんだろう。
あたしはほんの少し胸を撫で下ろしていた。]
…っ!
[視ていた相手から笑顔が返って来て、思わず目を丸くする。
そうして間もなく隠形を強化されたのか、あたしの目からは容‘彼’の姿は見えなくなってしまった。
自分の未熟を知らされたようでちょっと悔しい。]
…むー。
[それでもやっぱりあの子の傍に居るんだろうなぁ。
貴方があまり悪さをすると、ますますあの子がクラスの中で孤立しちゃうから程々にしてあげてね、なんて言葉を交わせるのなら言ってみたいものだけど。*]
[あたしが好葉の方を見た事で玲緒の注意が向いたのには気付いていた。
狐色が見えたのはほんの一瞬で、その後は目を凝らしても視えなかった。
>>96赤翡翠に触れるのを見て玲緒が思う事は知らない。
護符であり、仕事の道具でもあるこの首飾りをあたしは殆ど手放した事がない。
今はもういないおばあちゃんの形見でもあるし。
色々な意味で大事なそれを、アクセサリーと一緒のように思われるのは酌だ。
だけど取り上げられたりしたら敵わないから、委員会の仕事を真面目にする事で大目に見て貰っている。
風紀委員として校門の前に立つ時には、流石に人目に触れないようにしているけど。
指先への視線には気付かないまま。
振れた手の温かさはもう忘れてしまったけど、凄く嬉しかった事は記憶には残っている。]
[>>111クラスメイト達の視線を一身に受けていた好葉と目が合って、彼女の顔に浮かぶ苦笑に悪い事をしたような気分になった。
手を振る彼女に同じような笑顔を浮かべて軽く右手を振り返しながら、心の中でごめんね、と呟く。
>>125廊下を歩いていた聖前くんが通りすがりに彼女に何か言うのを見た。
しおりに載っているコースが彼が所属する図書委員によって作成された物だって事は知っている。]
…結局うちの班って、どのコースを回るんだったっけ。
[恋愛成就をお願いする予定はない。
そんな相手は残念ながらいなっかった。
敢えて願うとしたら、いいご縁がありますように、かな。
いいなって思う男の子はいたけど、何だかんだで告白とか付き合ったりとか、そういう浮いた話になった事はなかった。
誰に言うともなしにそんな事を言いながら、あたしは鞄の中からしおりを取り出して膝の上でぱらぱらとめくり始めた。**]
/*
全員揃った…のかな。
何人知っている人がいるのでしょう。
最後のずさりペアさんはいらっしゃいませ。
先生が生活指導なら、ちょっと縁故組める…かな?
駒王さんは気を悪くされてたらごめんなさいね。
分かってはいるけど、これから勤務つらあぁぁ。
玲緒ちゃんから貰った秘話を燃料に頑張る!**
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