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[手にスケッチブックとデッサン用の木炭を持った青年が、不思議そうにお菓子の家を見上げながら首をこてりと傾げる。
あたりを見回しても、一体いつの間に、自分がどうやって来たのか全く分からない。おまけに頭にぼんやりと霞がかかったみたいに記憶すらあいまいだった。]
でも、まあいっか。
[基本的に大好きな絵以外にはあまり物事にこだわらない暢気な性格をしている。
お菓子の家の造詣が気に入って、のんびりとデッサンを始めた。]
― →お菓子の家(宿屋)の中
[一通り描き終えると、お腹が減ったことに気づいてお菓子の家の中に入った。お菓子をかじってみたい誘惑にかられるものの、さすがにそこまで子供ではないからぐっとこらえる。
中は母親が留守のときに泊めてもらっている、馴染みのある宿屋と同じだな?と思っていると、カウンターに母親のエルナと幼馴染である女主人らしき女性を発見した。しかし自分が知っている彼女よりも若い気がして、不思議そうに首を傾げる。]
こんにち、は?レジーナさん、ですよね?僕はヨアヒムです。分かります?
[万が一人違いだったら相手を困らせるかなと思って、慎重に声をかける。]
[こちらに向かってくる足音を聞きつけて、廊下を覗き込んだら、階段を下りてくるヤコブ>>29が目に入った。]
ヤコブー!僕はヨアヒムだよー!お前は二階で仕事でもしてたのかー?
[同じ年の幼馴染に向かって、スケッチブックを持ったまま大きく手を振って笑いかけた。家族が村の外に出る冬の間は、ヤコブは宿屋の手伝いをしていることを思い出したから。**]
[目の前の女性は、やはりレジーナで合っているようだ>>40。だが何故か自分を見て目を丸くしている。]
そうです。僕は正真正銘、ヨアヒム本人だよ。
[親戚とかじゃないくて?との問い>>41に大真面目に頷く。まさかレジーナの記憶まで時間を逆行しているとは思わない。]
[ヤコブに呼びかけた直後、レジーナの口から幼馴染>>41という単語が出て、にこっと笑った。]
うんっ!僕の母さんは、レジーナさんの幼馴染でエルナって名前だよ。いつもはエラって呼んでいましたよね。
そしてヤコブは僕の大事な幼馴染のヤコブ。・・・どうしました?
[レジーナの言葉>>42が耳に入って首を捻る。何がおかしいのか、さっぱり理解できていない。]
[そのときお腹がくーっと鳴って、てへへと誤魔化し笑いをした。]
母さん、また村の外に出かけちゃったから、今夜からしばらくここに泊めてください。宿帳はあとで書きます。
・・・お腹が減ったから、先に何か食べるものをお願いしますね。
[さすがに少し恥ずかしい。語尾がかすれて小さな声になった。**]
[理屈はよく分からないが、目の前のレジーナは自分がよく世話になっている宿屋の女主人で間違いないようだ。自分の話に納得する姿>>52に、こくこくと首を縦に振った。]
はい、分かりました。それではお願いします。
[カウンターの扉から厨房に向かうレジーナ>>53を笑顔で見送る。
適当なところでカウンターの前から談話室へと移動する予定だ。]
!?
[突然バーンと音を立てて開いた扉にびっくりして、そちらに振り返った。]
へ?
僕はヴァルターさんから薪を運べなんてお願い、聞いていませんけど???
[自分が住んでいる村の村長から依頼を受けた前提で話しかけられて、頭の上にクエスチョンマークをいっぱい飛ばしながら目を丸くする。]
[ヴァルターの様子>>72はいつもと違う?ような気がしたが、問いかけ>>76には真面目に答える。]
あれ?積もる前どころか、村にはもうとっくに雪は降ってますよ。
今年も雪かきの手伝いをしようとして、屋根から落ちてきた雪にうっかり埋まったことが・・・。
[ヴァルターとの話の食い違いに気付いて、腕を組んで考えこむものの。記憶はあいまいで、正確なことはどうしても思い出せなかった。]
でも大丈夫ですよ。
今外に降っているのはマシュマロと金平糖ですし、一面白いのはわたがしが積もっているからです。雪かきの心配はありません。
[考えても真実は分からなかったが、先ほどスケッチで確認した風景を口にして、大丈夫と楽観的な口調で笑いかけた。]
[何故ヴァルターは自分がヤコブの家にいると思った>>81んだろう?と疑問が浮かんだものの、本人があまり気にしてないように見えたから、言われたことだけに頷いた。]
はい、分かりました。何か食べたら手伝いをします。
[宿屋に泊まるときは、ドジしてレジーナの仕事を増やさないようにと母のエルナから口を酸っぱくして言われている。でもヴァルターの言うことは尤もだと思ったから、十分注意しながら手を貸そうと考えている。
ちょうど切りが良いので、ヴァルターとはそれで会話を終わらせた。]
嗚呼、大丈夫だ。僕はここにいる。
[安堵の息を吐いたヤコブ>>84に言い聞かせるように、ゆっくりとした口調で返事をしながら微笑み返した。]
しかし林檎と一緒に寝ていた?レジーナさんにジャムかパイにしてもらおうと持ってきた林檎が何かの弾みで転がったのか?
[それでもヤコブの説明する状況が理解できずに首を傾げた。つかつかと近寄って、じーっと見つめる。]
お前が怪我してないならいいけど、な。
[とりあえず林檎の話はそれで終わらせると、林檎を食べる?>>87との提案に頷く。]
[お腹の音を聞かれて恥ずかしかったから、無茶振りをかました。]
ば、馬鹿。余計なこと聞いているなよ。
[正確にはヤコブが聞いたのではなく、聞かせてしまったと言った方が正しいのだが。]
[ヴァルターとの会話中顔を出したヤコブに、少し唇を尖らせて答える。]
そーだよ!僕はヤコブとずっと一緒にいるって言ったじゃないか。
[それを告げたのはいつどこでだったかを思い出そうとした途端。頭の中の霧が濃くなったような気がして、思わず顔をしかめる。
けれどもすぐにヤコブが林檎の皮を剥く腕前に気を取られた。]
林檎剥いてくれてありがとう。とても嬉しいよ。
やっぱりヤコブは器用だなあ。
[本当だ>>89と固まるヴァルターに、ね?と首をこてりと傾げる。
普通ならさすがに自分もおかしいと思うが、お菓子の家が建っているのだから、お菓子の雪はむしろ当然か、などと謎の方向に思考を巡らせたから、実は全くおかしいと思っていなかった。]
大丈夫ですよ!信用してください。ヤコブは頼りになります。
[ヴァルターの言葉を、ヤコブと自分との信用さから来るものとは考えもせずに、幼馴染が誉められて嬉しいと満面の笑みを浮かべた。]
だだだいじょうぶ!さっき宿屋の外観をスケッチしたときは、う、埋まらなかった、し。
[ヴァルターに向かって真顔で頷くヤコブ>>105に反論するものの、微笑む幼馴染に照れくさそうな笑みを返した。]
わ、ありがとう。早速いだだくよ。
[綺麗に切り分けられた林檎>>107の一つを取って、しゃくしゃくと気持ちの良い音を立てて食べながら、ふと神妙な表情を浮かべた。]
うん。ヤコブは僕に林檎の剥き方だけじゃなくて、もっといろんなこと教えてくれると嬉しいな。
僕はどじっ子を返上して、もっと頼りになるように頑張らなきゃいけないんだから。お前とも声を聞かせることも約束したしね。うん、ちゃんと覚えている。
[ヤコブが先ほど口にした提案>>105に対して真剣な態度で応える。]
それに頼りになるって言ってもらえて嬉しい。だから今度は・・・。
[照れくさそうに頭を書きながら告げた言葉は、途中で途切れた。今度は何だというのだろうか。考えても考えても、その先は銀嵐に飲まれてしまったように一面の白にかき消されて、どうしても出てこなかった。]
[ヴァルターからあやうく突っ込みを貰う所>>106だったなど露知らず。
女性との華やかな話と聞いて、目を丸くする。]
へ?それってどういう意味でしょうか?
[そちら関係にはど鈍いから、ヤコブと違ってヴァルターの真意に気付いていない。
けれども精一杯困った顔をするヤコブ>>112の肩を叩こうと左手を伸ばしながら、慰めるように言った。]
大丈夫だよ。僕にとってヤコブは誰よりも僕を分かってくれる、大切な存在だ。
お前は駄目なんかじゃないよ。安心しろって。
[ヤコブの冗談めかした言葉>>118に、半分真面目半分真に受けたような拗ねた口調で返事をする。]
わーってるって。どじっ子は卒業する。絶対だ。
[一体何処まで信憑性があるのやら。怪しげな絶対を力強く口にしたあと、ヤコブの照れが伝染してしまって、ぼそっと付け加えた。]
それじゃ僕が駄目なんだってば。せめてお前を守れるくらいには、強くなりたいから。
[けれどもヤコブの返事を聞くと、ふふっと声をあげて笑った。]
ありがとう。僕もヤコブが一番大事だから。それは覚えていて。
僕もヤコブがいればそれでいいよ。
[誰かいるのか?とのヴァルターの声で、玄関がにぎやかなことにようやく気付いた。
いらっしゃいませ、と声をあげるヤコブに一瞬視線を向けたあと、うーんと考え込む。]
誰かお客さんかな?もしそうなら、宿泊の準備手伝わないと。
もしかしたら、お菓子の家が珍しくて来たのかもしれないよ。
[相変わらずマイペースな推測を口にしつつ、誰が来るだろうかと少しわくわくしている。]
おう、任せろ!
[笑い声をこぼしたヤコブ>>135にホッと一安心しつつ、胸をぽんと叩いて――勢いが良すぎてちょっとむせた。言った先からこれでは実に将来が思いやられる。
それでも忘れないとの言葉に嬉しそうな笑みを浮かべた。]
あ、嗚呼。そうだな。手伝うよ。
[照れを誤魔化すように、お茶の準備を提案したヤコブ>>136に慌てて返事をした。]
うん、そうだねー。もしお客さんが虫歯になったら大変だ。
[自分はどちらかと言えば甘いものは好きだが、砂糖や蜂蜜を控えるとの意見には賛成の意を示す。]
なるほど。分かった、必要なら僕が外に出て取ってくるよ。
[そのくらいなら自分がどじっ子でも役に立つだろうと考えついたから、張り切って返事をした。
ヤコブと一緒に玄関に客を出迎えに行って、ぺこりとお辞儀をする。]
いらっしゃいませ。宿屋にようこそ。どうぞごゆっくりおくつろぎください。
・・・でも?リーザとジムゾンさんは、別の人???
[ヤコブと同じくなんとなく真実を察しつつも、困惑した口調を隠せない。]
[だがヤコブが厨房を借りると言うのを聞いて、はっと我に返った。]
あ、僕も手伝うよ。待って!
[まずヤコブに一言声をかけてから、去り際に改めて自己紹介をした。]
僕はヨアヒム・クレーマンと言います。どうぞよろしく。
― 厨房 ―
[ヤコブのあとを追いかけて厨房に向かうと、レジーナが準備してくれた品>>153が目に入る。]
さすがレジーナさん。美味しそうなサンドイッチだね。
あとはこれを談話室に運べばいいかな?
[ヤコブに問いかけつつ、きりりと顔を引き締める。]
クララさん、こんにちは。
[厨房に引っ込む直前、こちらに手を振ってくれた女性は知っている司書だと咄嗟に判断して挨拶した。
厨房にはオットーに似た人もいたが、自分が知っているオットーよりも若い気がしたから、作業を邪魔しないように目礼だけ返す。]
大丈夫だよ。挨拶はあとでゆっくりすればいい。
談話室に行けば、また顔を合わせるんだし。
[知っている人と似ているのに別人に立て続けに会って疲れているのかな?と幼馴染の心境>>181を想像しつつ、フォローの言葉をかける。]
それに、僕が隣にいるから。疲れたと思えば遠慮なく言えばいいし、誰か分からなくなったら説明もする。無理しなくていいよ。
[安心させるようににっこりと笑いかけると、カートで運ぶとの意見に賛成した。
ヤコブが飲み込んだ真の理由には気付いていない。]
[ヤコブから配膳を任されたから、カートを押しながらいつも以上に慎重にそろそろと談話室へ歩みを進めて、テーブルに丁寧にお皿を並べた。]
・・・へくちっ。
あれ?外の雪はお菓子なのに、風邪でもひいたのか?
[準備を終えて、カートを片付けようとしたところでくしゃみが出て、思わず独り言をこぼす。勿論本当の原因はヴァルターが口にした噂話?>>186だった。]
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