565 【SF＆BBS風人狼騒動RP村】Sleeping Silver Sheep ④ ～ 銀色羊は＂狼月の村”の夢を見るか ～
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司書 クララ
［少し間が空けば、司書らしく宿の図書室にて。誰かが来るまで、これからのことを考える。
ゲルトさんの遺体はどうなるか。私に決定権は無い。早々に埋葬してしまうのであれば、そちらのほうが心穏やかだ。
けれども、保存するというのならば、動き出そう。そう決心した。
犯人は現場に戻ってくる。地面に埋めた食料を、獣が掘り起こすがごとく。］
今私は、何を持っている。
［数少ない、荷物を確認する。武器になりそうなものは、せいぜいバターナイフ。あとはインク、絵本のための顔料、本を閉じる糸。ペーターに買ってきてもらった>>0:845カヤツリグサと干しブドウに香辛料。これを使って何ができる？］
司書 クララ
そういえば、伝説では銀の弾丸で倒されたっていわれているけれども……
［そんな高級なもの、この村にあるだろうか。そもそも狼男と人狼って同じなのだろうか。
探してみる価値はあるだろう。この話くらいは、皆に伝えても良い。］
司書 クララ
［ともあれ今はあるものでやり過ごすしかない。再び持ち物へ目を落とす。
ブドウ、香辛料。
一部の獣にとっては毒だと文献で読んだことはある。うっかり猫が食べてしまって、大変なことになった時がった。
人狼にも適用されるのだろうか？］
まさかね、半分は人なわけだし……
［一応、明日からの料理番に名乗り出ようと思った。リーザがあんな状態だからという名目もある。］
それとも、断られるかな。
［自分の料理スキルの無さが恨めしい。］
司書 クララ
インク……ジエチレングリコール……
顔料……パリスグリーン……シルバーホワイト……
料理番。
［とある恐ろしい選択肢に思い至り、クララの動きが止まる。誰かが入ってくるか、そうでなくても通りがかりでもすれば。飛び上がって驚いた。］*
司書 クララ
［元々人に話しかけられるだけで驚いちゃうことはあったのだけれど、今日は少々過剰。］
ジムゾン……さん……
［声の主が誰かに気が付けば。
左手で眼鏡を掛け直すと、なんとか取り繕うように、ぎこちない笑顔を作る。］
ごめんなさい。私、気が張っていたみたいで。
ええっと、集まるんですか？ すぐに行きます。
司書 クララ
［最初から悪いことを考えてはダメだ。あくまで平和が１番、それを最優先に考えるべき。
スー、ハー、よし、落ち着いた。
でもどうする。みんなで解決するといったって人狼にコンタクトを取るの？ どうやって？ 相手が何者なのかも分からないのに。］
司書 クララ
［みんなの前で公言しろといっても聞かないだろう。どうしてもサシで話したい。けれどもそのためにはまず人狼を見つけなきゃいけない。なんて厄介な話だろう。
上手く誘導して聞き出さないと。］
ジムゾンさんは……人狼……ですか？
［ダメだ、このクララ下手くそすぎる。しかもまた震えていた。］*
司書 クララ
［あ、やってしまった。と思った。これが猫であれば、背中の毛を全て逆立てていただろう。］
ご、ごめんなさい！ 変なこと聞いて！
なななな、なんでもないんです！
［そう言って取り繕っただろう。
これまでのクララであれば。
けれども、運命の針は回った。だから逃げ出したくなる気持ちをぐっとこらえた。］
司書 クララ
私、ジムゾンさんのこと、信じます。
今は……だけど。
［ぽつりぽつりと胸の内を。］
だから、本当に人狼なら、いつでも言ってください。怖い人に伝えたり、しないですから。
［どんなに口下手であっても、幾多の語彙から選べる台詞はこれだけだ。
本当に人狼だったらどうする、この場で襲われるかも知れない。それでも、座して待つよりは後悔が少ないと思うから。］
過去の記録は所詮、過ぎたことです。それをなぞる必要なんて、無いと思います。今代の、セイラさんを探しましょう。それが、ゲルトさんへの裏切りでも……
［最後は少し、涙ぐんでしまった。］
行きましょう、話し合いの場へ。*
司書 クララ
あのぅ……
［皆の剣幕に割って入るだけでも大きな勇気だ。普段であれば、こうやって声を上げることすらもできなかっただろう。］
あの！
［けれども言わなくてはならない。今だからこそ。クララは十数年ぶりに声を張り上げた。］
司書 クララ
人狼騒動の絶対数は少なくあれど、文献をあさればいくらでも出てきます。
［先程図書室から持ってきた本の束をどさりとテーブルの上に置く。］
人狼は１夜に１人しか殺しません。理由は分かりませんが、まず前例からして間違いないと言って良いでしょう。
ではなぜ滅ぼされた村があるのか、簡単です。人間が人間を殺したからです。全員が食い尽くされた村は存在しません。
［それはそうだ。そうでなければ、人狼よりも人間のほうが数が多いからだ。なぜか、都合良く。］
司書 クララ
ここからは私の意見として聞いてください。１人を殺して来るかも分からぬ明日を待ち、日が昇ればまた殺す。これで人狼を倒せたとしましょう。僅か数名だけ生き残った状況に、価値はあるのでしょうか？
［そうだ。誰も犠牲にならないのと１人の犠牲が出るのは大きな違い。しかし、１５人の犠牲と１６人の犠牲に違いはあるのか。答えは否だ。］
過去をなぞるだけじゃ、歴史を残した人々が浮かばれません。新たな選択肢を探しましょう。
司書 クララ
誤解を恐れずに言いますが、殺すなとは言っていません。大きな利益の前に小さな犠牲は必要です。
［それが世の中の常。だからこそ、人類は繁栄できた。］
けれども、私はこの言葉が嫌いです。
なぜなら、自分を小さな犠牲側に置いた人を見たことがありませんゆえ。
ずっと疑問に思っていました。私と同じ考えに至った人は今までもいたはず。ではなぜ同じ選択肢しか取られなかったのか。
村のためなんて、体の良い大義名分。本当は、自分だけでも生き残ろうとしてきたからです。
［そう、今の私のように。
その言葉までは言えなかった。ああ、なんて私は卑怯者。］
司書 クララ
皆さん。
［クララは立ち上がる。意を決したように。］
人狼騒動としての道を辿るつもりであれば。
まだ隠していることがあるなら、全て明かしましょう。それ故にあなたが命を落とすとしても。
その覚悟も無いのなら、気安く殺すだなんて、言わないでください。
私は、怒っています。
あとは言うも言わないも、皆さんの良心にお任せします。
司書 クララ
全てを伝えることで救われる命もある、それこそが過去が指し示すものです。
［全く関係のないように思える点と点。それらが結ばれ１つの図形となった時。正解を導き出す羅針盤になりえるだろう。］
せめて最善を尽くしましょう。
過去にどの村もしていない選択肢だって、あるはずです。１人と言わずに、２人殺したって良いんですよ。私は、その覚悟をしています。無論、犠牲は少ないほうが良いというのは心に留めているつもりです。
［嘘だ。覚悟なんて、できていない。できるはずもない。だから目尻に涙が浮かんだ。］
司書 クララ
綺麗ごと、いいえ、絵空事だとも言われるでしょう。
けれども、金狼伝説のあるこの村で、手を取り合うことができなければ。
もはや、この村がこの村である意味はありません。
［私がこの村へやってきたのは、こんな不毛なやり取りをするためじゃない。私が愛した物語は、こんな悲劇じゃない。］
食料という話であれば、わざわざ人を襲う理由もありません。騒動が起こるまで隠れている理由も分かりません。
だから、本当は。私たちには分からない、何かの目的があるのだと考えます。
［ずっと持っていた違和感。それは素朴な疑問。どうして人狼は、人間を襲うのだろうと。もしかすれば、人狼よりも上位の存在があるのではないかと。］
その目的を果たすことで、平和が訪れるのであれば。
人狼でも……ゲルトさんを殺した誰かであっても……
［どんな言葉を述べたって弱いのは、この部分。ゲルトは死んだ、殺された。それは紛れもない事実で。］
司書 クララ
目的を教えてください。望みを教えてください。
［祈る気持ちで。どうあがいたって、人知の届かないのだろうから。祈るしかできなかった。］
窓口は閉じません。私が……引き受けます。
私が死んだのなら、信頼できる誰かに任せます。
［言ってしまった。ついに言ってしまった、みんなの前で。本当に死ぬかも知れないな。怪しまれ人の手にかけられるか、馬鹿みたいに人狼と相対してあっさり犠牲になるか。そう思った。］
例え何人犠牲になった後でも、遅くないですから。
お願い…………
司書 クララ
投票します。ここで放棄するのは、裏切りになりますから。
でも、諦めないでください。いいえ、みんなが諦めても私、諦めませんから。
［言えた。ほっとして、全ての力を使い果たしたようにゆらりと倒れこんだ。］*
司書 クララ
エルナ……
［全ては決まったこと。
悲しいかい？ これまで見捨ててきた人たちと、何が違う？ 違わないね。
私は本気、人狼と遭えぬのならそれまで。］
私、優しくないの。
［平和主義で言った訳じゃない。２人殺しても良いってのも、また本気。
だから、もしも矛先が自分に向くのであれば。滅亡への引き金だって、引いてやる。］
司書 クララ
［明日は誰よりも早く起きよう。リーザやフリーデルよりも早く。
そうクララは決意した。自分にしかできないことを、するために。
食事と水に紛れ込ませるのは、干しブドウと南方の香辛料？
それとも］
司書 クララ
［気が付けば、１人また１人と部屋を出て行ったようだ。急に寂しくなった。
相手を知らずば、受け止めようがあるまい。
ならば狼をもっと知ろう。それがどれほど恐ろしい相手だったとしても。
知らないものを知ること、それこそが人を前に進ませる。
だから私は追いかけた。伝説に深い知識を持ち、金狼を本気で信じる、その人を。］
あ、あの。ディーターさん。
［彼を見つけたのはどこであったか。追いかけていった背中に声をかけた。］*
司書 クララ
［クララは慌てた。普段は少しディーターのことを避けてしまっていたから。声を掛けたは良いが、何から話せばいいだろう。］
わ、私も……他の村から来た人だから……その……
信仰とか、分からないですけど……
［話がまとまらない。
けれどもクララとディーターが重なる点は、ただ１つ。］
金狼様とセイラ様。間違いなく史実だと思うんです。
だから考えたんです。金狼様と人狼、別物だとしても全くの無関係と思えますか？ 私は……とてもそうだとは思えません。
あの伝説が人狼騒動から生まれたものであるのなら、今の状況を打開するヒントがあるかも知れません。
［クララの理想は、ただの平和主義にあらず。
全ての元凶を断つには、それが必要だ。］
司書 クララ
私も、詳しいほうだけど……全ては知りません。
ディーターさんは、どう思いますか？ ゲルトさんが聞いたお告げに、偽りがあるのなら。一体何が真実だと考えますか？
［危険な賭けだ。クララは相手が人狼だろうと、同じように尋ねるだろう。目を付けられれば、一貫の終わり。
けれども、ある意味で開き直っていたのだ。
このまま座して待つよりは、可能性が高いと。］
司書 クララ
―― その晩 ――
［エルナも死んだ>>500。今はまだ、その時のことは思いだしたくない。
今日は眠らないでおこう。そう心に決めた。役割を奪われないように、そして何より何も知らないまま眠りこけないように。
幸い、怪しい物音は聞こえなかった。まさか他の場所>>498で悲劇が起きているとは、思いもしなかったが。だから少しほっとしていた。
翌早朝、予定通りクララは目覚める。
幸か不幸か、クララの部屋⑫から厨房へは階段を下りればすぐだ。図書室も近い。
そして何くわぬ顔で厨房に立つ。くどいようだが、クララは料理がすこぶる苦手だ。人によっては嫌な顔をするか。とにかく似合わない。
大きな荷物を持っていたことも含めて。］**
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