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― コールドスリープルームN ―
〜シルが目醒める>>3:+32少し前〜
[小さな羊の刻印を宿した半透明の銀の繭。
其の中に『私』は居た。
私は繭の中で眠る私を見つめ、そっと手を伸ばす。
この手が私に触れることはないけれど、
この指が私の頬の温度を感じることは叶わないけれど、
私は『もう一人の私』の顔を撫でるように手を動かした。]
……怖い。
[小さな溜め息と共に、ぽつりと漏れ出た言葉。
それが今の私の心の全てだった。
もう何度目か分からないほど口にした単語。
最初はこの状況に幾許かの救い>>1:+42も
見出していたけれど、
船の中を見て回った今なら分かる。
それは救いなんかではなく、むしろ罰なのだと。]
[今の私は、少なくとも今を生きる者達には
知覚することも観測することも出来ない
――本当に其処に居るのかも疑わしい仮初の存在。]
もし、本体の『私』が目を醒ましたら、
今の私はどうなっちゃうんだろう……。
[今の記憶がそのまま引き継がれるならば問題ない。
だけど蜃気楼のように消えてしまわないか、
もしくは『私』が起きた後も私が
このまま取り残されてしまわないか
――それが怖い。]
私は私という存在の終わりを自覚しながら消えるのは
死んでも嫌だし、無限に続く孤独も嫌。
[もし消滅を免れることが出来ないのであれば、
せめて最期に我儘を言わせてほしい。
星一つ見えない亜空間の中で消えるのは寂しいから嫌。
出来ることなら、
ギムレーの暖かな光を受けて煌めく星々を見ながら、
笑いながら逝きたい。]
/*
地上の空気がちょっと不穏で心配なのです。
前回のSSS村2もそうだったけど、
事前に誰か何日目に落ちると決めていない即興劇型のRP村だと
「これがやりたかったのに唐突に処刑/襲撃対象になった」
「○○の言動でこちらの行動が制限された」
は多発するし、それで衝突しやすいのです……。
お互いに相手を尊重しつつやりたいことをやるって本当に難しい……。
*/
― 回想:シルとの出会い ―
[あれはどれぐらい前だろう。
たしか、私が第二エリアの図書館を初めて訪ねた時の筈。]
わあ〜!こんなに紙の本が!
[私は図書館内の一画で思わず感嘆の声を挙げていた。
今では電子書籍が圧倒的シェアを誇る上に、
紙媒体を好む人がよく口にしていたという電子書籍の欠点
本の重みや頁を捲る動作も体感ホログラムによって
補えるようなってから紙媒体書籍は絶滅危惧種だった。
加えて、私の星では三次元式穿孔による
金属パンチカード>>0:328が主流だったから、
紙自体を見ることが稀だった。
ここシルバーメリー号では地球発の紙媒体書籍という文化紹介と
保護を兼ねて図書館の一角に紙媒体を集めているらしい]
紙だと酸素に触れているだけて酸化していくし、
柔らかいから破損しやすいよね。
保存には向かなそうなのに、
どうして紙媒体に保存しようと昔の人は思ったのだろう
[口元に人差し指を当ててそんな疑問を口にしている時に、
それを聞いて笑いながら話しかけてきたのがシルだった。]
― 回想:シルのコクーンが開く直前 ―
[部屋に入ってきたヴェルナーは、
メイン・サロンで鬼の形相で叫んでいた眼鏡の青年を連れていた。
この青年を私は知っている>>2:+39
紅華軍のベネディクト准尉だと名乗っていた>>2:16時に、
其処に私も居たから。
メイン・サロンで見かけた時とはまるで別人のように
落ち着いている彼を見て一瞬虚を突かれたけど、
ヴェルナーと共に来たことが何を意味するのかを悟り、
私は表情を曇らせた。]
えっと……
[何て声を掛けようと迷っていると、彼から問いかけが来た>>+12
取り残されたという言葉にドキッとして、一歩後ずさる。
直前までそれを忌避>>+6していたから。]
― 現在:スリープルームN ―
シル、無事だったんだね。
[知人が繭から出てくるなんて思ってもみなかったので、
私は思わずそう口にする。
その直後に浮かぶ疑問]
あれ?
シルは私達と同じくコクーンの中に居たけど、
起きる直前にこの部屋にいなかった。
ということは本体が目醒める時に、
今の状態の私達はその場にいる必要はない……のかな
[情報を結び付けようと声に出して整理を始めると、
彼から呼びかけが聞こえてきた>>3:+33]
シルから私達は見えない筈なのに、
シルから見たらこの部屋に誰もいないように映るはずなのに
「誰かいる?」って聞くの……?
あれ、もしかしてシルは私達が見えなくても、
私達が存在することは分かっている…の?
[私達を視認することが出来ないシルに
私の声が届くとは思えなかったけど、
それでも、もしかしたらという淡い期待を込めて口にする。
状況は依然として分からない。
ラグナロクが実在していることと、
スノウが私達が今の状態にある可能性に
至っているかもしれないことは分かったけれど、
だからと言って何かが進むわけでもない。
だけど――]
もし、今の状態の私達が必要とされているのなら、
もし、私にも何か出来ることがあるのなら、
私は手伝いたい。
どうやって調査すればいいのかは見当もつかないけれど……。
[シルから反応があったにせよ、なかったにせよ、
何も出来ることはないと思っていた私>>+7に
何か出来る事があるのかもしれないのならば、
私はそう口にして、調査をしにいくだろう。]
― スリープルームN ―
[彼は私の様子に戸惑っているようだった>>+28
語りかけるように、言葉を選んで優しい声で話す彼と
彼の紡いだ言葉に、私の不安が和らぐのを感じた。]
そっか、避難艇は全て発進していたのですね……。
[あの時>>1:+34、もしキアラちゃん達が
ファームパークから逃げ出せても、
目指していた目的地には既に救いが無かったことを知り、
やりきれない気持ちになる]
私は、私達は、残念ながら避難艇の場所まで
辿り付くことが出来ませんでした。
ファームパークでドロイドの暴走直後に襲われて、
気が付いたら……。
同僚のミーネが私達を運んでくれたみたいです。
>>1:112>>1:184
[まさか目の前の青年が、
現在の状況を受け止めたくないが故に認識を歪めている
なんて知る由もない私はそれで通じるだろうと悲しく笑ってみせた。]
[続けて彼が口にした疑問、
どこかで会ったことあるのかという問い>>+28も尤もだった。]
えっと、貴方がメイン・サロンで発砲した辺りから、
私も其処にいたんです。
なので一部始終を見ていました。
だから、こうしてちゃんと話すのは今が初めてです。
[あの時の私は他の人からは見えていなかったから、
と心の中で付け加える。
そして少し言いづらそうにつっかえながらも、
私は気になっていたことを尋ねてみる]
その、ベネディクトさんは……やっぱり紅い服の人に……?
ガルーって実在する……ですよね。
ごめんなさい、私まだ信じられなくて……。
[彼がこうして私を認識出来ている時点で
答えは出ているようなものだったけど、
それでも私は確かめずにはいられなかった。
私にとってガルーはつい少し前まで
物語の中に出てくる空想上の生物だったから]
― 回想:スリープルームN ヴェルナー ―
[彼は私の言葉>>+7を聞いて、静かに頷いた>>+8
あまり多くを口にはしないけど、
私と違っていつも落ち着いていて、
状況を俯瞰して見られる彼は頼りになる。
最初こそあまりの落ち着きぶりに本当に幽霊なのかとも
思ったけれども。>>2:+2>>2:+3
直後に目覚めたシルと、その言葉も無言で聞いていたけど>>+14、
無感情のように見える彼の表情に微かに変化が現れた>>+3]
(そういえばラグナロクを探しに来た>>2:+10
って言っていたっけ)
[最低限の確認をして立ち去るヴェルナーの背中を私は見送った。
私は彼の様に強くはないから、すぐに行動に移れない。
だけど、今私達をこの船のガーディアンが必要としている>>3:+33
彼の様に動けはしないけれど、私なりに出来る事をしようと
そう小さく決意しながら。]
― 回想:スリープルームN ベネディクト ―
怪我ですか?
いえ、ここのコクーンの医療モードは優秀ですが、
まだ回復には時間が要るみたいです。
[私の身を心配してくれる彼の問い>>+36に
少し疑問を感じたけど、
本体の『私』の怪我の具合のことを言っているのだろう
と解釈した私はちらりと後ろで眠る『私』に
視線を送ってからそう返事をした。]
いや、謝る必要はないですよ。
気が付けなくて当然ですから。
それにしても、私以上に恐怖を味わったはずなのに、
こうして他の人の身のことを心配してくれるなんて
ベネディクトさんは優しいですね。
私は不安ばかりでとてもじゃないけど、
他の人の身まで心配する余裕はなくて。
その優しさ、見習いたいです。
[それが彼の善意なのだと信じて、
私は純粋に尊敬のまなざしを向けていた]
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