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― 赤の亜神戦 ―
[既にそこは戦場で。見知ったばかりの顔、さっきまで顔を合わせていた者らが居て出遅れたのだろう事を知る。
傷を負いながらも勝利の笑みが見えれば、少し口の端が上がった。
空に不思議な物が浮かんでいるのに気付くと目を丸くした。
いつか投石器を見たような時と同じ顔で暫し見つめる。
まさか中に人が居るとは到底思わずに、
風と共に舞うその姿はまるで鳥のようだと、感心しながら。]
[風の導きのままにその横を駆け、
奥に居る者に視線が映ると榛を開いた。]
[獣の顔に牡牛の角。空すら己の戦場と主張するような皮膜の羽。
御伽噺に出てくるような生き物に、見惚れた。]
すごいな…鬼を退治する前に巨人退治なんて。
―――滾る。
[嵐と対峙した時と、
同じくらいかそれ以上のものが内側から沸いて出る。
其処に僅かでも悦楽を感じる以上、
やはり只の娘では居られないのだとどこかで感じながら。]
[銀と赤の矢が視界に入ると、
自らは離れた位置から、大回りに回るように馬と共に駆け抜ける。
――――嵐が見せた動きを真似たそれは、
複雑だが、人馬で取る事に苦は無い。
エ・ラは人に忠実な
期を伺う最中、巨人が手を振るう度に
周囲の空気の流れが変わり、焦げた匂いが鼻に届いた。]
リーフ!
[呼べば激しさは無いが緩やかに、川に流れる葉のように、逆らわずその流れを知らしめるように、風となって鷹は啼きながら踊る。
背から取り出す矢は手に二本。
複数同時に射つほど力は分散され、命中率も落ちるが今は的が大きい。
そう逸れる事もないと踏んで、弓を構え引いた。
左肩に痛みが走り、顔を歪める。
矢の先が震え、いつもの調子はやはり出ない。
一矢に賭けるかと思った瞬間―――ふっと隣に気配を感じた。]
[そこには誰の姿も無いが、
肩に手に、添えられような熱を感じて、酷く強く眉根が寄った。
そして風が鳴く。
吹く風の合間、凪いだその一瞬の時を、伝えるように高く。
榛の瞳が赤い矢が右の腕を、銀の矢が腹を撃ったのを捉えると同時に。]
―――――
[自らに命じるように、巨人のその瞳を目掛けて矢を放った――12(20x1)]
― 赤の亜神戦 ―
[放った二つの矢は自分でも驚く程に正確に、巨人の片目を貫いた。
痛みに歪んだ軌道にならなかったどころか、今はその痛みすら感じられない。
呆けていたのは一瞬。
咆哮のような声にはっと巨人を見ると、亜神が目を抑えて呻いていた。]
ぶぁぁぁあああああっ
[赤黒い霧が亜神の周囲を覆い、その姿は次第に薄れてゆく。
光に照らされれば、まるで硝子でも混じっているように霧は時折煌いた。
薄暗い欲望と輝くばかりの夢は、混在し一体であるかのように、それらは交じり合い霧散して、やがて跡形もなく消えてゆく。
最後に残されたのは、見覚えのある丸い宝石だった。]
………。
[遠くからそれらを確認すると、役目を終えた弓を静かに背に戻す。
まだ残る肩の熱さは、痛みから来るものでは無いと感じ取れば、片手で肩を押さえた。さながらそこにある手に手を重ねるように。]
………ちゃんと帰るから心配するな。
わたしの帰る場所は、ひとつだ。
[言葉少なくそう小さく呟くと、温もりは消え再び痛みを覚えるが、眉を寄せたのは痛みからではない。過保護め、とは胸中で。
空飛ぶ鷹が、勝利を歌うようにピィィと鳴いた*]
/*
こんなで良いだろうかと思いつつ、
位置的に宝石は取らずにおくので近い人任せた>ギィ&ジーク
と書いたところでちょっと離れる!
夕飯の準備してこよう**
/*
ただいまー。表おつおつ!
こっちはあとは帰還だからわりとのんびりかなぁ。
ごはんは…ごはんはむしろお土産に持って帰りたい(
[ついでに飼い葉と水を用意し、鼻先へと桶を置く。]
よくやってくれた。…お疲れ様だ。
お前はライナー殿の所から来てくれたのか、
それともこの世界の幻なのか…どちらだろうな。
[若馬を懐かしそうに撫でながら、少し笑った。]
もしもー…
もしもお前が、ライナー殿の所から来たのなら、
[撫でながら、ぽつりと呟く。]
セルベジアには、絶対に戻るな、と。
…………。
[言って首を振る。]
…いや、お前じゃ伝えられないな。
もしも伝えることが出来たとしてもそれは…
[わたしの知る世界では在り得ない事で、
戻れない過去を変える事は出来ないと。
代わりに首筋に顔を埋めて、とても苦く笑った*]
/*
ちょっと離れてたら@30分だったという。
食物連鎖ふいたリーフ食べちゃ駄目だ…!
とりあえずエラとさよならだけしたけどご飯食べられる気がしない!間に合うかー。
[炎の気配に顔を上げ、そちらを見た。
赤々と光る炎はあの戦争を思い起こす。
振り返るともうエ・ラの姿はなかった。
綱だけはそこに残っていたから、
帰ったか、あるいは消えたかは解らない。
ピィと鳴いて鷹が降りてくると、傷の無い肩に止らせた。]
……もらう。
[宴会場に戻ると、ピザ一つ、咥えた。
あまり食べた事のないそれは、少し不思議な味だった。]
[イルマの採寸に付き合ったり、
かなりキツイ酒を口にしたり。
スピリタスに咽かけたが、一気に酩酊する事もなく―――]
…名残惜しいが、帰ろうか、リーフ。
そろそろあいつも気を揉んでいるだろう。
[不可思議な場に未練は残るが、
己が居場所はここではなく、ここには鬼も家も無い。
在るべき場所へと、宴の最中にそっと席を外した。]
またいつか、会うこともあるだろう。
[いつか螺旋のその先で。
そう振り返り、鷹一匹を連れ光の道を進んだ。]
― 凪の森 ―
―――。
[ふと気付くと、名を呼ぶ声がした。]
……ぁ。
[どうしたと、呼びかけられると瞬く。
長い白昼夢を見ていたように、
消えた時と同じ場所、同じ格好で立っていた。
着ていたフェリクスの服も、元の服に戻っている。
左肩に痛みも無かった。イルマも輪も消えている。
――――イルマとフェリクスは誰だと首をかしげた。]
[記憶は朧。曖昧で。
どこかぼんやりとした様子に
心配そうに名を呼ばれ覗き込まれると、
その金の眼をまっすぐ見上げてこう言った。]
……ただいま。
[唐突な帰還の言葉に、やや首を傾げられたが、
おかえりと、告げられれば笑みを浮かべた。
手を握り、そこに在るのを確かめるように絡めながら。]
ジェフロイ、わたしはもっと強くなりたい。
とりあえず私に一太刀入れろ。
それが治る間平時どおりに動いて痛みに慣れれば、
戦場で怪我をした時にも遜色なく動け――――
……なんだ、その顔は。
[真面目な顔しながら口から出た言葉に、
どんだけ怒られるか呆れられるかしたのはまた別の話**]
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