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[ぎり、と拳を握りしめる。
――ホログラムと言われた体は、自分で自分を傷つけることが、出来るのだろうか。
あの蛇と戦っていた時に、痛みは感じていたけれど。
分からない、分からない、そんな思考の余裕なんてない、
出来ていたとしても、痛みなんていずれにせよ、感じていなくて、
その手は強く、自身の爪を握りしめていて、
もしかしたら、もう実体のない手のひらから、
滲んだ赤が滴って、床へと落ちていたかもしれない。
その行方なんて、わからない。
あるかないかすら、わからない。]
[映像の中、ゲオルグが人狼の本性を現す。>>6:171
ぎらりと光る獣の爪は、人の身体などひと薙ぎで切り裂いてしまいそうに、凶悪な鋭さを帯びている。
彼の右肩に爪が食い込む。
自身の体が抉られたように、びくりと身を竦ませる。
いっそ本当に、そうだったら良かったのに、
どうして、見ていることしかできない?
映像は止まらない。
この先に待ち受けている光景を、待つしかない。
飛び散る赤い血を、
立ち向かう“人狼”を睨み据える焔のような双眸を、>>6:183
そして、その手に現れた“爪”を、
――ただ、見続けていた。
爪を使うことなく、ナイフを振りかざすその姿に、
知らずにいた何かが、心の中で少しずつ、結い合わされていくようで。
その一方で、どうしようもなく全身を苛む痛みと恐怖に、
ばらばらになってしまいそうで、
それでも、最後まで見ていた。
その爪が、彼自身の頸を引き裂く、そのときまで。>>6:189>>6:191
眼を逸らせなかったのではなくて――…
きっと、逸らさずに。]
――…
[もう、声なんて、出せない。
ともすると全身がばらばらになって、崩れ落ちそうになる。
それでも、そうせずにいられたのは。
その映像の中で、最後に、彼が立ち向かっていたものが――
そのほんの一端でも、伝わってきたように、思えたからだ。
最後の最後まで、抗っていた。
命が尽きる、そのときまで。
そう思うのに、
だけど、どうしても理屈ではなくて、
喪われてしまったことを、認めたくなくて、
痛くて、痛みが足りなくて、いっそ自分を引き裂いてしまいたくなる。
それもできない、もうない、
何も出来ない、いない。]
[一度に突き付けられた、いくつもの“真実”と結末”、
悲しみも自責も怒りも、どうすることもできない感情は、
感情と名付けることが出来ないほどで、
飲み込まれてゆく思考の中で、どうしようもなく気づくのは、
まだ、人狼がいるということ。
次に危ないのは、もしかしたら――…
]
………、
[ぼう、と其方を見返す土色には色がなくて、
何かを言おうとした気がするのだけれど、
最初は何も、結び合わせることが出来なかった。
少しして、習い性のように、だいじょうぶ、と唇が動いた。
けれどもそれも声にならなくて、三度目]
……大丈夫。
[多分、今度は、声が出た。]
[ぎこちなく動いた口元は、いつもの顔を少しだけまねているけれど、
それは殆ど反射のようなもので、上手く出来たかは分からない。
けれど、そのときどうしてか、Nルームにゲオルグが現れたときに、外に出ようと提案されたときのことが、ふ、と過る。
――… 過っただけで、その先を考えることは、出来なかったけれし、
映像を見ていた彼の様子に至っては、横を見る余裕はなかったから、分からずにいるのだけれど。]
次、行かなきゃな。
またああいう、蛇みたいなの、
出てくるかもしれないし、
[話すうちに、その口調は次第に確りとしたものになってゆく。
エリアを移動するなら、どうしても、その途中クレステッドの姿を探すだろうけれど、
それでも、次にしなければならないことは。]
――ありがとな。
[そう言って、皆が移動をするのなら、其方に向かおうとするだろう。]*
[第三エリア、レーギャルン・ボックス。
次の目的地はそこだという。
向かう足取りが鈍ることはない。
身体は身体で動かす術を知っているし、いまは、そうするべきときだから。
ムニンとフギンが騒ぎ出す。
“フェンリル”
その単語が聞こえると同時に、その場に他の者がいたなら、銃に指をかけ、最前列へと走り出す。
羽ばたき騒ぐ烏たちの飛び回るその先に、
ゆらり、現れる銀の影。
その双眸が煌々と、紅く凶悪な光を放つ。
その口元に咥えられていたのは、]
メリー!!
[銀羊号メイン・システム、キャプテン・メリー。
ぐったりと力無く咥えられ、まるで食らわれかけの獲物のようだった。
毛並みは赤く染まり、ぽた、ぽたと雫が滴る。
その横に、二頭の新手がいた。]
[スコルとハティ、月と太陽を飲み込んだ――…
その言葉に、ホログラムに見た三つの月と太陽が、ほんの一瞬脳裏を過ぎるが、それは直ぐかき消える。
いまはただ、“新手”とのみ認識し、身構えた。
一気に襲い来るならば――と、
三体どれが動いても相手取れるよう、銃口を其方へと向けて、油断無く、相手の挙動を見定める。
けれど、フェンリルの赤が二頭をぎろり、睥睨すれば、
それらはぱっと踵を返し、船内へと散っていった。
ならば、相手はフェンリル一体。
その挙動をじぃ、と窺えば、
銀の狼は、まるで、此方側の“だれか”を、見ているように思えた。
――誰を?
メリーがぼとりと、床に落とされる。
来るか、ならば前列で食い止める。
引き金にかけた指をぴくりと動かした、そのとき。]
[獣が、吼えた。
その音量は凄まじく、耳を食い破り、脳を揺さぶるかのようだ。
けれどもそれだけでは虚をつかれることはなく、
どちらへなりとも動けるよう、襲撃に備え、身構える。
――けれど、突如、
シルが叫び声を上げ、頭を抱えて苦しみ始める。]
シル!
[そうして、次の瞬間、
頭が、割れんばかりの激痛に襲われた。
頭の中をかき回し、裡から殴りつけるような痛みに、
銃を取り落として蹲りそうになる。
駄目だ、と必死で銀狼を睨みつければ、
その赤の双眸が、愉しんでいるかのように、にぃ、と歪んでみたのは、
痛みが見せた錯覚か。]
[痛みの中でなぜかふと、
いくつかの言葉が、浮かび上がる。
ホログラム
皆に、埋め込まれた
たいようより美しい
えいえんの やくそくの ばしょ
えいえんに しあわせにXXXXXXX
――何一つ根拠もない憶測、
否、それにすら至らない思考の断片は、
痛みの中に赤く溶けては飲まれてゆく。]
/*
まあ、可能性のひとつとして…(ふるえ)
思いっきりはずしてそう! ですが!
(ネットは広大だわてきなアレ)
そしてヴェルナーさんありがとうありがとう…
ほんっとの意味で優しいひとだと思う…
う……
ぐ、う、あ――…
[引き金にかけようとした指が、痛みに飲まれてゆく。
赤く、黒く、ぐにゃりと歪む視界の中で、
銀狼は悠々と、もう動かない羊を咥えなおし、
ふ、と、どこへとも無く姿を消した。]
――……
[痛みが収まったのは、そのあとのことだったろう。
よろりと身を起こし、あたりを見回せば、
三頭の獣の姿はどこにもなくて、
あの痛みに襲われたのは皆であることが、知れただろうか。]*
そうだな、大丈夫じゃ、ない。
大丈夫じゃないけど、
――そういってくれて、ありがとう。
少し、落ち着く。
[昔彼にその言葉を告げた誰かと言うのが、何を思っていたのかは、
自分には恐らく、分かることではないのだけれど。
けれど、そんな言葉を伝えるということは、
きっと、ヴェルナーのことを、深く気遣っていた誰かなのだろうと、そう思ったから。
だから、“俺よりも”という言葉には、首を横に振った。
ありがとう、と小さく微笑んだ表情は、
おそらくは先ほどのようにつぎはぎのものでは、なかったはずだ。]
きっとな、
いま何が起こっているとしても、
戦ってると、思うから。
だから俺もね、
するべきだと思うことを、する。
[守りたいと、強く、強く思う。
何も出来なくなった今でも、その術を探りたいと往生際の悪い心が足掻く。
この手に出来る事があるならば、何でもしたいと。
けれど、彼女はただそうされるだけの存在ではなくて、
彼女自身もまた、何かを守ろうと、戦うひとなのだとそう思っている。
――もしかしたら、自身の裡に有る何かとも。
この亡骸にかけてくれた、いくつもの言葉と、その涙と、瞳に宿った赤を、
ドロシーと向かい合っていた姿を、思い出す。
クレステッドさんも、最後の最後まで戦っていた。
それなら、いま、危機が進行し、遅い来る敵が現れたこの状況で、自分が選ぶことは。
けれど、そんな風に言ってくれることには、
ほんとうに先ほどから、ありがとう、しか言葉がなくて。
頷きと微笑みを返し、第三エリアへの道を歩き出した。]**
/*
おおおお…
色々どうなるかな、と思いながら地上をとても見ながら…(言葉が無い)
普通の墓下なら絶対そばに行こうとするの、だけれど。
これ探索クリアしないと全体バッドエンドありそうだし…(ふるえ)
わたしインセインとかの動き苦手なんだよう、使命に応じて動きを曲げるやつ…
/*
ハン・ルー・ハン聞こえる?
これがたったひとつの冴えたやり方。
太陽の真っただ中へ。
確かプロで触れてたひともいたなあ。
やっぱりガルーと恒星っていえば、うん…
[薄暗がりの中を行く。
建物のように聳え立つ巨大な箱は、材質も色も定かではない、虹色を帯びた黒色だ。
きっとこの身には、触れても手触りは分からないだろうが、
つるりとした鏡のように見えた。
下から上まで、見上げてみる。
何処から開ければ良いものか、蓋も扉も見当たらない。]
あ、これ、シルは開けられるのか。>>+184
[繋ぎ目も見当たらないのにどうやって?
不思議に思っていると、彼が箱に片手を当てる。
ホログラムスクリーンに何かの表示が浮かび上がり、壁面が波打った。
シルの姿が飲み込まれてゆく。
あ、と思わず声を上げ、迷うより先に地を蹴って、
その後ろから壁面に飛び込んだ。]
[中は暗闇に覆われている。
血の匂いが鼻を衝く。
新しい血ではない――腐敗臭。
確信めいた不吉な予感に、あたりを見回せば、
視界の利かぬ闇の中、浮かび上がるのはホログラム。
メイン・ラボで見たものと似た作りのそれを一瞥し、まず探すのは血の臭いの出どころだった。
一番にその場所を見つけたのはドロシーで、
倒れ伏す女性の姿はここからは見えずとも、
彼女の呟きに、血の匂いの主を知る。
姿が見えずにいた彼女が、どこでどうしているのか、
此処まで不吉な予感がなかったといえば嘘になる、のだが――…
ぐっと眉を顰め、流れてくる歌声を耳で追った。]
[『ギムレーの子守歌』――サブ・ラボにあった、あの絵本だろうか。]
『おやすみなさい、可愛い子。
ラグナロクが来ても。
レーギャルンの匣の中のスルトの『炎の剣』が、世界を滅ぼしても。
だいじょうぶ、だいじょうぶよ。
ギムレーにだけは、滅びの炎は届かない。
だから おやすみなさい、愛しい子。
お父さんも、お母さんも、こどもたちも
みんな みんな ギムレーで永遠に幸せになれるの
太陽より美しい 黄金よりきらめく 永遠の約束の場所ギムレー
でもね、優しい良い子だけしか いけません。
わるい子や いけない子は ラグナロクで死んでしまうの
だから、もしもギムレーに行ける時がきたら、
怖がらなくても大丈夫。
あなたは、可愛い子、良い子、優しい子なのだから。
さあ、何もこわがらずに 太陽の真っただ中へ
永遠の約束の場所ギムレーへ、いらっしゃい。 』
太陽の真っただ中へ、って……
それどっちみち、焼かれて死ぬだろ!!
[咄嗟に、まずは、ものすごく直截的な解釈を。
もしもう少し、養父の本を読むことがあったなら、
そのフレーズに聞き覚えがあったかもしれないし、ガルーについて何某かの連想をすることも、あったかもしれないけれど――…
聞き覚えはなく、これが初めて。
もしそのフレーズが、偽りなく『文字通り』の意味だとするならば、そういうことになってしまう。
どのみち自分はもう死んでいるのだが、
まさか今まだ生きている者たちまで――あるいはもしかしたら、より広い範囲の者たちが、ラグナロクで殺される、
あるいは太陽”へと導かれる危険が、あるのだろうか?]
[もしくは、今、死後とはいえ痛みや感覚もあるのなら、
――この体の、自分たちも?]
と、炎の剣が世界を滅ぼすって……
れーるぎゃんのはこ、ってここのことだよな?
この中に何かがある、のか?
[周囲を見渡してみるが、それらしいものは見当たらない。
なお、早速単語を覚え間違えている。
まず目に入るのは、ホログラム・ヴィジョン。
店で見たことがあるような作りだ。
◆恒星『ギムレー』の座標=GM-gmj7-664.862
◆主星『アーガルド』の座標=AG-gmj7-371.973
何か違和感がある気も、するのだけれど――…
記憶をひっくり返して総ざらいにしてみても、それが何なのかは気付かない。
もし近くにヴェルナーがいたら、メイン・ラボのホログラムの詳細について助けを求めたことだろうし、
よく覚えている誰かがいたなら、任せただろう。
いずれにせよ、まずはホログラムとにらみ合っている。]*
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