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こう、演説に対する聴衆の反応って、人に書いてもらえると涙が出るほどありがたいよね。
自分で書いた最初のは、えらく恥ずかしかった。
聴衆にサクラを仕込んでいたとはいえ、な…
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しかし、皆の持ち上げっぷりに半笑いになる。
嬉しい。けど痛いwwwあうあうあ。
なんか恥ずかしいね。
そうそう。頑張って2回目の演説したのは、どこかでソマリに「次の演説では期待したい」云々言われたからでした。
― ドルマール神殿 ―
[ブラバンドから馬で駆けに駆け、
やがて三日月湖に抱かれた神殿の優美な姿を、朝霧の中に見出した。
付近を警備するアレイゼルの兵たちへは、
卿からぬかりなく連絡が届いているだろうと思う。
彼らの横を抜けて、神殿の島を望む湖畔に立つ。]
クロード・ジェフロイが巫女姫にお会いしに来た。
快く迎え入れられることを願う。
[声を張り上げ、神殿へと呼びかける。
周囲の兵たちと共に、静かな緊張のうちで待った。
巫女姫は騎士団を伴って神殿へ入ったと聞いている。
必要とあれば、押し通ることも覚悟のうちだった。]
天の岩戸は開くかな。
何事もなく、太陽が出てきてくれれば助かるんだが。
[どこかの昔話を引いてきて呟く]
打ち砕くには、ちょっと硬い石扉だからなぁ。
― ドルマール神殿 ―
[呼びかけに応じる者は、しばらく現れなかった。
だがこちらを窺う視線や、微かな気配を感じる。
緊張を途切れさせることなく、辛抱強く待ち続け、
もう一度呼びかけようかとしたところへ、太陽が姿を現した。
朝霧を払う陽光の金。
清浄の白を纏った姿に、目を細める。]
[盟主が馬から降りたのを皮切りに、
続く兵たちがみな馬を下り、跪礼の姿勢を取る。
盟主はひとり、前へと進み出た。]
巫女姫御自ら出迎えいただけたこと、心から感謝します。
ならば俺だけ、そちらへ参りましょう。
[小さな冗談にほんのりと笑みを返し、
誘いに応じて白い背を追う。
初めて目にする神殿の内部に時折視線を走らせながら
通路を抜け、階段を抜けた先に広がる眩さに、手を翳した。]
ここが、"宝珠"の───
[巫女姫の言葉に耳を傾けながら、正面の社に視線を注ぐ。
ならば、あの中に祭られているのだろうかと。]
俺は、君に聞きに来たんだ。
[社から巫女姫へと視線を戻し、最初の言葉を発した。
戦乱の結末や首都の様子など、様々な話を置きざりにして、
最初から、一番言いたかったことを話し出す。
余人の見えぬ空間の中、口調はずっと昔に戻った。]
君が、このまま巫女姫であり続けたいのか、
市井に下りて一人の女性として生きるつもりがあるのか
それとも、姫王として立とうという覚悟を持っていたのか。
俺は、それを聞いてから、新しい国の形を考えたいと思っている。
[こちらに背を見せ、社に向かうその姿は
やはり巫女姫であり、それ以外の何物でもないように思えた。
社から取り出された宝珠が、彼女の腕の中で光を放つ。
ナミュールの魂。ナミュールの至宝。
ふたつの金色が共に輝きを纏い、
ここに太陽の欠片が降りてきたような錯覚を覚えた。]
俺が思っているのは、最初からただ一つ。
ナミュールを壊したくない。それだけだ。
[革命家でもなく、扇動家でもなく、
解放軍の盟主という立場ですらなく、
ただのクロードとしての言葉を紡ぐ。
宵藍と琥珀が、重なり合った。]
キール。
俺は、君が───巫女姫が姫王になればいいと思っていた。
姫王という太陽を天に頂き、
その下で、法の元で貴族と、民とがそれぞれ代表を出しあって国の政を話し合い、行くべき道を決めるように。
いきなりすべてを民衆で決めるのはあまりにも無謀に過ぎるから、姫王という舵を置いておくことで、安定して進めるんじゃないかと。
[懐かしい呼び名は、空気を一気に5年前へと引き戻す。
教室で議論をしていた口調そのままに、自分の考えを言葉にした。
それは例えば、立憲君主制とも呼ばれる国の形。]
[互いの生まれと育ちは火と水ほどにも違い、
思い描いてきた国の形も、まるで違うだろうに、
ふたりとも、願うものはただひとつなのだ。
ただナミュールのためを思い、ここまで来た。
一度別れた道が、ようやく再び出会う場所まで。]
俺は、英雄の器なんかじゃないよ。
[向けられた言葉に、ゆるく首を横に振る。]
いくつもの仮面を付け替えて、
自分と他人を騙し続けてきただけの
せいぜい、道化がいいところだ。
威勢のいい言葉も、強硬な態度も、
だいたいが計算づくで───
───ただ、でも、
仮面を捨てた方が人の心を掴むことがあるってことを、
つい最近、実感したかな。
[脳裏に浮かんだのは、ブラバンドで演壇に立った時の光景。
話し終えた時の、温かで力強い熱は今まで感じたことがない種類のものだった。]
だから、これからは素の自分でいこうかと思っている。
[シメオンには釘刺されたし、クレメンスのおっちゃんにも心配かけてたし。そんなことを思いつつ。]
俺と、君の願いが同じなら…
やっぱり、君には姫王として立ってもらいたい。
君に、今よりも負担を強いることになるかもしれない。
だけど、ナミュールにはやっぱり君が必要だ。
これから、ナミュールは外に向かって開かれる。
今すぐじゃない。でも、近いうちだ。
その時、みんなの支えになれるのはやっぱり君なんだ。
巫女姫を心の拠り所として抱いていれば、
外の国に対しても、媚びず流されず、誇り高くいられる。
それに、
俺が推し進めようとしている変革からは、
弱い人たちが零れ落ちてしまうかもしれない。
それを指摘して、掬い上げられるのも君なんだ。
どうか俺たちの上に立ってほしい。
必ず、支えるから。
[真摯な顔で膝をつき、手を伸ばす。
貴人に誓いをする騎士さながら。]*
違いない。
[年季。その言葉に頷いて、笑う。
ほんとうに、素直でなく生きてきたものだ。
そんな感慨の前に、ひと房の髪束が差し出された。]
あいつ、変なとこ鋭かったからなぁ。
見えてたんだろうな。
俺と、君の、足りないところ。
[声の調子は落ちはしたが、昏く沈むものではない。]
あいつの命を奪ったのが君なら、
あいつを死地に送り込んだのが俺だ。
でも、その道を選んだのは、あいつだから。
その選択はあいつ自身の、あいつだけのものだ。
俺たちがそれを侵すことなんて、できないんだ。
……キールは、強いな。
[謝らないと言う彼女を、眩しげに見やる。
その、前を向く眼差しの強さを。]
俺は駄目だったよ。
全部抱え込んで、俺のせいだって言って、
どうしようもなく落ち込んでた。
クレメンスのおっちゃんに言われなかったら、
ずっとあのまんまだったろうな。
ここに来るまでに何人も死なせたし、
何人も殺してきた。
バウマン先生、マッキントッシュ先生、
フィオンに、…ユレ先生も。
彼らの死が必要なものだったと強弁するつもりはない。
ただ、俺は、この戦いを起こした責を持つ人間として、
彼らの生き様を刻み、共に先へ進みたいと思っている。
もちろん、覚えてる─── ……?
[5年前の議論に触れて笑う彼女に、つられて笑う。
そうだ。自分も、他の皆も、ナミュールのたくさんの人が、巫女姫を信じている。]
こいつは、してやられたなぁ。
[これは負けを認めざるを得ない。
でもそれは、すがすがしい心地のする負けだ。]
[彼女の頬を濡らした雫に指を伸ばし、拭い取る。
涙を握りこんだ拳を胸に当てて、彼女の決意を聞いた。]
きみのとなりで つむぐねがい
[紡がれる唄に声を合わせ、
重ねられた手を、しっかりと握る。]
君にはしてやられたけれども、
俺の思いはあのころと少しも変っていない。
君だけに全てを背負わせたりしないと約束するよ。
共に行こう。
豊かで美しい、俺たちのナミュールのために。
クロード・ジェフロイは、
シルキー・カノエ・ナミュール陛下の御為に。
ロイ兄さんは
気が強くてお転婆だったキールのために。
力を尽くすことを、誓おう。
[格式ばった口調はすぐに消え、悪戯な笑みを浮かべる。
でも、誓いの言葉だけは、掛け値なしの本心だった。**]
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