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ありがとう…兄さん…
[ユーリエの言った言葉を思い出す。]
兄さん…吸血鬼にとって、救いは一体、どんなものなんだろう――?
"滅び"も、ひとつの救い…――。
[心や体のくるしみからの解放――。]
人も魔物も、苦しみから解放できたらいいのにね――。
君の母上も、君の父上も。
―――…君の選択を待つ。
子の成長を喜ばぬ親など居ない。
Noblesse obligeだ、王子様。
[或いは半魔半聖の彼にしか出来ない選択かもしれないと思ったが、
――――そこまでは告げなかった。
それは、己が示すものではなく、彼が至るもの。]
[猛烈な勢いでやって来た野茨公の魔の気配は、強い怒りに満ちていた。
あれは大切な者を失った、怒りと悲しみ――。
バルタザールは神のために戦い、最期は吸血鬼として血親のために戦った。
戦いを求めていたクレステッドも、ソマリを守って戦った。
大切なものは違っても、みんな命を賭けて、決して逃げ出さずに――。
リエヴルとオズワルドは何のために、戦う道を選んだのだろう。ここに来る前にもっと話を聞いておけば良かった。
今更後悔しても城内に突入してから別れたきり、彼らとは再会出来ないままだ。
どこからも剣戟の音が聞こえない城内はやけに静かで、不安な予感が過ぎる。]
[本当のことを知ったら、彼女はどんな反応を見せるだろう。]
思い出したんだ…、むかし森で育てられたこと――。
育ててくれた母さんが教えてくれたこと…――。
[そこまで言ってから、一度息を吐き手の力を抜いた。]
僕には半分、"魔の血"が流れていて――
もしかしたら城を支配する兄弟のどちらかが、父親かも知れない――
[もちろん、どちらも違う可能性も充分あることを付け加えて。そっと握られた手を離そうとした。**]
神子 アデルは、純血種 アプサラス を投票先に選びました。
―少し前・廊下―
[この城で初めて見る女性は、たおやかな身のこなしには不釣り合いな程傷だらけだった。
足を引き摺る様子は痛々しくて、血を流して、一歩一歩近づいてくる。
彼女からは不思議と殺気は感じられず、ユーリエと2人で見守った。]
アプラサス…さん。
[ユーリエと互いに名を交わすのを見守って、その名前を忘れないように繰り返す。]
(きっと)大事な約束…なんですね――。
[>>51 こちらを見上げるユーリエに頷くと、道を譲るように後ろへ下がった。
>>56たとえ殺されることになっても、それでも約束を果たそうとする、白く華奢な背中を見送る。]
二度と会わずに、永く生きるより…――。
[女性の心はよく掴めないけれど、>>57彼女の繊細な言葉と意志は乾いた大地を潤す雨のように、
そっと、静かに胸に染み込んだ。]
…きっと、忘れてないと思います。
[短い付き合いしかないけれど、ソマリは女性との約束を忘れるような人ではないと、そう思って。
しばらく見守り、やがてソマリからの声が無いのを確かめるとユーリエと2人で地下へと向かった。*]
―少し後:地下礼拝堂―
[>>59 衝撃的な告白に大きな瞳を揺らすユーリエから、そっと手を外そうとして。
小さな手で強く握り締めれられ、瞑目する。
ほんのわずかな間に、彼女は1人の人間として大きく成長していた。
バルタザールとソマリの戦いから逃げ出す前と今では、身に纏う気配が全く違う。
透き通って、透明で、純粋で力強い輝きを放ち――何よりも全てを包み込む優しさに満ちでいた。
それはもう彼女が聖女候補ではなく、彼女が"聖女"そのものであるの証しだと思う。]
うん…。
育ててくれた母さんは、狼と人の姿を自由に変えることが来た。
他にも兄が2人にて、僕を背に乗せて遊んでくれたり、色んな所に連れて行ってくれた。
[育ての母もまた、人狼という魔物だった事を告げる。
きっと今も、結界の向こう側。森の中で、きっと兄弟達と暮らしているのだと信じたい。
出来れば、もう一度会いに行きたいけれど。
それが叶うかどうかは分からないから、口には出さずに]
僕を生んでくれた母さんが聖女だって知ったのは…教会に来てから。
教会に来る前のことは何も思い出せなくて、そんな僕に優しく手を差し伸べてくれたのが、ジーク兄さんだったんだ。
[育ての母の目を盗んで連れ去られたことは、余計にショックを与えそうで。そこは触れずに。]
うん…、そうみたいだね。
母さんが何のために僕を生んでくれたのか、わからないけど…。
[>>61ユーリエの言葉には頷いて、そのまま順を追って話す]
どうして吸血鬼になるのかな…。
きっと…ジーク兄さんみたいに、それぞれ事情はあったのだろうと思うけれど…。
[それだけは本人達に聞かないと、わからない答えだと思った。]
森も動物たちも、みんな命尽きるまで生きて、命を繋いで巡っていく。
移ろう刻に置き去りにされても、老いない身体で、永く生きていくのは…どうしてかな。
[ユーリエが言う通り、人は皆が好きな人と望んで愛し合い、家族になれるわけではない。
弱いからこそ、強くなろうと努力もする。
短い刻を精一杯生きる。
では人の生き血を啜り、永き刻を彼らが生きる意味は――?
バルタザールとジークムントが、脳裏を過ぎる。
彼ら吸血鬼が血子を作る意味は、そこにあるのだろうか。]
ありがとう…。
僕も、もう一度ジーク兄さんと話してみる…。
[>>51あの時ユーリエは "滅び<救われ>たがっていない魔物を、無理に滅ぼす<救う>ことは、出来ない"
アプラサスとの会話を思い出して、しばらく逡巡してから口を開く。]
ねえユーリエ、<救い>は滅びしかないのかな――。
もし彼らがそれを望まなかったら…――
[>>115>>116そんな風に問いかけて、彼女の言葉に首を振る。]
魔物も救いたいと思うのは、間違ってない。
魅入られてなんかいないと思う、むしろ――
[一生懸命に考えて、そして出したとても――]
とても尊い心だと僕は、思うよ。
[それだけは自信を持って良いと、力強く頷いてみせる。]
―地下礼拝堂→廊下―
ユーリエ…――。
[扉の向こうに消えたきり、ユーリエは戻ってこなかった。
意識を集注すれば、遠く離れていく小さな光り。
跡を追いかけようと感じる光りの方へ走り出す。
が、すぐに足は止まった。
どうして声をかけずに、彼女1人で行くことを選んだのだろうか。
礼拝堂で見せてくれた、強くて優しい意志。
彼女なりに思うところがあって、あえて1人で向かったのだとしたら。
自分が行ったとしても、ただ彼女の意志を無駄にしてしまう事に成るのではないかと。]
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