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[そんな誓いを交わしたルートヴィヒは”仲間”には加わらないと言う。
出自の違いを気にしているわけではなかろう。]
繋がっている──確かにな。
[遠くに居ても感じる熱と声。情。
それは特別なものだ。 けれど、]
おまえが、こういうものがあれば絆がより強くなると言ったのだから、
俺はおまえと
それも──牢に入れられようと取り上げられぬものを。
[誂えられた黒革の短剣をルートヴィヒの胸に擬した。]
− 北岸沿い航路 −
[帝国艦隊は海峡の北岸を左に見ながら、東へと進む。
偵察に送り出していた複葉機からは、ウルケル艦隊が”水路”の西側に集結中との情報がもたらされた。]
西、だと?
東側で待ち受けて、我らが機雷源を抜けようとしているところを攻めるのではなく、自ら機雷源を背負っての迎撃か。
これは──手強いな。
[言葉とは裏腹に、嬉しげだ。]
第一艦隊、前へ。
射程内に入っても、射撃は待機。
先日の戦いの教訓を忘れるな。
[第一艦隊の陣形は、巡航中と同じく、旗艦を先頭にした戦艦4隻の縦陣形、その北側に巡洋艦4隻の縦陣形を並べた形である。]
水上機部隊は先制攻撃の準備。
機を下ろした後、第四艦隊は後陣で推移せよ。
── これより敵艦隊を突破する。
[総旗艦シュヴァルツアインが掲げるモットーが風に翻る。
曰く、
『勝利は後ろにはない。前進せよ』 ]
[戦闘開始を告げる遠い砲声は長閑な時報のようですらあったけれど、空気を切り裂き鳴かせながら急降下する主砲弾には貫き破壊する意志が籠められていた。>>288]
当てさせるな! 蛇行にて照準をズラせ。
射撃はまだ待機。
[完全な修理が間に合わず、半分の広さに切り落とされた艦橋からアレクトールは指示を出す。
旗艦の上を飛び越えた砲弾が海面に突き刺さって高い水柱をたてた。確実に、射程内だ。]
― 回想:9年前/帝都 ―
[文句を言いながらも晒される肌は透けるような白さだった。
穢すのは惜しい、と同時に、嬉しいと思う。]
一緒に、だ。
おまえはあまり身体が丈夫ではないから、キツいかもしれないが。
ちゃんとした師に彫ってもらおう。
俺とおまえの絆の象──何がいい。
[誰にも奪えない、なくしたりしない。秘密をそっと身体に刻む。]
[「南方より敵別働隊接近。巡洋艦と水雷艇…多数」とマストから報告がある。]
進路変更の必要なし。
[第一艦隊戦艦列の南側には第二艦隊が並走している。
一瞥しただけで、再び視線は前(東)へ。]
主砲用意。 目標、敵総旗艦。
[敵方の砲弾が正確さを増してくる。
この先へ距離を詰めるならば、当てられることは必至。]
相手がそのまま進んでくるなら反航戦に持ちこむ。
怯むな、当ててゆくぞ。
── 撃て!
[戦艦、および第一艦隊巡洋艦から主砲が発射される。
巡洋艦が装填しているのは、貫通力より燃焼力を重視した榴弾だ。
発する黒煙で視界を奪い混乱を誘う効果も期待される。]
[主砲を斉射した直後に、第二艦隊が陣を乱す。
舵が壊れたかのようなバラバラな回頭をして、第三艦隊の鼻先を通過してゆくのが視界に入った。>>301]
あんな特訓をしていたらしいな。
[片笑みして、視線はザイヴァルを離れ、第三艦隊へ向けられる。]
[元々危険な任務の多い第三艦隊は先の戦でも多くを失った。
にも関わらず、今また敢然と戦場にある。
出航前、ロー・シェンが捧げた言葉を思い出す。>>302>>304>>305
強い意志を宿す誇り高い男の眼差しで紡がれる声は、アレクトールに響いた。
その力が身の裡にあるのを感じる。]
ウルケルのカモメたち、
その矢は引き絞られているぞ。
/*
>>308
回頭したって書いてないということは、ゲオルグは最初から北に艦首向けた想定だったのかな?
>>271「戦場左翼、つまりは戦艦より見て南側」という表記があったので全艦西向きかと思っていた。
/*
メモ回答りょーかい。
戦況再掲を待つぜ
T字されてるなら当初の想定の2倍は撃たれてるはずだ (どこ壊そうw わくわく
[艦首を北に向けて帝国艦隊の前方を進むウルケル戦艦のいずれを狙うも意のまま──ではあるが、反撃は主砲・副砲あわせて倍では留まらない。
縦陣をとる帝国艦隊の射界の不利であった。
敵の砲弾を受けて、旗艦側舷に吊ってあるカッターが粉砕される。
小型船が主砲の直撃を受ければそういうことになると、見せつけられた形だ。
ワイヤーを切ってカッターの残骸を海に落し、なおも進む。
その視線の先で、ウルケル本隊が速度を上げた。
前方に”水路”へと進む海路が開ける。]
[戦場の南側には本隊から遊撃に出た形の巡洋艦ナハティガルとタクマ率いるウルケルの別動隊とがいる。
が、そちらはルートヴィヒの第二艦隊と交戦中だ。]
敵本隊の後方を擦り抜けて”水路”に向うぞ。
[前進進路維持の指示を出したが、その間にも敵本隊は西へと進路を変えつつあった。
すれ違いざまに砲弾を撃ち合う反航戦の形になれば、ウルケルからの止まない砲撃に、戦艦列より北に配置されている巡洋艦列の最後尾にいた艦が炎まじりの煙を吐き始める。]
黙って通してはくれるはずもない。
とは思っていたが、そこで反転、か!
[ゲオルグの艦隊運用を振り返る。
追い上げられる感じが足元にまとわりつく。]
“水路”への進入をなんとしても阻止する、という動きではないな。
三番戦艦、四番戦艦──北へ回頭。
ウルケル艦列の頭を押さえろ。
[先程されたT字をやりかえすべく指示を出す。]
黙って通してはくれるはずもない。
とは思っていたが、そこで反転、か!
[ゲオルグの一糸乱れぬ艦隊運用を振り返る。
追い上げられる感じが足元にまとわりつく。]
“水路”への進入をなんとしても阻止する、という動きではないな。
三番戦艦、四番戦艦──北へ回頭。
ウルケル艦列の頭を押さえろ。
[先程されたT字をやりかえすべく指示を出す。]
[そこに、「南より敵別働隊3隻接近」の知らせが飛び込んだ。>>345]
扶翼官が押さえ切れなかったとは。
──タクマ・ナギか。
こちらで相手をする。
キツくなるが、しばらくの間だ。
[第二艦隊と第三艦隊が追いついてくることを疑わぬ声で、主砲の旋回を命じた。]
― 現代 ―
食えんシロモノだ、そう残念がるな。
[別状のない声に安堵して、息をつく。]
ああ、確かに早いしコンパクトな戦艦だ。
実検しておく。
[帝国の三番戦艦と四番戦艦から、ウルケル旗艦に向けて主砲が放たれる。
前部と後部、両方の主砲が使える位置取りは戦術の教科書どおり。
だが、その分、敵に晒す的も大きくなるのだった。
ヴァンダーファルケからの容赦のない砲撃が三番艦の中腹を射抜く。
火薬庫に引火したか、三番戦艦は折れ曲がるようにして爆沈した。
あっという間のできごとだった。
四番艦は回避せんと大きく舵を切るが、北岸近くの複雑な海流に苦闘し、遅れる。]
[一方、南から旗艦を追い上げてきた片方は、巡洋艦と見まごうほどの小型の戦艦だった。
早い、だけでなく切れのあるいい動きをする。
逡巡のない的確な指揮ゆえだろう。]
それだけの速度を出すためにどこまで装甲を削った。
ウルケルの造船技術がどこまでのものか見ておこう。
──撃て!
[シュヴァルツアインの号砲が、戦艦シュヴァルベのそれと重なる。]
[獲物を追い詰める猟犬のごとく、ウルケルの戦艦二隻と巡洋艦が帝国の四番戦艦に砲撃を重ねる。
彼らとて、同胞艦をやられていた。
不規則な地形が艦底を擦る。
浅瀬にはまり、身動きのとれなくなった四番艦は固定砲台と腹をくくって応射を続けた。
帝国旗艦が波を蹴立てて進んだ航跡は、東へと続いている。*]
― 回想:9年前/帝都 ―
[服の前をそのままにペンを執ったルートヴィヒは、紙の上にインスピレーションを残す。]
ああ、 これだ。
[自分にも、ビジョンが見えた。
デッサンを半分に折り、ルートヴィヒに対しては振るわずにおいた刃でカットする。
片翼の半円がふたつ。太陽で月で未来を向く横顔で比翼。]
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