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― 明朝・オプティモ西砦付近海岸 ―
[海岸に並ぶ船が流れるように隊形を変えるのを見て、やはり練度が違うなと嘆息する。
もう少し訓練ができていればとも思うが、無いものねだりだ。
4つの方陣は、船より降りてきた王府の兵たちを迎え撃ち、その速度をいくらか鈍らせながらも愚直に着実に前進していく。
海岸へとたどり着けば、わあと喊声を上げて、船に取りつくべく走り出した。]
投石器前進!
銃部隊も投入する!
[鼓の音が増え、陣の中で組み上げられていた投石器が4基、前へと引き出されていく。
その脇を、盾兵と二人一組で銃持つ兵が位置につき始めた。
弾薬の材料が手に入ったことで再び戦線に投入された銃は、それまでの間に製造された分も含めて20挺ほどに増えている。
戦い慣れした遊撃隊のメンバーで構成された銃部隊は、それぞれに散開しつつ相手を狙い撃ち始めた。]
/*
この間のシルキーとカナンの会談にも、
カナンに同意しちゃうと話が終わっちゃう!的な危機感が多少見えたよね。(親近感)
と、不意に思い出したことを書いてみる。
[笑いを収めたクレメンスの話は、胸に重く響いた。]
巫女姫が巫女姫であることを願っている自分は、
多分、卑怯者なんです。
都合よく利用したい、他の連中と、変わらない。
[ぽつりと落とした言葉に、自分で首を横に振る。]
結局、俺は覚悟が足りてない若造なんですよ。
口では理想を言いながら、現実と妥協して、
楽で、簡単な道を選ぼうとしている。
わかってるんです。
シメオンにもさっき言われましたからね。
それは諦めているんだって。
でも、俺は、
せめて…始めたことくらいは成し遂げたい。
そうでないと、命を落とした皆に申し訳が立たない。
[死を背負うな。それはひどく難しいことだなと思う。
最後の声が、言葉が、耳の奥にあって今も離れない。
だが、彼らの死が彼ら自身のもの、彼らが選んだものだとすれば、自分が負い目に感じるのは、その選択を貶めることになるのだろうか。]
……でもそうじゃなくて、
彼らが、自分から、この俺に思いを託してくれたのなら、
もし、そうなら─── このまま一緒に駆けていきたい。
ちゃんとした、もっと良い未来を作ってみせたい、
……そうも、思うんです。
[革命家として、扇動者として多くの者を戦争に駆り立ててきた青年の心に溜まり続けていた思いが、ほろりほろりと溢れ出していた//]
[一進一退の攻防の中、海岸にたどり着いた兵が接岸している船めがけて長い竹を立て掛ける。
竹に付けられた刻み目を足がかりにして、船へと乗り込もうというのだ。
船から降りてくる王府の兵と、乗りこもうとする民兵の間で、熾烈な戦いが起きる。
民兵側は数の優位をもって、犠牲を厭わずに押し込もうと試みていた。
そんな海岸での戦いの傍ら、船団に大きな動きがあった。
中央最奥に位置する巨大な船が、突如として真っ直ぐ動き出したのだ。>>257]
……なにをするつもりだ、あれは。
[ここで旗艦が前に出てくる意味が分からないと、
怪訝な目でそれを見る。だがふと、嫌な予感が胸を貫いていった。]
[それは例えば喫水の深さであったり、岸に乗り上げても構わないというような動きであったりという不自然さに気づいたからであったが、最終的には勘だといえよう。
なにかに脅かされた獣の激しさで振り向き、指示を叫ぶ。]
中央2隊、下がらせろ!
投石器!例のものをあの船に打ち込め!!
[指示を受けて撤退の鐘が鳴らされるが、勢いのついている部隊はそう早くは転進できないでいた。
未だに王府軍と切り結び続ける兵たちの上を、投石器から発射されたものが飛び越していく。
それは、かつてカナンが残し、ガートルートが壺に詰め込んだ生石灰に加えて、松脂や硫黄、硝石、可燃性の液体などを入れたものだった。
着弾すれば弾けて火を巻き散らし、しかも水が掛かっても燃え続ける恐るべき炎の壺が、岸に向けて突進してくる旗艦めがけて、次々に放たれた。]
[果たして間に合うか。間に合っても止められるのか。]
───来るなら、来てみろ。
アレクシス・ユレ!!
[刻々と大きくなる旗艦を睨みつけながら、
正面でそれを待ち構えていた//]
/*
細かいところ…船相手になんで攻城戦仕掛けてるんだ俺。降りてくるのを待って迎え撃ったほうがよくない?(でも攻城戦の準備してたしね)
とか、
そもそも砦って海にそんなに近かったの?(地形書いてないからありあり)
とか、
海岸沿いとしても、250人乗れる船が浮いてるところって、けっこう水深あるよね?降りて来たり乗り移ったりとか無理ぽくない?(きっと外洋船じゃないから平底なんだよ)
とか、
まだナミュールに蒸気船はないから、帰りの燃料とかはいらないよ(だから積んでないのは食糧だよきっと)
とか、
うん。細かいところは、今はいいかなと思ってる。
(()の中はそれで納得してるなにかですにゃ)
/*
クレメンスに投げたあれは、自分でも何言ってるかわかんないぜべいべ、だったので、対応に苦労しただろうと思うw
ちな、シメオンの言葉は届いてはいたというか、痛いところを抉られたので、余計頑なになった模様。
― 明朝・オプティモ西砦付近海岸 ―
[燃え上がる大きな船が海岸へと突進し、
砕け散りそうな勢いで地面の上に乗りあげる。
付近に展開していた二隊は、その衝撃と降り注ぐ火を浴びて、半ば崩れ立った。
後退を促す鉦の音が煩く鳴り響き、直撃を免れた兵たちが少しずつ下がってくるが、そのまま動かない者も多かった。]
[火炎壺をいくつも浴び、自らも炎を発して燃え上がる旗艦から、飛び降りてくる影がある。
混乱している部隊の間を突っ切って駆けてくる騎馬の主には、見覚えがあった。]
やっぱり、貴方か。
───ユレ先生。
[今の彼は、学館で生物学を教えていたころとはかけ離れているはずなのに、なぜか、纏う風に同じものを見た気がして、ぽつりと呟く。]
[戦場の空気は、感傷に浸り続けることを許さなかった。
兵たちが突進する馬を止めるべく向かうが、徒歩では追いつくことは難しい。]
貸せ。
[近くにいた者の手から弩をもぎ取り、駆けてくるアレクシスに向けて構え、矢を打ち放った//]
[心の中のもろもろを言葉にしたあと、
落ち着いてみれば、恥ずかしさが沸いてくる。]
食えないおっちゃんだよな、まったく。
おまえ、今呆れてるだろ。
……ああ、またかっこ悪いところ見せちまったなぁ。
[そっと声を響かせて]
俺は、俺が起こしたことの責任を全部引き被る覚悟でいたんです。
その覚悟も、しょっちゅう揺らぐような 頼りないものですが。
失われた兵は……ガートルートを死なせたのは、
確実に、俺の差配ミスです。
だから、その責だけはどうか、俺に背負わせてください。
でも、あなたは、俺にオプティモ攻略をさせないでいてくれた。
戦いが大きくなる前に、結果だけ残して止めてくれた。
だから、その、
感謝しています。
[素直に感謝を口して、深く頭を下げた//]
― 明朝・オプティモ西砦付近海岸 ―
止めろ!
下がれ!
[矢を受けて落馬したアレクシスへ銃口が向けられ、
兵たちがとどめを刺すべく近寄っていく。
それを、何故か咄嗟に止めていた。
その場から走り出してアレクシスに駆け寄る。]
[命を救おうとしたのか、
最後の言葉を聞こうとしたのか、
それは自分でもわからなかった。
ただ、この人が巫女姫の側にずっといたことを、
巫女姫を追いかけるように学館を去って行ったことを
知っていたから]
ユレ先生───…!
[きっと、大事な人なのだろうなと思ったのだ。
自分にとっての、友のように//]
― 明朝・オプティモ西砦付近海岸 ―
しゃべらないでください、
今───
[今、どうするというのだ。
彼の身体に矢は深く突き立ち、
失われた血は地面を変色させている。]
[言葉を継げずにいる間に、彼が身を起こす。
細身の、瀕死のその姿に、気圧されていた。
影と称された男が秘める思いの強さに触れて、息が止まる。
これこそが、彼の選んだ道なのだ。
自分の信じる道を貫く姿なのだと。]
───貴方の命、いただきます。
[純粋な想いに報いるにはこれしかないのだと覚悟を決め、
剣を構えて渾身の力を籠め、振り下ろした//]
でもきっと貴方は落ち着いていられないんだろうな。
ナミュールが開かれたら、一番に外に飛び出すでしょう?
その時は親父も誘ってやってください。
きっと喜ぶから。
[立ち上がるクレメンスにそう声を掛けて、天幕の入り口まで送る。]
[クレメンスと一緒に行くらしきしシメオンとは、
視線を交わし、小さく笑みを浮かべてみせる。]
おまえの言葉、ずいぶんと痛かった。
[痛いところを突かれたのだと、
素直ではない表現で伝えておいた。]
[二人が去っていくのを見送ったあと、
天幕の中に戻り、もう一度腰を下ろす。
茶器を片付けてしまおうと手を伸ばしたところで、
クレメンスが座っていた円座に、小さな染みを見つけた。
それはほんの小さな染みで、
でも、とても鮮やかな赤い色をしていて───]
───!!!
[はっとして天幕から駆け出し、ふたりの後を追う。
だがその時には既に、飛行船は空高く舞い上がっていた。]*
― 明朝・オプティモ西砦付近海岸 ―
[ざくりと鋼が肉を噛み、赤が散る。
幾度やっても慣れないこの感触を、
それでも大切なものだと記憶の中に刻みこむ。]
俺、先生の講義、好きでしたよ。
[彼にだけ届く/誰にも届かない言葉をぽつりと落とし、
彼が護りたかったのだろう人に想いを馳せた。
彼女は今、どこかで彼と最後の言葉を交わしたのだろうか。
なにを託され、なにを残されたのだろう。
───聞いてみたいと、思った。]
[指揮官を討ち取ったという声が戦場を駆け巡り、
騒々しかった戦場も、波退くように落ち着いていく。
やがて、ひとつの死を悼むような、静寂が訪れた。]**
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