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[自らが何かを抱え込んでる格好を見下ろす。
そんな状態になってるのにふと気がついた]
はて…死ねばヴァルハラに行けるものだとばかり思ってたんですが…。
天に認められるほどの武勲が足りなかったのか。
それとも何か私に未練でもあったのか…
思い当たる節がないですね、こまりました。
[普段の口調は佐官になってから意識して身につけた口調で、
素で話すときはこういう口調で話していた]
[副長、と呼ぶ声に表情を改めた]
おや…この艦の行く末を見るために皆残されたのかな?
それなら生前にならって話をする事にしよう。
そのほうがお互いやりやすいだろう。
[リヒャルトの言葉を考えてみたがいい案が浮かばなかった]
副長、でかまわないよ。
その呼ばれ方をする限り、私もこの口調で話すのは疲れる事もないしな。
私は君のことはどう呼べばよいのだろう。
もう参謀ではないのだろう?
ふむ…。
なら私はレーデと呼ばせてもらうかな。
ファーストネームで呼ぶ権利は、砲術長どの固有の権利とさせていただこう。
そのほうがきっと砲術長どのも喜ぶだろう。
…だろう?
[オズワルドを問答無用で巻き込むことにした]
[オズワルドの複雑そうな表情を見れて満足したようだ]
なるほど、生前に気がついてれば面白かっただろうな。
そこが少し残念ではあるよ。
さて、私が知らない事も多くあるだろうから、
少し艦の中を見てこよう。
ではまたな…。
[そういうと艦内のいずこかへと消えていった]
[すでに何も手に取る事もできなくなっている自室。
そこには毎日記録してきた航海日誌がある。
艦長や司令部から下された命令、それを遂行していく部下たち。
1000人規模の集団ではあるから、全てを把握する事は不可能である。
だから、毎日気がついた人達について記録していた。
もう見る事もできないその日記を思い出していた]
その前兆はいつからだったのか。
一部に欠員をかかえ、慣熟航海もすんでいない最新鋭戦艦を最前線に出す。
出撃の段階から違和感はあったが、
前線に投入されて、戦列に参加し、被弾して撤退する。
この時点で随伴艦がいない事に疑問を呈したが、
艦長はそれを理解してくれる事はなかった。
想えば艦長人事を発令された時点で、
こうなる事は確定されていたのかもしれない。
艦長がお飾りですむ位には艦橋や各部署のトップには優秀な人材が集められた。
そのせいで艦長がいないほうがスムーズにまわる、という本末転倒な状況になってしまった。
艦長を排除する事が当初からの予定調和であったのなら、
これもまたそうなる未来への必然だったのだろう。
慣熟訓練も終わっていない状態だから、
緊急時のマニュアルもまだ未調整で、
現場の判断に寄る所が大きい。
仕組まれている状況そのものは、
気がついてしまえば前もって可能性を検討するのは可能だった事案である。
次の機会はもうこないだろうが、
もう少し出来る事はあっただろう…。
危地に陥った時に目覚める人材を、
一時的にでも得られたのは朗報である。
彼らが1人でも多く生き延びる事を切に願う。
以上、航海日誌をここで終える。
これで最後の仕事も終わり、だな。
一時的にでも共に戦った戦友達が無事に帰還出来る事を祈ろう。
私にはすでに帰りを待つ人はいない。
身軽なものだ。
[何もつかめなくなった手を見つめる]
しかし酒でも飲もうかと思ったが、
酒瓶を開ける事もできないとは不便なことだ。
まあ、いささか贅沢ではあるか。
こうやって行く末を見れるだけでも僥倖だろうに。
大尉、君の望みに添えなかったのはすまなかった。
だが君が残った事は不幸中の幸いだろう。
君が残った人間の柱だ。
健闘を心から祈っている。
戦友を生かし、自分も生き残る。
それが軍人の責務だ、中尉。
私はそれを真っ当する事は出来なかったがな…。
だからこうしてここにいる。
貴官の決断は正しい、それが最善の行動だ。
武運を心から祈っている。
そういえば、一つ砲術長に聞きたかった事があったのを思い出したよ。
何故あのタイミングで仕掛けたのだろう。
私を含めて、同行者の誰も砲術長を疑ってたわけではなかった。
「爆破現場」に見られては致命的に困る痕跡があった、と考えていたのだが、
爆破が起こったのは曹長が残留する理由作りが主だったように思える。
酒でも酌み交わして話せればいいんだが、
あいにくと酒がない…。
あるなら蜂蜜酒でも飲みたい所だな。
神代の時代からあったというからな…
ヴァルハラに召される前に飲むのにはふさわしかろう。
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