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ー回想
[未だ躊躇いがちな表情を浮かべるソマリの手を引いて、ゆっくりと星の夢を出る。まあ、当然か。心の中で呟く。
ぼくがいくら許すと言っても、彼は自分を許さないだろう。ぼくの知っている彼はそういう人だ。]
コーヒーだけで充分。
それで、コーヒーをのみながら、きみの翻訳した虹色のうずまき管の話をしよう。
[生者の世界を思えば、そんな暢気な話をしている場合ではないのだろう。けれど、ここはあちらには干渉できない。大切なひとが責められても、心変わりしても、なにもできない。そんな残酷な場所だから。]
さ、ついた。
[第二閲覧室の扉をゆっくりと開いてぼくは声をかける。]
アデル、アイリ、カーク。
ソマリもこっちに来てくれたよー・・・!
[ぼくの声に気がつけばだれかがソマリに声をかけるだろう。**]
/*
おはようございます。
遅くなりました。ソマリを第二閲覧室につれてくるロル!
テオドールが恋敵だった衝撃・・・うん。
ギャグのひとに負けたくないよう!!
[処刑される者、として彼女の名が呼ばれるのを、不思議なくらい穏やかな気持ちで聞いていた気がする。
むしろ、心待ちにしていたと言ってもいいかもしれない。
また、彼女にあえる。
また、彼女の声を聞ける。
艶のある黒髪も彼女に似合う黒いドレスも人形のように華奢な手足もすべてそのままにここに来てくれるだろう。
それだけでぼくの心は高揚した。それが彼女の死を望むことだとしても。
ぼくがこちらに来てすぐは、幸せになって欲しいと、思ってたんだ。生きていてほしいって。だけど、どこで間違ったのかな?
こんな身勝手な感情をぼくがもっていること、彼女は知らない。知ったら軽蔑して、もう笑いかけてくれることもないかもしれない。
それでも願わずにはいられない。
ぼくを見つけて。
ーきみを誰にも渡したくなんかない。
はっきりと自覚したのはぼくが死んだ後、テオドール司書官の言葉に癒されるゾフィヤを見たとき。
2人はそんなに親しい仲だっただろうか。思い返してもわからない。挨拶を交わす程度の同僚だと記憶している。なんとも言えない焦燥感だけが駆け抜けた。
ぼくを更に焦らせたのはドロシーの変化だった。彼女はカークとあんなに仲が良かった筈なのに。今はウェルシュに気持ちが向いているようだ。
いないもの、であるぼくらはどんどん世界から取り残されて行く。
彼女も少しずつ、ぼくの知らない彼女になっていく。そんなゾフィヤに憎しみすら抱いたけれど、それすらただの嫉妬だったのだ。
ぼくにはもうなにもできない。
今更自分の気持ちを伝えることすら許されない場所で、ただ彼女を見つめることしかできなくて。
自分を見て欲しくて受け入れて欲しくて、それが叶わないから憎むしかなかった子供のような自分。
それが、ぼく。
アプサラスじゃ代わりになれない。
ぼくにとっての唯一はゾフィヤだから。
だけど。
彼女はここにきてくれる。
またぼくのそばで笑ってくれる。
そして少しの毒を吐くんだ。いつものようにね。
今度は誰にも邪魔なんてさせない。
真綿でくるむように、やさしく彼女を包んで逃がさない。ぼくの腕の中にいてもらう。
アプサラスにもテオドールにも邪魔させない。
こんなぼくの醜い心をきみに見せるわけにはいかないから、ぼくはいつもみたいに柔らかに微笑んで、甘く囁くよ。
きみの名前を。**]
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