情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新
王国軍司令官 タイガは、後世の歴史家 ベネディクト を投票先に選びました。
[ 位置的におそらく殿軍を担うのだろう隊から問いかけがあった。>>67]
女の騎士が率いているだと?
[ ティルカン騎兵にはそのような将もあると知り、かの軍の強靭さの秘密をひとつ知った気がした。
海運国マルールもまた歴史を紐解けば、たびたび女王を戴き、女性が君臨していた時代の方が繁栄してきたのだ。]
[ ナネッテの問いに、満足の笑みを返す。]
戦ってみれば人となりはわかるものだ。
今日までのルヴェリエ殿と、今日の彼とでは、どちらが魅力的だろうか?
[ 客観的な印象を問い返した。*]
[ 魚か。
ならば優勢も何もありはしないな、と笑う。]
ティルカンの大将がマルールの野営地まで来るとの約定を交わした。
というわけで兵は引き上げる。
安心していい。怪我はない。
[ ティルカンの先鋒だと女騎士は名乗った。
先鋒かつ殿軍とは、戦の機を見るに敏な上に肝が座っている。
レオノラのことを連想したのは偶然ではあるまい。]
マルール王国軍の司令官タイガ・メイズリーク・ユリハルシラだ。
丁重な回答をいたみいる。
[ こちらの名乗りを聞いたところで驚くともいきり立つとも思えない相手であった。
答礼は敵意を含まぬ涼やかなもの。]
[ ナネッテのクリフ評に口を挟むことはなかったが、レオノラの消息を知らされた時には、瞬きを繰り返した。
チャールズに続いてレオノラまでも、と。
深手、という言葉に唇を引き結ぶ。
先鋒という重責の中、レオノラがあくまで退かなかった証であろう。
それだけの意思のある男と見込んで先鋒を託した。]
──彼を待つ者たちのところへ戻れるよう微力を尽くそう。
[ その機会を与えてくれたことを感謝する。]
クリフ殿は、そうだな──
[ ああ、おれが魅了して虜にしてやった、と答えてもよかったが、誤解されても面倒なので置いておく。]
大胆不敵だ。
どこかおまえに似ているかもしれない。
[ と、ナネッテからもたらされた情報に、空気が波立つ。 ]
レオノラ・リンザールが深手を負い、ティルカンの捕虜になっていると…
[ 行くな、とは言わなかった。
自分でも動揺しているくらいだ。
ましてレトとレオノラの交流はよく知っている。]
あちらの将は、治療させるためにこちらで引き取った、と言っている。
[ 無体な扱いは受けていないはずだ、とそれだけは付け加えた。]
[ かの女騎士は男と張り合おうとするような性格ではないようだった。
面倒見のいいおばちゃんの気配もどこかに漂う。
むろん、口にしては言わなかったが。
わざわざ馬首を返しての質問には、胸に手を置いて答える。>>102]
クリフ・ルヴェリエ殿が許すのであれば。
[ 風呂で会談するかもしれない、とは言わなかった。*]
[ ナネッテ隊が去り、ようやく身の安全を確信できた。
この先はナイジェルが制圧しているエリアだ。
当のナイジェルは騎兵を率いて先に戻ったという。
街道を戻り砦を視認したところで、彼が先回りして手配したものを知ることとなる。>>105
歓呼に応え、兵らの活躍を讃え、騎馬を降りてナイジェルを傍らに従えた。]
クリフ・ルヴェリエに会った。
なるほど、君が絆を結ぶのもわかる。
しかしまあ、ティルカン騎兵と平地で戦うものではないな。
あれは無敵だ。
[ 兵らの耳には届かない距離で、率直な感想を漏らす。]
だが、おれは負けてはならなかった。
[ ゆえに、打って出た。]
君が来ると信じていなければ、あんな危険はおかさない。
[ 世辞ではなく、本当のことだ。]
おれの策の先に、どういうわけか、いつも君が準備を整えて待っている。
まったく…君が味方でおれは幸運に思う。
[ 幾重もの感謝と感激を眼差しに込めた。]
[ ナイジェルは問わず語りに、過去を語ってくれる。
この戦に参じた純真な理由を。]
君は──…
[ 自分がクリフに提案しようとしていることを、ナイジェルは察しているのだろうか。
それを受け入れることはできるのだろうか。]
ラーシュ、
おれは拠点に戻っている。
[ レトを救うためなら、もう一度、戦いを挑むことに何らためらいはなかった。]
― マルール軍野営地 ―
[ナイジェルが捕縛したリンデマンスの王が面会を希望していると聞き、承諾の意を伝えた。
会うのは青空の下。
王国軍兵の中で傍聴したい者がいれば来てもよい、というオープンな場とした。
やがて、衛生兵に付き添われてメレディスが案内されてくる。
武具は外されていたが、枷はない。
散歩をしているような、そんな足取りだった。]
[丁寧ながらも、庶民的な訛りの残る挨拶に、見守る兵らの間で失笑が漏れる。>>2:190
それを制することはしなかったが、タイガは他国の王侯に対する礼遇で接した。]
自分がマルール王国軍を預かるタイガ・メイズリーク・ユリハルシラです。
陛下にお目にかかれて光栄に存じます。
[ 負傷を鑑みて床几を勧め、会見希望の趣旨を聞かせていただきますと促した。]
[ メレディスが品種改良だの作物だのと語りだせば、兵らは、もはや隠しもせず屈託のない笑い声をさざめかせたが、話が進んでゆくにつれ、その場は水を打ったように静まってゆく。
真摯な眼差しと朴訥な言葉で語られる志に引き込まれたのだ。]
陛下、 あなたの野菜には、我が弟も命を繋いでもらったと聞いております。
[ 文字通りの草の根の交流を取り上げ、地の声に相槌を打った。
メレディスが国や文化を農作物で語り出した当初は面食らったが、これが彼の飾らない持ち味なのだとわかれば親しみも増す。
レトもよい土産を贈ったものだ。]
陛下の人となりと考えを、こうして直接に確かめることができ、良かったと切に感じています。
陛下がその身を賭してお運びくださった
[ 互いに顔を巡らせた兵らの表情は柔和でほころんでいる。
美味しい煮込み料理を思い浮かべているのかもしれない。]
クリフ・ルヴェリエ司令官殿は近いうちに、ここにおいでになる。
それを、お伝えできて幸いです。
[ もうひとつのお願いと言われた「このまま捕虜に」というメレディスの申し出は、わざわざ認めるまでもない状態であったのだけれど、告げられた理由の律儀さに、やはり良い男なのだと感服する。>>2:201>>2:202]
畏まりました。
御身は我が軍でお預かりさせていただきます、陛下。
[ 胸に拳を当てて責任を引き受けた。
滞在中、彼が望むだけマルールの雰囲気を味わえるよう兵らに指示するつもりだが、むしろ厨房の方でメレディスを離してくれないかもしれない。明日からの食事が楽しみである。]
[ メレディスが微笑んで呟いた悟りのような一言に、彼はこの騒乱を経て、王として急速に経験を積んでいるのだと感じた。>>2:203
タイガもそれを願う一人だ。]
自分からも、お頼み申し上げたいことがございます。
[ 地に足のついた明眸を見つめる。]
この戦いの前、弟に託して、陛下にメッセージをお送りしました。
農夫の知恵を持っておられる陛下にこそ、今一度、お願い申し上げたい。
[ 一呼吸おいて、土に水を撒くように言葉が染み込むのを待つ。]
マルールにとって、王妃と嗣子の正当な権利がブリュノー臣民に認められ、この地での安寧な暮らしを取り戻すことが、騎士たる者の誇りにかけて果たすべき義務であります。
女性にとって、嫁ぐということは、そこに骨を埋めるという覚悟を伴う重要な決断。
それを権力争いで追い出すなど、してはならない。
一方で、ティルカン連邦が、身ひとつで飛び込んできた第一王子を庇護したことも、人道にかなう正しい行いです。
けれど、残念ながらティルカンは、この機に港を得たいという欲を抑えることはできますまい。
あなたほどの方をもってして、自国を「属国」と呼ばざるを得ない権力。
軍司令官がいかに立派な方であっても、その後ろにあるものが、ブリュノーに押し寄せるでしょう。
陛下の言葉を借りていうならば、それは作物の出来栄えを確かめながら丁重に行われる品種改良ではなく、在来種を駆逐する異国種の人為的移植です。
今の乱れたブリュノーには、それを阻止するだけの地力がない。
そして、ティルカンがブリュノーを領有しようとするならば、マルールも看過はしない。
軍を派遣し、戦いは繰り返されるでしょう。
[ それは、政治の世界も知る者としての素直な分析である。
ただ、その先に語るのは、自らの絵図だ。]
マルールとティルカンのブリュノーにおける軍事衝突を回避するには、リンデマンスの協力が不可欠です。
ティルカンの過ぎた欲を堤防で調整し、程よい灌漑用水に変えてブリュノーに届ける。
これが、自分があなたに望むことです、陛下。
[ むろん、すべてのやっかいごとをリンデマンスに押し付ける意図はない。
ティルカンがブリュノーを併呑せずに矛先を収められるよう、協議したい腹案はあるが、それは王妃らの安寧保証と一体であり、ティルカン司令官の同意が必要なものであった。
タイガは、ブリュノーを独立したブリュノーとして残したいと考えている。
それはこの地を両国の緩やかな交流の場として、新しい品種を育んでみたいというメレディスの想いにも沿うもののはずだ。]
ご自身にそれだけの力があるだろうかと躊躇らわれるかもしれませんが、
陛下には、助言を与え、支えてくれる仲間がいて、また、陛下の作り出すものを楽しみにしている
それは、陛下の宝です。
"不可能と決めてしまうのも勿体無い"ですから、
マルールの風呂に浸かりながら、考えてみていただきたい。
ちなみに今日は、香草の束を入れてあるそうです。
[ この巡り合わせに感謝をし、日替わり風呂のメニューを伝えて見送るのだった。**]
― 王国軍野営地 ―
[ クリフを橋を渡った先まで出迎える役をナイジェルに命じた。
むろん、そのまま会見に同席するよう伝える。]
ところで、君はどこで彼と知遇を得たのだ?
[ 自分とクリフの縁をかいつまんで教える。
あんな風にマルールを訪れていたのであれば、どこであっても不思議はないと思う。*]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新