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[首筋に突き付けられた、ナイフ。
苦し気に歪んだ、懐かしい翠緑。
ああ、本当に――…
見た目がいくらか変わっても、あの頃よりずっとずっと強く、見えたとしても。
もしかしたら、知らずにいる、たくさんのことがあったとしても、やっぱり彼女は。]
……そんな顔させたいわけじゃなかったのに、
船から降りなきゃいけなくなったとき……
あのときも、さ。
ごめんねって、言いたかったんだ。
[此方の方が、どんな顔をしたらいいのか分からなくなってしまって、]
けど、
[そうして、突きつけられたナイフを、振りほどこうとはせずに、
壁に押し付けられた、そのままで、
手を、伸ばす。]
[触れえるなら、その、ナイフを持つ“手”に。
さっきは逆だったかな、壁を殴りつけた手に、触れてくれたのだけれど。>>256
昔は自分の方が年下で、あのころから大きくはなかった彼女と比べても、自分だって小さくかった。
けれど、いまは、
この手の方が、きっと、大きいだろうから、触れえるなら、包むように。
その手のことを、知らずにいる。
けれど、もし――…
知る由もなくとも、知っていたとするならば、
それでも、自分は、絶対に、
必ず。
――… うん、もしかしたら、温度の欠片もなくて冷たい掌は、
今の身体の状態を伝えてしまうものに、なるかもしれないのだけれど。
そうして、にいっと、いつもの顔で笑うのだ。]
だから、間に合ってよかった。
また会えるなんて、思ってなかった。
……あの頃は体具合、悪そうだったから、
元気にしてたかなって、心配だった。
だーいじょうぶ、まだ全然、平気だから。
休んで随分楽になったし、
これ以上犠牲者が出ないように、人狼が見つかるように、
そうなるように、まだまだ、走れるから。
それが、今の、望みだ。
俺の、したいこと。
[――自分は、“ヒト”では、ないのだけれど。
こう望むことすら、おこがましいかもしれないのだけれど。
もし、叶うなら、こんなガラクタに出来ることが、ほんの少しでもあるのだとしたら、
このまま駆けていても、良いだろうか。]*
/*
ふああ、早書きで落としてるから、
これまでのガートルードさんのロルから拾いたいのに拾いきれずぐぬぬってなってる…
―― 第四エリア・花園 ――
[後方へと飛び退る。
視界の中、遠ざかるその躰が、蔦に覆われてゆく。
細い両腕は獣の前足となり、全身が変じてゆくその姿は、
――緑の狼。
地に足が着くや、全力で駆けだすのは、第四エリアの入口に向かう方角だ。
いくら自分が普通の人間より身体能力が高いとはいえ、一対一で人狼には抗えないことは分かっている。
ハーランもそうだった、到底適う力ではなかった。
背に人を庇っている局面ならいざ知らず、
このままただ食われ、殺されるわけにはいかないと、出口に向けてひた走る、が]
――…!!
[背後から、空を引き裂く咆哮が迫る。
咄嗟に地を蹴り横へと飛べば、その足跡を追うように、
緑の獣が眼前に現れた。]
[その隙が、致命的だったのだろうか。
足に、手に、伸ばされた蔦が絡みつき、]
ぐ――ッ!!
[どさりと地面に引き倒されて、身体の上へとのしかかられる。
全身の力で引きちぎろうともがくが、
恐らくは、振りほどける力ではないのだろうか。
視界の先に、赤を見る。
緑と、微かな金と、まるで草花のようなその色の中で、
異形へと変じたその形の中で、
血のように輝く赤を、ぐっと睨みつけ、]
――……っ
う、あああぁああああああ!!!!
[全身の力を振り絞り
、四肢の中でもわずかに動きが効きそうであった右手を、
自身の血肉もすべて張り裂けよとばかりの力で、
その体へと突き立てるように、伸ばそうとする。
あるいは、その蔦に、抗えぬほどの力で四肢が締め付けられていたとするならば、
その抵抗は叶わないかもしれないし、
もし手が届いたとて、何処に届き、傷をつけられるかは――あるいは、何かをつかみ取ることが出来るかは、
定かではないけれど。
いずれにせよ、引きずり倒されたその体は、
獣の爪と牙から逃れることは、叶わないだろう。]*
警備員 ディークは、メディカルケア ジークムント を投票先に選びました。
警備員 ディークは、【海賊】船長 ドロシー を投票先に選びました。
―― 第四エリア・花園 ――
[右腕を捕らえていた蔦が千切れ、指先が獣の腹へと届く。
獣の悲鳴と、唸り声。
自身の爪が全て剥がれるほどの力を込めて、肉を引きちぎろうとしたその指は、
けれどそこまでは、届かずに、
緑の毛皮と花弁をつかみ取り、>>364
そのまま蔓へとからめとられる。>>363
右肩に、鋭い衝撃が走る。
全身を貫く痛みに、視界がバチバチと赤く明滅し、]
う、あ、
――っ、ぐ、
[悲鳴を上げようとしたその喉元に、獣の牙が埋められたなら、>>363
声を上げることも適わず、ただ、もがくだろう。
喉であったものに刻まれた傷口が、ひゅう、と酸素を逃がし、声ならぬ断末魔を発する。]
[最後の最後までと、あがき続けるその四肢から、
次第に、だらりと、力が抜けてゆき、
やがては、その土色から、ふ、と光が消えて、
手がぱたり、と、緑の地面に落ちてゆく。
握りしめた拳は、そのままで。]
[そうして、零れ落ちるのは、
地に落ちたとて決して実を結ぶことのない――…
一粒の、砂] *
/*
今日は秘話投票で、ドロシーにセットしています。
揃えた方がいいなら変更しますね。
―― 一粒の、砂のはなし ――
[己が地獄の底に、一人、いる。
もしかしたら、皆そうなのかもしれないと思うことがある。
その苦痛に向かい合うことが出来るのは、きっと己一人。
けれど、自身もまた己の地獄の底にいながら、
誰かの地獄に、心に触れようとするかのように、手を伸ばす――…
苦しみに、心を痛め、手を伸ばすような、そんなひとも、きっといて。
心当たりは、あって。
どうしてだろうね、
いま、思い浮かぶのは、“彼女”の顔だ。]
[
縋るのではない、望みを託すのではない、
暖かさを、求めるためではない。
ただ、その手を取って、痛みも苦しみも喜びも――…
己が地獄のそれではないがゆえに、
きっと、本当の意味では理解なんてできないそれを、
ほんの少しでも良いから、想い暖めることができたならと。
あるいは、もしたとえばその手がひとり耐え、
自身の爪で、自身の心を裂くような、
そんな痛みと苦しみの底にいるときは、
出来るなら、この手を握りしめていてほしいと、
――… そう望む、そんな手だ。
この手は、どうしようもなく血に汚れて、愚かで、
切り裂かれても引き裂かれても砕かれても足りようが無いくらいに、
人殺ししかできない、がらくたで、
あたたかくなんか、きっとないけれど、それでも、いいかな、
頑丈なことだけは、保証付きだから。
手を伸ばしても、いいだろうか。]
[皆と同じ地獄には行けないほどに、罪深い。
引き金を引くその寸前の、絶望と恐怖に塗れたヒトの顔、
生きたい、生きたいと、皆、叫んでいたはずなのに。
空っぽの硝子玉は、迷うことなく引き金をひいては、
ブリキの身体にぽっかりと空いた空洞の残滓に、
きれっぱしのような残骸の心を貼り付けて、
――… あまりにもひどく愚かで、理解することなんて、出来ずに。
長じて知識を得て、己の所業を知って、
夜ごとどれほどに叫んでも悔やんでも、
自身の身体を引き毟って傷つけても、
過去の残骸は、まぶたの裏を硝子の破片のように刺しながら、
取り返しがつかない、ただそれだけと、
静かに刺し、苛む。
“仲間”だけには、ほんのわずかな笑顔と思いを寄せていた。
けれど、皆、死んだ、
自分だけが生き残った。
――… 生き残りの、裏切り者]
[けれど、それよりもさらに重い一番の罪は、
多くを殺したこと、多くを奪ったこと、生まれてきたこと、ひとり生き延びたこと、
それだけではなくて。
消えた仲間たちの怨嗟も苦しみも、その仲間たちと共に犯した、数限りない罪も、
すべて刻まれたその上で、それでも。
こんなにも、のうのうと長く生きて、
“ 幸せ ”に、なったことだ。]
[――…いつも、伸ばされていた手が、あったように思う。
あの海賊船で、自分を拾ってくれて、船においてくれたマーティン。
馬鹿なことや悪戯をしでかしてばかりの子供に構ってくれた、船の大人たち。
同じように拾われては、船で同じ時間をすごしていた、似た年頃の子供たち。
それから――… “ ”
病弱で、いつもどこか辛そうな影があったようにも思えて、
それなのに、
あのさ、いつも、他の誰かのこと心配して想いを寄せて、そんな風にしてるように、見えてたよ。
きっと、気づかないでいただろうね。
胸の空洞に作り物の心臓を貰ったばかりのブリキの木こりが、
心を動かすやり方を、学んでいたあの船で、
皆に優しさを向けるその姿から、どれだけのものを、貰っていたか。
“あなたは、殺されかけなくてよかった”と、あのときそう言っていた。>>0:363
きっとあの船に来る前も、
あの船を降りてから、たくさんのことがあったのだと思う。
知ることも出来ずにいる、それが。
どうしようもなく、胸を刺す。
]
[ 船を下ろされたのは、生かされた、ということだ。
養父からも、数え切れないくらいの恩と愛情を貰った。
それから、いま、この船で。
出会った人にだって、守りたいと思う人たちがいる。
それはたとえば 、いつも二人して似たような無茶をして、
自分のことを省みないような顔をして、
こちらのことばかり心配してしまうような、
誰かだとか、ねぇ。 ]
[ これまでの道には、
もしかしたら、きっと。
一人よがりで、何も見えていない、
はかり知ることなど出来ずにいた、
只管に愚かなだけの思慕も、
多くあったのだろう。
己の目で見えるものしか、
見ることも、思うことも、適わずに。
けれど、自分にとっては、どうしようもなく確かな光だった。]
[――… 故郷はない、今足元にある、その場所だけ。
だから、
今まで歩いてきた道すべてにあった幸せを享受して、一つ残らず、零さずに。
ヘルヘイムへと、落ちてゆこうと思う。
最後の一秒、一瞬、そのときまで、離さずにいようと思う。
ひとに何を言われたとしても、どんな名がついても、構やしない、
これだけは絶対に、何があっても手放さない、一粒一粒の記憶だ。]
[ああ、でも、悔しいな、何一つ、及びやしない]
[苦しくて、悔しくて、いたくて、どうしようもない]
[苦痛に飲まれて、何もかも、はじけ飛んでしまいそうになる]
[本当に、本当に、何も出来ずに]
[みんなを守りたかったのに、
それだけしか能も無かったのに、
出来ることひとつ、なかった無力さが。
どうしようもないほど無様な馬鹿さ加減が。
駆けずり回ったところで、何一つ、力は及ばずに、
何も出来ずに、死んでいく。
この死がきっと、彼女を悲しませることが、
苦しませることが、
いたくてたまらない。]
[――なァ、それでも、さ]
[ たとえばもし、いま、この心を“だれか”に伝えられるのだとしたら、
こんな死に際の“想い”が、届くような、
そんな奇跡が、あるはずはないのだけれど――…
もし仮に、そんな誰かが、いるとするのなら、
その誰かには、
大丈夫だよぉ、って、
意地を張って、みるとしよう
だから、
その“ 誰か ”には、もしかしたらきっと、
ここで途切れることへの、どうしようない無念と口惜しさと
共にでは、あるけれど、
――… そんな風な、笑顔が、届くだろう。]
[ ごめんな
幸せだった
苦しめたくないのに
笑っててほしかった
正直なことを、言うなら、
これ以上望むものなんてないって、思ってたはずなのに、
この船に来てまた会えて、
――… もう少しだけ、生きていたいなんて、
そんな風に、思ってしまった。
――… 会えて、良かったよ、エレン。]
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