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[夜になれば、もっと大きな集団が動き出す。
相変わらず魔王は外に出てこなかったが、残党を狩り出せという最後の命令は生きていたから、亜人たちは逃げた人間を狩るべく徒党を組んで南へ向かった。
夜盗と変わらない雑な進軍だったが、頭数はそれなりにいる。
渓谷に陣を張る人間たちを見つければ、喊声を上げて突撃していった。]
[この集団の中に、鉄底のドワーフは加わっていない。
彼らは魔王の直接の命令なくば動かぬとばかり、野営地に彼ららしい堅固な宿舎を設営し、携帯の炉まで持ち出して武具の手入れにいそしんでいる。]*
― 回想 ―
[双子は魔のことを"先生"と呼んだが、魔にとっても双子は新しい物事を持ち込んでくる存在だった。
誕生日>>1!9、という概念を教えたのもこの双子だ。]
おまえたちが生まれた日?
───なぜそれを聞く?
[曰く、誕生日には美味しいものを食べてお祝いするんだとか、プレゼントたくさんもらえるんだとか、どこぞの本で読んだのだろうことを口々に言ってきゃあきゃあと騒ぐ。
くだらないとは思ったが、双子が飛びあがるほどに喜ぶさまはなかなか面白かったので、毎年の、夜が最も長くなる日を誕生日と決めて、些細なものをくれてやっていた。]
[先生の誕生日は、と聞かれたこともある。
己が世に存在を始めた瞬間など、今まで気にしたことは一度もなかった。
在ったから在った。
それ以上のことは、魔にとって無意味であったが、]
我は、世界が始まったときに在ったのだ。
[そんな風に、適当に答えておいたものだ。]*
― 回想/5年前 ―
[一度だけ───でもないが、一度、双子がとびっきりの奇行をしたことがあった。
両手を真上にあげ、奇声を発しながら跳ねつつ近づいてくるという、まったく意味の分からないものだった。
新たな儀式魔術か暗殺術かと思いながら観察していると、だんだんと双子の態度が萎れていく。]
………なんなのだ、それは。
[声を掛けた瞬間に、ごめんなさいと叫んで行ってしまった。]
[不快だったかと言えば、どちらかというとあっけに取られていたのである。
そして魔王があっけに取られることなど、ごくごく稀なことなのだった。]*
/*
鉄底族の基本スタンス
・強い奴偉い
・部族一番
・王国建てたい
一騎打ちしかけられたら?→断るなど恥
セミヨン川下流の岩山を打診されたら?→まだちょっといい鉱脈あるか確認してないんでなんとも
シラーの東にある大洞窟の話
・本来、豊かな鉱脈が広がっていて、王国を再建するにも十分な空間があるのだけれど、あそこには今、ラスト(錆)ドラゴンという、あらゆる金属を錆びさせる竜が住み着いていて、非常に相性が悪い。
あれを何とかする策があればとかなんとか。
もう少し考える。
/*
一騎打ちならNPCだけどこちらが動かしてお相手するのだけれども、タッグマッチは面倒なのでお任せしたいの心。
一騎打ちで良くない?どうかな?
副長とやらをどうにかしちゃえばいい??
[双子の声が届いたとき、魔王は浅い眠りのような状態にあった。
睡眠の類は必要としないが、深い瞑想の結果、似たような状態になることがある。
だから、双子への反応は、少し遅れた。]
─── …。
…ああ。おまえたちか。
[意識呼び覚ますための一拍を置いて、声を返す。]
ヨセフ……
モンテリーの生き残りか。
[名前を思い出すのに時間がかかったのは、別に寝ぼけているわけでもなく、人間の名を覚える習慣など無いためだ。]
なるほど。峡谷か。
人間どもはつくづく狭いところが好きだな。
そのヨセフは、逃げ出したわけではないのだろうな。
なにをしようと構うまいが……… 祓魔剣か…。
[あれが動く先など対して思いつかなかった。
先日、確保しそびれた聖剣を思い出して、わずかに不機嫌を漏らす。]
───?
ロヴィン…ああ。ヨセフの息子だったな。
あれなら、そう。まだ生きている。
近いうちに、ヨセフに会わせてやりたいものだがな。
[こちらも名前を聞いて己の企みを思い出し、愉しげに笑った。]
― モーザック砦跡 ―
[散発的な昼の襲撃と、ある程度まとまった夜の襲撃は飽きることなく繰り返されていたが、魔王の沈黙は数日間にも及んだ。
中には、モーザック砦を落とした日に玉座の上を飛んでいた光を思い出して不安がるものもいたが、そんな臆病者は周囲から叩きのめされて沈黙する。
それでも不安を口にするものが増えてきた頃、ようやく魔王がその姿を玉座の前に現した。]
進軍する。
人間どもの最後の拠り所を叩き潰すぞ。
隊を整えよ。
[ついに下った命に、亜人たちは雄叫びを上げて進軍の準備を始める。
出立は、いつものように夕方頃となるだろう。]*
― 魔都シラー ―
[かつてはモンテリーの王都であり、今は魔物が闊歩する地となったシラーは、ある意味では活気に溢れる街となっていた。
そこかしこで建物を壊し立て直す槌の音が響き、通りでは奴隷や家畜を売り買いする声が交わされる。
高台の広場では処刑のショーに歓声が上がり、日々どこかで反抗勢力との小競り合いが起きていた。
北部山脈の外側からは瘴気の谷を渡って亜人たちが次々と入ってきており、その多くはそのままシラーを通り過ぎて魔王の軍に加わるべく南下していく。
戦いに加わる前に一つ景気付けようという連中が、通りをうろついていた。]
[シラーを纏めているのは魔王の直属であるオークの一部隊だが、それほど数は多くない。
ただ、いずれもが屈強なる戦士であった。
街にいる亜人たちは多いが、大半は戦士ではなく食料や人間や怪しげな薬などを売り買いしている連中である。
シラーは急速に、魔の都としての体裁を整えつつあった。]
[シラーが魔都へ変貌していくことは、取り残された人間たちにとっては苦難が増すということでもある。
それでも、シラーの人間の心は絶望に染まりきってはいなかった。
日々の厳しい労働の中で、あてがわれた粗末な寝床の中で、あるいは繋がれた小さな柵の中で、誰かが小さくモンテリーの国歌を歌う。
それは隣の人に引き継がれ、さらにその隣の人へと伝わっていく。
シラーの各所で、そんな小さな歌声が囁くように繋がっていた。]
― 閑話休題 ―
[魔王の居城であるツィーアの頂、玉座のある場所の壁に、小さなくぼみがある。
ちょうど握りこぶし一つ分ほどの窪みは、もともとが何のための空間であったかはわからないが、何か置くのに具合がいい場所であり、現に小さな茶色いものが置かれていた。
森の中でよく見るような団栗である。
ただ、ふたつの実が根元で一つに融合してしまったような形の、珍しいものである。
実の側面から小さな突起が伸びていて、全体としては急いで走っている生物に見えなくもない。]
[魔王がその団栗について言及したことはないが、何かの折にツィーアに言ったことはある。]
我の誕生日とやらは、夜が最も長い日になったらしいぞ。
[それ以上のことは、魔王は特に何も言わなかった。]*
「なにをしに来た、人間。」
[偉大なる鷲髭のゴルバは、鎧を身に着けた姿で使者の前に現れた。
もっとも他のドワーフたちも、よほど休息をとっているときか鎚を揮っているときでなければ鎧を身に着けている。
ゴルバは警戒を露わにしていたが、正式に接見を求めてきたものを即座に切り捨てるようなことはしなかった。]
― 閑話休題 ―
おまえがいつ生まれたかは、さすがに知らないぞ。
だが今のおまえが生まれたのは、我がおまえを目覚めさせた時だ。
それは間違いない。
[興味を持ったらしきツィーアに、そう言う。
こちらに向いてきた問いには、小さく首をひねった。]
さあ。何をしていたと言うのかな。
物見遊山かなにか。
気が向けば人でも魔でも狩って好きに過ごしていたが。
[道楽であった。
生まれ持った力を背景に、思いつくままに生きる日々。]
― 鉄底族の宿営地 ―
[使者の口上を聞いて、ゴルバはふん、とふいごのような鼻息を吹いた。]
「鉄底族が人間の挑戦を受けて怯むことなどない。
だが、
そのロー・シェン・アウルム・ド・レオヴィルは、ここに来るのか?
でなければ、全ては戦場で語れと伝えおけ」
[鉄底族は魔王の命令なくばこの場を動くことはない。
それは律であり縛である。
とまでは、語られぬこと。]
[委細承知と発する人間を、ゴルバは髭を撫でながら睨む]
誇り高き鉄底の一族は、常に最も激しい戦場にいる。
いつでも来るがいい。
[これで接見は終わりだとばかり、族長は人間に背を向けた。
その後で氏族の若者が念のためと果たし状を受け取った。
そのまま、宿舎の出口まで案内する。
拒まなければ、そのまま魔軍宿営地の端まで共に行っただろう。
鉄底族にちょっかいを掛けようという亜人は、そうそう多くは無い。]
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