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[血親から届いた手紙]
前略
元気にやっていると白絽候から連絡を受けていますよ
食餌の調達も順調だとか。
あなたの顔も忘れてしまいそうです。
いつまでも同じ場所で安穏と過ごすのは我が一族としての名折れですよ?
それに、先方へもご迷惑かけてしまうでしょう?
そろそろ帰っていいと認めてもらって帰っていらっしゃい。
白絽候は最終的に宴と称する遊戯を開催します。
命題達成の折りには餞別も出しますが、
それは辞退なさい。
もっとも、あなたには命題達成はできないでしょうから
最後に徹底的に鍛えてもらってから這々の体で戻ることになるでしょう。
それでも私は歓迎しますよ?
早く会いたいです“母より”
[ガートルートとセルウィンと呼ばれた男の話をぼんやりと聞いていた]
(自ら望んで吸血鬼に?)
(それなのに…あの抵抗?)
[混乱していた。自分は血親に魅入られ、攫われた。人間だった頃の記憶など、とうに忘れてしまったが、望んで吸血鬼になったわけでないゆえに、汚らわしいとすら思って、暴れに暴れた記憶はうっすら残っている。]
……はぅ…っ…
[足元から袖口から這いまわる感触に全身が粟立つのを感じた。
たえず刺激される快楽地獄に突き落とす触手。
ズルリぬるりと這いずって、悦いところを探り当て昂ぶらせんと蠢き、時にチクリと噛み付くような刺激を与えてくる]
はっ…ああっ……
[とても声を抑える事はできず、あっという間に最初の快楽に押し流される。
その間にガートルートからの吸血の快楽も混ざり、意識を飛ばすこともできず小刻みに震えるのみ。]
― 粘滑の間 ―
[猫になっても触手は離れてくれない。
ただ、人の時ほど激しい刺激を与えるわけではない。
それでも、人のカタチが保てないほど消耗した体にはそれも苦痛すら伴うもので。]
フーッ!
[なんとか意識を前足に集中してみる。炎のゆらめきが大きくなった。
本当なら全身を炎で包み込めばいいのだろうが、まだそこまで至らず。
試しに前足を蹴りだして見るが、マッチの火程度の炎が飛ぶばかり。
スライムに到達すれば瞬時に消えてしまう。]
― 8分後 ―
[集中し続けるうちに全身に炎が回るようになってきた]
ふぎゃー
[この状態で駆けまわってみる。さすがにスライムも気づいて反撃しようと襲いかかろうとするが、全身が炎に包まれているので掴まれない。
この段階でスライムの1/4ほどが焼け落ちた。]
― さらに18分後 ―
[次第に蹴りだした前足からの火炎砲がスライムにダメージを与えるまでになった。
……が]
……ふぎゅ……
[絡みつく触手は炎と関係なく蠢いているために
快楽のほうが勝ってしまうと腰砕けになる。
そのたびに攻撃を中断せざるを得ず。
今度は隙あらば反撃しようとするスライムから逃げるために無様な格好で攻撃を躱すしかない。
そのためスライムの半分ほどを殲滅するのに先ほどの倍の時間かかってしまった。]
― さらに34分後 ―
[腰砕けによる攻撃中断から新たに攻撃をするの繰り返しは非情にも体力を奪ってゆく。
体力は奪われるが、攻撃力は確実に上がっている。
火炎砲に加えて自分の足元は白く発熱し、触れただけで燃え尽きてしまうようになり、スライムから逃げなくても済むようになった。
そのため、スライムの9割を殲滅するのに、先ほどの倍くらいで済むように。
溶かされている女は狂わされて意識がないようにみえる。
ただし、全てを殲滅していないうちはなんとかしなくてはいけない。
タイムリミットまで、あと、3分。]
― そして、1時間後 ―
[タイムリミットの1時間ギリギリでスライムを全て殲滅する。
人を傷つけずにスライムだけを倒すのにだけ手間がかかった。]
にゃー
[魔法を解除し、倒れている人間に近づき頬を舐める。着ていたものはなくなっていたが、なんとか息はあるようだ。
飢餓状態から襲ってしまいたい衝動に駆られるが、
ここはグッと我慢をして人間に頬ずりしてみせる。]
にゃぁ
[終わりましたよ、と言いたげに虚空にむかって鳴いてみる。
その直後、触手の動きで精も根も尽き果て、倒れこんでしまった。]
[倒れこんでもすぐに触手は刺激を与えてくるために
目を覚ます]
ふにぃー
[食べてもいいよと言われて人間のもとへ。
背後の首筋に牙を立てる。
極限まで快楽に狂わされて、今こうして吸血鬼に供する女には背中のちくりとした痛みは感じられない程度であろう。
久々の人間。夢中で吸ってゆく。
恐怖で打ち震える人間の血は苦いと思っていたが、
飢えていればそれも美味いとしか感じない。
おそらく、この吸血が留めになったのだろうか。
吸血を終えた頃には、女は動かなくなっていた。
それから人の姿に。
途端に触手が元気に蠢く]
……っう……
[感覚が戻った体には些か強すぎる刺激に膝をつく。
が、すぐに別のところに行くと言われれば、拒否することなど出来るはずもなく。
波が引くのを待ってガートルートに付いていく。]
[最後の課題はさすがに達成不可能だろうと思いつつ]
ふたくち…ですか。
厳しいですね……
ガートルート様、最初に血を分けていただけますか?
一口だけ
[むしろ清々しいくらいの馬鹿と思われる方がいいだろうということで、断られること確実など真ん中なお願いをしてみた。]
与し易いとは思っておりません。
見返り、ですか…
[やはり言うと思ったと笑みをこぼす]
今の見返りはガートルート様の掌の手当を
私の身でさせていただくことでしょうか。
[そもそもそんなことをしなくてもすぐに疵は癒えるのだが。
そしてこんな小手先の嘘が通じるとも思えない。
それでも、さも当然、というようにしれっと言ってのける。]
魅力的な見返り…ですか。
精進いたします。
[苦笑の後の一礼し]
極上の一口を、いただきにあがります。
いつか、必ず…
[薄くなる梟を見送る]
[遊びに行っておいで、との言葉にもう一度一礼して
猫の姿に変貌する]
にゃー
[白絽候、ガートルート、テオドール。
誰か一人の血を一口でも口にできれば僥倖であろう。
そう思いつつ、迷宮の闇に消えた。*]
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