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[ 魂を通じて呼ばれる感触に、目覚めの浜へ浮き上がる。
白檀にも似た香り。
ふっと息をついて目を開く。
微睡みに留まることはなく、すぐに状況把握をする。武人としての習性だ。]
…いい男がいた。
[ 覗き込む顔に手を伸ばしながら、唐突に告白する。]
また、したいと思う。
[ 負けたことは悔しいが、いつまでも拘泥してはいなかった。]
引きずってしまったか?
[ わずかに目を細めて、短く問う。
彼がここにいるということは、彼もまた戦線離脱したということである。
闘技宴上の正規パートナーではなくとも、互いの絆を思えば、連鎖落ちはありえないこともなかった。*]
[ 妬ける、と目の前の"いい男"が言った。
そんな感情すら素直に伝えてくる彼が愛おしい。
ただ、それを素直に返す自分でもなくて、甘噛みされた指の感触に、わずかに首筋を染めた。]
おまえが不覚をとるなど、それこそ想定外の相手だったのだろう。
[ 詮索しても仕方のないことだ。ただ事実を容認して、栴檀の香りを飲み込んだ。]
[ 二人きりでいられる時間は限られている、と彼は囁く。
間もなくここへ来るだろうアレが、指示どおり凌ぎ続けたことは褒めてやらねばならない…と頭の片隅に置いておきつつも、積極的な彼のアプローチを遮ることはしなかった。
柔らかな唇に口を塞がれ、別種の格闘に身を投じる。
永劫を生きる身であっても、愛する者と過ごせる時間は矢のごときもの。
刹那に血を燃やそう。*]
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