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― 現在 ―
[ それは今この瞬間も変わらぬ願い。
側にいて欲しい。
おまえと共に人生を謳歌したい。
だが、その願いは一度たりと命令であったことはない。
風を繋いでおくなど無理な話だ。]
[ 勝った!と叫んでいるのは《猿》たちだけではなかった。
「今すぐ撤退しなければ退路を断たれるぞ」そんな流言が砂煙の中を西へと走ってゆく。
チャールズ軍団も、猛将との戦いで落ちた気を取り直すかのように前進に応じる。
王都方面から戻ってくる兵がいるならば、それを討たんとした。*]
[ 盾と槍を構えて待ち受けるティルカンの重歩兵隊へと雪崩れ込まんとする《竜骨》に正面からの弓隊の斉射がカウンターを食らわせる。のみならず、上からも矢の雨は降り注いだ。>>41
それは隊列のそこかしこに欠員を生じさせたが、調練された兵は可能な限り素早くその穴を埋めていった。
倒れた味方を蹴り出しても前進する。
ここまできたら止めようがないのだ。
乱戦となれば矢は使えまいとばかりに押し上げた。 ]
[ 南のマーティン軍団は、歩兵隊の脇を守る隊と、蟹のハサミめいて伸びる隊に分かれ、当たるを幸い叩き合う構えだ。
ただ、完全に包囲するようなことはしなかった。
ティルカンの退路は常に開けてある。
北のチャールズ隊も、撤退する兵には構わなかった。
あちらはむしろ、それどころではなく振り回されている感もある。
今、一番、弱い部分であろう。]
…まったく、よくあそこまで動く。
[ ティルカン騎兵には舌を巻くばかりだ。]
引けば追わんのだがな。
[ 戦の進め方でもそれを伝えてはいるつもりだが、戦闘行為を終わらせるためには、ティルカン側にも切っ掛けを与えなければならないことはわかっている。
リンデマンスの降伏で、その天秤はだいぶ傾いたはずだが、まだ足りない。
指揮官の負傷、あるいは、一定の戦果はあった、ここが潮時と思わせる何かが必要だ。
今、撤退を勧告しても通らないだろう。
図らずも、クリフと同じようなことを思案しているといえよう。>>38
これは戦闘とは別次元の駆け引きだった。*]
[ 誘う声に身を乗り出しそうになる。
この高揚。だが、これは純粋な喜びから来ているのか。あるいは、]
まだ遊ぶ算段をしてあるのか?
満足したら王都方面で羽を伸ばしてきてもいいぞ。
[ 体力を鑑みて、無理はするなと、言外に伝える。
彼らは充分に撹乱してくれた。助かった。]
[ もう一度、王都方面で動きがあった。
伝令がナイジェルの進軍を伝えてくる。>>62
それはまさしく援軍という形になろう。
角笛を高らかに鳴らし、ティルカン側にもそれを知らしめておく。
これ以上、拘泥しても押しまくられるだけだと威圧するように。]
…是非にも彼をと望んだのは正しかったな。
[ その時、チャールズが直援の騎兵を伴い、果敢にティルカンの大将旗を目指して突撃をかけた。
総大将を狩れれば金星。仮に自分が負けてもナイジェルの加勢により味方の優位は変わらないと判断したのだろう。
ハルバードの猛将に苦杯を舐めさせられ、挽回したいという苛立ちもあったか。]
機を逃すな。
[ チャールズに力を与えんと、全軍を鼓舞する。**]
おまえがそこまでせずとも勝てる。
[ ここでレトを行かせたら危険だ、と漠とした予感がある。]
ルーリーが疲れるほど働いたりすると、明日は嵐になるぞ。
[ あえて軽い揶揄で翻意を促した。]
わかってる。
[ レトがそこまでしようとしているのは、戦功のためでない。
知ってはいたけれど、素直で真摯な想いを"声"に紡がれて、鼓動は跳ねた。]
…わかってる。
[ 認めよう。求めよう。
おまえはおれのために生きていい、と。]
[ 中央で押し合う両軍歩兵はおおよそ同数。
いまだその盾の壁を破ることができず、巨獣同士の押し合いのように膠着していたが、ティルカン側には重装歩兵もいる。力押しでねじ込むには辛いと判断した。
短く角笛が吹き鳴らされ、《狼牙》は後方から徐々に南の方向へと位置を変えて、後方の弓兵隊へと狙いを変えた。マルール本隊の守りについているマーティン軍団麾下の《五月》も共に動く。
後方に空きができたところで《竜骨》は圧を弱めてじわりと後退に移る。
ティルカンの我慢強い歩兵隊が前へ出てくるのか、それとも相変わらず大地に根を張ったようにこの場に留まるのか確認すべく。]
[ 戦場の南北では騎馬隊が入り乱れて戦況の確認も困難だった。
北方はチャールズが突撃した後へナイジェルが入ってくれたようだ。
実に欲しいところに手が届く動きである。
チャールズ軍団麾下の《一月》《二月》騎馬隊は、ナイジェルの指揮に従うだろう。
南のマーティン軍団の《三月》《四月》はティルカンの背後に回り込みたいところではあるが、ティルカン騎兵に阻まれている。
連携がなかなか難しい。
これが戦場というものだとわかっていたから焦りはなかったが、疲労は徐々に兵らの動きを鈍らせてゆく。そうなれば、さらに思い通りの布陣は難しくなるだろう。*]
王国軍司令官 タイガは、王国軍弓騎士 ノーラ を投票先に選びました。
[ 羽を伸ばしてきてもいいと言ったのは自分だが、レトは本当に王都に行く気になったらしかった。]
門を開いてくれるかという意味ならば、"否"だろう。
だが、おまえが入りたいと望んで入り込めぬ場所など、なかなかないだろうな。
[ 彼の性格と能力はわかっているつもりだ。 ]
人を見る、か。 なるほど。
[ 王都はいわば中立地帯である。
部外者を見かけただけで叩きのめすほど追い詰められているとも思えないし、さしたる危険はないと考えた。]
別の視点からなら見えるものもあるだろう。頼む。
[ いつものように、彼のしたいことは自分の願いであると胸に落として解き放つ。]
[ 面で突き上げる動きによろめいた王国歩兵が、繰り出された槍に貫かれる。>>82
仰け反って味方に倒れこむ者、そのまま槍を抱え込んで前のめりに突っ伏す者、
金属と人の呻きが交錯する。
ティルカン歩兵隊が勢いまかせに雪崩れ込んでくることはなかった。
隊列を組み直す無駄のない動きに、日頃の訓練の厳しさが見てとれる。
これは難敵だと、肌で感じた。]
[ 《竜骨》を再びその前に出すことはせず、《狼牙》と同様に南へと躱すように動かす。
そこへ、離れたことで味方を誤射する危険がなくなったとばかりに、矢が降り注いだ。>>83
疲労もあいまって、盾を上げられずに射抜かれて膝をつく兵も少なくない。
矢の洗礼をしのいだ兵は、一丸となって騎兵が守る弓兵隊へと襲い掛かる。
馬の足を刈り、鎌槍をひっかけて騎手を落とさんと。
前に出た歩兵隊と入れ替わるようにして《五月》がタイガの護衛についた。]
[ 一方、《竜骨》が動いて開けた東への空間の先には、小さな要塞のように箱型連弩が4機ある。
かの盾の群れを蹴散らすには、城破槌でもぶつけたいところだが、無いものは仕方ない。
それでも、人力で扱うのとは格段に威力も太さも異なるクォレルが、水平二列十連の発射機構からティルカン歩兵に放たれた。
さらに上から長弓の矢。
音程を異にした、空気を裂く音が草原を渡る。
折しも、西から風が吹き始めていた。
湿った冷たい風だ。*]
/*
状況把握と伝達からの兵の動きが早すぎておいおいって思われてるかな、あっはい >>83
ちなみに角笛(ビューグルホーン)で命令出すと、相手にもこっちの動きがバレて素敵じゃない? (←
二兎追う者は一兎を得ずというぞ。
[ 王都に行くと言っていたその口が、今度はタイガが戦っているところを見たいなどと言う。
まったく自由な心だ。
だが、こっちに来なくていいといえば、かえってそそってしまうかもしれなかった。
ゆえに、軽く流す。 ]
[ この戦場において、自分は戦っているというより、"戦わせている"というべきだろう。
今の自分は、いつもより厳しい顔をしているに違いない。
レトが見る必要のない顔だ。]
ああ、気をつけておく。
[ レトの声に混じる素直な心配が温かい。]
ラーシュは、そこがひっかかる、か。
[ 継承争いの当事者どちらもが国を出るという非常事態。
第一王子が王妃らを追い出し、それも原因となって臣民の共感を得られず第一王子は逃げ出したと、自分では結論づけていたが、これから現地へ確かめに行こうという者に先入観を与えるべきではないと口をつぐんでおく。]
解決の糸口が見つかるといい。
[ それは、本心から思う。]
/*
わわ、ナイジェルは忙しい中ありがとうだ。
この人の指揮描写、わかりやすさと周囲への敬意が両立してて好きだ。
[ 中央もまた乱戦の様相を呈してきた。
騎兵中心の南北とは異なり、兵種入り乱れての戦いだ。
これは、長引く。
タイガは、その先に凛とした指揮の声を聞きつけた。>>98]
…征くか。
[散歩にと告げるような、冷静な声だった。
その意図は速やかに後列へと伝達され、高まる士気が声となって爆発する。]
[ 北から仕掛けるチャールズの動きを知っていたわけではないから、連携をとったわけではなかった。
ただ、潮目を読んで、動く。
風は湿気を孕んでいる。
雨になる可能性も高かった。
今しか、なかろう。
タイガと騎馬隊《五月》がクリフを目指す。
歩兵隊も歓呼の声をあげて、それを援護すべく奮戦した。
同じ頃、投石が精度を増しはじめた西方では、短い時間にありったけの矢を叩き込んだ《双六》と《氷雨》が戦場の区域外へと撤退を開始する。
煙幕代わりに、連弩には火がかけられた。**]
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