情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
[見つめる瞳に一瞬の揺らぎを認めるが、その後告げられた、寝癖、との言葉に彼が指した辺りの髪を手で梳く。]
直った?
[そう小首を傾げて問えば、肯定の返事がきたことだろう。二階で髪をキチンと漉かして降りてくるのは彼女の通常である。返答にニコニコと微笑めば、ドリッパーの準備をしただろう。
これはローズが店の扉を開ける>>25ほんの少し前の話*]
[防寒対策バッチリの彼の姿に思わず、ふふ、っと笑みを零し。と、可愛い、との言葉に一瞬キョトンとし。マフラーで口元を隠す仕草に、その言葉を飲み込めばニコリと笑った。]
はぁい。
[行くぞ、と先に進む彼に肩を並べて歩く白銀の街。いつもと同じ距離感。言葉はぶっきらぼうでもいつも歩幅を合わせてくれていることにくらい気付いている。]
ふふ、雪。
[道の傍の塀の上の綺麗な雪を、手袋を取って手にしてみる。指先にシンと沁みる冷たさが心地良い。見て見て、と丸めた雪を彼に見せた時には指先にはほんのり赤くなっていた。]
[コートのポケットに手を突っ込んで、幼馴染と並んで歩く。毎日のように彼女の店に立ち寄っていたが、共に外出するのは随分久しぶりのように感じた。
ふと、隣に居たはずの相手が自分を追い越して行く]
……あ。
[顔をあげれば、嬉しそうに雪を素手で触れる姿]
見ればわかる。餓鬼か、御前は。
[差し出された雪の玉と赤くなった指を見下ろし、溜息。
仕方なくといった態でポケットから手を出し、黒い皮手袋越しに彼女の指先に触れた]
しもやけになったら、店で困るだろが。
[丸めた雪を丁重に塀の上へ戻し、両手で包み込むように相手の手を温める]
[ぶっきらぼうな言葉と裏腹に、冷えて赤くなった手を包んでくれる彼にニコリと微笑む。もう既に頬も鼻も赤くなっていることだろう。]
真っ白で綺麗ですぐに溶けてしまう儚さで、それでいて冷たくて痛みを残していくなんて、雪ってズルい。
[態とらしく拗ねたような顔をして見れば、口から出るのはそんな言葉で。
包まれていた手からスルリと抜ければ、まだ冷えたままの手を半分マフラーで隠れた彼の頬に押し当てる。]
ふふ、冷たい?
[悪戯っ子のように笑えば、彼を見上げながらそう言い。]
[見慣れた彼女の微笑だが、肌は寒さで淡く赤色に染まっている。見ている此方まで寒くなりそうだ。あまり長散歩せずに早めに帰った方が良いだろうか、と思案していると、幼馴染は雪へ文句を言い始める]
……冷たいと言うだけで、十分有罪だ。
[彼女の珍しい表情を見つめつつ、少しずれた賛同をして]
でも、御前は好きなんだろう。
[有罪ではあるが、彼女を喜ばせるものなら、まあ許容しなくもない。既に形を崩しかけた塀の上の雪玉を見つめていると、包んでいたはずの彼女の手の感覚が消え]
ッ……!?
[唐突に頬に走る冷たさ。声を上げるのは何とか堪えたが]
ば、馬鹿!冷たいに決まってるだろうが!
[手を振り払うことはせず、しかし笑みを浮かべる彼女へ詰め寄る]
[ただ、子供みたいな楽しそうな顔を見つめていると、怒る気も失せ。マフラー越しに彼女の冷たい手に触れて、体温が戻るのを待った]
全く……。
[やがて少し温まれば、ぶつぶつと言いながら自分のマフラーを彼女へ巻き直す]
風邪ひかないうちに、帰るからな。
[白い息を吐きながら、手を差し出した]
[それでも好きなんだろう?と問われれば、好き、と小さく答える。]
何だか、雪を見ていると、赦される気がして…
何から、と聞かれると困るのだけれど。
[困ったような笑みを浮かれば、漠然とした答えが溢れる。自分でもよく分からないの、と続けて。
悪戯に反応する相手を見、詰め寄られても笑顔をままで。感覚を失いかけていた手は温められてそれを取り戻し、指先に触れた頬の感触が伝わる。大人しくマフラーを巻かれれば、えへへ、と笑い、出された手に指を絡ませた。]
ずっとこうしていたい。
[どこかで聞いたセリフを繰り返す。けれどその声には茶化すような響きはなく、心からの声。]
[困ったような笑みを浮かべる相手をじっと見つめる]
―――……。
[彼女は罪からは一番遠い存在に思えた。ただ、何故か否定の言葉を告げるのが躊躇われて、黙り込む。
マフラーを譲ったので、先ほどより風が冷たい。しかし笑う相手の顔を見れば、まあ良いかと内心で呟いた]
『ずっとこうしていたい』
[その言葉は先日の出来事を思い起こさせ、胸がざわつく。自然と繋いだ指先に、力が籠る]
別に特別なことじゃないだろ。
来年も、再来年も。また来れば良い。
雪なんてこれからも、飽きるほど見れる。
[ずっと一緒にいるのだから]
……ただ。
[暫くの逡巡の末、付け足される言葉]
ときどき、ヴィオが、
何処か遠くに行ってしまいそうな気がする。
それが。
[ぽつり、ぽつりと]
怖い。
[彼女を困らせるだけだと、分かっているのに]
[繋いでいる手にぎゅっと力が籠るのを感じる。答えるように軽く握り返しながら、彼の声を聞く。巻いてもらったマフラーに顔を埋めるようにして、彼の匂いを吸い込めば、何だか込み上げるものに少し胸が詰まる。]
来年も、再来年も……
[確かめるようにその言葉を辿れば、ニコリと笑みを浮かべた。
──彼が言うならきっとそうなる
そんな気がする。]
そうね、飽きるほど、見れる……
[今までもそうだったから。
きっとこれからもそう。]
[ただ、と付け出される言葉にふと足を止め、彼に向く。ぽつりぽつりと紡がれる言葉を拾い上げるように受け止めてゆく。
──怖い
そう言った彼に、柔らかく笑いかける。]
大丈夫。
私はずっとギィと一緒、だから。
[ずっと。これからも。
それは変わらない──
ほぅ、と白い息を吐けば、そっと背伸びをし、彼の首に腕を回してそっとその唇に触れた。]
[ただ、と付け出される言葉にふと足を止め、彼に向く。ぽつりぽつりと紡がれる言葉を拾い上げるように受け止めてゆく。
──怖い──
自分の中にある漠然とした不安。彼が居れば緩和されるそれは、彼を不安にさせているのだろうか。ほんの少し困ったように笑う。]
大丈夫。
私はずっとギィと一緒、だから。
[それでも彼への想いは変わらない。
それはずっと。傍に、居たい。
ほぅ、と白い息を吐けば、そっと背伸びをし、彼の首に腕を回してそっとその唇に触れた。]
[彼女は再び、困ったように笑う。そんな顔をさせたい訳ではないのに]
分かっている。
[大丈夫、一緒だ、という言葉に返す声。
漠然とした不安に苛まれるなんて、馬鹿げたことだと理解はしている。けれど、止まないざわつきは、何故]
ヴィオ。
[彼女との距離が縮まる。触れる温もりに目を伏せる。
相手の身体を抱き寄せて、ゆっくりと頬を寄せる。伝わる体温は、きっと既に少し冷えている]
俺は多分。
君が考えているよりも、君のことが好きだから。
[顔をあげて、真っ直ぐに彼女の瞳を見つめる]
愛してる。
[あの時言えなかった言葉を囁いて、口付けた]
せっかくだから、花屋 オクタヴィア は 准士官 トール に投票するぜ!
[身体を抱き寄せられ囁かれる言葉に、再びあらゆる感情が湧き上がる。形の見えない不安感を押しやるように、その力に身を委ねる。触れた唇からの熱に溶けてしまうような、そんな心地で。]
私、も。
[そっと唇を離せば、限りなく近い距離で彼を見つめる。]
愛して、る…
[言い慣れない言葉はぎこちなく、居たたまれなくなって目を逸らせば、首元に抱き着いた。]
[間近な距離で、たどたどしく紡がれる言葉。照れたように顔を隠す仕草。全てが愛らしく、愛しく思えた。冷たくなった彼女の髪を梳くように、何度も何度も優しく撫でる。
このまま時が止まれば良いのに。
ずっと一緒だから大丈夫だと言う想いと裏腹な願いが、脳裏を過って消えた。
やがて日も傾いて来て、一層凍えるような風が吹き抜ける]
……戻るか。
[名残惜しそうに彼女から離れて。それでもやはり、手は差し出した]
まあ、楽しかった。
[帰路の途中、呟くように零すのは短い言葉]
ありがとう。
[ちらりと幼馴染の方を見て、微笑んだ**]
[ ──このまま壊れないで──
何故かそう強く願う気持ち。髪を撫でる手も、抱き締めてくれる腕も、大好きな声も全部目の前にあるのに。
名残惜しげに離れた彼に、向ける瞳はほんの少し揺れていて。
差し出された手を握れば、確認するように指を絡める。]
こちらこそ、ありがとう。
[努めて明るく、ニコリと微笑む。目の前の彼が微笑んでくれる。これだけで心は満たされてゆく。]
今日はお客さん多かったわね……
[お客さんが引けば独りごちて。朝早くからお昼過ぎまで、店内はとても賑わっていた。こんな雪の日にとても有難いことで。何より、此処に沢山の人が集まってくれることが嬉しかった。
その分、一人になると妙に店内が広く感じる。簡単に店を片付ければ看板をCloseへと変えた。]
さて、と……
[紅茶を淹れようかしら、とコンロに火を点ける。指先を見つめればまだ温かい感覚が残っているような気がした。]
[夜が怖い、と。
知っていれば、離れなかっただろうに。
揺れる瞳に隠れた想いに、届かない**]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新