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俺を殺して、奪い取れ、とな!
[叫びつつ、駆けてくるのに合わせて槍を繰り出す。
初手で当たるとは思ってはいない。
一閃の後、素早く槍を引き戻しつつ後退して、二の閃を突き出す。
一閃ごとに高まるのは、昂揚。
引き摺られている場合でないとは、思いつつ、だが。
留まれそうにない、という予測もまた、意識の隅をかすめていた]
……ああ、甘いな。
どうしようもなく、甘い考えだ。
[目を開き、最初に口にしたのはきつい一言。
けれど、言葉とは裏腹、表情は穏やかで、柔らかい]
……だが、嫌いじゃない。
そう、言い切れる、想いは。
……その想い、見込んで。
一つ二つ、頼まれてほしい事がある。
[ここで一度、言葉を切って。
ひとつ、息を吐く]
……
あいつが……ヤコブが築き上げる、
叶うなら、同じ道を、同じ歩幅で進みながら、な。
[一人で進んでしまう事のないよう、共に、と。
そんな願いを込めた言葉を静かに告げて。
それから、もう一つ、息を吐いた]
……ま。
自分で最後まで、見届けられりゃあ、御の字なんだが。
……そうもいかん事情があって……な。
[苦笑にじませ、胸元、『印』のある辺りに触れながら]
だから、あいつに近い位置にいて。
この願いを託せると思えるお前に……頼みたい。
……頼まれてくれるか?
[緩く首を傾いで問いかけた。*]
欲しがるのは自由だが、そう簡単にはやれんぜ?
……俺にも、色々と都合があるんでな。
[く、と浮かぶのは笑み。
真っ直ぐ自分に向かってくる力。
これを止められるのは、同種の力だけだろう。
ならば、それを担うは自身の務めか。
そんな、理屈めいた想いが過るのは──刹那。
愛槍を──牙を握る手に、力がこもる。
間合い図るは一瞬、踏み込みと共に繰り出す突き一閃──と見せかけ、不意を突くように地を蹴り、跳ぶ。
高さはさほどでもない──が。
自由落下の勢い乗せた効果突きは、それなりに重いもの]
……聞き届けてくれた事、感謝する……シュテルン・フローエ。
[表情を改め、告げる言葉は、静かなもの]
俺の願い、貴公に託させてもらう。
……護り、支えてやってくれ。
[いつになく真摯な表情で告げて。
それから一転、表情は、軽いものに転じた]
あ、それとな。
ああいうヤツは、何かやらかしたら、遠慮なくぶん殴ってやれ。
言葉であれこれ言うより、その方が効く事が多い。
……さて。
忙しい時分に、長々とすまんな。
俺は、そろそろ戻って、隊を取りまとめんといかん。
[そう、告げる様子は最初に話しかけた時と変わらぬ素の様子]
……落ち着いたら、もう少しゆっくり話す時間、とりたいところだが……ま、そのためにも今はやるべき事をしっかりやるとするかね。
[紡いだ言葉は、本心からの想い。
自身の先は、今は見えず、故に意識に入れる事はなく]
じゃ、またな。
[ひら、と軽く手を振り、踵を返した。**]
/*
うむ。
生きてる間に若手相手に一回はにぱ顔使う、全コンプはならず、か。
[何を狙ってんですか]
とはいえ、やりたかった事はほぼやり切った、と思う。
後はどんだけ、細かい描写を落とせるか……!
[ふと耳元で聞こえた言葉に、一瞬驚いた顔になってすぐに笑顔に変わった]
はい。アドバイスありがとうございます。
その時になったら是非実行しますね。
― 迷子の話 ―
[印を刻まれたのは、未だ幼い頃。
リンドブルムの家の務めだから、と。
そう言って、父は幼い少年の身に刃を持ってそれを刻んだ]
『いつか現れる、"継承者"を守るために』
『その途を正しく拓くために』
『……それが、遠い日に交わした約束だから』
『約を果たすために、
[痛みに泣き叫ぶ事も赦されぬまま、与えられた呪い。
それと共に告げられた言葉は、酷く空虚に響いた]
[騎士になるのは、幼い少年がごく自然に抱いた夢。
同い年の少年も、同じ夢を良く口にしていた。
騎士の家に生まれ、その存在を身近に見て、幼心に抱いた憧憬。
けれど、『印』を刻まれて以降、少年の抱くそれは陰りを帯びた。
いつ現れるかも、本当に現れるかもわからない"継承者"のために、自分の未来を差し出す。
その手段として、逃れられぬ運命として、憧れへの道が作られた事への言葉に出来ぬ複雑な想い。
それはいつか、快活だった少年から笑みを、怒りを、嘆きを、奪い取っていた]
[
その時も、ただひとりでふらついていた。
ひとり歩きを好機と見たか、それとも『印』の魔力に惹かれたか。
血を求める魔物に襲われた少年は、一人の騎士によって救われた]
[どうして、と問うた。
『印』帯びた身は、容易く傷つけられる事はない。
だから、誰にも護られる必要はない。
そう思っていたから投げかけた問いに、その騎士は穏やかに笑んで]
『民を護るは、騎士の務め。
それ以外に、理由が必要かい?
そうでなくても、子供が襲われているのを放っておくなど、できるはずもない』
[ごく当たり前のように告げられた言葉は、心の空虚にすとん、と落ちて。
……錆びついていた歯車が、僅かに軋んだ]
[一族の運命のために騎士になれと求められ。
その道をたどる以外に、幼い夢を叶える術はないのだと思っていた。
けれど、違うのだと。
その騎士との出会いで、そう、思えた。
騎士の務めと、竜の名を継ぐ者の務めは違うのだと。
そう、思えたから。
父の求める在り方としてではなく、自分自身の意志で、騎士となろう、とそう、決めて。
友と呼べる者との出会いを経て、
……気のせい?
いや……それにしては……。
[似ていたような気がする。
幼い頃、あらゆる意味で己を救ってくれた騎士に。
思案の時はしばし──男はふるり、と首を振って、浮かんだ想いを振り払う。
確かめるとしても終わった後。
今は、遠い追憶に囚われる時ではないのだから、と。*]
― 戦場 ―
[愛馬が後退した騎士団の方へ向かうと、息を吐く。
魔術の祝福を受けた黒馬は、単独でもそれなりの力を持つ。
使いこなせる者がいるなら、それなりに戦力になるはず、と。
思ったのは、そんな事]
……そーかい。
個人的には、嬉しくねぇ評価だがなっ!
[不意を突いた一閃はぎりぎりでかわされる。
く、と零れる笑みは騎士というよりは、闘士としてのそれに近い]
……俺の命、紡がれる先……その全て、くれてやる。
[意識を向けるのは、刻まれし『印』]
この身、この命、天翔ける竜の牙となし。
……立ちはだかる全て、打ち砕く!
[宣は宣であり、同時に、言霊しての力を持つ。
刻まれし竜の印が力を放つ。
一度限りの、呪の力。
それを持ちて繰り出す突きは、天を引き裂く雷光の如き猛く、速き閃。
防御というものを一切無視したその一撃は。
己が身に突き立つものの一切を、顧みる事なく、放たれた]
[──雷光の閃を放った直後、声が聞こえた気がした。
よく知っている、声]
『……にいさま、約束だからね』
『かあさまの子守唄、ちゃんと教えて?』
『あの歌はもう、にいさましか覚えてないんだから……』
[いつ聞いた声だったか、と、思う。
ああ、出陣の前だ。
最後に顔を出した時の──]
……すまんな……アイリ。
……子守唄、教えてやれそうに……ない。
[今は遠い地の妹への呟きが、零れて、落ちる。
苦い笑みはほんの一刹那、泡沫の幻の如きもの。*]
― 戦場 ―
[放った閃は、確かな手応えを伝えてくる。
取った、と。
思うと同時に、突き立てられた長剣が腹を穿つ衝撃が伝わった]
……ぐっ……。
[痛みはない。
あるのはただ、熱さ。
繰り出した牙から力を抜く事はしない。
拓かれるべき道を阻むものを打ち砕くは、己が務めであり、自身の──願い]
[……ふ、と。
浮かんだのは、新たな盟主と彼を支える若手たちの姿。
……頼んだ、ぜ。
見届ける事、と。
……お前たちだから、築ける……新たな
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