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わたしは、みんなのほうが、
だいじにしてくれてると、おもう。
[紡いだのは、こうしてイェンスと手合わせするようになって実感できたこと。
初めて得物を構えて彼と向き合った時、痛感したのだ。
人に武器を向けること、人から武器を向けられることの怖さを。
刃のついていないただの棒なのに、それでもとても、怖いと思った。
そして分かったのだ。
父や兄、集落の男性たちは皆、これ以上の怖さを知りながら、それでも守る為の鍛錬を繰り返していて。
女の子がこんなことをしなくていいというその理由の中に、この怖さを知らないままにいさせたかったというのが、少なからずあったのだと]
[だから、私は前よりも父や兄に対しての感謝も強まって。
集落の皆の目も、私のことを大事に思ってもくれているからだとも、思えるようになっていて。
とはいえ、変わり者扱いされていることも、いやというほど分かっていたから]
………およめさん…。
わたし………
なれるの…かな。
[こんな変わり者をお嫁さんにしたがる人なんてできるのだろうか、と。
そんな呟きを落とした後は、続ける言葉も思い浮かばなくて。
手当も済んだし、手合わせを再開しよう?と誘ったことでこの話はここで終わったのだったか*]
[賞賛の声>>*61に返すのは、どこか楽し気な笑みと、突きの一撃。
最小限の動きからの一閃に対し、紫黒がとったのは身を沈め、直撃を避ける動き]
……ちっ……相性、わりぃんだよなっ!
[金属を掠める甲高い音に、舌打ち一つ。
斬撃と刺突を主体としたこちらの得物は、全身鎧に対してとてもとても相性が、悪い。
ならば、と思う、その僅かな空白に、胴に向けて一撃が打ち込まれる。>>*62]
……っとと!
[とっさに飛びずさる事で痛打を受ける事は避けたものの、このまま闇雲に切り込んでも埒が明かないのは明らかで]
……っとに。
抜けりゃ、ちった楽なんだがな……!
[『龍爪』にも雷の力は宿っているが、『紅雷』のそれと比べたなら、弱い]
って言っても……今は、やれる手でやるしか、ねぇしなっ!
[愚痴った所で使えないものは使えない。
だから今は使えるものを、と思いつつ]
……そらよっ!
[掛け声と共に『龍爪』を横一線に振るい、生じた雷撃の矢を投げつけた。*]
[距離取る動きは、追われる事はない。
最終的はどうにか、と思考を巡らせていた所に届いた、声。>>*65]
……さて、ね!
飾りかどうか、確かめたいなら、抜かせてみな!
[ほんの一瞬、苛立ちが掠めるものの、それはどうにか飲み込んで。
逆に、煽るような言葉を投げ返す]
[放った雷撃に対する反応。>>*66
全力とも言えそうな勢いでの回避に、ぁ、と小さな声が上がった]
……ぁー……そりゃそうか。
[金属鎧に対し、刃の相性は劣悪だが、雷の術は優位に立てる。
単純な理屈だが、そこを生かせば勝機はある、と。
納得している時間は、実の所あまりなかった]
……ちっ!
[撃ちだされる弾丸の速度は、速い。
とっさに射線から身を引く事で打ち抜かれるのは避けたものの、未だ刃持つ左の腕を衝撃が掠めて過ぎた]
っとに、この飛び道具は……。
[ぼやきながら『龍爪』を右手に持ち替え、左手は『紅雷』の柄に添えつつその場に膝を突く]
面倒だよ、なぁ!
[そのまま、右手の刃を地面に突きたてて]
……雷蛇、駆けろ!
[術の言霊に応じて生じるのは、雷の蛇。
地をかけ、紫黒へと迫るそれを追うように、自身も刃を引き抜いて地を駆けた。*]
[雷が相手にもたらす影響の程は知る術もなく。
まあ、知った所で何かが変わるわけでもないのだが、それはさておき]
……て、そーゆーやり方ありか!
[手にしたブレードで雷蛇を叩き切る、という荒業に上がった声の響きは驚き半分感心半分]
[駆けるこちらを迎え討たんとするかの如き動き。
無理によければ、次の一手が届かない、との判断は早く]
それならそれでっ……!
[繰り出される蹴りの一撃は、交差した腕で敢えて受け]
やりようってのは……あるんだよ、なぁっ!
[腕を開く勢いを生かして跳ねのける事での態勢を崩す試み。
直後に狙うは、懐に飛び込んで雷撃帯びた刃を突き立てる事。*]
[手当てに関しては全く持ってその通り、な部分も多々あるのでそれ以上の反論は諦めつつ。
こちらの評への反応にあれ? と首を傾いだ]
んー……。
[少女の内なる葛藤までは知らぬ身、そう思う所以は想像もできないけれど]
大事にするって、さ。
どっちが上とか、どっちが凄いとか、そーゆーの関係ないと思うんだけどなー。
だって、そんなの、言いだしたらきりないし。
どっちも大事にしてるんなら、お相子でいいんじゃね?
[そんな簡単に割り切れる事ではないのかも知れないけれど。
少なくとも、少年にとってそこはシンプルな図式が出来上がっている所だからそう告げて。
その後のなれるのかな、という呟きに赤の瞳を瞬いた]
[少女が変わり者扱いされているのは知っている。
そして、彼女に付き合う自分もやや、異端視されているのは感じていた。
もっとも、こちらは元々外部の者である事と、必要な技術をもたらす鍛冶師の倅、という事で、表立って何か言われたりされたりする事はないのだがそれはそれとして]
ホント、パメラってしんぱいしょーだよなぁ。
[立ち込めた微妙な沈黙をどうしようか、と考えて、口にしたのは殊更おどけたような物言いの言葉と]
……だいじょーぶだよ、きっと。
[先なんてどうなるかわからないんだから、不安がるなよ、と。
そんな思いを込めた言の葉、ひとつ。
その後は、誘われるままに稽古を再開して。
帰ってからこの話をした両親の微妙というか呆れたような表情の意味は、結局理解できないままだったとか。**]
[とっさの判断は当たりの方向へと動いたらしく、懐に飛び込み一撃突き立てる目論見は成功した]
結構、効いてるっぽいねぇ!
[与えた衝撃故か、虚ろに見える瞳に揶揄するような言葉を投げかける。>>*81
その僅かな刹那が隙となった]
ん、なっ……!
[一瞬で宿った鋭い光と、声。
ヤバいと思い離れようとするも一歩及ばず、右の手首を掴まれる。
辛うじて『龍爪』を取り落とすのは免れるものの、動きを封じられる形となれば、次に来る一撃を避ける術はなく]
……っつあ……!
[振り上げられた刃が胴を捉え、切り裂いていく。
纏う軍服には防刃効果もなくはないが、振り上げられる勢いと、何より、そこにこもる気迫の前には無意味なもの。
緋がこぼれ、刹那、視界がぶれるが、崩れ落ちる事はできない]
……っとに。
やってくれる、ねぇ……!
[痛みに堪えつつ、掴まれた右の手首を振りほどき、後ろに飛びずさる]
あー、も、ホント。
規格外すぎるだろ……。
[雷蛇を叩き切ったり、ブレード一本で身体を支え切ってみたり。>>*80
噂に聞いていた以上の傑物ぶりに、声音に宿るのは賞賛の響き]
まー、だからって。
それで妥協する気は、ねぇんだけどなっ……。
[相手が強者であるならば、なおさら引く事はできない、と。
そんな思いと共に呼吸整え、再度、仕掛ける期を図る。*]
ま、このくらいは、効いてくれねぇと、な。
[揶揄に返された言葉>>*86に、荒く息をしながら返す]
ま、確かに、俺は、規格外で間違いないけど、ねぇ。
[規格外>>*87、は教練所で幾度となく言われた事。
動きや、刃の振るい方の破天荒さ故に、そう称されることは多かった。
向こうの四肢の事情までは知らぬから、特別製、という言葉は装備が、という意に受け取って]
(しかしまぁ、効くっつっても限度あるからな……)
[雷撃は、二対の属と自身の属を共鳴させて放つもの。
一般的な魔術と違い、魔力的な消費は低いが、身体にかかる負担は大きい。
『紅雷』を自在に操れる状態であればもう少し安定するだろう、とは言われていたが、現状ではないものねだりだ]
ま、そうは言っても。
[受けきってやる、と言い切り、待ち受ける姿。>>*89
それを見てしまうと、多少無茶してでも限界を越えたくなる。
対する紫黒を強者と見なしたが故の、危険な好奇心と欲。
赤の瞳に浮かぶのは、それらを表すが如き楽し気な色]
そこまで言われちまったら……こっちとしても、やれるだけやらねぇと、なぁ。
[く、と口の端上げて、『紅雷』の柄をぐ、と握る。
呼応するように、赤虎目石が微かに煌いた]
受けきれるって、言うんなら。
[高まる雷の気が、赤の煌きとなって、『龍爪』の刃に宿る]
やって……。
[呼吸整え、地を蹴った]
みせやがれってんだ!
[間合いに入るより先、横一文字に刃を薙ぐ。
生じるのは、先よりも威力を高めた赤い雷の矢。
それを追って距離を詰めつつ、横に薙いだ刃を下から返して切り上げた。*]
……なにっ!?
[威力上げた赤の雷は、紫黒の左腕に受け止められた。>>*99
その直前になされた事>>*98は知る由なく――否、知ったとしても]
やって、くれる……!
[止められた苛立ちよりは、それへの感嘆の方が僅か、上回るのは変わらない]
[下げられた左の腕が、切り上げた刃を払う。
舌打ち一つ、引き戻そうとするのに僅かに先んじて、真一文字に振り切られた一閃が胴を裂いた]
……ん、のっ……!
[再び落ちる、緋。
けれど、それに怯む暇はない]
『紅雷』、力、貸せ!
[今までの対峙から、雷撃を受けた後のあちらの動きにある程度の制限がかかるのは見て取れている。
ならば、この距離は好機でもある、と。
払われ泳いでいた右手を引き戻し、傷から溢れる己が血を刃に乗せる。
呼応するように『紅雷』の鍔から赤い光が落ち、それが刃に宿った]
っせぇ、の!
[叫びと共に繰り出すのは、胴狙い突きの一撃。
刃は鎧の硬度に阻まれるかも知れないが、宿る雷気は通るはず、と念を込め。*]
[私の反応に、イェンスくんもまた首を傾げて。
言われたのは、どっちが上とか関係ないということ。
どっちも大事にしてるなら、お相子でいいんじゃないかという言葉は、やっぱり私の中にはなかった考えで。
ぱちり、ぱちりと繰り返す瞬きは、頬の赤が増すごとにゆっくりになって]
…わたし、そんなふーに
かんがえたこと、なかった。
イェンスくんは、すごいね。
[ふにゃ、と和らいだ表情は、その後のだいじょうぶという言葉でも、同じように浮かんだものだった]
[その後、イェンスの両親から、息子がすまなかったね、と謝られたのにはきょとんとした顔になったけれど。
結局、なんで謝られたのか理由は教えてもらえなかったので、わからずじまい**]
[繰り出した突きの一閃、それを受け止めたのは突き出された左の掌。>>*104]
はぁ!?
んっだよ、これ……!
[突き立たぬ切っ先も、帯電するかの如き様子も、初めて見るもので]
……鋼?
[少なくとも、生身の手ではない、というのはわかる。
それ以外で考えられそうなもののよそうがぽろ、と口をついて出た]
[直後に響いた何かが爆ぜる音。
それが混乱しかけた意識を現実へと引き戻す。
ともあれ、このままでは攻め切れない、と。
下がる相手>>*106を追う事無く、自身も後ろへと跳んで]
いや、ホント。
どんだけ、ってのは、お互い様だろ、コレ。
[口調こそぼやくようだが、声音にあるのは感嘆の響き。
立て続けに傷を負い、色々とぎりぎりなのに、意識は高揚している。
あ、違う意味でやべ、なんて思いつつ]
……ったく。
[小さく呟いて、『紅雷』の柄に軽く、左手を乗せる]
お前が抜けてくれりゃ、もうちょっと攻めようもあるんだけどなぁ……。
[脇差である『龍爪』では、どうしても間合いが狭い。
それ故に飛び込んで行かざるを得ない部分が出てきてしまう。
その辺りはやりようだろう、というのはちょっと置いといて]
[ふる、と首を軽く振って、意識を前へと向ける。
そろそろ、戦闘継続がヤバい領域、かも知れない。
しかし、生半可な攻撃では、この紫黒は屈する事はないだろう、と思うから]
……でかいのもいっちょ、頑張ってみますかねぇ。
[小さく呟き意識を向けるのは、左手首の天命石。*]
[『紅雷』に手を触れつつ、天命石に意識を集中する。
二つに宿る力を重ね合わせ、それを自身の属と共鳴させることで、一段上の術や技を使う事ができる、のだが]
ちっと、きついかな……。
[立て続けに斬られたダメージが、結構馬鹿にならない。
これは結構負荷がかかるな、と思いつつ意識を対する紫黒へ向ける]
[あちらの構えは、先と同じく左腕を前に出したもの。>>*116
刃の切っ先が後ろに流されているのは、動きの布石か、と思いつつ]
……そーだな。
このまま延々やり合ってるのもなんだし……そろそろ、終わるか。
[軽い口調で言いつつ、『龍爪』を一度、鞘に納める。
二刀を近くに置く事で互いに共鳴させるためのもの、というのは。
当然の如く、口にはしないまま。
代わりにひとつ、深呼吸して気を均す。*]
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