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……あいっ変わらず……!
[無茶な筋力脚力してやがる、と。
吐き捨てながら、手首を返す]
……っせい!
[気合と共に振り上げる右腕、それに応じて夜風が跳ねた。
自由自在思うままに手繰る、にはまだほど遠い。
師匠には、『そんな簡単に行かれちゃ困る』なんて、苦笑いされたものだったが。
振り上げの動作で糸を舞い上がらせた後、今度は逆の動き──振り下ろしの動作を加える。
唐突な切り返しは糸を大きく跳ねさせ、蒼色の刃は駆けゆく虎の右の脚を捉えて引き裂いた]
ん、なろっ!
[ただ斬られてなるものか、と。
態勢の崩れを逆に生かし、前へと転がる事で深く斬り込まれるのは避けた。
それでも、肩には浅くない傷が刻まれる。
そのまま数回転がった後、弾みをつけて起き上がり、低く身構えた]
はー、っとに。
再生能力とかもう、ホント、ぶっ飛んでるよなおっさん……!
[口調は吐き捨てるようだが、声音にははっきりそれとわかる熱が宿っている。
──強いと見なす相手と対峙して喜ばないとか、おかしいだろ、と。
飴色の瞳にあるのは、そんな、どこかわくわくとしたようないろ]
さって……どーすっか、ねぇ。
[距離を測り、呼吸を整えながら、左の手で靴紐を引っ張った。
本気で動き回るとなれば、靴は逆に邪魔になる、とは。
こなして来た場数でごく自然に身に着けたもの。*]
カッコつけて早死にするんなら、逃げ足磨け、ってのが、俺の親父の教えなんでね!
[さらっと返した一言は、何気に実話だ。
曰く、『正々堂々する稼業じゃない』という父は『逃げも隠れもするのは当たり前』と真顔で言い切る人だった……という余談はさておき]
んなこったあ、わかってるよ!
[ゆっくりしてる暇なんてない。>>*24
そんな事はわかり切っているから素早く靴を脱いで、まとめて左手で引っ掴んで]
らよっ、と!
[軽い掛け声とともに、タイガの顔面目がけて放り投げ、直後に地を蹴った。
地を蹴る足は、人のそれではなく、揺れる尻尾と同じ獣のそれへと転じている]
そらよ、っと!
[跳躍から繰り出すのは、体重を乗せた跳び蹴り。
右の肩を狙って蹴り出す足の先には鋭い爪が光っていた。*]
……っ!
犬ころじゃねえ!
こちとら、由緒正しき狼の血筋だってぇの!
[ガキ呼ばわりはまだ許せる。
が、そこは譲れない、誰が何と言おうと譲れない。
また殴る理由が増えた、と。
内心、そんな決意を重ねながら息を吐いて]
……っくぜ!
[たん、と地を蹴り低い姿勢で駆け出す。
直後、右手を一度左へそれから右へ、横一線に振り抜く。
蒼色が舞い、タイガの足元を払うように刃の鋭さ帯びた夜風が駆けた。
とはいえ、これで素直に斬れてくれる手合いじゃないのもわかっているから]
っせい!
[右へと思いっきり振り切った所で、腕を上へと振り上げる。
横薙ぎから斜め斬り上げへと繋げるために。*]
[横薙ぎから切り返した斬り上げの閃。
こちらも、苛立ち故かややキレが悪い。
そのため、絡め取る動きを往なす事はできなかった]
って、やべっ……!
Halten Sie einen Faden an!
[とっさに紡ぐのは、念の干渉を止める言葉。
強化が無ければ容易く断たれてしまうが、念を通した状態で衝撃を受けた場合のバックファイアの方が大きい。
干渉を止めた直後に糸が断たれ、右手の先が軽くなる]
にゃろっ……それで終わりと思うんじゃねぇぞ!
[ぐい、と引き戻し、長さを確かめる。
断たれた長さは三分の一ほど。ちょっと到達距離が短くなった。
自己再生するとはいえ、それまでの間は嫌でも相手の間合いでやり合う事になる、が]
……は。
じょーおとぉ。
[不利だから引くなど言語道断、そんな事したらそれこそ何を言われるやら。
そんな想いがあるから、飴色の覇気は衰える事もなく。
くるり、手を返して糸を右の手首に巻き付けて]
……これだけが、俺の全力と思うんじゃねーぞ……。
[低く呟き、たんっ、と地を蹴る。
獣の脚の瞬発力を存分に生かして懐へ飛び込もうとする──傍目には、そう見える動き。
勿論、真っ向突っ込めば迎え刃が振るわれるのは計算済み。
それでも一切ためらう事無く距離を詰め]
……ほいっ、と!
[タイガの間合いに飛び込む瞬間、青年の姿は消え失せる。
一呼吸の間を置いて、その姿は虎の真後ろへと移動して]
いよ、っとお!
[掛け声とともに繰り出すのは、後方回転しながらの蹴り、一発。*]
/*
……得物をズィル系のなまものにしなくてよかった、と思った瞬間である。
ちな、相手が刃物で来てる時点で切られるのは想定内だった!
師匠なら切られず耐えられるだろうけど、俺はそこまでいってないからなー。
[刹那の苦笑>>*44は見えていなかったし、見えていたとしてもその意を問う余裕はなかったろう。
犬ころ呼ばわりには色々とトラウマっぽいものもあり、故に、平静がどこかに跳びやすいのだ。
それでも、見た目の反応よりは落ち着いてはいた。
感情任せの動きで勝てる相手じゃない、というのはわかっている。
その理解が完全に理性を飛ばすことなく、策を巡らせる余裕もきっちり与えていて]
……いよっしゃ!
[短距離の瞬間移動を絡めた奇襲、それが朱を散らした様子に声が弾む。>>*45
そのままトンボを切って着地し、次の一手を、と。
思う目の前で、焔が消えた]
……!
[目の前でなされる変化はいつかも見たか。
低い唸りが大気を震わせる。
条件反射で一度は巻き付けた糸をほどき、機動を促す言葉を紡いで]
ちっ……Erstarren Sie!
[次いで紡ぐのは、硬化を促す言葉。
揺らめく糸を真横に振るう──と見せかけ、素早く腕を切り返す事で、跳びかかって来る虎の眉間へ向けて打ち下ろす。
打撃が通るかはわからないが、牽制になれば重畳、と思いつつ。
直後に虎の身体の下へと潜り込み左の拳を突き上げた。**]
[相手の変化に関して深い所まで知っている訳じゃない。
ただ、在り様を開放するのが何かしらの『本気』に基づいているのはわかっている。
その辺りは多分、本能的な理解によるもの。
そこまで持って行った、という事、それに対して浮かんだ笑みは、対する黒虎の視界に入ったか、否か。
ある意味ではかなりヤバい状況にいる、という自覚はあるのに、それへの危機感よりも高揚の方が勝って、飴色に浮かぶのはどこか楽し気な熱の色]
っきしょ……。
おっさん変化した虎と至近で見つめ合うシュミとか、ねーぞ!
[倒された衝撃と、上からの圧に挟まれながら口をつくのはこんな悪態。
肩を抑え込む前肢の爪が遠慮なく喰い込んでくる痛みにぎ、と歯を食いしばる]
このっ、くらい、でっ……!
[泣き言言ってたまるか、と。
そちらに思考が向く辺り、負けず嫌いは筋金入り。
とはいえ、瞬間移動は使ったばかりで今すぐ跳んで逃げるという訳にもいかないから。
自然、意識は蒼の夜風の方へと向いた。**]
……っん、のっ……!
[ほんの僅かな隙。
けれど、それがあれば十分だった。
動かす猶予を得た右腕を横へと動かし、刃と転じた夜風を引き出す。
直後、鋭い牙が右肩を捕らえ、痛みが走った]
……この、くらい、で……。
[抉られる感触は深い。
先に斬られた事もあり、右肩へのダメージが相当量になっているのは伺えるが]
とま、れるか、ってんだよ……!
…………Tanzen Sie einen Faden!
[振り絞るような声で紡ぐのは、糸を乱舞させるための言葉。
刃と化した糸に、不規則に舞う事で相手を刻めと命じるもの。
蒼色がしゅるりとしなり、黒虎の背の上で不規則に舞い踊った。*]
……Tanze einen Faden und wecke die Menge von Beschützern auf!
[言霊紡いだ後、振り上げた左腕をくるりと回し、右へと切り返す。
迎え撃つような舞が織りなすのは、護りの綾。
念を通した糸を素早く、広範囲に展開させる事で、一時的に防壁を張るという独自技。
瞬間移動という、回避に特化した力はあるが、とっさの連続使用には向かない。
そのタイムラグを埋めるために考え付いたのがこれだった。
とはいえ、突進の勢いと炎の勢い、その双方を抑えきるには弱い。
だから主に狙うは焔の勢いを少しでも抑える事と、糸が絡む事で隙を作る事]
どーせ、避けたって、喰いついてくるんだろーからな!
[それはわかっているから、専心するのは迎え撃つ事。*]
/*
まあ、うん。
師匠なら、風のフィールド展開して弾ける所だけど、いかんせん俺には属性技能がない!
ので、防御技って考えたらこーなった。
[張り巡らせた護りの綾に、焔纏った黒が突っ込む。
撓む感触に眉を寄せたのは一瞬。
焔の内から響く、名を呼ぶ声にく、と小さな笑い声が漏れた]
……たいっがい……。
[護りの綾が食い破られる、黒が視界に飛び込んでくる]
元気いいよなあ、タイガのおっさん!
[軽口と共には、と一つ息を吐き。
牙の狙う左腕を下げ、後ろに飛びずさって膝を突いた。
牙の一閃はかわせたものの、纏いつく熱波は少なからぬ衝撃をこちらに伝えてくる。]
ったぁく……四つ足相手に二足じゃやってらんねぇ……って、なぁ!
[このままじゃ、機動力で分が悪い。
ならどうするか、なんて答えは単純明快]
っせい!
[左手首に糸を巻き付け、掛け声とともに地を蹴る。
空中でくるり、一回転した直後にその身は黒耀石色に包まれた]
滅多にやらねぇ大盤振る舞い、ありがたくうけとれよなっ!
[諸事情あって、完全獣化は負担が大きい。
故に、滅多にやらない奥の手なのだが、出し惜しんでる場合じゃない。
そんな思いと共に、お返しとばかりに仕掛けるのは降下からの爪の一撃。*]
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