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凱風の騎士 クレステッドは、邪悪な妖術師 ベルガマスコ を投票先に選びました。
手配もろもろ痛み入る。
[カスパルの誓いの所作に同じく応える。>>4]
再会したというその友のためにも、明日の勝利を。
[そうして、その晩は家族で川の字になって眠りに就いた。*]
− 夜明け前 −
[まだ暗いうちに起き出したが、妻も息子も一緒に起きて祭壇に詣でる。
トビアスは毛糸で作ったお守りをくれた。
しっかりと手首に巻いておく。]
では行ってくるよ。
[篝火の中、東門に集まった者たちの顔を見渡す。
聖殿の騎士であれ、義勇兵であれ、遊撃隊に参加する者を拒みはしない。]
敵陣へ奇襲をかける困難な任務に起ってくれた皆、ありがとう。
わたしはアラゴニアからの巡礼、クレステッド・エンバーだ。
これより、聖地の南を迂回してキサンに兵を伏せ、挟撃の構えを作る。
昨日までは顔も知らなかった異国の者同士が肩を並べて戦う、
わたしはそれを嬉しく思う。
これは聖戦ではない。
けれども、我々と義のための戦いだ。
── 心に太陽を。 さあ、ゆこう。
[短いスピーチの後、武装も出自もさまざまな別働隊は、油樽を積んだ撹乱用の馬車なども同行してキサンへと向うことになる。**]
− キサン −
[朝靄の中、遊撃隊は聖地の南方を回ってキサンへと向う。
クレステッドの磨き込まれた胸当ても、チャールズのアドバイス>>19をいれて、旅装束のマントに包まれていた。
到着したのは、住民が避難して、もぬけの殻と化した宿場町。
ベルガマスコはローズマリーと聖地にしか興味がないらしく、荒らされた痕跡は見受けられなかった。
元凶さえ倒せば、すぐにも元の生活に戻れるだろうとわかって安堵する。]
[チャールズは工房から予備の戦槌を持って来て渡してくれた。
飾り気なく実用的で、旧知のもののように手になじむそれは作り手の資質を反映しているかに感じられた。]
ありがとう、この手で必ず貴殿にお返ししよう。
[工房の中を失礼でない程度に見回し、いくつかの品に思うところはあったけれど、今は口にせずにおく。
過去がどうであれ、チャールズはここに根付いている、と感じられる工房だった。]
[戦槌を素振りしてみて、重心と特性を身体に覚えさせる。
馬上からならば、擦り上げてぶつけるカウンターの打撃力が有効だろう。敵は少なくないのだ。
重量の偏りもあって、普段よりいくらか速度が落ちることは覚えておかねばならない。]
あとは機を待つのみです。
[偵察に出た者たちから合図があるまで、しばし瞑想し、意識を澄ませてゆく。*]
[空気のどよめきが、土埃の色が、攻防の進捗を伝えてくる。
敵は充分に惹きつけられた、と判じて、クレステッドは瞑想を解いた。]
今だ。 ゆくぞ!
[おう、と低くも力のこもった声が応えた。
後は、一陣の風となって戦場へ駆けて行く。*]
[流布された情報と果敢な防衛によって西門付近に気をとられている魔物軍の背後へと遊撃隊が向う。
荷馬車がたてる土煙と地響きは遊撃隊を実際よりも大人数に見せかけた。
クレステッドは地味なマントを跳ね上げて銀色の鎧を陽光に煌めかせる。
カスパルらと>>71と同期するごとく。
魔物を前面に押し立てて自分は後ろで楽をしようとしていたベルガマスコはおおいに慌てて魔物を呼び戻そうとしたが、うなりをあげて飛んでゆく投石機弾が次々と落下し、方向転換しようとする敵後陣を混乱に陥れる。
そうしてできた間隙をチャールズやクレステッドら、騎馬の突撃が寸断していった。]
[魔物の堅牢さが上がっている、という手応えはクレステッドもまた感じ取っていた。
戦槌を借りてよかったと思う。
柄まで金属の戦槌は、魔物とぶつかっても歪むことなく頼りになった。
しかし、雑魚を相手に体力を消耗してはおれない。
標的は妖術師のみだ。]
ウェルテクス殿、
[さらなる加勢に西門付近の味方が沸き立つ。>>81
中でもいっとう華やかな赤毛の騎士の名を口に含み、クレステッドは馬腹を蹴った。
己に注意を惹きつけようとするかの動きを見せるカスパルにあわせ、ベルガマスコを挟撃すべく。*]
[ベルガマスコの杖が地を打つと、異変が起きた。>>85
泥水を吹き上げる危険な亀裂を、クレステッドは巧みに愛馬を操り跳躍する。
ベルガマスコの前には巨大な魔物が出現していた。
「毒だ」と警告する声が届く。
厄介な、と思うが足を止めることはしない。
カスパルが素早く射撃攻撃の指示を出していた。
なるほど的確な作戦である。]
荷車を遮蔽に使え。
[後方にアドバイスをひとつ投げ、自身はベルガマスコへ向う。]
悪行は、これまでにしてもらうぞ、ベルガマスコ!
[毒イモリの暴れっぷりに呵々大笑していたベルガマスコが、クレステッドに気づいて振り返る。
大技の召喚魔法を使った後で疲弊しているはずだったが、ベルガマスコは触媒を取り出して魔法を発動させた。
黒い霧が行手に渦巻く。
進入すると同時に、視界が暗くなって身体が押さえつけられたように重くなった。
息苦しく、感覚が鈍麻してゆく。]
同じ術は、 喰らわぬ。
[昨日のことを脳裏に蘇らせて己を支えながら、戦槌から片手を離すと腰ベルトに添えた。
護身のナイフを抜き、自らの腿に傷をつける。
その痛みと熱で魔性の混濁を振り払った。
黒い霧を抜ける。*]
[黒魔術の霧を突破し、ベルガマスコへ戦槌の一撃をくれる。
石を打つかの重い手応え。
だが、ベルガマスコは揺るぎさえせず、呵々大笑してクレステッドを嘲った。
「大悪魔様の加護を得たワシにそんな攻撃が通じるものか」
確かにダメージが通った気配はない。
クレステッドはギリと歯を噛み締めた。]
[その時、ベルガマスコを挟撃する位置からカスパルが疾駆してくるのが見えた。>>107
願ってもない好機だ。
その後ろでは、チャールズが自ら盾となって異形の毒イモリと対峙している。
地に根の張ったごとき緊迫した力比べで、最大の敵を足止めしていた。>>110>>111
おかげで、こちらの戦いに邪魔が入ることはない。]
これは皆のための戦いなれば、通るまで推して参る。
我らは決して貴様に屈しはしない!
[叫んだ時、重く陰っていた湖の上空の雲の一部が晴れ、日差しが差し込んだ。>>103]
[クレステッドは左手のナイフの刃にその陽光を受け止め、反射させる。
眩い光に目を射られて、ベルガマスコは後ずさった。]
── 今だ、 頼む!
[カスパルに向って合図した。*]
[機を逃さず、カスパルがレイピアをベルガマスコに突き立てる。>>126>>127
何か硬いものの砕けるような音は、人の身体がたてるものではないかに思われた。
そして、ベルガマスコの胸から粘り気のある液が噴き出すのを見る。
至近にいたカスパルが避けられるはずもなかった。]
…カスパル!
[ナイフを投げ捨てて戦槌を構え直し、ベルガマスコの太った身体を薙いだ。
先程までの硬さはもうない。
ベルガマスコは鞠のように転がる。]
[そちらから気を逸らさぬようにしながら、クレステッドは馬から下りてカスパルに駆け寄る。
地に膝をつくまいとする彼の矜持を守り支え、近くにいた彼の愛馬の背に押し上げた。]
腕前見事。
今しばらく見届けを頼む。
[騎士なりの鼓舞をカスパルに囁いて、戦槌を旗印のように立て、ベルガマスコに留めをささんと詰め寄った。]
[地に転げたベルガマスコが左手を上げる。
「待て、待て。命ばかりは助けてくれ。両手に余るほどの宝石をお前らにやるから」
あからさまな命請いであった。
だが、クレステッドの位置から見えぬよう背に回した右手ではまだ悪あがきをしようと企んでいる。*]
[飛来した矢がベルガマスコの右手を貫いた。>>140
そのせいで狙いを外した瘴気の弾がクレステッドの脇を掠めて消える。]
…っ !
[窮地を救ってくれた少年射手がサシャだと知り、クレステッドは確と頷いた。]
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[ベルガマスコの邪悪な妖術は永遠に潰えた。
街を襲っていた魔物たちも元の姿へと戻り、水に逃げ込むだろう。
駆けつけたサシャに案じられ、問題ないと応じる。>>151]
君が気づいて援護してくれなかったら、とてもそうは言えなかったろう。
ありがとう。
[任を果たしたカスパルに、そっと手を重ねた。
彼の傷は心配だったが、荷馬車に乗せかえることはせず、騎士らしく戻ることを望むだろうと思って、寄り添う。]
聖地と姫は守られたと、皆に伝えよう。
[負傷した者たちに一刻も早く治療を受けさせるべく、サシャに供を頼んで送り出す。
自分は最後に、というのはいつも通り。**]
[カスパルが痛みを堪えて凛々しく凱旋を宣言し、歓呼の声が応える。>>161>>162
クレステッドもまた、脅威の去ったことを確認して西門へと向う。
人で溢れ返る西門の一角に、母子を見つけた。]
ジェスタ、トビアス…!
[今、息子の目に包帯はない。
そして、父親の姿を見出して母親に教え、手を振っていた。]
[息子にこの戦いを見せられたことを神に感謝する。
きっと、彼の力となるだろう。]
ただいま戻った。
トビアス、おまえのお守りはちゃんと効いたぞ。
[足の傷や粘液で焦げた箇所も案ずるには及ばないと、クレステッドは微笑して馬を下りた。
そうして、家族はひとかたまりになって西門を潜って聖地に入る。
この地で新たに仲間となった人たちと喜びを分かち合う、
その頭上を澄んだ鐘の音が晴れ渡った空へと渡っていった。*]
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