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― 戦場東側 ―
[隊列を整え終えた重歩兵たちを見渡し、人数を目算して打ち減らされた数に瞑目する。
視線を上げ、橋を見た。
このまま遮二無二橋を渡り、都を目指すか。
否。敵騎兵の追撃から逃げきれはしないだろう。
重歩兵をもって足止めとすれば抜けられるかもしれないが、ごく少数の騎兵だけ伴って行っても意味はない。
都にはまだ守備兵力もあるはずだ。
ならばどうする、と視線を動かす。
視界にとらえたのは、マーティンと対峙する銀の将。]
[辺境伯を失った正規兵がここまで頑強に抵抗するとは、正直なところ予想外だった。
それこそ"ラモーラルの民は頑固者"の証だが、なによりも彼らの中にまだ精神的支柱があるのだと思われる。
それがオクタヴィアスであり、彼の側に常にいた銀髪の少年───銀の将であるとも。]
クレステッド。
彼を
[目標を敵総大将へと改めて設定し、重歩兵隊は再び盟主を先頭として駆けた。
未だ組み合う軽歩兵隊とは違う側面から、敵本隊を挟みこむように吶喊する。]
[この時、敵重騎兵に背後から攻撃されれば、挟撃の憂き目にあうのはこちらの方だろう。
相図の喇叭が鳴らされ、軽歩兵の支援を行っていた重歩兵の分隊が再び合流するべく移動を開始する。
彼らの移動が間に合えば重騎兵の突進を受け止めることもできるかもしれない。
間に合うかどうかは賭けであるうえ、重騎兵らが他を狙えばさらに出血は広がるとも予想されたが、今のところこれが最善手かと思われた。]
[見据える敵本陣の先、
マーティンと対峙するのはクレステッドばかりではない。
隣に立つ男にも見覚えはあった。
新しくは、辺境伯の遺体を命がけで連れ帰った背中に。>>0:322
もっと古い記憶は、彼によく似た将と共に。>>0:323
あれは誰だったか。
辿る記憶に、痛みが差し挟まった。]
― 15年前の記憶 ―
[いつになくざわついた城内から連れ出され、
チャールズと共に闇の街を駆けた。
なにが起こるのか、全てを知ることはできなかった。
ただ、父の眼差しと、行けという声の深さが少年の背を突き飛ばした。
不安を噛みしめながら街の外へと向かう途中、彼に会ったのだ。>>279]
[ターリス、と名を呼ぶチャールズの背に身を寄せ、現れた人物を窺う。
相手の顔には見覚えがあった。
父が「あれの腕に並ぶものはそうそういない」と評していた男。
護身用の短剣を握る手が、汗でじわりと滑った。]
───…。
[声を出せば、何かが起きてしまう。
そんな思いで、ふたりの遣り取りを見守る。
チャールズの緊張が伝わって、鼓動の音がうるさく感じた。]
[なぜターリスが、その剣を振るわなかったのか、
少年にはよくはわからなかった。
ただ、言葉の端だけが耳に残る。>>282
なにが夢なのだろう。
彼は、何を求めているのだろう。
ただ、生かされた、という思いだけは感じた。]*
[あの時自分たちの前に現れ、夢を語って見逃した男。
信に篤く、武に長ける。
チャールズが、何かを押し込める顔でそう評した男。
彼の息子は、父親が為したことをどう思っているのか。
父親が何を夢見たのか知っているのだろうか。]
ツェーザル・ガーウィン。
[思い出したその名を唇に乗せ、
マーティンの前に立つ彼に視線を注いだ。]
[敵本隊へ肉薄する部隊をまず出迎えたのは、弩から放たれる矢弾だった。
各々が盾を翳し矢弾を防ごうとするが、弩の威力は高く、盾をも貫通してくる。
先頭を進む盟主の周囲にも容赦なく矢弾は降り注ぎ]
…っ!
[盟主を守るべく身を盾にした騎馬兵が1人、射抜かれて地に転がった。]
[落ちた兵に視線を向けることはなく、前方の槍衾を見据える。
追いついた重歩兵たちが、盾を重ねて矢弾への壁を作った。
それでもなお抜けてくる矢が髪を、身体をかすめていくが、傲然と顔を上げた。]
クレステッド・フォラータ!
臆病者の謗りを受けたく無くば、俺の前に来い。
来なければ、こちらから行く!
[戦場の風を突き抜ける声が、銀の将の名を呼んだ。]
[弩の斉射に晒されている重歩兵隊の背後より、再び敵騎馬隊の足音が迫る。>>375
本隊を援護するべく移動していた分隊は可能な限り足を早めたが、機動力の差でわずかに間に合わないかと思われた。
だが、もしも本隊がいくらか突撃を受け止められたなら、横から攻撃することが可能、かもしれない。
横に対して作られていた盾の壁が、じわりとやや後方へも回される。]
/*
みんなでラモーラル愛を語るの図。
オクタヴィアスが最初にラモーラルに愛する国とかルビ振るもんだからねちょっと愛するはやめようかと思ったんだけど、無理だったね。
ラモーラル大好き。
早く来ないと、と言ったのはおまえだぞ、マーティン。
[冗談の言葉を引っ張り出してきて応える。
身を案じてくれる心は有り難いと思いつつも]
このくらいの無茶を通せなければ、
この先、なにも為せやしないさ。
[ここで倒れはしないと、意思を燃やした。]
[距離超えた場所より届く声に、一瞬ぎくりとする。>>*41
もう仕方ない。
げんこつ喰らっていたときの、これも条件反射だ。]
無茶じゃない。
…あ、いや、通すべき無茶だ。
[軽く狼狽えた口調で言い返してみたが、
そんな呑気な会話はいくらも続かなかった。]
オクタヴィアスが、自分でか?
[そんな奴だっただろうか。
いや、昔から負けず嫌いな奴だったなと思い直す。
そして伝えられる状況に表情を引き締めた。>>*42]
なら、ますます無茶を通すしかないな。
[オクタヴィアスの率いる兵がここへ到達する前に。
きり、と歯を噛みしめる。]
マーティン。
[いつもの、豪快な笑いのあと>>*43、告げられる言葉>>*44
何故かそこに、父の最後の言葉と同じ深さを感じて]
───わかった、待ってる。
けど、長くは待たないぞ。
[強いて、笑みを加えた。]
― 戦場中央東側 ―
[呼ぶ声に、弩が沈黙で応えた。>>417
ほどなくして、槍の列の間から銀の将が姿を現す。
年月を経ても変わらぬ面影に、口の端が上がった。]
久しぶりだな、クレステッド。
[旧友に掛けるように、言葉を紡ぐ。]
おまえとは、一度やってみたかった。
この15年で、どちらが強くなったのか。
[馬から降りて、手近なものに手綱を押し付ける。]
ラモーラルの王が、直々に相手をしよう。
来い。
[掛ける言葉の少なさは、相手を知ることの裏返し。
止めようとする者を無視し、両の腰より山刀を引き抜いて、誘った。]
[衝突と悲鳴が背後から聞こえてきた。>>430
騎馬隊に追いつかれたのだ。
振り返らずともわかる。
重歩兵たちは再びの突撃によく耐えていたが、それでも後方よりの攻撃に抗しきれるものではなかった。
隊列が崩されていくさまが、武器打ちあう音と悲鳴の距離でわかる。
1合。よくて2合。
素早く決着を付けねば、突撃はここまで届くだろう。
それが困難なことは、よくわかっていたけれども。]
/*
なんかものすごい確定を見たぞ。大丈夫か。
まあ多分大丈夫なんだろうと思うけど、ちょっとドキドキするな。
[変わってないのはお互いさまだと、呟くのは心のうちに留めておく。
大体、子供の頃は剣で勝負していたはずが、いつの間にか取っ組み合いに発展していたものだ。
剣で勝負を付けようというのは、おそらくこれが最初。]
王が必要ない者なら、それでもいい。
[さらりと伝えられた言葉に、頷く。]
俺は、俺の道を行くだけだ。
[そして、その道に立ちふさがるおまえを斬る。
最後の言葉を視線に込め、相手の宣と共に地を蹴った。]
[クレステッドの剣術が一風変わっているように、
ディークの剣技も、正統からは少し外れる。
基礎となるのは城で学び、チャールズに鍛えられた制式のもの。
そこに平原の民、森の民の独特な武術が混ざる。
姿勢を低くし、地面を滑るように駆けた身体から、二刀が繰り出された。
横一閃の太刀を下から掬い上げるよう、刃を滑らせるように右の一刀で軌道を変え、下をくぐるような姿勢で相手の懐へ左の切っ先を伸ばす。
狙うのは、足の付け根。]
/*
基本的には表であんまり笑わない&全員名前呼びをしているのだけれども、エディにだけは笑うし、愛称呼びなあたりで、何かを察していただきたい。
くっそう返す。絶対後で熨斗つけて返してやる。
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