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[そう、尾を構える、という不可解な予備動作にアイルリートの表情が歪んだと同時]
Oratione... ... な !?
[大地の魔力が集束し、守りの障壁が展開されるとまったく同時に。
その大蛇は、尾を叩き付けるのではなく、鋭く突き刺して、構築しきる前の障壁を破壊してしまった]
尾が本命だと!?
トオルさがれ! 絶対にこいつの尾に近づくな!
[そしてアイルリートは驚愕しつつも認識する。
この大蛇の尾は、針か槍の様に鋭い形をしていて。尾は叩き付ける物でなく、突き刺す物として戦う敵なのだと。
そして当然ながら、その尾先は毒々しい色を湛えていた]
くそっ……! 僕は馬鹿か!?
なにが相性が悪かったな、だ!
相性が悪いのは、僕の方じゃないか!
[沸き起こる怒りに任せて、内心でぶちまけた思いが声になってしまう。
アイルリートの多用する障壁魔法は、耐久の限界値が存在する>>1:189。
特に矢や槍の様な、その威力と重圧を一点に集束させる様な、『突く』武器、『刺す』武器が、一番障壁を突破されやすい。
ましてや、ゴーインの地蛇よりふたまわりも、『贅肉』をそぎ落とした俊敏な相手だと、その相性は…]
[スヴァーグニルの大蛇は、まずアイルリートを標的に定めたらしい。
実際の相性を見切れず嘲った奴に重い知らせてやろうとでも云う所か]
...Cera Fares...!
...Scutum Fang...!
[決して逃げ切れない速さではない。
だが障壁を展開しようとすれば、尾針を突きこみ障壁を破壊されてしまう程度には、アイルリートがこの大蛇に追いつかれているのも苦戦の原因だった。
世界樹の枝が急激に成長し、大蛇を追うが、尽くが避けられる。
魔力の消費が激しくなるが、とっておきの反撃障壁を展開して牽制を図ろうとも、この大蛇は殺意を漲らせてより激しく攻撃的に、アイルリートを殺そうと、その尾針と、牙を何度もギラつかせてくる。
だがここで本気で逃げに走れば、標的はトオルに切り替えられる事をよく理解していたから、それもできない]
[そして再び、追いつかれると承知の上でも障壁を展開させようとした瞬間。
構築中の障壁を貫き、アイルリートの脇腹を尾針がジッ、と微かな血と共に突き抜けた]
…… …… ……っっ!!
くそ……まだ僕では成功率に難はあったが……
障壁魔法より……封印魔法で、動きを止めるべきだった……か……。
すまない……油断した、トオル……
[その掠めただけの一撃で、失敗を悟り、脂汗を滲ませ出したアイルリートは
ゴーインよりも強力な猛毒の巡りに、思わずその場に膝を突いてしまった。
治る、なんとか癒せない程度の毒ではないのだけれど。
戦いながら解毒を行うには、猛毒が強すぎた**]
[失敗した。この大蛇への戦い方を、後すこし早く気付けばよかったが。
毒を受けて膝をついた以上、どうしても自分ひとりでは捌ききれない]
…… ……この僕が…… …… …… ……。
……トオル、僕はいいから安全な場所までいけ。
耐えて逃げるくらいなら、この僕にもできるだろう。
だけど……今お前にいられると……庇いきれん……。
[自分の戦力がガタ落ちた今、トオルひとりにこの大蛇をまともに相手できるとは思えない。
だから出した結論は撤退だ。
ここで死闘を演じるわけにも行かないのだから、逃げる。
まずトオルを行かせて、それを確認してから、自分も。
少しばかり、身体に無理を利かせる事にはなるかも知れないが、その位なら、今の自分にも何とかできなくもないだろう。
そんな計算を、蒼褪めていく表情と、口ずさむ解毒詠唱の中でたてて…*]
そっかあ。
今じゃ随分日本人離れした外見だもんなー。
[アイリの髪の色をまじまじと見る。
そこで彼が口にしたのは、今更こちらの姓を認識したかのような発言で]
あー、そうだ。カジ、加地だぜ。
こっち来てからは苗字で呼ぶやついないんだもんな。
[『フラクシヌス』は外国っぽい雰囲気だから、ファーストネームで呼ばれること自体は当然と受け止めていたが。
高校ではほぼ全員に苗字で呼ばれていたので、比重のギャップに驚かされた]
[それからしばらく後、治療が終わる頃。
背中に2発目の叩きが入って、思わずしまったという顔になる]
そうだ! 思っただけで別に口に出してなかった!
[更なる墓穴を掘りそうな発言であったが、幸い神官長の声が響いたお蔭で、この辺りは有耶無耶になった。
と思いたい]
魔力?
……んー、なんかじわっと温かくなる感じ?はあるが……。
[アイリにより大地の力の薄膜を張られるも、出て来る感想はかなりぼんやりとしていた]
目に見えないものを操れとか、そうそう出来るもんじゃねーって。
[反論はするも、ステファンのような例外がいることも事実で。
となるとやはりイメージが重要、となるだろうが、残念ながらそちら方面にはかなり疎いのだった]
でも、前よりは体が頑丈にはなったし、力も筋肉量以上に出せてるとは思うがな。
[最低限としてアイリに叩き込まれたことは、少しずつではあるが身に付いている。
その辺りが僅かな光明だろうか]
攻撃……魔法……。
[そうは言われても、男にはやはりピンと来ない。
土で攻撃だとか、脳筋らしいと言われた所で想像出来ないのが本当の所だ]
つーか、脳筋じゃねえ!
一応特待生取ってんだぞ!
[それは私立高への進学を希望した男に、両親が課した第一条件であった。
野球部目当ての志望というのは目に見えていたので、まず無理であろうスポーツ推薦を念頭に提案したのだろうが、野球の苦手な野球部員は成績上位者になることでその条件を満たしたのであった]
[速度を上げつつも、アイリの顔はどこか思案げで。
彼の内心は読めないまま、不安定な枝の上を進んでいく]
……いや、なんでもねえ。
[声を掛けられればそう答えつつ、こちらも思考を巡らせる。
魔力の循環――攻撃魔法――アイリに一人でいいと言わせないため、次なる段階に進むことを**]
大地の守護者 アイリは、疾風の御魂 九神 星司 シュテルン を投票先に選びました。
/* ちらっとダイスを確認しましてここでひとこと
ねえみんな 1d20だろ?
4人中3人が5以下ってどうよ!wwwwwwwwww
出目みんなひっくいな!!!wwww
TRPGだったらクリティカルだしてるぞ!!w
トオル。空気は無色透明なのに毎日吸い続けてるではないか。
[魔力を操る事はそんな簡単に済むワケではないけど]
まあ、ステフの様にあんなに早く順応できる方が特殊だと考えたほうが良い。
どうせ、魔法の詠唱や操作などややこしい事を覚えても
意識しすぎて時間がもたつくなら逆効果だしな。
[だから、身体の中で魔力が循環して、無意識に筋力も耐久力もあげられている。
そんなトオルの今の状態は、かなりの良コンディションだともいえたが]
そうだ、攻撃魔法だな。当然大地属性にも存在するぞ?
とはいえ、残念ながら小技はともかく、中技大技は僕にも扱えん。
まあ、どうせ脳筋のトオルがそんな術式を扱えるとは……
…… …… ……
…… …… ……
…… …… なに??
[完全にピタりと足を止めたアイルリートが
こしこしと瞼を擦りだして、米神をくりくりともみだした]
[大蛇戦の疲労も完全に癒えきらないまま、強行軍で疲れたのだろうか。
まずい、幻聴が聞こえるなど、まさかまだ毒が身体に残されていたのだろうか。
そう思い込みたいアイルリートは、真顔でトオルを真正面から見つめて]
…… …… …… …… …… …… な に ??
[異世界人が魔法をみた瞬間、あるいは理解不能な神秘をみた瞬間の
白昼夢だろうか、え、嘘だろう?本当にいっちゃってるのか?と
そんな言葉を万言より雄弁に語り尽くした様な表情がそこには浮かんでいた。
大事な事過ぎて二度確かめる程度には]
[正直アイルリートにも異界の学力がどれほどかはわからないが
彼らの異界での話を聞いている限り、フラクシヌスより水準も高そうな気がする。
そんな異界の学園にて、トオルが(このトオルが!?)特待生?]
…… …… …… …… ……さあ いくか。
[この無礼野郎の馬鹿太郎の癖にかしこいだと?
いや、まさかこの僕より上という事はなかろういやありえて堪るか天地がひっくりかえり、世界樹の枝から牛肉やシルクや城が実として成ろうともそれはありえてはならん、そうか特待生こいつは馬鹿の癖にかしこいのか口を開けば『ヤキュー』『ヤキュー』と運動の事ばかり聞いていたからてっきり、これが人間の神秘というやつなのだろうか…。
そんな脳内で渦巻く万言の言葉を、ちょっと乾いた笑みに詰め込んでいた]
― 『世界樹』の枝 スヴァーグニル ―
[まともに立てずに膝を折る、猛毒の苦しさに表情を蒼褪めさせながらも、まず悔しさが先走りだしていた。
アイルリートは大地の守護者、勇者の血脈だ。
だからそんな大地の守護者として、名に見合う実力と成功の結果は当然の事だし、失敗や油断は以ての外とし続けていた。攻撃の力に劣るとはいえ、防御と癒しの魔法に長けて来た自分は、事実、失敗しなかった。
だからか、最初の蛇との戦闘という経験を経ても、アイルリートだけは他の七人とは違う。
飽くまで勝てて当然、いつもどおりに倒せばいい、それがフラクシヌスに必要な事だ、そんな誰より平常な心で挑んでいたから。
難敵との戦いという経験を通じて、成長をみせてる七人よりも、伸びが明らかに薄かった。
そんな気付きにくい欠点や課題までを、ルートヴィヒが見越していたのか否かは知る由もないが。
少なくとも、戦いを重ねる内に、決して万能ではないアイルリートだから突き当たる壁は存在するわけであり。
図らずも、セイジと正反対の性質のアイルリートだからこそ、セイジが師から受けた論は実証されていた>>1:366]
[まずい、今は逃げて体勢を。だが逃げ切れるだろうか?
トオルだけでも逃がさなければ、こんな僕では庇いきれない
くらり、とふらつく意識でそんな事を考えるアイルリートを、やがてスヴァーグニルの大蛇が…]
…… …… っ トオル。
なにをしてる…… 僕は逃げろと 。
[数秒か数十秒か、行動不能の状態にあるアイルリートがいつまでも大蛇に襲われない事に気付き顔をあげた時。
そこでは既に、トオルが大蛇と交戦していた。逃げろといったのに]
[この大蛇は先程よりもすばやい相手だ、しかも毒は猛毒だ。
より手ごわく、まともに攻撃を受ければ、アイルリートの様になる難敵を相手に、トオルはその戦槌を手に戦う事を選らんでる。
既にトオルの力が、このフラクシヌスに呼ばれた頃とは違う事も。
そして何よりもトオル・カジというこの馬鹿の虚勢、いや、底意地を>>171。
アイルリートは盛大に図り違えていたらしい]
…… ……っ この馬鹿者が!!
[本来、常に相手の優位にある立場だからこそ、大して発揮はされないが。
しかしアイルリートも、意地は、正しくは負けん気は、人並みの倍は強いから。
表情をギリ、と決して、集中する。
まずは解毒、そして一秒でも早くこの馬鹿の援護、この無礼蛇の始末。
静かな集中と共に、解毒魔法の詠唱が紡がれだした…*]
僕僕言ってんじゃねえ。
失敗したのは俺も同じだ。
[アイリの口癖を咎めたのは、この時ばかりは気に食わないからではなかった。
敵の戦法をもっと早くに見抜けたなら、あるいは魔法を展開するための時間稼ぎを自分が担えたなら。
彼の代わりとはいかないまでも、出来ることは自分にだって多くあったはずだ。
悔しさに顔を歪めた所に、アイリが告げた指示は]
――出来ねえよ。
[自分はいいから先にというアイリへ、きっぱりと拒否の意志を告げる]
その状態から逃げ切れる保証なんてないのに、置いていける訳ないだろうが。
[歩くことすらままならない様子、無理に動けば余計に毒が回ることにもなるだろう。
アイリの計算を信じて最善手を取れるほど、冷徹な頭も持ち合わせてはいなかった]
[先に交わした魔法に関する会話を思い出す]
空気……。
[目に見えぬけれど、確かにあると感じられるもの。
確かに地の魔力への印象は、徹にとってそれに近しいものだった。
暑ければ手団扇で煽ぐように、空気を操る術もまたある訳だが]
うん。無理だなそれは。
[しかし詠唱だの操作だのと、複雑に動かすイメージは、やはり全く湧かないのだった]
[そんな男が告げた、特待生であるという事実に]
なんだよその反応は!?
[二度聞き返された挙句、盛大に乾いた笑みを浮かべられた]
いや、特待生っつっても私立だし、そこまで滅茶苦茶頭いい訳じゃねーけどな?
[それこそスポーツ目当てでもなければ、私立より公立の人気が高い地域。
地区全体で見た成績で言えば、中の上程度といったところか]
ほら、好きなことのためなら努力も苦にならないって言うだろ。
甲子園に行くためなら、勉強くらいなんてことないぜ。
[と言って、中学の部活引退後急激に成績を上げた徹を見て、両親と教師が盛大に溜息ついたのは余談である]
[集中、静かに、心を落ち着けて、集中して魔法を詠唱する。
大丈夫だ、いつもの通りにいつもの心でやればいい。
いつも当たり前の様にしている事で、それが当然ではないか、当然――…]
...Circulinem Mundis Terr...
...Circuli... mun.... !?
[いてえ、と微かに呻くトオルに微かに離れた視線が、左腕の毒を認める。
それを認めて、集中の糸が途切れたと同時に…。
解れる魔力、弾ける力。ひっそりと、術式自体は初歩にあたるはずなのに。
ファンブル。解毒呪文が術式崩壊を起こした]
ふざけるなトオルっ!
これは冗談で言っているのではないのだぞ!
こいつの毒に侵されて倒れてからではもう遅いのだぞ。
死んでからでは回復魔法は利かないんだぞ!
僕はいいから早く… …… ……っっ!
[無意識のままに、次の詠唱をトオルへ向けようとした時、トオルに回復を拒否された>>303。
今のを、視られていたのだろうか。いや、そんな余裕はないか。
術式のファンブル。怪我人に動揺する新人癒者によくある失態だ。
そんな物を、この自分が?
それは、決して失敗を赦されてならないと考えるアイルリートのプライドを大いに逆撫でた。
だから、アイルリートは行き場も不明な怒りに強く握り締められた拳を…]
…… …… …… ……づっ!?
[猛毒で激しく脈打ちを繰り返している自分の脇腹に叩き付けた。
目の奥で白い光が点滅しそうな激痛が、脇腹で暴れ狂う。
だがその激痛で、堂々巡りになりかねない感情を強引に押さえつけて]
...Circulinem Mundis Terr...
[再三、四、解毒魔法を静かに重ねがけて脇腹の猛毒を除去する。
その間もトオルは単身、必死に思案しながらも大蛇と対峙し続けている>>305]
...Imobul Fort Terr...
...Nult Defendr Amis...
...Tie Chain Becher...
大地の精霊たちよ、この祈りと求めを聞き入れ
悪しきを縛る黄色の枷を貸し与えよ
[長い詠唱と地面に魔方陣を描いて築かれる、複雑な詠唱。
この構築は、アイルリートも厄介な魔物が現れた時に時折試みた程度で、未だ完全に成功できるワケではない。だけど]
…ここで成功させなくてどこで成功させるというのだ
世界の盾としてあれ。
高く聳える守りの巌であれ。
誰より前にたつ闇への障壁たれ。
それが、大地の勇者が残した教えだ。
…だから成功させて当たり前。
…僕は大地の守護者、マガーネルの直系だ…
[地面に、世界樹の枝に強く激しく叩き付けられた戦槌が震えた>>306。
スヴァーグニルの腹部を狙い、土の杭が強く飛び出して、大蛇が少なからず怯みを覚えたその瞬間に]
トオル! 封印ごとこのクソ蛇を叩き潰してやれ!!
――… 『テラの壁枷』 !!
[両手で足元にあたる、世界樹の枝を強く抑えながら叫び、魔法が発動する。
大蛇の四方から、杭の様に競りあがる障壁。
それはアイルリートがよく扱う、黄ガラスの様な障壁とほぼ同一の物であるが。
ピラミッドの様な四角推状の結界として、一部の隙間なく大蛇の全身を障壁の封印が囲うと]
[大地の精霊により齎される魔力が、激しく大蛇を押さえつけた。
封印の内側で暴れようとする大蛇の尾針は、狭苦しい障壁封印に押さえつけられて、威力を加えるのに十分なスペースすら許されていない。
この封印魔法が砕かれるそれまで、この大蛇は自慢の尾針で、トオルを攻撃する事は愚か、近づく敵を追い払う事も逃げ出す事もできない。
結界にヒビが入りだすのはそう長い時間も掛からないが、それで時間は十分すぎる]
これで届かせて、終わりだ!!
[すくりと立ち上がり、既に解毒を終えたアイルリートが、なけなしの強化魔法をトオルへと施しながら、封印ごと大蛇を撃ち砕けとトオルにそう宣告した]
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