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─ 回想・アルビンの家に続く道 ─
[躊躇いがちに掛けられた声が途切れる。>>0:110
少しの間流れた沈黙の後、女はゆっくりとアルビンを見上げて少しだけ寂しそうに笑う]
時間はね…越えられないし消えないし、壊せないんだよ。
積み上げた時間。私と皆が過ごした時間より、アルビンさんが皆と紡いだ時間はずっとずっと長いの。
時間は消えない。再会すれば動き出す。築き上げた時間が長ければ長いほど満たしてくれる。
逢えなかった時間を満たして、思い出に変えて長く深く…
私は…あとどれくらい時間を重ねていったら、ゲルトやオットーに近づけるのだろうね?
“お兄ちゃん”
[それから、彼の語る旅の話を聞いた。彼はこの村の夜空も好きだという
その言葉から、語る節々からその想いがきっと偽りない本心なのだと思った。
離れていてもこの村がずっと好きなのだと、そう思えた。
二人で見上げる真昼の星。
見えない輝ける星、私はそれを彼と同じくらい夜空が、この村が好きなのだと想いたかったけれど……]
そうだね……
[何に対してそうだねと言ったのか自分でもわからない。
けれど…“良い嫁さんになる”に対してではなかったことだけ、よくわかっていた]*
あの木苺もそうだね。
摘んだだけの木苺は、美味しいけどちょっとすっぱすぎちゃったり味がとんがってたり…
それをあんなに甘くて…けれどちゃんと酸味を残してあんなに繊細な味に仕上げちゃうんだもの。
生地もジャムも、打ち消すんじゃなくてちゃんと本来のらしさを引き立てて、調和して…
すごいよね。……まるで魔法みたい。
[ふわりと微笑む。ケーキのことを思い出せば心なしか頬が溶けてもしまったかもしれないが]
あは、なんかアルビンさんとオットーってそんな感じなのかな? っておもっちゃった。
ほら、あの人って素直じゃないでしょ。とんがっちゃってるっていうか…
[二人の掛け合い>>32、>>48は割りと近くで眺めていた。
間に入ろうとも思ったけれど、笑い堪えるのに必死で結局何も言えなかった。オットーが笑った時はついついつられて笑っちゃったりしたけれど>>49
文句を言いつつも美味しそうに食べる様も、それを茶化したり乗ったりする様もよく見た光景。そんな二人を昔はよく見かけていた。面白くて可笑しくて…眩しい過去]
生地も木苺も一番いいそのままで…
ふたりともすごく自然で、いいなぁ…って。
逢える時間は減っても、親友なんだなぁってさ。
[信頼と憧憬と様々な思い。時間を掛けて熟成され洗練されやがて調和されて、親友というものが出来上がるのだろう。
それはとても眩しく映って…だから羨ましくもあった。そんな思いをはぐらかすかのように、彼の手をとって『いつもありがと』とお礼を述べる]
[皆の前に戻った頃、雨は降り出していただろうか?
神父とシスターは教会へ行くのだろうか? カタリナはどうするのだろう?
流石に今からはずれに戻るのは危険だろうと、戻ろうとするのなら止めようともしただろう。
先程オットーが泊まるようにと言っていたのを思い出し>>22
『抵抗があるようならうちに来る?』と、目配せで問うくらいはしたかもしれない]
私は家に帰るわ。そんなに遠くないしさ。
あ、フリーデルさんお手伝いするって言っておきながらごめんなさい。
また明日にでもお伺いしますね。
アルビンさん…帰るならご一緒に?
[彼の自宅と自身の家は割と近い。それもあって懐くようにもなったのだけれど…それはもう過去の話。
果たして、挨拶を済ませればパン屋を後にしたことだろう]**
/*
アルお兄ちゃんどんまい(汗
アルお兄ちゃんとゲルト君のメモ欄だけ変な記号(不可視ななのででてるっぽい?)があったから、そうなのかな? とは思ってたけど…
─ 人とヒトがすれ違った日 ─
[私がこの村に来たのはちょうど10年前。丁度この季節だった。
夏至祭は既に終わってはいたけれど、未だ一面に咲き誇る花々はよく覚えている。
前に暮らしていた村も花盛とそう変わらない規模の村だった。
その土地のことは殆ど覚えていない。花盛のように花に彩られた村ではなかった。
話に聞いた星狩のような特別な伝承があるわけではなかった。良くも悪くも普通の…変哲もない村。
だからきっと何も記憶に残っていないのだ。
いや……そうではない。
覚えているいることがある。
それは…恐怖と憎悪だ。
あの村の記憶は恐怖と憎悪に塗り潰されて、今はもうない。
ただ、どす黒い塊が胸の奥底に眠っているだけだ。]
[この村に来てから2年の歳月が経った。
引っ込み思案だった私も祖父の住まうこの村にすっかり馴染んでいった。
年中通して和ませてくれる花々は本当に綺麗で、なにより人の心も澄んでいた。
いつの間にか兄のように慕うようになったアルビンやオットー。
終始マイペースでどこか憎めないゲルト。村で唯一年の近い、まるで草原に咲くのひまわりのように可愛らしいカタリナ。
皆が私に優しくしてくれた。
だから、私は私でいられた。その日までは──]
[山の恐ろしさは何も自然の脅威や獣の存在だけではない。
いや…その類の恐ろしさだったら、きっと良かったのだろう。
大いなる自然に飲み込まれたのなら、絶望を感じるまでもなく全てを攫ってくれただろう。
野犬や狼…弱肉強食の理に身を置く物ならば、抵抗をするまでもなくくびり殺してくれただろう。
彼らの思いは純粋だ。ただ生きるためにそうするのだから。
私に降りかかった災厄は、そんなものよりもっと歪で醜悪で……邪だった。
ある意味で本能に忠実ではあるのだろう。だが、その小賢しくも醜悪な邪念は、私を恐れさせ怒らせ、そしてその血を滾らせるには充分な時間を与えてしまった。
全てが不幸だった。あの日私がアルビンの話をちゃんと聞いて、山になどいかなければ。
その存在が私になど目をつけなければ。
私がただのか弱い人間だったならば。
── 全ては戻らない時間の彼方]
『たすけて たすけて
怖いよ アルお兄ちゃん』
[あらん限りの声を張り上げて、助けを乞うた。
何度も何度も名を呼んだのは村で一番頼りにしていて
一番慕っていた者の名だった。
逃げれば捕らえられ、抵抗すれば殴られて痛みに顔を歪めながらもただただ名を呼び続けた。
口の中が血の味で満たされ、腫れ上がった瞼が視界を奪っていく。
怖かった。憎かった。それでも睨みつけた。
なんで自分がこんな目に合わなければならいのかと、目の前の存在を呪い殺さんばかりに睨みつけた。
── 視線が交錯する。
その目には覚えがあった。忘れていたどす黒い塊の中に燻っていた記憶の眼だ。
父を殺し母を殺し、今私を殺そうとしている目だ。
蹂躙し、嬲りものにして慰め者にして…命さえも奪おうとした眼だ。
私の中で何かが弾けた───]
[彼はいつからそこにいただろう?
私の記憶が夢なのではなかったら、人だったものを食い散らかし血臭をまき散らし、爛々とした目で彼を捉える一匹の狼が写っていたはずだ。
八つ裂きすら生ぬるい、人とは言えない肉塊を付着させ、口元からボタリボタリと血肉を滴らせた獣が、獲物を定めにじり寄ってくる様だったはずだ。
そう…だって、私の目に映る彼はとても愛おしくて…
とても美味しそうだったのだから]
[疾駆する。飛びかかる。本能の赴くままに爪を立てようとする。喰らいつこうとする。
けれど、そこで私の爪は止まる。
それはいけない……と、寸でのとこで踏みとどまらせる。
自我があったわけではない。ただ獣の本能以上に、それに抗うヒトの本能が勝ったのだろう。
失いたくない…という。私の本能が…想いが。
だってこの人は私の──
そこで私の記憶は途切れた。]
[気がついた時、私はどこにいただろう?
彼の姿はどこにあっただろう?
彼の姿を見た時、安堵とともに涙があふれた。
抱きつくことを彼は許してくれただろうか?
「ごめんなさい ごめんなさい」とそれしか言えない私を彼はどうしただろうか?
全ては遠い記憶の果て
過ぎ去り日永遠の日々
私が人からヒトへと生の標を変えた日
胸の奥に忘れることの出来ない痕を追った日──]
[この日を境に私の中に眠る血は 人間を欲するようになった。
ただの飢えではない。ただの渇きではない。
抗いがたいほどに強烈な欲求
抗い続ければ自我を飲み込んでしまう欲求だ。
特にこの季節、夏至の付近ではその衝動が顕著になる。
耐えようとした。死のうともした。
けれど、それはできなかった。
耐えていても気がつけば血だまりの中に自分がいた。
死のうとしても、ひとつの想いが邪魔をした。
いつしか、生きることにも死のうとすることにも疲れ果て
私はそれを受け入れるようになった。
自我を保てるうちに、人里を離れ哀れな旅人を襲うようになった。
自我を持って、喰らうようになった。
本能だけで殺せばきっと楽なのかもしれない。己の欲求に忠実に全てを壊してしまえば楽になれたのかもしれない。
けれど、私は人ではないけれど、ヒトだ。獣ではない。
それほどに純粋ではなかった。咎としてそれを受け入れることにした。
だから知っている。私は人殺しだ。浅ましく意地汚く、たったひとつの思いのために罪を重ねる愚か者だ。]
[そんな私を知っているはずなのに、彼は今も私の前にいる。
彼の知るところだけでも両手で余る人間を殺めている私を前にして、かつてその牙にかけようとした私を前にして、それでも常と変わらぬ態度で私に接してくれている。
きっと何度も助けてもくれていただろう。その手を汚してくれたこともあったかもしれない。
「どうして?」とは聞けなかった。
聞くのが怖かった。何もかもを聞くのが怖かった、
だからどうして、彼がここに居るのかもわかっていなかった。
けれど…ここにいるのだ。彼は今もまだ私の側に]
………
[やがて私はふるふると首を振って、血を飲む代わりにその手を求めた。
おずおずと手を伸ばし、叶うならばその手を握りしめたことだろう。
その言葉が初めてだったとしても、数多の中のひとつだったとしても、私は頷くことはなかっただろう。]
……あのね
[それでも、きっと彼はわかってるはずだ。
私の身が限界であることを。自我を失えば蹂躙するだけ。一晩にして今ここに残っている人間全てを食らいつくさんとすることを。
そうしないために…誰かを犠牲にすることを。]
こんなことになるなら、女将さんについてここを離れておくんだった。
[そうすれば、少なくともこの村は失われずにすむ。
私の知る優しい人たちを、好きだった人たちを。
夏至付近に嵐がくることなど今までなかった。ここまで断続的に血を求めたくなることなどなかった。
これは、きっと慢心なのだろう。多くの誤算で後手に回ってしまった。]
あのね…もし……
[出かかった言葉はそこで途切れる。
何度か絞り出そうとしても、続かない。
躊躇するように何度も首を振って]
一緒にいてね。これからも、ずっと…
それから…ごめんなさい。
[言いたかった言葉はそうではなかったのだけど…
私はただ、それだけを告げて彼を見つめ続けた]*
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お相手様によって一応プランとして考えていた狼像一覧
アルビン:お兄ちゃんしゅきしゅきルート
オットー:籠絡して加担させ従属させちゃんだからルート@小悪魔
カタリナ:籠絡して加担させゆっりゆりにお姉さまとか呼ばせちゃうぞルート
フリーデル:俺様godルート。ゴッドイズ俺様偉い! 俺様エロイ!
ジムゾン:(おもいつかないわー)ドロンジョ様にでもなればいいのかしら?
……う、うん。ある意味一番健全?なところに来た気がする。
と、一番脆いっつーか同時に悪役にはなれんかなぁ…
[内なる衝動を歯を食いしばって耐えながら、家路に急ぐ。
どうするか…は知れたこと。
では誰を…となればその選択肢は限られる。
一番胸がいたまないのは、かの神父だろう。
私には縁もゆかりもない存在だ。だが、彼の寝床は教会。そこにはシスターもいるだろう。気づかれれば私はもとより、私をよく知る者たちへも懐疑の目が及ぶ。
カタリナ、オットーはさすがにはばかられた。
衝動に駆られ勢いでできる相手ではない。
…決心が必要だ。ならば]
あのね……
[誰を…とは告げることはできなかった。
けれど視線の先にあるのは一軒の家。そこの住人は傍らの彼とてよく知った者のもの。彼にとって思い出深き幼なじみの家だった]
─ 帰り道 ─
[アルビンを伴って家路へと向かう。カタリナがどうするかはわからなかったが、呼ぶにしても少しばかり片付けをしなければならないだろう。散らかってるとまではいかないまでも、見られたら恥ずかしい物くらいはあったかもしれない。
『来るなら雨が降る前にね』とでも告げてから出たことだろう。
道すがら酔っているのもあったのだろうが、傍らのアルビンはいつに増して機嫌がよさそうだった。>>75
機嫌といえばオットーもそうだったか?>>62
自分のおかげと言われた時は少しびっくりして……少し気恥ずかしかった。内心あわあわしたせいか彼の顔はちょっと覚えていなかったけれど……うん、きっとご機嫌さんだった]
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