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[ 絢爛公の言祝ぎを受け、狼の群れのにわか主人となったウェルシュは、一番大きな炭色狼に跨って城から駆け出す。
城が陥落した際に逃げ出した人間たちが開け放ったものか、城門はしどけなく開かれていた。]
誰も、城を奪い返しに来たりしないのかな。
人心なんてあっという間に霧散してしまうのだね。
[ くすくすと笑いながら、借り物の使い魔を空に放つ。]
[ ウェルシュの持つ血の探索術では、狩人のいる方向はわかっても、正確な位置がわからない。
でも、しばらくすればコウモリ同士の情報交換で目星もつくだろう。>>84 ]
いるの? いた?
[ どこかの建物らしい。
特定できたら、コウモリを呼び戻して、今度は道案内させよう。
途中で何かと遭遇したら、それはそのとき。*]
[ 街を移動する最中、禍々しい流星雨が空を貫いて走った。>>115
宴の始まりに絢爛公が仕掛けたのとはまた異なる、狩りの角笛のような朗々たるもの。
驚いて外に飛び出してきた人間を蹴散らして狼は走る。
普段、荒事からは距離を置いているウェルシュにとっては目新しい感覚だ。]
いい、 もっと…!
[ 背をそらして、笑みを弾けさせる。]
[ と、狼の一匹が物陰に隠れた人間に牙を剥いた。>>144
ウェルシュも覗き込んでみる。
大柄な男だ。]
なんだろう、アイツとは似ても似つかないけど、アイツにゆかりがあるような。
…ねえ、おじさん。
吸血鬼に会ったらどうすればいいか知ってる?
[ 挨拶がてらに声をかけてみた。**]
>>149
挨拶は大事だね──って、何その普通の挨拶!
[ 吸血鬼に対してなら、もっとこう大仰にしてみるべきでは? とばかりの不満顔。]
ましてや「処刑」って言ったね。
あれは、もっと、こう──壮大な言葉で言い換えられるべきだ。
それに人間ごときの同情なんていらないぞ。
[ 文句をまくしたてた後、一転。
不意に詩を吟ずる。]
──ああ、
しんとした舞台から
悶えでる、血塗れのものよ。
それは悶えて、のちうちまわる。──臨終の悲鳴をあげて
道化役者は餌となる。
[ 獰猛な笑みを見せて、狼の背から、うずくまる人間を見下ろした。]
さあ、ぼくが七つ数える間に、何かこの場に相応しいことを言ってみて!
しくじったら、あの塔の上まで咥えていって、落っことすからね!
[ 一方的に宣言するのだった。*]
ひとーつ、 ふたーつ、
[ 嬉々として数を積み上げていったら、案の定、市井の大男は慌てふためいた様子を見せる。
何を言ってくるかと思ったら、]
[ 聞いていたら、おかしな気持ちになった。]
っは! なにさ、── ぼくらが夜、眠らないことも知らないの?
[ 焦れる。どうしよう。
これ以上、切なくなる前に逃げたいような、ただでは済ませられないような。*]
[ 人間の言葉など、まともに吟味しなくたっていいのだけれど、問いかけるような口調につい引き込まれていた。>>174]
歌い踊りながら寝るとか、そんな器用なことできるわけないよ!
嘘じゃないなら、やってみせて。
[ 当然のように命じたところへ偵察に出していたコウモリが、狩人の居場所を見つけた。]
ちょうどいい、抱き合う相手を見つけてあげる。
[ ウェルシュの指示で、狼の一匹が大きく口を開けた。
咥えて一緒に連れてゆくつもりだ。*]
>>188
訂正も拒否も、させないんだからな──
[ 優越感を取り戻して、大男が狼の牙に捕獲されるところを見物しようとしていたら、]
…あ?!
[ 謝罪の言葉と狼のけたたましい鳴き声が重なった。
人間ごときの反撃で、使い魔がこれほど痛手を被るはずがなかった。]
なに、 なんでッ
[ のたうつ狼の姿にうろたえている間に、大男はまろびゆく。]
[ 狼が黒い霧となって消えた後に、光を反射させるダーツが転がっていた。
見覚えのある、それ。]
アイツのだ…! 仲間だったのか。
おい、戻ってこい!
[ 路地の奥に向かって怒鳴る。
同じような武器を他にも隠し持っているかもしれないことを考えると、狼を送り込むのは躊躇われた。
狩人も追わねばならない。]
── 今度見つけたら、塔の二倍の高さから落とす!
[ 言いおいて、今は先を急ぐことにした。*]
>>203
夜に星がふる、ふる、 朝がくるまでねむれ
[ 妙に覚えてしまったじゃないか。]
いいや、
朝がくるまでに
[ 一曲分待っても戻る者のない路地を一睨みして、残り5匹の狼とともに、狩人を探しに向かう。]
― 図書館 ―
[ 予想外の出会いと損害だったけれど、これで、この街をめちゃくちゃにしていい理由がさらに増えたと思うことにする。
ウェルシュは、コウモリの先導で、狼は堅牢な建物の屋上へ至った。
そこも、先ほどの"落星"で毀たれており、内部に至る亀裂が走っていた。
コウモリが階下へと入り込み、書架の間にいる二人の姿をウルシュに見せる。>>161>>165 ]
女の子を侍らせているなんていいご身分だね。
ぼくを売ったお金でデートにでも誘ったのかい。
[ 呼びかけてやれば、血の匂いを嗅ぎつけた狼たちも一斉に遠吠えした。**]
[ 狩人は少女と離れた。あっさりとしたものだ。>>217
彼が投げたダーツが、偵察コウモリとリンクしている視界に迫り、その臨場感に、ウェルシュは思わず狼の背中で大きく仰け反った。
傍から見たら、不思議な光景だったろう。]
…っ! 危ないヤツめ!
[ ダーツに懲りているウェルシュは警戒し、自分の代わりに4頭の狼を天井の裂け目から送り込む。]
アイツの手足を噛み裂いてしまえ!
武器に気をつけるんだよ。
[ ウェルシュ自身は、少女の方へ向かうことにした。
狼に乗ったまま、軽やかに跳躍する。
床につけば、近くにこぼれていた狩人の血を材料に、何匹もの赤い毒蛇を生じさせた。
毒蛇は少女を部屋の隅の方へと追い詰めるべく、展開して這ってゆく。**]
[ 図書館の奥の方へと追い詰められてゆく少女を見つけた。
狩人が騒いでいるのを強いて無視して少女を追う。
彼女がかすかに漏らした声を聞いて、気分が高揚した。>>234]
こんばんは、お嬢さん。
[ 赤い蛇の後ろから挨拶する。]
おや ── 君は黒い服を着ているんだね。
とても似合うよ。
艶やかな黒い髪も ── そのまま
ぼくはウェルシュ。 君の名は?
[ 興味しんしんな様子で尋ねる。*]
[ 少女からは、意外に冷静な返事が戻ってきた。>>255]
その落ち着きっぷりもいいね。お嬢様らしい。
復讐は、ね。
アイツは、
あの方は、この闇の下で行われるすべてをご存知になられるのだから。
[ 後ろでなおも喚いている相手にも聞こえるように言ってやる。]
[ 名前を教えないという少女に、ふむ、と腕組みして思案顔。]
それなら、ぼくが名前をあげよう!
──アナベル・リイ。 麗しいひと。
ねえ、その黒もいいけれど、城にくれば、もっと上等な黒いドレスがあるよ。
ぼくと一緒に来ない?
[ 見つめる目に魅了の力をそっとこめてゆく。*]
>>271
黒は確かに好きだけど、それだけじゃない。
君に似合うと思うから、勧めてるんだよ。アナベル・リイ。
君は若くて綺麗だ。
ぼくはそれをもてはやしたいし、君は永遠にしたいと思わない?
ぼくには、その力があるんだよ。
ね、一緒に、行こう。
[ 少女の足元に寄って行った赤い蛇が、急かすように鎌首を持ち上げて牙を剥く。**]
[ 魅力の術がそれなりに効果を発しているのはみてとれたが、少女の返事は、取り付く島もなく無機質な滑らかさだった。>>312
それはそれで攻略意欲をそそられる。
もっと熱烈な思いを掻き立てたい。
だって、人間の愛おしさって、そこだと思うから。
背後で狼の苦鳴が聞こえて、狩人の方もまだ片付いていないことが知れる。>>297
あまり悠長にもしていられないかもしれない。]
[ ふらふらと歩き出した彼女のくるぶしに、赤い蛇を噛み付かせる。]
…あ、大変! 毒蛇に噛まれてしまったね。アナベル・リイ。
解毒しないと、死んでしまうよ。
その蛇、元はと言えばあの狩人に由来するものだから、アイツを亡き者にすれば効果もなくなる。
[ わかりやすく誘導してやった。*]
[ 少女は完全な無表情のまま、ウェルシュの言葉を追認する。>>323
追い詰められた人間というよりは機械人形みたいだ。]
そう、まだチャンスはあるよ。アナベル・リイ。
アイツはどこかあっちの方、ぼくの連れてきた狼が足止めをしている。
ほら、音が聞こえるだろう。
気をつけて行っておいで。アナベル・リイ。
これを餞別に贈るよ。
[ そう言うと、少女の足元に寄っていた赤い蛇たちが変形して赤いピストルになる。
持ち方、使い方を簡単にレクチャーして差し出した。]
弾は5発きりだ。
上手く使って、確実に仕留めるんだよ。
[ そうけしかけて、自分は、二人の対決が見物できるところへ移動することにした。*]
[ 従順に出撃する少女を笑顔で見送る。>>335
挨拶されるのはとても気持ちいいものだ。
同胞が灰に帰した気配に、騎乗中の狼は苛立っている様子だったが、首筋を撫でて宥める。>>337]
どうなるかまずは見物だよ。
[ 狩人に先回りして仕掛けを教えたりはしてやらない。
自分は陰に隠れて、書架見出しにぶら下がった偵察コウモリの視界を通じて眺めていよう。
少女と狩人が接触するまでの間、狩人に襲い掛かっていた狼たちも警戒状態を維持させておく。
戦いになったら、少女の加勢をさせるつもりだ。*]
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