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……ま、なんにしても。
俺としちゃ、挽回の機会をみすみす潰すわけにもいかねぇんで、な。
[低く呟いた後、呼吸を整える。
『龍爪』を握る左の手に、力を込めて]
……獲らせて、もらうっ!
[一方的な宣の後、地を蹴り駆けた。
基本的に、こちらの間合いは狭い。
故に、奇襲から相手の懐を一気に狙うのは常の事。
ある程度、距離を詰めた所で逆手持ちのまま強引に抜刀した『龍爪』を振り上げつつ、地を蹴り、跳んだ。
跳躍によって残りの距離を稼ぎつつ、繰り出すのは振り下ろしの勢い乗せた突き、一閃。*]
[紡がれる言葉、向けられる表情。>>149
それが意識の奥に与える痛み、揺らぎ。
その理由は全て、見えぬ記憶の帳の向こう。
そんな状態でも、愛刀を手にすれば、意識は強引に切り替えられる。
抜刀即ちそれ戦場、と叩き込まれたが故の事……なのはさておき]
……なんっ……!?
[跳躍するこちらを迎え撃つように振り上げられる長柄。>>*1
こちらの動きを見切ったが如き反応に戸惑いつつ、それでも、直撃は食らえない、と身を捻る。
長柄が僅かに胴を掠め、着地の態勢は決まらなかったが]
……中々……。
[数度転がり、距離を開けてから勢いに乗せて跳ね上がる。
口の端が微かに上がり、笑みを刷いた]
やってくれるじゃ……。
[単純な手では距離は詰められそうにない。
そして、間合いを詰めねば相手は獲れない。
ならどうするか、という思考は短いもので]
ねぇのっ!
[逆手持ちしていた『龍爪』を右手で持ち直し、横一線に振るう。
距離ある状態で放つのは、赤く煌く雷撃一閃。**]
(……なんで、読まれた?)
[長柄の得物を用いる相手との対峙、ないわけではない。
だが、初見で打てば響く対応をされた事は殆どないと言っていい。
無論、相応の達人であるならば話は別だが、見た目自身ととさして歳の変わらぬ女がその域に達している、とは思い難かった]
……思ってた以上の難敵、かね、こいつは。
[放った雷撃に対し、ためらいなく武器を振り下ろす姿に小さく呟く。>>*5
赤の雷撃は何かを覆う革を焼き切り、周囲に異臭が立ち込める。
覆いの下から現れたものが、平原に差し込む光を跳ね返す様に、赤の瞳がひとつ、瞬いた。*]
とーさん、それ、なんだ?
[未だ何も失わずにいた頃。
父が新たに鍛える刃が、いつもとどこか違う事に気づいて投げかけた問い。
それに向けられたのは、楽し気な笑みだった]
「なに、ちょっと、造ってみたい、ってぇ気になったんでな。
未来の戦乙女様への贈り物って所だ」
……みらいのいくさおとめ?
[冗談めかした言葉に素で返した言葉はちょっと棒読みで。
その反応に、父はやれやれ、と苦笑していた]
「お前のそういう所は、母さんそっくりだなぁ……」
なにそれ?
ていうか、それ、『龍爪』にちょっと似てる?
[ぼやくような言葉にも素で首を傾げつつ。
少年の好奇心は刃の形へと向けられる。
そこから、刀の種別やら何やらの話へと話題は以降して行ったから、『未来の戦乙女』が誰を示すかの追及はその場ではされぬまま。
もっとも、少年に教えれば贈る相手にもすぐバレるから、父としても仔細を説明する気はあまりなかったのだが]
[意識の奥底、帳の向こうに沈んだ記憶。
見えた刃は帳を揺らがす。
けれど、それは今だ、小さな漣にとどまるのみ。*]
[突然の襲撃に面して祖母から渡された袋筒。
襲撃当時は私が武器を取る事態には陥らず、悲惨な現状への対処に追われるのに必死で。
且つ、時を遅れて知ることとなった不幸を中々受け入れられなかったために、その封を解くまでには受け取ってから半年も過ぎてようやくだった。
開いた中から出てきたのは、祖母がまだ早いと言っていた通り私の身丈にはまだ長すぎる柄と、その先に据えられた煌めき。
それは何の見識も持たぬ身であっても、業物だと分かるものだった]
……イェンスくんのとうさま。
わたしの、ために
こんなすごいの、用意、してくれてたんだ。
[声に出せば、あの温かな笑顔が今にもすぐに脳裏に浮かぶ。
その顔も、もう二度と見ることは出来ないのだという思いも同時に浮かんで。
いわばこれが彼の人の形見の品ともなったのだと、視界が歪んだ。
溢れる涙で刃を汚さぬように、身を離して、手で顔を覆い]
なんで、こんな…
やだ、やだよ、やだ…
もうあえないなんて、やだ、やだよ…
どこいっちゃったの、ねぇ、
いぇんすくん、
いぇんすくん…!!!
[行方知れず、けれどきっと彼ももうこの世にはいないだろうと。
そういわれた名を、何度も呼んで泣き崩れて。
けれどこの慟哭は誰に言ってもどうすることも出来ないとも分かっていたから。
私一人と、この薙刀だけの秘め事として、ずぅっと胸に、しまいこんできたものだった]
[対する相手の内に巡るもの。
それに繋がる道は青年の中にはなく、故に、刃向けるを躊躇う事はない、が]
…………?
[雷撃が覆いを焼き切り、露わになった刃。
独特と言えるその形が何かに引っかかって、ふ、と視線が手にした『龍爪』と、それから、鞘に収まったままの『紅雷』に落ちた]
……似て……る?
[刃の長さは『紅雷』の方に近いが、刀身の造りは『龍爪』と似ているか、と。
そんな思考と共にぽつり、と呟きが零れ落ちる]
……は。
んじゃ、ここはどうしたしまして、と返しとくかね。
[切っ先と共に向けられた、皮肉めいた礼に微か、口の端を上げる。
向けられる刃、知らぬはずのそれ。
閉じた意識の奥がざわめくが、それが何を意味するかはわからないから、そのまま押し込んで]
……間合い的には、『紅雷』の方が楽なんだが、なぁ……。
[抜けないんじゃ仕方ない、とそこは割り切っている。
それに、この場合は小回りの利き易い『龍爪』の方が楽だろう、とそんな思考もあるからぼやきは続かずに]
さて、お互いさんに全力出せるようになったようだし。
……やると、しますかねっとぉ!
[宣と共に、再度、地を蹴り駆ける。
どちらにしても、懐に飛びこまなくてはならないのはこちら側。
もっとも、長柄を使う相手はそれを阻もうと動くが常。
ならばどうするか、は単純明快]
……雷速!
[小さく紡ぐのは、術の言霊。
自身に宿る雷の気と刃のそれを呼応させて発動させる、身体強化の術。
駆け出した直後は先と変わらぬ速度のまま、向こうの間合いぎりぎりに迫った所で速度を急激に上げて]
ほらよっと!
[軽い掛け声と共に地を蹴り、女の左側面へと回り込む。
低く構えた姿勢から繰り出すのは上へと切り抜ける強襲の閃。*]
/*
バトルカードは、事前確定型じゃないとどーしてもお見合うのよなぁ……。
どことも当たりたい症候群が発動すると、特に。
まあ、どっちが楽かと言えばこっちなんで、素直に出しておこう、うん。
[こうして戦う中、なぜか過るのは3年間の鍛錬の記憶。
それはきっと、私が初めて覚えた他人と戦う間合いだからだ。
何度も手合わせをして、何度もケガをして。
でも、その度にこうしたらいいんじゃないか、こうしたら追撃になるんじゃないか。
そんな話をして、たくさんたくさん、覚えていったから]
あのね、わたし、
とちがみさま?のかごが、つよいんだって。
だからね、いまはまだムリだけど
おっきくなったら、じめんをうごかしたりとか
もっとたくさんのつちを、もちあげたりとか
[ふいに話し始めたこちらに、彼はどんな顔をしていたか。
それに構わずに話を続けたのは、どうしてもお願いしたいことがあったから]
そしたら、もっとたくさんのたたかいかた、
できるよーに、きっとなるから
まっててね。イェンスくん。
[そう言ったのは、私との手合わせで彼が何かを使わないようにしてると気がついていたから。
それが何かまでは知らなかったけれど、なんとなく寂しかったのだ。
手を抜かれてるとまでは思わなかったけれど、でも、全力を見せてもらえる自分にはまだなれていないのだとは思えて。
いつか、全力を出してもらえる自分になれるまで。
その時も彼はいてくれるのだと、幼い私は愚直に信じていた*]
[唐突な加速は狙い通り相手の虚を突けたが、さすがにというか、ただでは斬られてくれぬわけで]
……は!?
[唐突に競り上がった地面。>>*31
身体の向きを返られた事と、足元が変化した事で強襲は相手を捉え切れずに空を裂く]
ん、のっ……!
[想定外に対する困惑は刹那、振り回しの一撃を避けるべく、せり上がった土を踏んで高く跳ぶ。
刃先が僅かに足を掠めはしたものの、大きく裂かれたわけじゃない、と痛みは無視して]
ただ、で。
落ちるか!
[ここで後ろに飛び退けば、結局はまた繰り返し。
ならば多少は無謀でも、ここは上から仕掛ける局面、との判断は早い]
そう簡単にゃ、振り抜けねぇ、だろっ!
[何故そう思うかはわからない。
でも、『前にも』そう思って切り込んだような、そんな覚えが微かにある。
明確な記憶ではなく、身体が覚えている、感覚。
上からの突き下ろし、狙うは先のように急所――ではなく。
長柄支える、左の腕。*]
[交差の最中、繰り出される技は記憶の帳をゆらり、揺らす]
……とちがみさまの、かご?
[稽古の合間、唐突に始まった話。
言われた意味がわからず、きょとん、としたまま、話を聞いた]
……へぇ……なんかそれ、凄いなぁ。
[てか、めっちゃそれ、攻め難そう……というのまでは、言葉にはしなかったけれど。
でもなんでいきなりそんな話を、と思った所に告げられたのは、待っててね、というお願いで]
あー、えー、と。
[唐突なお願いは、なんだか色々、見透かされているような気がして、妙な声が上がった。
武術の稽古とは直接関係ないから、と使わずにいる雷の力の事とか、違う間合いでの戦い方の事とか、いろいろ。
別に遠慮しているとか手を抜いているとか、ではないのだけれど。
何かしら、気づかれているのか、と思うとちょっと後ろめたいようななんというかな気持ちになってしまうのも確かで]
……う、ん。
[それでも。
向けられる言葉と瞳が真っ直ぐだったから、返したのは頷きひとつ]
俺も、まだまだ全然足りてないから。
全力で、ぶつかれるように、がんばりながら。
まってる、な。
[そんな未来が当たり前に来ると思っていたからこそ。
返す言葉に、迷いは、なかった。*]
[落下の勢いを乗せた強襲に返るのは、鈍い手応え。
止められた、と同時に、『また』という言葉が過って、消える。
そんな自分の思考に戸惑っていた所に向けられた、問い。>>*40]
……は?
なに、言ってんの、お前?
[刃交わす最中に唐突に出てきた言葉と、それが出てくる前の、瞳の色の変化。
それらは、青年の内にひとつの疑問を浮かび上がらせる]
教わったもなんも、ねぇよ。
これは、俺が自分で身に着けた動き、だ。
[身体が覚えていた動きを、そのまま我流で磨き上げた結果、とまでの説明には至らなかったけれど]
……てか、おま、ホント、何なんだよ。
[距離の近い瞳を真っ向う見返しつつ、ぶつけるのはあの時から抱えている苛立ちと、今生じた疑問]
こっちの動きは読んでるし、妙な事、聞いてくるし。
まるで……俺の、事……。
こうなる前の、俺の事、知ってるみたいじゃねぇかよっ!
[叫ぶように言いつつ、『龍爪』を引き抜くべく、ぐ、と手に力を込めた。*]
んなっ……。
[言葉交わす間に零れる滴。>>*45
一瞬、何かが過って、消えて]
なん、で、って……!
[言い募られる言葉たち。
最後の叫びは、こちらが投げた問いの答となった。>>*46]
って、と!
[『龍爪』を引き抜くのとほぼ同時、長柄が大きく振るわれる。
色々な意味でこれはヤバい、と大きく飛び退く事でその一撃を避けた]
なんで知ってるも、なにも、なぁ。
[着地し、呼吸整えた後、上げる声は低いもの]
自分の動きなんだから、知っててとーぜんだろーが!
この戦い方は、俺が、唯一覚えてたもの。
イェンス、って名前と、『紅雷・龍爪』の二対と。
身についた動き方だけが、12年前から残ってる俺の唯一、なんだよ!
それに文句つけられても、返しようがねぇだろーが!
他の事は、思い出せねぇんだからっ!
[怒鳴るように返しつつ、『龍爪』を鞘に納める。
代わりに、手をかけるのは抜けぬ刀――『紅雷』の柄]
……『紅雷』……それと、俺の天命、ちょっと手ぇ貸せ。
[経緯は、今は、思い出しようがない。
けれど、どうやら向こうは自分の手を知っている。
ならば、単純な手に頼っていては埒が明かない。
……向こうがこちらの過去に繋がる糸口であるなら、という思い、ないわけではないけれど。
今のままでは、どうにもならない、とも思うから]
……『紅雷』の担い手の名において願い奉る。
……一時、ここに下れ……紅雷龍。
[左手首にはめた天命石が淡い光を放ち、同じく『紅雷』から零れた光と重なり、赤の煌きを生み出す。
それは鞘に収まった『龍爪』へとふわり、宿った]
……どっちにしろ、白黒つけねぇと始まりそうにねぇからな。
でかいの一発……。
[言いつつ、再び『龍爪』の柄を握って]
撃たせてもらうっ!
[叫びざまに横一文字に振り抜く。
刃から飛び立つのは、先ほどよりも速度と、そして威力を増した龍思わせる形の雷撃。*2(20x1)]
/*
うむ、ラ神が空気を読んだ。
……でかいの食らわないと、記憶戻る衝撃が入らんだろー、と思ってたらこれだもんなw
[放った術は本来、『紅雷』を持って放つもの。
故に、威力の減退は避けられず、それを天命石の力で補ったのが今の技――だったのだが]
……なにっ!?
[呪と共に振り切られた刃から放たれた土礫。>>*63
それは赤き雷撃の龍に打ち砕かれるものの、そこから、予想外の変化をもたらした。
生じた土煙が視界と呼吸を遮る。
ヤバい、と後退しようとした矢先、胸倉を掴まれ、予想外の衝撃が立て続けに襲ってきた]
……って……。
[押さえつけられる感覚に、しまった、と思いつつ。
何とか抜け出さなくては、と思った所に落ちてきたのは]
………………。
[途切れがちの声が紡ぐ、問いかけ。
ずき、と頭の奥がまた、痛んだ]
……こんな事で嘘ついたって、仕方ねぇだろ。
12年前、
[どこか投げやりな口調で、そう返して、それから]
…………お前。
俺の事、知ってる……んだよ、な。
[確かめるように、こんな問いを投げかけた。*]
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