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− 黄砂の村 近く − >>0:88
[呼ばれた名は自分のもの。
だが、その響きは、自分がここまで同道してきた彼のものとは異なる。
── 結論。
そこにいるのは、シェットラントでありつつ、ベリアンの知らない誰かであった。]
介入された、か。
[召喚した者の幾たりかに、別の力が働いたのを感じとっていた。
しかし、これは ── ]
おまえの明晰な頭脳をもってして、この状況を説明してみるといい。
[動揺は押し隠して、いつもの調子で無茶ぶった。*]
− 黄砂の村 近く −
[挑発めいた問いかけに、返ってきたのは迸るような拒絶だった。>>15]
まさか、召喚した者の代わりに…?
[さまざまな可能性を考えて焦りはするが、じたばたしても始まるまい。
いつもの冷静さを失っているようでありながら、氷人形の紡ぐ魔力はやはり鋭く、天性の才を宿していた。>>16
とっさに押さえ込めるようなものではない。]
── っ!
[風の刃が肌を裂く。
続くであろう、実体の刃を受けるわけにはいかなかった。
とっさに魔力を自らの足元に叩き付け、互いを反対の方向へ弾き飛ばさんと試みる。**]
− 黄砂の村 近く −
[風の刃がその術者をも傷つける。>>31
まったくもって、いつものシェットラントらしくない。
そして、ベリアンの目は、己に向けられた剣の変化に気づいていた。]
覚えがある。
[邪悪な意志を持つ魔導書に導かれていた記憶。
あの剣は、その類であろう。]
[あれを無力化できれば、シェットラントはいつもの怜悧な彼に戻るはず。
しかし、闇雲に剣へと攻撃を加えようとすれば、シェットラントが自らの身をもって剣を庇うこともあり得た。
かつての自分がそうだったように。
つまり、単純な話ではない。]
そもそも わたしに個人戦などさせないでほしい。
[魔力を剣に乗せて戦える才を羨んでいるワケじゃない ── 多分。
ここしばらく、シェットラントの武によって守られていた、その心地よさが改めて身にしみる。]
[しかしながら、敵を求める眼差しでシェットラントが立ち上がってくるならば、立ち尽くしているわけにもいかなかった。]
── 願うは極秘、かの奇しき紅の夢
[ポタポタと砂に落ちる自らの血を触媒に、術式を編む。
砂が集まって形作るのは一頭の馬だ。
それに跨がり、シェットラントを見下ろす。]
口ほどにもない。
そこで砂を浴びているがいい。
[彼が騎士でもあることを失念したかの態で煽った。
馬首を返し、距離を稼がんとする素振りを見せる。
その実、追いかけさせて黄砂の村まで誘導しようと。
この世界に召喚された者の中に、力を貸してくれる者がいるだろう。
もっとも、逆に”執り込まれた”者に遭遇してしまう可能性もあった。**]
― 黄砂の村 近く ―
[シェットラントから向けられた敵意に怯んだわけではないが、
抉られるような気持ちを味わったのは確かだ。]
…っ、 おまえでなければ
[呪文を途中で止めた気配に、正気に戻ったかと期待をしもしたが、
差し替えられた別の詠唱に口の中が乾く。
彼の本気の雷撃であれば、村ごと消し飛ぶ。
とっさに、転移を決断した。]
必ず助けを連れて戻る…!
[それは捨て台詞ではなく、約束だ。*]
[転移を発動させるのと同時に、シェットラントの叫びが届いた。>>227
そこに滲む切なる願いのいろ。
己はまた逃げたのだ、という自覚に歯噛みし、
朋を置き去りにした弱さを悔いる。
この身を危機に晒しても、踏みとどまるべきであった。
それで彼が救えるのなら ──
馬首を返したが、すでに魔法のゲートは閉じていた。]
[空と大地のあちこちで、争乱の気配がする。
侵略が始まりつつあり、そして、その先鋒として、
本来は手を携えてしかるべき者たちが刃を交えているのだった。]
空が灼け落ちる ──
[唇を引き結んだベリアンは、今一度、この世界へ召喚した者たちへと呼びかけた。]
我は
汝が盟友を操る核を封じよ。
侵略者の”目”を。
── そして、わたしにも力を貸してもらえるとありがたい。
[この世界で、他者と手を携えることを覚えた魔導士は、そう告げて、
再びシェットラントの元へ戻るべく、いくつかの魔法を発動させた。*]
− 黄砂の村 −
[戻り、見出したのは、グリフォン
太陽と氷の戦いだ。]
これ以上、
── 真素肌のましろなる、衣つけぬ常若の矜
[紡ぐは、シェットラントの身を守る術。
グリフォン
願わくば、呪いの"目"のみを破壊せしめよ、太陽戴く者よ。
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