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[足取りはまだ覚束ないものの、歩くには差しさわりなく。
道中船内の状況を聞かれれば、首をかしげる。>>362
実際状況が分からずに、こう答えるよりほかにない。]
悪いが、俺にもわかってないんだ。
緊急放送があってから、
ずっと避難誘導してただけでさ。
[クレステッドから聞かされた情報――外部からの攻撃については、まだ目撃情報の段階であるのだから、
ガートルードへの報告には添えたが、不明瞭なことを言って客を不安にさせてはいけないと。
笊なりに考えるのは、そのようなこと。
そうして通り過ぎる扉の向こうに、“何か”の影があったとしても、>>377
室内に潜んでいる者の気配など、殊に物音立てずにいるものであるなら、気づくはずもなく。
此方の足音は、歩調を変えることもなく、通り過ぎていったことだろう。]
[メイン・サロンにはまだクレステッドとベルガマスコの姿はあったか、どうだったか。
“客”と思っているそのひとの案内を追えれば、サロンの扉のところで立ち止まる。]
ここは他より安全だから。
でも、ドロイドが来ないとも限らないから、気ぃ付けて。
それじゃあ、俺また見回りしてくるから、ここで。
[それからいくらか会話を続けたかもしれないが、やがて廊下へと戻るだろう。
――とはいえ、何からどうするべきか。
先程の不審者とと不審物の件、
いやその前に、逃げ遅れている乗客がいたら安全の確保。
第二エリアにもう一度戻るべきか。
いや、避難艇の方に行ったはずのセンセイどこ行った?
それから、ああ、第三エリアに攻撃の痕跡があったんだっけ? それも確認しないと。
というか、まだドロイドうろついてるなら、危険そうなやつはつぶさなきゃいけねえし。
一つ一つ片づけなきゃいけないわけだけど、まず第一には乗客の安全確保で――]
あああああああああくっそぉ!!!
船広すぎんだよ!!!!!
増えたい!!!!!!!!!
[そんな阿呆極まりない叫び声ひとつ、
よし、と気合を入れて廊下に戻る顔色は、未だ蒼白だったけれど、
薬と貰い物のドリンク剤のおかげか、いくらか足早では、ある。
そうしてまた、船内のどこかへ。]**
/*
あ、ノーラさんとゆっくり一緒にお話しするという展開もあった…せっかく話しかけてくれたのだし。
ちょっとねむみとリアル目眩があれで動きがひどいぞ、全方位にごめんなさい……
―― メイン・サロン付近 通路 ――
[さて次は、取り残されている乗客を探そうと駆けだして、
メインエリアからそれほど離れてはいない場所で、耳が異音を察知する。
廊下の曲がり角から現れた警備ドロイド、
現れるタイミングは分かっていた、装備の種類も大凡見当がついていた。
先程倒した一体と、音が同じだったから。
光線銃が此方に照準を合わせるよりも早く、
一瞬でばねを溜めた足は床を蹴り、
位置を変えざまに発砲すれば、一弾目はドロイドの頸部をかすめ、
続けざまに引いた引き金が、今度こそ過たず、狙いの部位を破壊する。
狙いの甘さに歯噛みしつつ、滑り出してくる二台目に駆け寄り、
警棒の一撃を前に飛び込んで躱し、関節部に蹴りを叩き込む。
ガシャリと鈍い音を立て、二体のドロイドが床に崩れ落ちる。]
あー、くそ、これで、何、台……っ
[これまで見た限りでは、最初に避難誘導を行っていた第二エリアにドロイドの数が多かったように思う。
客の滞在のため、多種多様な施設が集まっているだけに、元より数が多くはあった。
船のそこかしこに、時に普段の巡回箇所すらお構いなしに現れるドロイドは、
いまもこの船の何処かで、逃げ遅れた人を襲っているのかもしれない。]
[息が上がる。
それなりの長時間動き回ってはいるが、この程度の運動量でここまでの疲労が蓄積されるのは――…]
……ッ
[思念を振り払うように、ぱしん、と頬を己で張って。
支給の銃を携え、廊下を再び走り出す。]
[ 銃を携え ]
―― Einherjar ――
[“ニンゲン”の少年兵ならば、親の手足を切り落とさせることもあると聞いたけれど、
生憎自分たちにはそのようなものはなかったし、
投薬の結果身動きが利かなくなった一体を処分するついで、
人の止め方を教えるついで、
人の殺し方を実際に教えるついで、
つまりは、最初にこの手を赤く染めたものは、所謂“ついで”の一言に、片づけられてしまう、そういうものだった。]
[それからどれほどのひとを殺したか分からない。
けれど、今も、そのときのことが忘れられない。
刃を差し込めば、拘束されながらも狂ったように跳ねた四肢と、
爛れた頬に浮かんだ地獄のような苦痛と、
幾年の時を経ても耳奥に響き続けるような、叫び声が忘れられない。]
[自分は泣いていただろうか、どうだったろう。
――… ほかの仲間に比べて、どうも“感情”豊かな類だったということは、覚えているけれど。
それも長ずるにつれて毟り取られて、
しまいには尽き果ててしまっていたはずだから。]
“ エインヘリャル ”
[かれら(自分たち)は、そういう風な名前のもので、あったらしい。]
[脳内寄生生物ガルーをひとの手で、何らかの形で制御し、利用しようとする試みは、
古今東西あらゆる場所で、あったことだろう。
けれど、その試みは往々にして危険を伴い、惨劇の結末を迎えたプロジェクトも過去にはあったらしい。
“エインヘリャル”は、アースガルドの惑星軌道上にある、
とある――表向きは――民間製薬会社の研究施設船で行われていた、
脳内寄生生物ガルーの引き起こす人体への強化作用を、ナノマシンと投薬で再現するプロジェクトの名称だ。
人狼化の危険を避け、“人間の形のままで”、人間を超えた力を持つ“何か”を作り出し、利用する。
ガルーの軍事利用に関する研究の流れを密かに組みつつも、当時よりさらに進んだ技術がそれを可能にした。
さて、戦争すらあらゆる要素が機械化された昨今において、
そのような半端な代物が開発されたとて役に立つ場所はあるかといえば――…
当時はまだ『風の内戦』こそ始まってはいなかったもの、戦乱の火種は何処にでもあり、
未だに旧態然とした泥沼の市街線が繰り広げられる僻地もある。
副産物として得られる医療技術も、成果となったことだろう。]
[作られたのは、船の上だった。
だから、故郷の星と呼べるものはない。
試行段階ゆえに、作られたときにはそれなりの数がいたはずのおなじものたち”――言い換えれば仲間、もしかしたら家族”は、
長じるにつれて、その数を減らしながら、
“使い道”や“性能”を図るため、時に様々な実験の被検体となり、時に戦地に派遣された。
―― 自分は主に後者、時折はまた、前者。
初めて降りた地上は、地平線の向こうまで真っ赤に焼け果てるように夕日に塗れていて、
遥か前の方に、現地で徴用された同じ年頃の“ニンゲン”の子どもが、
盾として歩かされては、吹き飛ばされるのも、見ていた。
ほんとうに幸いなことに――と思ってしまうのは、それこそ反吐が出るような思考であるが、
そういった現地の子供を“徴用”する任務についたことは、なかったけれど。]
[性能はそれほど際立った方ではなく、むしろごく平凡だった。
仲間の中には、それこそ“人狼”に比肩しうるとうたわれた――まあ、製作者の法螺の類であったかもしれないが――それほどの被験体もいたらしい。
自分より少し前の年代であった彼らは、いつのまにか、いなくなっていた。
今ならその理由も、なんとなく想像はつく。
多分――…
自分がいまもこうして『生きて』いるのは、
その力が、かろうじてニンゲンに近いほどの、ごく弱いものであるからだろう。]
[親はない。
家族はない。
しいて言うならば、同じ境遇の仲間たちへの“感情”は、こんなバケモノにも残っていて。
――本当に不思議なことに、残されていて。
それすらも一息に断ち切られたのは、プロジェクトが突然の終焉を迎えた、十五年前のこと。]*
/*
みんな設定すごいよなあ…と思いつつ、
ディークのは、うん、まるっきり下調べする時間なかったからそれらしい単語で口から出任せ書いていてけふん……すまぬ、なんかこう、細かい箇所色々あれだろうけど見逃してネ(予防線
―― ヘルヘイムより死者の爪を ――
[研究所が閉鎖された理由を、あの場所を離れた自分が知ることはない。
一説には、研究所とつながりがあったアースガルド王国の権力者の権力闘争が原因であるとか。
一説には、外部からの査察を恐れた――これは、可能性が低いことであったろうか。
ただ、分かることはひとつ。
ある日“自分ただ一人が生き延びて”、他の皆が死んだということ。
集められ、呼びつけられ、一人廊下に出され。
何が起こるのかは分からなかったけれど、
疑問に思う心すらすっかり鈍くなって、
幾重もの強化ガラスの窓の前で、その内にいる皆と隔てられて、
ただ、待っていた。]
[ 皆のいる場所に流し込まれたのは、致死のガス ]
[記憶が錯綜する。
地獄を覆いつくすような叫びの渦が、
内側から拳が壊れるほどに窓を叩き、暴れまわる音が、
狂乱の形相で助けを求める、いくつもの、顔、顔、顔、顔――…
気付けば、絶叫は、自身の喉を引き裂いていた。
引きずり倒され、拘束されながら、
床を這い、前を進もうと力を込めた爪が剥がれて
床に何本もの血の跡をつけて、]
―― 銀羊号へ ――
[――…それから、幾年も過ぎ、
酒が飲める年齢になったとき、養父の方が自分より上機嫌だった。
それまでも秘蔵のボトルをちょろまかそうとして関節技を食らったりと、
あの船にいた頃からまったく成長しないやり取りを重ねるなどしていたものだけれど。
これから何かしたいことはあるかと聞かれて、
首を傾げた自分が語った言葉は、
思い浮かぶ言の葉がぽつぽつと積み重なってゆくような、あまり脈絡がないもので。
けれど、その “望み” を最後まで聞いた養父は、笑って頷いた。]
[それから数年後、銀羊号に乗り込むこととなった。
行き先はアースガルド。
けれど、帰り道ではない。
自分にとってすべては、帰る道ではなくて行く道だ。
今このひととき、足元にある場所しか、自分にはないのだから。>>0:12
――それでも。
送り出してくれた養父は、別れ際に、いつもそうするように、
その大きな手でぐしゃりと叩くように土色の頭を撫でて、
にいっと、笑みを浮かべてみせたのだ。
船が順調に航海を終えたとしても、
もしかして、もう会えることはないかもしれないと、
互いにそうわかっていながら。
この船に乗る際に多少の無理を聞かせることが出来たのは、
養父であるその男の階級と、
過去に数年間、この船の船医として勤務した経歴と人脈があってのこと。
発覚すれば、ただでは済まない博打。
その男がそれを行った理由は、ひとつだけ。]
[一見のデータの数値だけでは、まだ分からないであろうこと。
これまで育て、検査を続けてきたその男だからこそ、読み取れる兆候。
始まりつつある、死へのカウントダウン。
いまはまだゆるやかな曲線だが、いずれ遠からず、落ちきる寸前の砂時計の砂のように、
さらりと消え果てしまうだろう。
ならば――…
望むなら、おまえの命のあるうちに、
その星を、見にいきなさい。
たとえ地獄の底から見上げた赤黒い空で、あったとしても、
そこに浮かんでいた三つの月を、
その命が始まった、最初の場所を、見てくると良い。
それを見たとて、故郷と呼べるものであるかは――それは、さあ。
辿り着いてみなければ、きっと分からないこと。]
[古い昔の物語、故郷を目指して歩き続けた男の物語、
書斎にあったそれを見たとき、『故郷ってなに?』と、まるで知らない者のことを語る空の口調で語った子供の、
砂時計の砂が、まだ幾許なりとも、残されているうちに。
その命が終わる前に、故郷と呼べるなにかを、
心のうちに、見出すことができるように。
――… 最初の場所まで、どうか、届くように。
そうして、願わくば、
おまえ自身がそう願っているように、
残されたその時間を、 “望み” 通りに生きることが、出来るようにと。]
[だから、船内の個人データベースを見るなら、
そこには微かな介入の痕跡が読み取れるかもしれず、>>0:430
医療データを見るならば、あらゆる面でボーダーぎりぎりの数値と、
ここ二回ほどサボっているメディカル・チェックのイエロー表記に加えて、こう、書かれている。>>1:296
“エインヘリャル研究所出身と推定される”
この時期そのような者が乗船していることに、違和感を覚えるには十分であろうか。
そして、その噂なり情報を、何らかの形で知っている者ならば知りうることがある。
計画の過程で生み出された子どもたちのうち、何らかの形で保護されたものは数名いるが、
――彼らは例外なく、三十年と生きずに死んだ。]**
/*
わーいスノウだー!
忙しいだろうに手間かけちゃって済まない…!
しかし折角だからもふらせてもらいたい…
でも今日ちょっと燃料切れだから明日になるかなあ。
/*
ちなみにディークの設定は直前COにつき突貫で組んだ…のですが、
曲はFGOの色彩でした。
>> ロ グ イ ン で き て な い <<
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