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― タイガの私室/数日後・夜 ―
[この幾夜かと同じようにタイガがベッドサイドに灯明を置く。
その手を押さえ、昼の間から考えていたことを口にした。]
私の身体もこちらの世界にいくらかは馴染んだ。
あなたも慣れてきただろう?
今夜はこのまま戻らず、2日間の滞在を試みてみたい。
構わないだろうか?
[了承が得られれば心底嬉しいという顔を見せる。]
私に睡眠は必要ないから。
[そう言って、タイガが眠ったあとも、ベッドサイドで彼を飽かず眺めていた。]
― 翌日 ―
[夜が去り、世界に光の時間が戻ってくるころ。
眠らないと言っていた天使は、ベッド脇の床に座りこみ、ベッドの上に上体を突っ伏していた**]
− 私室 −
[模擬戦後、数日を経て、ジークムントから、次なる段階への申し出がある。]
ああ。
召喚した者の意識がなくても、状態を維持しておけるかどうかは、確かに確認しておくべき項目だと思う。
[そんな実利的な理由など、ジークムントの嬉しそうな表情に比べれば、いかほどのものでもない。]
[睡眠は必要ない、というジークムントの輪郭を両手で包み、少し軸を傾けて唇を重ねる。]
…夜の間の先払いだ。
[口づけの所作も、当初のぎこちなさがとれて、だいぶ洗練されてきた。
けれど、大事なのは形よりも気持ちだろう。
共にいてほしいと願い、与えたいと望む。この天使をかけがえのないものだと感じる。
何度目の口づけだろうと血は熱くなった。]
[軍にいたから、周囲に人の気配が絶えない中で眠るのには慣れている。
それでも、天使に見守られながら眠るというのは初めてだ。
貴重な経験を堪能するように、ベッドサイドに侍るジークムントの傷ひとつない手の甲をそっと撫でていたが、その指の動きもやがて緩慢になり、若い肉体は眠りに引き込まれてゆく。
白い羽根の降り注ぐ幻を見た気がした。]
− 翌日 −
[いつも以上に目覚めはよかった。
期待に満ちる朝を迎え、まどろむことなく目を開く。
だが、そこに交わる眼差しはなく、]
── 、
[まずは、手だけ伸ばして、ジークムントの頬に触れてみる。]
― 学生寮共通ラウンジ ―
[「こっちこっち」と招かれて行ってみれば、歓談の場が用意されていた。
クラリッサ・コムラードいわく、学生課が用意してくれたとのこと。
「折角だからもっとパーティみたいな感じがいいかなって思った」との楽しげな声に頷きつつ、]
こんなときに、手料理のひとつも持参できると、女子力が高いと評価されるらしいぞ。
[真面目な顔で言った。*]
[触れられた瞬間、畳まれていた翼がびくりと震えた。
起き上がろうと緩慢に頭をもたげ、途中で力尽きてまた落ちる。
体がひどく冷えていた。]
………タイガ…
[掠れた声は透き通るよう。]
あつい───…
[手を握り返そうとした指は、氷のように冷たい。]
[ジークムントの異状を察すると、即座に飛び起きて、ジークムントを抱え上げて寝台に横たえる。
横臥の方がいいだろう。
冷たい身体に毛布をかぶせ、その上からそっと抱きしめる。]
天界に戻した方がいいか。 戻れば直るか?
[そうしなければ回復しないならば送り返そう。
だが、この状態でジークムントを手放す心痛は大きい。]
[クラリッサの前向きな反応に口元を緩める。]
君は良い指揮官になれる。
兵らは喜んで君についてゆくぞ。間違いない。
[ひょいひょいと料理をつまみながら現れたレーチェ・クアデルの言葉に、頷いてみせる。]
男所帯にいたからな、どういう子を嫁にほしいという話題はよく出る。
中でも、手料理ポイントは高い。
おまえのところのネイバーは、そういうのは求めてこないか。
何を食わせている?
[一応、課題の話らしい。]
おれのジークムントは人の食べ物は糧にならないと言っていた。
天使だからな。
それでも、他の部分で健気に、この世界になじもうとしてくれている。
鎧の着脱方法を学ぼうとしたりとか。
[ネイバーとはどうなんだ?という質問には、惚気にも近い口調で応えたのだった。**]
嫌――!
[おとなしくベッドに運ばれて毛布の端を握りしめていたが、天界に戻すかと聞かれれば強く首を振った。]
今、戻れば、もう来られなくなる、から、
天界が、ゆるさない …から……
[離すまいとタイガの手を握る。
力の加減が効かないからか、指が食い込むほどの強さで。]
[ジークムントが力の制御を忘れて掴んだ場所には、痣ができるだろう。
だが、感じたのは肉体よりもジークムントの心の慟哭だった。]
安心しろ、
おまえが厭だということを、無理強いしたりはしない。
[もう一方の手で、銀の髪を梳いてやる。]
もう来られなくなる…、
天界が、ゆるさない…か。
[ジークムントの泣訴から、この異状は、天界が呼び戻しにかかっているせいだろう、と推察した。]
[クラリッサらのテンポのいい会話を聞いていたが、時折、むせそうになった。
気になるところは、だいたい女学生同士で言及していたから、突っ込みはフレッシュジュースで飲み込んだ。]
[髪の間をタイガの指が通れば、手首を握る力はふっと緩んだ。
安心しろという言葉が、これほど強く響いたことはない。]
良かった―――
[熱で潤んだような瞳でタイガを見上げる。
その左目が、微かに赤い。]
禁忌、は …
[首を横に振ろうとして、視線を背けたまま毛布に半ば顔を隠した。
天使の精神は、虚言を操ることを受け付けない。]
私は、 自らの意思では天界を出られない身だ …
[やがて、観念したように告白した。]
私は、天界以外の気を受けてはいけないのだと、
受けてしまえば、私が穢れるからと、
天界を出ないよう、禁を受けていた。
けれども私は外に出てしまった。
あなたが、喚んでくれたから―――あなたに、会いたくて…
なのに、こんな気持ちになっては、
こんな、… …
…天界に帰れば、私は、きっと浄化されてしまう。
あなたのことも、何もかも忘れさせられてしまう。
[それは嫌だからとゆるく首を振ってから、唇を噛んだ。]
[血の色をにじませた目でジークムントが見つめてくる。
その唇は、優しい罪を告白した。]
天の理はわかった。
それでも、おまえが天を拒むというなら ──
[タイガとの間に正規の召喚契約を結んでしまえば、他者の介入を排除することができるはずだ。
けれど、今、それを申し出るのは、弱みにつけこむようなもの。
望むところにあらず。]
ここにいられる方法を、ふたりで見つけよう。
[真摯な想いで指を絡めて、額と額をくっつけた。]
[タイガの言葉は優しく温かい。
揺るぎなく、誠実で、力強い抱擁にも似ている。
だが、親密に触れてくる彼を、突き飛ばすように離した。
その勢いに、自分で驚いてうろたえる。]
す、すまない…。
違うんだ。 …その、
体が熱くなって、動けなくなってから、ずっと、
どうしても、 あなたを、 食べたくて …
そんな風に触れられると、もう耐えられなくなりそうで、
だから、
もう暫く、このまま静かに
して、…いれ、ば …
[言いよどんで口ごもる。]
[強い拒絶に弾かれて、ジークムント自身が困惑している様子に、そっと寝台の脇に控える。]
食べれば、どうなる?
[煽るつもりはないけれど、ジークムントの渇望を否定するつもりもなかった。
天使が異界に在るためにはマナが必要だと聞いている。消耗していれば、より多くの補給を必要とするのは当然だ。]
マナを取り続けることで、天界からマークされやすくなるのか?
そうでないなら、我慢は逆効果だろう。
おれは、おまえに元のような輝きを取り戻してほしい。
食餌を、とりたまえ。
[それが、自分の寿命を減らすことになろうと、莞爾として受け入れよう。]
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