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だけど、もしもまたこのような
血塗れた恐怖と隣り合わせの世界であれば――その時は、]
[―― お前に、爪と牙の加護があるように。]
.
/*
投下間に合った(指が震えている)
赤にならなくても大丈夫なように分割してはありましたが
無事に希望通りましたありがとうございます。
我侭きいてもらって本当に……。
/*
羊は狼となりました。
目標は“私”を食べた狼を食べて気持ちを理解することですが。
そのあたりは流れに任せましょう。
私の手助けをしてくれる狂人さんと<<薔薇園芸家 ローゼンハイム>>
邪魔をしてくれそうな占師は誰かしら。<<兵卒 サシャ>>
[その夜、初めて夢は輪郭を得た。
闇は深い森に。光は頭上から差し込む月光に。
赤は“私”を殺す青年の髪の色。
そして“私”から失われていった色。
あの晩、手を引かれて連れて行かれた森の中で
“私”はあの人に胸を抉られ死んだのだ。]
――記憶は廻る・輪廻は巡る
“私”の魂・何度目か
[うろ覚えの童謡はいつから歌えたのだろう。
新たに与えられた部屋の中、
ベッドの上に膝を立てて窓から西に沈む月を見ていた。
数日間で夢は随分と鮮明になった。
最初は不思議でしかなかった感情の意味も、今は理解が及ぶ。
サシャを見て得た衝動も、カシムに感じた親しみも、
フィオンに見出した既知感も、カスパルに覚えた寂寞も。
すべて魂が覚えていたこと。
服の上から触れてもそこにはちゃんと皮膚がある。
その中で命は今も脈打っていた。
だけど、あの頃よりもずっと――何かを求めて胸が疼く。]
― 自室 ―
[また、あの夢だ。
気分は不思議と凪いでいるのに
胸の痞えは日に日に増していくようだった。
その理由が夢のせいだと分かっていても、解決策はない。
毎朝の習慣として予防薬の小瓶を手にし、
掌に出した数粒を口に含む。
水で喉を潤し口元を拭うと
いつもと変わりなく軍服に袖を通しながら
今日一日の段取りを組んでいった。
資料は一通り日付順に揃えたが、内容の把握はこれからだ。
状態の悪いものは優先してデータへと変換していくべきだろう。]
― 記録保管庫 ―
[食堂で紅茶のボトルを受け取ってから
前日と同様、記録保管庫で資料の整理の任に就く。
初日にサシャを誘ってから訪れた食堂には
思った以上に品数が揃っていた。
船での話に出てきたお菓子の話>>0:23に触発されて
買い求めたチョコレートは本日の仕事の供だ。
擦れ違うだけで声を交わせなかった士官>>0:10の名が
フィオンと知る機会は赴任の翌日に訪れていた。
以前に出会った事はないかと以前の配属先を口にしたが
彼の反応はあまり芳しくなかったように思う。
所属故に配置にも秘匿義務があるのだろうかと追求はできなかった。
同日配属だからか妙な親しみを覚えてか
彼らを見かければこちらからもよく声をかけつつ、
カシムへと名前の訂正が適えば行った。
例外として、カスパルだけは僅かな挨拶を交わすのみだ。
避けられていると推測できたが、それを打開する策はない。]
この棚はこれで全部ね。
次はDから初めてちょうだい。
[部下となる記録官に声をかけて、
自らも随分と古い記録誌に目を通していく。
その中に人狼病の記述が見えれば、指はそこをたどった。**]
― 回想・2日目>>11 ―
ご苦労さま。
[手元の資料に気を取られていて、
通路を開けてくれた相手が例の相手だと気付くのが一瞬遅れる。
横を通りすぎたところで振り返り訊ねたが回答は否だった。]
なんだか知り合いに似ている気がして。
まだ名乗りもしていなかったわね。
ドロシー=ディレイ中尉です。
……よかったらまた話してもいいかしら。
[それがどんな知り合いなのかも思い出せないけれど、
同日配属となればフィオン自身にも親しみが沸く。
ドロシーと違い実務部隊ならばなかなか暇はないかもしれないが
食堂等で顔を合わせる事もあるだろう。
廊下でのやりとりを誰かに見られていることも、
フィオンが後々いじられているなど露とも知らずに
顔を合わせると笑顔で手を振るのだった。*]
アデル下士官、今日はここまでで構わないわ。
明日は続きから始めてちょうだい。
[上級官から手伝いとして貸し出しをされている部下を帰して
半分趣味のような時間を過ごす。
古い記録を浚うのは配属当初から好きだった。
記録官という職務を選んだのもそのためだ。
昼間見つけた記述を改めて追う。
狼化病が軍内で発症した事例が細かく記された録は
記録誌とは別に綴られていたからおそらくは個人の手記だろう。
発症者が射殺されるまでに3名程の犠牲者が出たらしい。
戦闘でもなく昨日までの友人を殺す時、何を考えたのだろうか。
殺して何を得られたのだろうか。]
……… 。
[ノックの音が聞こえる。
手記として綴られた数枚の紙を記録誌に挟んで顔をあげた。]
どうぞ。
[促せば扉はゆっくりと開いただろうか。
カシムがそこに立っていれば、微笑みと共に入室を許可する。
名前を間違えていた件は
ドロシー本人よりも先にフィオンにより正されたようだった。
食堂でのんびりお茶を楽しんでいたところに
あちこち走り回ったのかへろへろになったカシムが現れて、
謝罪を口にできるようになるまで水を飲ませたりと大変だったが
それがかえって功を奏したのかもしれない。
あれ以来、接する際の緊張がいくらか緩和されたように思う。]
何か記録をお探しかしら。
それとも私と話しにきてくれたのかしら。
[半分冗談で口にして、今日は水ではなく紅茶を振舞おうか。
食堂ではないので紙コップでの提供になるけれど。*]
休憩にするところだったから構わないわ。
[仕事中だと思ったのだろう。
辞去しようとするのを紙コップを渡して引きとめた。
迷っている様子には、椅子に座って聞く体勢を見せることで
話し出させるように仕向ける。]
……それは心配ね。
サシャ本人に自覚はあるの?
[両手でコップを持ってカシムの相談事を聞くと、
対象は本人ではなく同室であるサシャの事だったらしい。>>27]
どんな風に魘されているか分かる?
自覚がないようなら、魘されている時に起こしてはみた?
[軍の医療班は職業柄メンタルケアも担っているから
一番早い解決策は、医務室で診てもらう事であるのだが、
こうして相談を持ちかけてくれたのだ。
すぐに医務室に連れて行くのもと、サシャの様子を尋ねる。]
女性特有の悩みもたしかにあるけど……
カシム君になら話してくれるかもしれないわね。
廊下でたまに見かける二人の様子は随分と気安く見えたから
サシャもカシムなら口を開くかもしれない。
医務室の選択肢も提示した上で、
どうしたい?とカシムの意志を確認するように訊ねた。*]
― 回想>>30 ―
あら、意外と関係あるものよ?
膨大な情報から優先度をつけての取捨選択のやり方とか、
カジノならポーカーフェイスの特訓とかね。
[たぶんそんな事考えていないと思うけど。
駐屯地では娯楽の薄い生活を送る兵達へのささやかな歓待だろう。
かえって不評を買っているのに苦笑を禁じえない。
そして、怪獣の着ぐるみは一切擁護できない。
未成年はギャンブルがだめなんて素直な後輩が
悪い先輩に引っかかりませんようにと祈りながら不満そうな様子を
微笑ましく眺めていた。]
休暇で外に出る時に使ってみたらどう?
時間がかかるから、外での時間は減ってしまうけど。
[ドロシーもその光景が気に入っているから
時間がある限りは水上列車を利用しているのだ。
興味を持った様子のサシャに嬉しく思いながら食堂へと向かうと、
女性ならではの軍隊あるあるなどについても話しながら
つかの間のティータイムを楽しんだ事だろう。*]
― 廊下 ―
[仕事が終わる頃合だろうか。
廊下でフィオンが一人で歩いているのを見つけると
こちらから歩み寄って小さく声をかけた。]
フィオンはズィーネ中尉と親しいと聞いたのだけど、
……少し相談に乗ってもらっていいかしら。
[少し左右を見回して人がいないのを確認してから
フィオンが嫌がらなければそのまま立ち話を続けるだろう。
場所を移した方がいいなら人気のない場所を選ぶ。]
ズィーネ中尉に避けられているみたいなの。
少し話をしたかったんだけど、
中尉は何か言っていたりしなかったかしら。
[あの時の取り乱した様子が原因なのは予想がついたが
他にも理由があるのならと探りを入れる。
女性恐怖症だったらさすがに距離を取る必要があるだろう。
フィオンからの回答を待つ間、
なんだかほの甘い香りを感じて出処を探るように視線を振った。**]
― 夕時・廊下 ―
[夕食を終えてさほど時間は経っていないはずなのに
食べ足りなさを感じていた。
実務隊でないから必要以上の摂食は控えるべきと分かっている。
茶で紛らわせようと倉庫で茶葉を分けてもらい戻る途中
ばたばたと廊下を荒い足音が近づいてきた。
どうやら夜間訓練の途中に足を滑らせて怪我をしたらしい。
二人に両脇を固められ連れていかれる兵の頭には
白い布が当てられていた。
頭部の出血は怪我の大きさに寄らず派手だ。
含み切れない分が米神から顎を伝って襟口を染めている。]
―― あんなに流して、もったいない。
[人気のない廊下に、拾われない呟きを落とす。
一瞬の擦れ違いにも関わらず
白に滲んだ赤は、鮮やかに網膜に焼き付いていた。*]
― 記録保管庫>>44 ―
[同室者について随分と細かく観察している。
それだけ気にかけているということなのだろう。]
友人か……身内だと妹さんかしら。
[まるで何かに苛まれているような印象を受ける。
彼女の過去に何かあったのかもしれない。
軍に入る子の中にはそういう経歴を持つ子もいるというから。]
手を握ってあげるだけでも落ち着くかもしれないわ。
あとは、サシャの訴えを肯定してあげるような声をかけるの。
……眠っている間にね?
[幼い頃、悪い夢を見た時に父にしてもらった事を思い出す。
いささか子供騙しの対処療法だが。
ちなみに起きた時に手を握られていた場合のサシャの反応は
おそらくカシムの身に危険が及ぶため
実行する際はしっかり眠っている時のみをお勧めしたい。]
サシャが「同性にしか言いたくない!」
って言ったら私の出番ということにしましょう。
……カシム君は優しいわね。
[話を聞いてみると己の行動を定めた様子に呟いてから、
励ますように肩を軽く叩いて送り出した。*]
/*
相談事の第一に恋愛相談がくるのかフィオンにぃw
大丈夫だよそんな色気のことはさっぱりだよ!
ドロシーは今も昔も食欲が第一です。
― 廊下>>45 ―
[フィオンの様子を見るに
こんな相談を持ちかけるなんて予想外の事だったのだろう。
彼の口から語られるカスパルの様子はむしろ好意的だ。]
女性恐怖症の可能性も考えてみたのだけど
下士官の女性とは普通に接しているようにも見えて……
あ、ええとね。
そういう感情があるわけではないのよ。
まともに会話したのはそれこそ一瞬だったし。
[挙げられた事例>>46に首を横に振って否定する。
唯一の接触は、何事かの印象を抱くより前の出来事だ。
だとしたら自分の方に理由があるのかもしれない。
後輩の指導もよくしていると言うから、
人嫌いでないというのもきっと真実なのだろう。
眉尻を下げて礼を述べながら、
物言いたげな視線を感じれば大丈夫と頷いてみせる。
悪い人だなんて思っていないわ。]
変な相談を聞いてくれてありがとう。
こうなったら本人に一度聞いてみるわね。
私の勘違いかもしれないし。
[にこりと笑みを浮かべ、その場を離れようとする。]
― 講義室 ―
[フィオンと別れてから夕食までまだ時間があったので
それとなく人探しを敢行する。
記録を課されている自分の所在が記録保管庫に偏りがちなように
カスパルの任を考えると足が向いたのは講義室だった。
一日の講義を終えて空になった講義室の奥で
資料に視線を落としている探し人の姿を見つける。>>55
カスパルもこちらに気付いたようだが
出入口を塞がれていては動けないのだろう。
立ち尽くしたまま取り繕われた表情に目を細めた。>>56]
ズィーネ中尉に率直にお伺いしますが、
私の事を避けていませんか?
[フィオンの言葉が正しいならきっと言葉は濁される。
もっとも、肯定が来ても次の問いは変わらない。]
“私”はあなたの何なのでしょう。
[初対面時に零された言葉>>0:48を拾って一歩近づく。
彼は“ドロシー=ディレイ”に何を重ねて見ているのだろうか。]
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