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― 庭 ―
[リーゼたちと別れて、また庭をふらふら歩く。
何かが動いたとしても、きっとそれは風のせいだろう、と流して。
正面の玄関と、門と、奥のテラスが見える角度を見つけて、庭に合った椅子に座らせてもらう。]
ここで…いいかな。
[洋館全部は描けないから、特徴的な角度を切り取って描く。
さっさと、鉛筆が紙をこする音が気持ちいい。
何枚もスケッチしているときに、ふと、何かが聞こえた気がして、洋館を見上げる。
私は。何なんだろう、か。]
[
私は何か。
――何になりたかった、か。
何になろうとしていたか。
なれない。
なれない自分は、何なんだろう。
スケッチの間に聞こえた声に影響されて、今の自分について、考える――]
[はふ、とスケッチの手を止めて休んでいると、上から声が聞こえた。>>16
今度は、気のせいじゃない。
ちゃんとした人間の声だ。
……ちゃんとした人間?
ゆるり、と上を見上げると、一人の女性が窓から手を振っている。
誰だろう、今度こそお嬢様?
とにかく好意的な雰囲気は感じたので、笑顔で]
こんにちはー
お邪魔していますー
[と手を振りながら応えておく。
まさか窓から直接降りる気でいるとは思わず。]
あ、いえ、私は画家ではなくて、勉強中で――
[画家さん?と聞かれて>>18慌てて否定すると、待っていて、と声をかけられる。
降りてくるんだろうなあ、階段で。
と思っていたら、そのまま窓枠から出てきて慌てる]
え、え!?
だ、大丈夫ですか!!???
[立ち上がっておたおたしているとさっと彼女は飛び降り。
どんくさいながらも怪我はなく地面に着いた>>19]
ひっ
……大丈夫、ですか……?
大人なのに……
[ついそんなことを口にしてしまう。]
はじめまして、だと思います。
マリエッタ・セザンヌです。
あー…はは、私は画家ではなくて。その、絵が好きなだけで。
[オクタヴィアに挨拶されると、曖昧に微笑んでそう返す。]
はい、この洋館、素敵だったから、描かせてほしいなって思って。
お屋敷の中も、いろいろモデルにできそうなものがありました。
オクタヴィアさんも、その、お客様、なんですか?
[と話していると、1階の窓からベネディクトが顔を出す>>21]
そ、そうですよね
危なかったですよ、オクタヴィアさん!
[と、今更そんなふうに心配したりして]
[やっぱ大人なんだ、と心の中で頷いて。>>32]
大人の方が重くて衝撃が強いっていうけど……
懐かしい?
[お嬢様の友人だという話をふむふむと聞く。
ということは、お嬢様ももう大人なんだなあと思う。]
挟み撃ち?
ふふっ、もしかしてオクタヴィアさん、子どもの頃も、こうやって、お嬢様とベネディクトさんに怒られてたんですか?
[屈託のない様子に思わず吹き出しながら話して。
絵を見せて、と言われると、スケッチブックに目を落として、少しの間、考える]
ああ、と……
この屋敷に来て描いたのは、ほんの数点のスケッチで……
[と、ぶしつけなんてことはない、むしろ見せるほどの物ではないのだけど、と前置きして、洋館の玄関のあたりがスケッチされたページを開いて渡す。
洋館の玄関だけ、椅子から見える全体、窓辺だけ。そんなスケッチが4,5枚あり、さらにその前のページには、ここに来るまでに描いていた河原や花のスケッチが10ページほど埋まっていた。]
あー…
食器たちもしつけた、なんてベネディクトさんが冗談言ってましたね
[オクタヴィアの話>>37に苦笑しつつ頷く。]
あ、いえ、ありがとうございます。
そう、ですね、記憶。と、思いと。
記録なら、写真の方が優れていますけど、絵にはそこに思いも乗せるから……
[見せることに抵抗がないと言えばうそになるが、褒められると、お世辞と分かっていてもうれしい。]
花は、なんでも好きで。
でも季節があるから、咲いているときにこうやってスケッチして、覚えておかないとまた翌年まで描けないなって、優先して描いてるんです
あ、はは…美大に、今年落ちちゃって。
才能、ないのかも
[画家じゃないの、なんて問われて、つい口にしてしまう。
そう、素人よりは上手、だけど、その程度なのだ。自分の絵は。
周りにうまいねなんて言われてたけれど、所詮井の中の蛙だったと思い知らされた。
絵から気持ちが離れかけたこともあったけれど。
でも、やっぱり。美大にはもしかしたらこのままいけないかもしれないけど。
絵を描くことは、辞めたくないと。*]
そうそう、姿かたちより、そのときの気持ちのほうが、覚えてる。
と、思うんです。
[返されたスケッチブックを受けとる>>47]
いえいえ……あは、ありがとうございます。
そう言ってもらえるのが、いちばんうれしい。
ははは…そーですよね。続けるのが才能だ、とは、よく聞きますし。
[続くお願い>>52には]
え? なんでしょう
[と不思議な顔をしてから話を聞く。]
ええと…執事さんに聞いて、姿かたちを再現すればいい、ということでしょうか。
……できるかわかりませんけれど、私でよければ。
人物は、そんな得意じゃないんですけれど…でもそんなこと言ってられないし。なんでも、描かなきゃ。
はっ!? いえ、お金なんていりませんよ!!
私の練習です! もし、その練習画が気に入っていただけたら、お譲りします。
それだけです
[と、彼女の頼みには頷いて。]
[と、オクタヴィアの話に頷いたところで、扉の開く音がする>>57。
また風? と怪訝な顔で振り返ると、一人の女性。]
あ……
[と声をかけようするが、物陰に隠れたようで。
作業中なら、話しかけないほうがいいのかな? としばらくそちらを眺めて様子をうかがった。*]
[しばらく見ていると、女性が顔を出した。>>66
オクタヴィアはまだいただろうか、いたなら彼女に目くばせして、あそこに人がいる、と伝える。]
あの、こんにちは。
私は今日、ここにお邪魔しにきた者で。
お屋敷の方です、か?
[と、控えめに、問うてみる。*]
……ううん、大学行くのに、苦手だから、とか言ってられないって。
わかったから。
[申し訳なさそうにするオクタヴィア>>69に、気にすることはない、と首を振る。
と、後ろの人を知らせると、先ほど自分に対したときと同様、にこやかに話しかける彼女。
なんだかすごくどぎまぎしている女性>>68の話を、オクタヴィアと一緒に、やや首を傾げながら聞く]
へえ、お客さんですか。
……何してるの?
[なぜ物置の中からこっそり出てきたんだろう、泥棒? なんて疑いつつ]
取り込んでるわけではなかったけれど。
私はマリエッタ。
……物売り、ですか。
玄関はあそこですけど。
[おどおどする様子>>70にますます不信感を募らせ、家に物を売りにきたなら、玄関から入れば? と玄関を指さす。
自分も、オクタヴィアに頼まれた絵を描こうと、ベネディクトさんを探しに、屋敷の中に戻るつもりだったから、中に行くなら一緒に、と思う。]
そうなんですか……?
タオル……?
ああ、それじゃあ、一緒に行きましょうか。
私もそんな、明るいってわけじゃないんですけれど。
一応、リビングまでは入ったので。
[どもりつつも自信のありそうなシルキー>>75にそう返す。
オクタヴィアは>>69庭を見たいというのなら、そこで彼女と別れて、シルキーと二人、玄関に向かう。]
おじゃましまーす
ベネディクトさん、いらっしゃいますかー?
[玄関に入ると、そう声をかけて。
返事がないなら、そのままリビングへと入っていっただろう。]
― 玄関→キッチン ―
[玄関に入るとなんだか甘いいい香り。
一緒に来たシルキーが「おじゃましてます」と言う>>77のを聞けば、やはり一度はちゃんと玄関から入ったのかな、なんて思う。
奥からベネディクトの声>>79が聞こえると、シルキーに向き直り]
大丈夫そう、入りましょうか。
[と一緒にリビングまで入る。]
すみません、何度も。
シルキーさんが道に迷ってて? それの案内と。
その、オクタヴィアさんから、私、頼まれたことがあって。
[キッチンにベネディクトがいるのを見れば、邪魔にならないよう、近づいて、シルキーの紹介と、オクタヴィアからお嬢様の肖像画を描くように頼まれていたことを話す。
できれば、お嬢様の写真を貸してもらえないか、ないなら、どんな人だったのか、特徴を聞き出そうと思って。]
ねえ、だれ?
自分を見失ってるのは、だれ……?
[頭に響く、自問の声。
アイデンティティが崩れゆく。
私はだれ?
あなたはだれ?
どこ? いるの? いないの?
それさえも、幻なの?]
秘話使えるんだよねって確認したくなるレベルで使ってないけど、どーなんだろ、進み遅いのはみんな秘話してんすか……!?
フィオン………
――フィオン?
[うっすらと、遠く。
でもこれまでと違って、はっきりと、言葉の輪郭が捕らえられる声で。
名前が響く。]
フィオン
あなたは、何をしているの
なんで私に、声をかけるの―――
[不自然な間>>85に、違和感を覚える。
さっきお嬢様の話をしてくれたときは、とても楽しそうだったのに。]
……?
[不思議に思っていると、>>87子ども部屋に行っては、との提案。]
ああ、写真は今ないんですね。
あ、いえ、もっと、年齢とか顔の形とか髪型とか……
子ども部屋、ですか?
お嬢様を描いた絵があるんですね。
[わかりました、と言いかけて、続く言葉に目を見開き]
えっ!?
ベネディクトさんが入っちゃだめなのに、私はいいんですか??
他人なら、大丈夫、とかいうことでしょうか……
[不思議な顔をしながらも、勧められたのだし、いいのだろう、と子ども部屋の場所を聞いて、お礼を言ってからキッチンを辞す。
シルキーは食事をいただくのだろうか、残るようなら、彼女にも、じゃあね、と手を振って。]
私は、マリエッタ。
ここについさっき、立ち寄って。
絵を描いていたら、あなたの声が聞こえたのよ。
あなたが、私に、呼びかけてるんじゃないの?
この洋館は――なんなの?
[混乱しているような気もする彼に、畳みかけるように聞いてしまう。
自分だって、ここで起こる不思議な出来事に、目を回しそうなのだ――。
どこか、入ってはいけないところに、立ち入ってしまったかのよう。
それでも、この洋館は、自分を拒絶はしていない。
ここにいる自分が、何かを見つけられるのかもしれない、と――]
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