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……だが。
俺としては、そなたのその気質は好ましい。
[そ、と落ちる囁きは、僅かに艶の響きを帯びる]
ただ畏れ、従うだけのものには、飽いていた故にな。
[零れる言葉が、滅多に晒さぬ魔の真意である事までは知る由もなかろうが]
[不意の囁き落とした後、魔はすぐに顔の距離をあけ。
浮かべるのは、変わらぬ笑み]
……まあ、怒らせる真似をしたのはすまなんだ。
だが、このままでは動き難いのでな。
[軽く言いつつ、左の腕をひょい、と回す。
素早い動きを持って、有無を言わさず抱き寄せた後]
逃げも隠れもせぬ故、放してはくれぬか?
[こてり、と首を傾いで再度問う。
これで折れぬのであれば已む無しか、と思いつつ。*]
― 闇桜の領域 ―
[紡いだ囁きへの反応>>177に薄く笑むは刹那。
掴む手が離れたなら、魔はす、と右の手を天へと差し上げる]
……
[詠うよに紡ぐ言の葉に応じ、漆黒にかかる月より光が落ちる。
それは、舞い散る桜花を取り込み、一振りの太刀を形作って差し上げた手へと納まった。
月の光そのものを鍛えたが如き刃は蒼の煌きを零し、その様は魔の──蒼月の半身、と称するに相応しきもの。
下りし太刀は、何かを求めるように刹那、震えるものの]
……鎮まれ。
この者は、俺の力に触れし者ぞ?
[短い言葉に、その震えは鎮まった]
……ああ、驚かしたなら、すまぬな。
こ奴は人の血を好む故、予め、俺の力帯びし者である、と示しておかねば色々と危険なのだ。
[刃の震えと、推し止めた言葉の意味。
それを問われるなら、返るのは例によっての全開笑顔の問題発言。
しかし、その笑みは長くは続く事なく、魔はす、と表情を引き締める]
……我が半身たる桜太刀、そして、『四君子』が一華、『闇桜の魔』の名において。
此度の『王華の選』、戦神として最後まで翔ける事、そなたに誓おう。
[表情改め、紡ぐのは誓いの言霊と]
……意を示す、という術、他には思い至らぬ。
王華となる事には、長く意義を見出せなんだが故にな。
故に、戦神としての宣にて、それに変えさせてもらう。
[それを紡ぐに至った理由。
それらを一通り告げた後]
……さて。
ここまでやったからには、そなたも後には引けぬ事、理解できような?
俺が今の宣を貫くには、そなたの力が必須故。
[楽し気な笑みと共に紡ぐのは、拒否権無しの問いかけ。
それへの応えがどうであろうと、魔は手にした刃を横へと向けて勢いよく振り下ろす。
それに応じて、周囲を舞い散る桜の花弁が勢いよく舞い上がり、周囲を包み込んだ。
垣間見る者などないのは承知の上だが、それでも、この先は他者には見せぬ、とでも言いたげに。**]
[周囲を薄紅の帳に閉ざした後、魔の紺青の瞳は腕の内の『蕾』へと向けられる。
漂わせていた軽さは形を潜め、浮かぶのは人ならざるものの──魔の艶を宿した、笑み]
……これより、そなたに力を授ける。
『四君子』に対し、打ち破るに足る力──桜木と闇の加護をな。
力が馴染むまで、多少かかるやも知れぬが……月の力は緩く染み入るもの故、徐々にならせば問題はない。
[そこまで告げた所で、手にしていた太刀を傍らの地面に突き立てる。
同時、抱え込む腕に力が籠もった]
……その代わり……という訳でもないが。
[言いつつ、太刀を離した右の手で、『蕾』の唇をなぞるように軽く触れ]
俺の方でも、そなたから幾つか奪わせてもらうのが常……なのだが。
此度は、内一つだけをもらい受ける。
すまぬが、異を唱えるは認められん。
これは、俺の変わらぬ流儀故。
[緩くなぞった指はすい、と離れ。
右手は傍らに突き立てた太刀へと動き──その鋭き刃で、自らの手首を切り裂いた。
裂いた傷から落ちるのは、紅い──人のそれよりも紅く映える、滴。
零れるそれを魔は自らの口に一口含み]
[唐突なそれは、抵抗を呼び起こそうが。
魔はそれを赦す事無く、己が血と、それに宿る力を受け渡す。
幾度となく繰り返した『隷属の儀』、それに伴う深い口づけは慣れた風。
常であれば、更にその先まで踏み込み、全て奪い取る事で文字通りの隷従を求めるのが常ではあるが。
此度に限り、その意思はなく]
……我の血と力、受けしもの。
月闇と桜木の加護を汝に授ける。
我、『四君子』が一華、『闇桜の魔』蒼月が『従華』。
『玲桜の燭』の名を持って、その証となす。
[唇離れた後、紡ぐ言の葉は『蕾』を『
薄紅の光がふわり、周囲に舞い散った。**]
[桜の花弁が周囲を包む中、ナネッテは未だ蒼月の腕の中に居た。
見上げた瞳にこれまでと異なる、艶のある笑みが映り込む。
これまでとのギャップに鼓動が一つ跳ねるが、続けられた言葉と、抱える腕に込められる力に意識はそちらへと向けられた]
…それが無ければ四君子に太刀打ち出来ないんでしょ。
手を貸す以上、足手纏いにはなりたくないわ。
[力の譲渡と、馴染ませるための説明にはそう返したものの]
……は? 奪う?
[蒼月の指が唇を撫で、向けられる言葉に嫌な予感を抱いた]
ちょ、ちょっと待って。
何でそんなこと、
[動揺に言葉を詰まらせながら身を捩るが、確りと抱えられた身体は蒼月から離れることは無く。
尚も抵抗のために両手を彼の胸へと当てて離れようとしている間に、蒼月が右の手首を太刀で切り裂いた。
零れ落ちる紅にほんの少し蒼褪めて、数瞬、抵抗の動きが止まる]
[その隙を縫うように、蒼月に唇を奪われて、そこで意識が引き戻された]
んっ、 んん!
[止めさせようと蒼月の胸を右手で何度か叩くもびくともせず。
深く分け入られ、流し込まれる紅を已む無く飲み込む頃には、耐えるように両手で蒼月の狩衣を握り締めた]
ふ……は…
[血を飲み込んで少しして、唇は離れ、蒼月から呪のようなものが紡がれる。
蒼月にしがみ付くような形で耳にしたそれは、ナネッテの身に染み込み、その身体を一度薄紅の光で包み込んだ。
光は直ぐに収まり、少し肩で息をするナネッテの姿が残る]
………こんの、 色ボケ桜!!
[一拍、間を空けた後の第一声。
同時に、拳が蒼月の鳩尾目掛けて突き出される。
睨みあげる瞳にはやはり、何してくれてんだこのやろう、と書かれていた*]
[血と力を与え、呪により言祝ぎ。
散らした薄紅が鎮まった後の反応は──まあ、想定内、だった]
……色ボケ、とは、また。
言うてくれる、な。
[笑みは崩れていない。
いないが、声はやや引き攣っていた。
繰り出された拳は確り、鳩尾に入っている。
力の馴染み具合を見るために、わざと受けた部分も少なからずある、が。
通った衝撃自体は、想定を大きく超えていた]
……まあ、それだけの力を発揮できるならば、他の華にも遅れは取るまいよ。
[しばし間を開け、呼吸を整える様子からも、衝撃の程は伝わるか]
……あとは、装いを整えねばならぬかな。
[それでも、それ以上は崩れた様は見せぬのはある種の矜持。
ともあれ、衝撃に緩んだ腕はするりと離し、左の手を天へと向ける。
再び集う光と花弁、それが作り出した黒の鞘に太刀を収め、腰へと佩いた]
……さて。
[小さく呟き、右手で取るのは薄紅の扇。
手首は未だ、紅を零すが気にした風もなく。
軽く打ち振り、ふわりと起こすは花弁交えた春の風。
それはふわりと従華を包み、その装いを全く異なる物へと違えた。
白の単衣と深い蒼の袴の組み合わせ。
色こそ違え、所謂巫女装束と称される類のもの。
単衣には色違いの白糸で桜の意匠が刺繍され、それが桜の眷属である事を端的に物語る]
その装いでは、とても戦いに臨めぬ故、護界──護りの力を兼ねたそれを纏うと良い。
……力馴染めば、そなたの好みに合わせて作り変える事もできよう。
[そんな説明の後、未だ紅を流す傷口を軽く舐めた後]
……それでだな。
後一度、触れねば為せぬ事があるのだが、構わんか?
[前回の笑顔で向けるのは、こんな問いかけ。*]
/*
返しがさすがすぎて、笑うしかない俺である。
ちなみに、最後の仕上げの前に問いかけたのは、認識が変わっているが故。
……わかり難いのは、承知の上だがな!
[キスをしたことが無い、と言うわけではない、のだが。
ここへ来て蒼月から受けたことを思い返せば、色ボケと言葉が出てしまうのも已む無しなはずだ。
仕事人間故に身持ちも硬かったのだ、その上でのこの連続は言いたくもなると言うもの]
印つけるのも力を与えるのもキスって、色ボケ以外の何者でもないでしょ!
[心底お冠、と言った様子のナネッテ。
頬を朱に染めながらも、威嚇するように蒼月を睨み付けていた]
[既に分け与えられた力が発揮されていることに気づいたのは、蒼月の言葉を聞いてから。
そう言えば声が引き攣って居るし、これまで乱れることの無かった呼吸を整える仕草も見える]
本当に力が…。
[自分の両手を眺めてみるが、未だ実感は沸いてこない。
後で改めて確かめてみようと考えたところで、身を捉えていた蒼月の左手が緩められた]
装いっても、私はこれしか…。
[荷物も何も持たずに呼ばれたために着替えようも無い。
尤も、荷物があったところで着替えはスーツであるため、戦いには向かないのだが]
ちょっと、そんなのやる前に手首、
[治療するよう声をかけた時、扇により生み出された花弁混じりの風がナネッテの身を包み込む]
わ、わわ、
[驚いて身を捩るも、風が離れることは無く。
瞬く間にタンクトップにレギンスパンツと言う姿から、見慣れぬ装束へと着替えさせられた]
………ちょっと動き難いんだけど。
[己に似合うかどうかは別として、白と深い蒼の衣装の組み合わせは美しいと思う。
けれど、着物の類など着たことが無かったため、長い袖や膨らみのある袴が落ち着かず、袖先を摘んでパタパタと動かしてみたりした]
…でもこれで動けるようになれば、普通の格好になった時に動きの向上に繋がるかも知れないわね。
[作り変えられるようにもなるならば、しばらくはこのまま過ごしてみようと考える]
[今後についてを考え始めた折、蒼月から許可を願う声が向けられた]
今まで問答無用でやってきたくせに、伺いを立てるなんてどう言う風の吹き回しかしら?
……内容によるわ。
[ひとまず何をするのか教えろ、と。
皮肉を紡いだ後にそう言外に言い、相手の出方を見る*]
……これでも、遠慮はしたのだがな。
[お冠の様子にぽそ、と零れた呟きは、ある意味物凄く不穏なものだった。
睨み付ける様子に眉下がる様は、魔にしては珍しいもの……だが、それと気づけるものはここにはいない]
動き難い……か。
とはいえ、力によって織りなした物故、大きく妨げる事はないはずだ。
……よう、似合っておるしな。
[装束に関してはさらり、とそう告げて。
伺いへの問い返しに、そう来たか、と小さく呟いた]
なに、これ以上殴られるのも、本意ではないのでな。
[皮肉に返したのは、それもどうなんだ、と言えそうな一言]
為す事自体は、単純なものぞ。
俺の──闇桜の眷属である、と知らす証をつけねばならぬのでな。
……なに、ここに軽く触れさせてもらうだけだ。
それ以上の事はせぬよ。
[言いながら、示すのは己の右の耳元。
その反対側、左耳から下がる桜がしゃら、と音を立てた。*]
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