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……渡さない。
[小さな呟きが零れたのは、グレートヒェンが立ち去った後]
誰にも、譲らない。
……ボクの、
[呟く声は低く。
それは、普段のほわほわとした少女らしからぬもの]
……負けないよ。
[眩暈にも似た感覚が途切れた後、零れ落ちたのはこんな言葉。
カードを齎した者の意図などは知る由もないが。
少なくとも、今のこの状況に負ける心算はない]
ボクは……ボクの『夢』を諦めない。
[口に出して呟く。
カードを手にした者の中には、少なからず自身が慕う者の名もある、が。
籠の鳥から抜け出す事を望む意思は、そんな想いも越えようとしていた。**]
― 都市東/池の辺 ―
[固めた決意に応じたか。
ポケットの中のカードが淡い翡翠の光を放つ。
それが何を示しているのか、と。
考えるより先、頭上に、影が差した]
……っ!?
『見つけたよ、『星』の持ち主!』
[何事か、と思うより先、降って来るのは三日月を思わせる小さな刃。
とっさに翼を広げて飛び退く事で直撃は避けたが、刃は容赦なく、周囲の花を散らした]
いきなり、なにっ……!
『愚問だね。
……キミもカードを手にしたならわかってるはずだよ、『籠入り姫』』
……その呼び方、するな。
[幼い頃、文字通り籠に入れられていた事を揶揄したあだ名に少女の瞳に険が浮かぶ。
対する黒白斑の翼を持つ青年──『
『いーじゃんいーじゃん。
ちっちゃい『
……ボクは、籠の鳥じゃない……そのままじゃ、いない。
『……ってー、事はー……ヤル気だったり?』
……少なくとも。
[言いつつ、胸ポケットの中の『星』のカードに触れる。
カードが零す翡翠の光はその輝きを強めていき]
このまま、ここで、何もせずにキミに落とされる心算はないよ!
[宣と共に掲げる手、そこに翡翠の光が集い、弓を一張り、形作る。
水の流れを思わせる装飾の施されたそれは、少女の左の手にごく自然に納まった]
ボクは、外に出る……
[翡翠色の長弓を握った翼が大きく羽ばたき、少女はふわり、空へ舞う。
先とは逆に自身が上へと回り、右手で弓弦を引き絞った。
それに応じるように光が集い、それは矢へと形を変えて]
……The Furisosoge fieri pluvia!
[言葉──否、言霊と共に、矢を放つ。
『雨となって降り注げ』、その言葉のままに光の矢は幾つもの細かい矢へと分裂し、雨の如く『山翡翠』に降り注ぐ]
『ちょ、そんなのありっ……!』
[少女のこの反撃は予想外だったのか、『山翡翠』は上擦った声を上げて腕を翳す。
少女と同じく水を操る青年は、とっさに防壁を作り出したものの、光の矢の幾つかは防壁を撃ち抜いて青年へと到達した]
『……とはいえ、オレもここでやられちゃうわけにはっ……!』
[傷を負いながらも、『山翡翠』は諦めた様子はなく。
手にした半円を描く曲刀を下から上へと振り抜いた]
……!
Etiam protege me!
[とっさに紡ぐのは、先も使った水の防壁を呼び起こす言霊。
応じた水がうねりを上げて広がり、『山翡翠』の放った三日月形の刃の如き剣閃を受け止める、が]
……った……。
[完全に打ち消す事は出来ず、衝撃が伝わり、息が詰まる。
その隙を逃すまい、と『山翡翠』が近づく。
その気配と、このまま捕まるもんか、という意地が淡い緑の翼を羽ばたかせた。
繰り出された刃をすり抜けた翡翠は、更に上へと舞い上がり]
……ボクは、墜ちないっ!
[宣と共に、再度、弓弦を引く。
翡翠の光が集約し、放たれた矢が『山翡翠』の肩を射抜いた]
『……っ!』
[表情を強張らせた『山翡翠』が、斑の羽を散らして花の中へと落ちる。
一拍間を開けて、少女はその傍らへと舞い降りた]
……キミの、カード。
ボクが、もらうよ。
……ボクは、籠から出る……そう、決めたんだ。
[低い宣に、『山翡翠』はへにゃり、と眉を落としたようにも見えたが。
曲刀が転じたカード──月と獣の描かれたそれを拾い上げると彼の姿は消えてしまい、はきと確かめる事は出来なかった。*]
― 都市東/池の辺 → 管理棟方面 ―
[『山翡翠』が姿を消した後、しばらくそこに座り込んでいた。
どうにも、身体が重いような気がして、動けなかった。
それが慣れない力を使った故の疲労──とは、すぐには思い至らない]
……とりあえず、ちゃんと休まないとまずいかな。
[このままここに座り込んでいては、態のいい的になる。
そう、思ったから、立ち上がった。
直後、翡翠の光が弾けて手にしていた弓が消え失せる]
……と、いけない。
[立ち上がってすぐ、再び地に膝を突く。
拾い上げたのは、今の争奪戦のどたばたで転げ落ちていた果実]
…………。
[その果実をくれた彼女も、奪い取ろうとした彼女も、同じように『力』を得ているのだ、と。
改めて過った考えにへにゃ、と眉が落ちたのは数瞬のこと]
……とりあえず、少し休んで。
何かあってもいいように、薬とか、調達した方がいいかな。
[能力制御のための投薬を少なからず受けていたから、どこの建物にどんな薬物が置いてあるか、というのは大体わかる]
わかるひとはすぐに行くだろうし……行ける内に、行っちゃえ。
[薬物はシスターたちに管理され、勝手な持ち出しなどはできないはずだが。
なんらかの事情でシスターたちの管理の手が離れているのは感じている。
だからこそ、そちらへ向かう歩みには迷いはない。**]
― 管理棟付近 ―
[ふわ、ふわ、と覚束ない足取りで前へと進む。
他の場所でも戦いが起きている事は、気配で感じられた]
……みんな、自分の目指すもののために、『力』を振るってる……。
[『星』のカードに触れれば知れる幾つもの情報。
カードが推移するのを確かめつつ、進めたいた歩みが不意に、止まった]
/*
二戦平行?
問題ないない、むしろどんとこい……!
明日の昼間はいないけど、明後日は一日まるっと空けられるからね……!
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