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[地下道、避難所までに向かう道中に聞いたエレオノーレの話は次のようなものだった。
霊薬を作れるエレオノーレの一族には、小さい頃から聞かされる一つの伝承があったそうだ。
何百年、何千年(この辺りは話してくれる相手によって違い、正しくは本人も知らないらしい)に一度、大寒波がこの辺りを襲い、この土地を不毛の土地にしてゆくのだ、と。
花も動物も人間も、誰一人として生き残れないこの災害の中、何故か毎度数人が生き残り、寒波が去ったのちにまたこの土地を耕し出す、という。
その大寒波を凌ぐ為の薬の精製方法を継いでいることと、避難所までの秘密経路を持っていること。
またこの村には霊薬店同様に、避難所に繋がる地下道が他にまだあるらしいということ。]
『薬…さっき渡したのが、それ。』
[そう言われて私はポケットを探る。ハンカチに包まれた白い錠剤は3つ。
眠気に包まれていた頭はすっかり醒めていたものの、突然の色んな話に思考は大混乱を起こしている。
───えっと……
───この薬を寝る前に飲まなきゃ死んじゃう……
───それでも避難所まで辿りつかなきゃダメで………
───今、その避難所に向かってる……
───えっと……つまり。
.]
………その大災害が……くる…の……?
[エレオノーレは答えない。
───父さんは?
───家に来ていたメイドさんは?
───幼稚園の頃の同級生は?
───近所のおじいさんは?
───母さんは……? ]
エレ……ちゃん……
[頭の中で回る疑問は上手く言葉にならない。
エレオノーレは手を引いてどんどん先へと進む。
マレンマは地下道を見た時に驚いた様子を見せたもののエレオノーレのコートを羽織ったままついてくる。
エレオノーレの話自体には余り驚いているようには見えなかった。]
[そうして引かれるままに、一つの扉を潜る。
潜った先は一つの生活空間。
普段知る避難所の丁度真下に当たる場所───地下避難所だった。]
[その部屋は電灯で明るく、窓はなかった。
ただっ広い部屋の隅に積まれた段ボール箱、それ以外は一階の避難所とあまり変わらない。
数日間は生活が出来そうである。
部屋の奥にはもう一つ扉がある。
女の手は解放され、繋いでいた先の手はその扉へと向かった。
扉が開かれれば、流れてくる冷気。その先にある上り階段。]
エレちゃん、何処へ行くの…?
[上は良く知った避難所だろう、それは容易に想像出来た。
───外へ行こうとしてる……
霊薬店から此処まで、そう長くは掛からなかったけれど、避難所の前から霊薬店まで向かったあの間での天気の悪化を思えば、外の雪は酷いことになっているかもしれない。
階上へ向かおうとする友人を追おうとして、制される。]
『此処に、居て。』
[階段上から流れてくる冷たい空気と友人の言葉に足は止まる。
そのまま友人の背中を見送った。]
[階段の前の扉を閉めれば、部屋に流れ込んでくる冷気は止まった。
振り返れば、部屋にいるのは、男性と自分。
男性は小さなコートを羽織り>>27、其処から覗いた、既に黒くなりつつある沁みが、先程の会話を思い出させる。
───怪我は……してないって言ってた……
───えっと…逃げる…って言ってた……?
エレオノーレに手を引かれ、混乱の中にあったために、男性が何と言っていたのかよく思い出せないが、怪我がないと言っていたような気がして、安心する。
安心したせいか、少し頭が痛い。
その血が一体何なのか、までは到達する前に女の頭は思考することを辞めてしまった。]
…………………。
[男から距離を取り、扉の近くに座り込み、先に聞いた話を思い出す。
───大丈夫、きっとエレちゃんがみんなを助けてくれる………
父さんもメイドさんも昔のお友達も近所のおじいさんも…………母さんも。]
えっ…………と、コート……
[突然話し掛けられ>>78、ビクリと肩が跳ねる。
眠ってはいなかったものの、随分とボンヤリしていたようだ。
顔を上げて男を見れば、男は此方にニコリと笑顔を向けている。
コートをいるか、と聞いた割には、コートは脱がれるわけではなく、その意図を上手く掴めずに、女は困ったように首を傾げた。]
コートは……
[もたもたと口を開こうとしていると、男はコートを脱いで女の側に置く>>99。
先よりも明るい場所でコートの下の服が目に入る。]
け、怪我、なさってないなら…
き……着替えたほうが………
[思い切って進言してみたが、通じただろうか。]
……………。
[男が階段を上っていってしまい、部屋にぽつんと一人になる。
いつかの森で感じたような、鼓膜を圧迫する無音。
その遠くに僅かな喧騒が聞こえるような気がする。
───此処は……新しい世界……?
いつもの妄想で、現実から逃れようとする。
しかし、それは───。]
………おかえり…なさい……
[戻ってきた先の男性>>101によって、逃げ切ることは叶わなかった。]
軍の人………
他の人も………
[避難が無事始まっていると知り、安心すると同時に何処か落ち着かない、何とも複雑な気分になる。
考えるように手を頬に触れ──其処がじわりと痛むのを感じ、マスクが無いことに気付いて、ハッとしたように男を見る。
男は気付いているだろうに、何も言わずにニコニコとしていた。
他に隠すものは、と視線を彷徨わせたものの、めぼしいものは目に留まらず、諦めて体育座りした膝に顔を半分埋める。]
上より此処の方が温かいのに……
[上から吹き込む冷気を思えば、此処に逃げ込んでくるべきなのだろう、とは思うのだが、此処へはまだ誰も降りては来ない。
でもきっとエレオノーレが階上へ向かったのだから、出会ったならみんなを更に此処へと避難させるだろう。
───父さん……
───母さん………も……
───上にいるのだろうか……
膝に当たる痣からの痛み。
自分の中に湧く感情が何なのか、自分でも図りかねていた。]
/*
母が居ない、からの葛藤的なのがベースだけど、書ききれずに終わる、ってのは実際どうなんだろう、というのは一つある。
ただ、今死んだら話としても何もしてないよなw
[どれくらいが経っただろうか。
疲れと混乱で、自分が起きているのかすら、はっきりとしない。
奥の方で男性が誰かと話をしているような気がしたが>>115、定かでは無い。]
えっと………
何処……に……?
[目があったマレンマがじっと自分の顔を見た気がした。時間にしたらそう長くは無い筈なのに。
呼び掛けようとして、まだ名前をちゃんと知らないことに気付き、戸惑っているうちにマレンマは地下避難所から──自分がいる側とは違う──扉を抜けて行ってしまう。
一人になった部屋で、また膝に顔を伏せる。
静かになった部屋と一人になった安心感からか、そのまま意識は闇へと落ちていった。]
/*
あれ?
エレちゃんはクロさまのとこに行ってるものだと思ってたんだけど……
それともエレちゃんが地下道を通るときってことかな?
[暫くして、気がついた時には何人が其処にいただろうか。
目を擦り、エレオノーレから聞いた話を一つ思い出す。
地下避難所が薬に耐え得る温度を保つ為には、地下避難所に通じる道を全て封鎖し、二重扉を閉じる必要がある、ということ───。
よく見れば、この部屋には幾つかの扉がある。
自分たちが通ってきた霊薬店に通じる扉、階上に繋がる扉、そして、何処に繋がるのか分からない扉が2つ………。
よろりと立ち上がって、まずは自分たちが通ってきた扉を開ける。
入ってきた時は気付かなかったが、確かに扉が二重になっていて重い。
その外側をロックし、部屋についている扉を閉めた───これで、エレオノーレは今持っている材料以上の霊薬は作れなくなる……が女は其処まで考えられることはなかった。
最も、其の先の扉がマレンマによって開け放たれているが為に、そこはもう誰も通れない通路と化しているのだが。]
………次………
[身体に力が上手く入らない。
誰か来るかもしれない。しれないけれど……
───母さんが此処に来ないうちに。]
/*
すいません、一つ気になったので。
マレンマさんのNGはあれで良いのでしょうか。
薬の強奪をNGできてしまうのは…と思うのですが……
ご質問ありがとうございます。
企画側としては想定外ですが、ルール上は問題ないことになりますね。
ここは「自分の死にたいタイミングで死ねる」村ですので、逆に言うと、
「死ぬ気のないPCの意思を無視して殺すことは出来ない」村になります。
ただし、PCを殺す方法は薬切れだけではありません。
どうしても殺したいならば、何か死んでもおかしくない状況に持ち込んでみるのはアリでしょう。
[
───寒い……
───酷く腕が痛い………
壁を擦るように次の扉へと向かう。
重く痛い腕を片手で支えながら上げる。
次の扉のノブに手を掛けると同時に、ガタン、と膝を折った。
呼吸が浅く、視線が定まらない。
制服とコートだけで雪の中を彷徨ったシュテルンの身体は、異常な熱を発していた。]**
………だ…れ……?
[呼ばれた気がする。ぼんやり目を開けても視界ははっきりしない。
背中に腕が触れる感覚。
手が触れる部分に鈍い痛みを感じて、思わず顔を顰める。]
と……びら………
……しめ……なきゃ……
[ ──エレちゃんが……言ってた……
うわ言のように呟きながら、ふかりとした温かさに包まれれば、何かを告げて、誰かが側から離れてゆく>>133のを感じる。]
[暫くして、出て行った誰かが戻ってきたようだ>>143。
少し横になったことで落ち着いたのか、目の前の人物を捉えることが出来た。]
カーク…さん……
[それは街の資産家の家のお兄さん。
いつも四人くらいで大きな声で街を歩いていたし、母にも近付いちゃいけないと言われていたこともあって、交流はない。表向きは。]
ありがとう…ございます……
[受け取った瓶は冷えていて、受け取った指先の感覚が奪われていく。
ゆっくりと流し込んだ水が、火照った身体に心地よかった。]
みんなが来ないってことは……
大したこと、ないんでしょうか……
[瓶をそっと頬に当てると気持ちがいい。
そうしながら、おずおずと聞いてみる。
此処なら安全だ>>154との言葉に、安堵の表情を浮かべ、しかし、此処に居ない人たちを思う。]
エレちゃんの……薬……
[一瞬何のことか分からずに、きょとんとする。
───……あっ。
ポケットを探り、白いハンカチを取り出して広げれば、その白に埋もれるように、白い錠剤が3つ。]
これ……?
でも、エレちゃんが、寝る前に、って……
[段々と語尾が弱々しくなりながら、寒さを感じなくなる、と得意げに話すその様子を覗き見る。]
もう…飲んでも大丈夫……?
[おそるおそる聞く。
熱の上がった頭ではなかなか上手く思考できないけれど。
頷かれれば、冷えた水と共に錠剤を喉へと流し込んだだろう。]
あ……
あの……扉、を……しめなきゃ……
[自分は先までそれをしようとしていたのだ。
ベッドから起き上がろうとして、ふらつく。]
霊薬店……からの通路は……
閉めたんです……
でも多分……あと2つ………
[そう説明するも、そもそも自身の持ち物で、自分の進言によって出来たこの地下室のこと、伝え聞きの女よりずっと男の方が詳しいだろう。
閉めなきゃ…と呟きながら、止められなければ、扉のある部屋へ向かおうとするだろう。]
………あ…………
…………はい。
[制されれば>>169、素直に毛布の中に戻る。
さっき飲んだ薬のおかげか、寒さ自体はマシになったような気がするものの、関節は痛み、どこかふわふわしたような感じがする。
真っ白な天井を見つめ、この上は今、どうなっているのだろう、とぼんやり思う。
水瓶をおでこに乗せる。
そこだけ熱が奪われ、なんだかホッとする。
ハンカチの中にはお薬が2つ……。
───父さんと、母さんの分。
戯れに胸の内に呟きながら、そうはならないことを感じる。
それは残酷な考えなのに、悲しいとか寂しいとかそんな感情は湧いてこない。
───熱で、何処か壊れちゃったのかなぁ…
何処か他人事のように淡々と思う自分がそこに居た。]
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