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[同じ顔をした別の兄も言う]
――確かにな。四郎は動物が好きで、優しいから。
[一番上の兄がそう言うと、父と他の2人の兄が怪訝そうな顔をした]
――兄弟で一番家を継ぐに向かないのは、太郎兄だよな。
――ああ。騙し合いとか、絶対むりだろ。太郎兄。
[次兄たちの言葉に、少年もコクコクと頷いた。長兄がえー、と不満そうな顔をする。
実際、その長兄は少年が士官学校に入学するよりも前に、簡単な任務に失敗して死亡した]
――確かに、次郎と三郎の2人でも、私の跡を継ぐだけなら事足りるだろうが。
――爺さんや親父のレベルに達する事ができる資質を持つのは、四郎だけだ。
[当時はまだ、父にも次兄たちにも勝てなかった――長兄には5本に3本は勝てたが――少年は、父の言葉の意味がわからずに首をかしげた。
だが、少年が知らない祖父の事を知っていたらしい兄たちは、父のその言葉で沈黙する]
――確かに、戦闘能力も身体能力も、オレたちじゃ勝てなくなるのは時間の問題だ。
――だけど、四郎は暗殺家業は無理だろ。……血に酔う性質があるからな。アレは失敗を招く。
[父にも兄たちにも買われているらしい事を、喜ばしいと思う。
けれど、無理だと言われると悔しくなった]
――お前らは知らんからな。親父も超える、爺さんの凄さを。
――四郎の血に酔う性質と、血の色に染まる眸は、爺さん譲りだ。だからこそ……。
[だからこそ。その後、父親は何と言ったのか。
当時はまだ少年だった四郎は、その話の続きを覚えていない]
― 公国前進拠点・執務室 ―
[トールの直属になるという話をしていた際に向けられた、鋭い視線>>591。
ああ、疑われているな――と。
過去に請けた暗殺任務の中で、ベリアンが生き延びていた事は既に知っていたから、軍務大臣暗殺時に使っていた武器から推測されているのだろう――と。
そう察してはいるが、あえてこちらからその話に触れる事はしない。
太子殺しは、開戦派の仕業という可能性を残すべく、帝国と公国の双方で使われている種類の武器しか使わなかった。
愛用の――兄たちの形見である――独特の太刀と小太刀は、使用していない。
だから、王太子殺しのときに殺さずにおいた近衛兵や護衛官たちから、東方由来の剣術を使う刺客――という話が伝わっている可能性は低い。
公国に仕えた方の兄の太刀筋を知っている者が、もしその中にいたならば。
兄の剣術との共通点から、兄の同族の仕業と気づかれた可能性も皆無ではないが]
― 回想・単独での暗殺任務中 ―
[士官学校に入学した頃には、父も長兄も既に亡く。
仲の良かった次兄たちは、末の弟を両国の
国のためではなく、家のためでもなく。ただ、兄弟のために。
血に酔い、狂気に堕ちる性質を持つ弟を、戦場に出さずに済むように。
少しでも、開戦を遅らせるために。
ただそれだけを願ってくれていた兄たちは。
だがそれぞれの所属国での
――ッ、は……はは。はははハハハハハハハハ!
[そして、彼らが護ろうとした弟は。
帝国と公国の双方で、幾人かの暗殺を請け負い。
その仕事の最中に、数え切れない程の守備兵や護衛たちを殺して。
最初の1件以外、暗殺任務の度に血に酔い、狂い、必要以上の死体を積み上げた。
最初の仕事――太子殺し――の時には、まだ血に酔っていなかったから、その瞳に変化はなかったが。
二度目の仕事――公国軍務大臣殺し――から、暗殺任務の度に血に酔ったその男の、血の色に染まった瞳を見て生き延びたのは。
戦場以外ではおそらく、ベリアンひとりだけだったろう]
― 回想・士官学校入学前 ―
[幼かった頃。
兄たちと一緒に、父の指導を受け修行をしていたが。それが何のためのものなのかは知らなかった頃。
父や年の離れた兄たちが、仕事の度にまとって帰ってくる血の匂いが好きだった。
それが何の匂いなのかを知ったのは、父たちが任務のために不在にしていたある日のこと。
戦うすべを持たなかった母と、まだ10歳に満たなかったシロウと、その2人の護衛のために残った叔母との3人で留守番をしていた家に。
父たちへの恨みを持つ男たちが押し入ってきたときのことだ。
叔母は奮戦したが、相手は叔母と同程度の手練れが3人いたため抑えきれず。
まだ子供だったシロウを庇って母が殺され、切り落とされた首から噴き出す母の血を、頭から浴びた]
――ああ……この匂いだ。
[その前年に、祖母を病気で亡くしたから。
母の命が失われた事は理解していた。
けれど、母の血を浴びたシロウの顔には、恐怖も悲しみもなく。
ただ、父たちがよくまとっていた、あの好きな匂いが何のものなのかを知った喜びだけが浮かんでいた]
――あは。は、あはははははハハハ!
[もっと血を浴びたい。
もっと人間の血を。もっと、もっと。
人を殺す事がどれほど罪深いものなのか、まだ知らなかった子供は。
母を殺した男たちを、自分も殺そうとした男たちを。
その赤銅の瞳を血の色に染めて、笑いながら返り討ちにした。
そして、シロウを止めようとした叔母をも斬り倒して。
気絶したのを殺したと勘違いして放置していたところに、父たちが帰ってきた]
[父たちが帰ってきたときには、その瞳はいつもの赤銅のそれに戻っていた。
だが、意識を取り戻した叔母が。父と叔母の祖父――シロウにとっての曽祖父――と同じ、血の色の目に変わっていた事を父に話した。
その、血に酔う性質の事も。
叔母は、そのときにシロウが与えた傷がもとで、1週間後に命を落とした]
[実の妹を殺した末の息子を、父は叱ることもせず。
その殺人者としての資質を認め、さらに鍛えた。
けれど、末の弟の血に狂う性質を知った兄たちは、弟を心配した。
元々が暗殺家業の血筋で、自分たちもその仕事をしていた兄たちだ。
弟が殺人者としての腕前を鍛えられる、それ自体には文句はなかった。
ただ、その血に酔う性質が、仕事の現場で油断を生むのではないか、と。
早くに亡くした長兄のようなことになるのではないか、と。
子を残す事のできない体質だった兄たちにとって、年の離れた弟は実の子供のようにも思えていたから。
なおさらに心配して、その仕事から遠ざけようとした。
士官学校入学の前年に、シロウを暗殺任務に連れて行こうとした実の父を殺してまでも。
だから、戦闘術や暗殺術などを仕込まれはしたが。
実際に人間を殺したのは、幼い頃に母を失ったあの日だけだった。
兄たちを亡くし、教官職を解雇され、自らの意思で暗殺者として働き始めるまでは**]
― 公国拠点・待合中 ―
……じわじわ、って言わなかったか今。
[思いっきり手の甲をつねってくれたカサンドラ>>636に、思わずそうたずねた]
あー。痛くはないけど、つねられたら触られてるくらいは感触あったな。
普通に触られても感覚ねーけど。
りょーかい、んじゃ少しずつ動かすよう試しておく。
………オレができんのは、戦うすべを教えるくらいだ。
ほんとはそんな必要もなくなりゃいいのに。
[平和になった後、役立てる仕事――という言葉には肩を竦めた。
ぱんぱんと手を叩かれれば、少しだけ感覚が戻りはじめているような気がしないでもない。
その後の、聖人だかなんだかと勘違い――という部分>>637には。
出力あげていれば云々に苦笑を浮かべる]
さっき、声掛ける前。辛そうにしてたからなー。
オレをこんなにしてくれたあの弾丸だけじゃなく、あの橋の技術だって一緒だぞ?
[カサンドラがやらなくても、遅かれ早かれ何か別の手段がとられていた筈だ。
だから気に病むな――と。
そう伝えたかったのだが、自分の手を麻痺させている弾丸の話からそこにつなげようとしていた事は伝わっていたのか否か]
ちなみに、今後同じ弾丸使われた場合の、対処法は?
[緑色の石を渡しながら、それもたずねておいた]
― 執務室を出た後 ―
『ファロン少尉』
[そう呼びかける声が通信機から聞こえてきた。
そういえば、先代の『虎』も通信機を2つ持っていたのだった。
ひとつはフレデリカに渡す予定だったようだが、先代『虎』なき後、ひとつは他に渡ったんだな――と。
聞き覚えのある声を聞きながら、おおざっぱに理解した]
ああ、レト。久しぶり。
改めて、フレデリカもよろしくな。
[こちらの名を呼び、名乗る声に。
そして、その後の昔の口調での挨拶に。
ニコラス中佐から返してもらった隠密わんこをもふりながら、小さく微笑んだ]
フレデリカはさっき驚かして悪かったな。
どうせすぐに、トールたちの前で『狼』の正体バラす予定だしーと思って、気ぃ緩んでた。
ああ、そう見えた。
違ったんなら、見間違いだったんだろうけどな。
[そんな繊細なつくりはしていない、という言葉にまた肩を竦めてから。
対処法の話になれば、真顔になって聞いていたが]
………なるほど、水だな。
じゃあ次にやる時は、食らう前にジェフロイと銃を水浸しにしてやりゃいいのか。
[煙幕玉を作った要領で、水風船的なものも作成して常備しておこう、と決めた]
― オエライサンたちと挨拶した後 ―
ところで、オレ急遽来ちまったけど、今夜どこで寝りゃ良い?
[ニコラス中佐に預けていた隠密わんこたちをもふもふしながら、直属の上官となるトールに尋ねてみた。
時折、襟についている通信機に向かって小さくなにか話しているが、トールには聞こえないだろう。
むしろ、わんこに向かって話しかけているように見えたかもしれない]
トールんトコの護衛として、部屋前で立哨でもしてるか?
それとも、夜のお世話でもする?
[もちろん後半は*冗談です*]
― オエライサンたちとの挨拶前 ―
ま、そりゃそーだ。
だが初弾がソレじゃなくても、濡れた銃に次弾として装填されりゃ暴発する可能性はある。
それに、あの弾の残数があまり多くないなら、『オレ相手に即やられない程度のレベルの腕を持つ奴』かその副官あたりにしか持たせておけねーだろ。
それか、狙撃専門職人。
じゃないと無駄弾に終わっちまう可能性が高い。
……それなら、渡されそうな奴は限られてくる。
[帝国軍に潜入していた間に見た顔ぶれを思い出し。
人の悪い笑みを浮かべていた**]
― 渡河作戦翌朝・拠点前 ―
――………
[明け方。拠点を出て、懐からタバコのフィルターに模した笛を取り出し、一定のリズムをつけて吹く。
音はしない――否、人間には聞こえない。
その後、本物のタバコを吸いながらしばらく待てば。
3方向から、土のそれに似た毛色の犬たちが音を立てずに駆けてきた。
3頭のその犬たちは、首輪代わりに、ボロボロの風呂敷を首に巻いていて、毛並みも薄汚れている。
もふ好きの本音としては、手入れをしてキレイにしてやりたいが。
万一敵兵に見つかった時に『いかにも飼い犬です』な犬が居ては怪しまれる可能性がある為、あえて『捨てられた、もしくは飼い主を亡くした野良犬』に見えるよう偽装しているのだ]
よーし、柴次郎も柴八郎も柴十郎も、みんないい子だなー。様子はどうだった?
[人間相手には、滅多に見せなくなっていた満面の笑顔で、かわいいもふたちを出迎える。
それぞれに頭を撫で、ご褒美の干し肉を与えて問いかければ。
3頭とも、それぞれにぐるぐるとその場で何度も回りだした]
……ふむ。やっぱりそうか。まあ当然だよなー。
[隠密わんことして調教された3頭のその仕草は、偵察対象である拠点に大きな動きがあるという事を示している。
その犬たちをもふもふと撫で、2頭は再び偵察に送り出し、1頭だけ抱えて拠点内に連れて行く。
ちなみに、犬たちを呼ぶ時のリズムにはいくつかのパターンがあり。
それらを使い分けることで、全部で10頭いる隠密わんこを、それぞれに呼び、それぞれ違う偵察任務に着かせているのである。
名前はそれぞれ、柴太郎〜柴十郎だが、シロウ以外に10頭の見分けがつく人間はいない]
― 朝・執務室 ―
おっじゃましますよー…っと。
[トルステンが執務室に居る事を確認しておいて。
ノックどころか、ドアを開けることすらせずに室内にもぐりこめば、どんな反応が返ってきたか。
もしかしたら、トールだけではなく、ディークあたりもいただろうか]
うちの隠密犬からの報告だ。
帝国軍拠点に大きな動きがある。多分、拠点の移動をするだろう。
……ま、オレが拠点内部の情報漏らしてるのバレた以上は、当然だけどなー。
[ついでに、隠密わんこの1頭、柴次郎を紹介してみたり]
― 戦闘後の執務室 ―
あー……はい。
直撃は避けましたが、電撃の余波により未だ麻痺が残っています。
おそらく、直撃の場合は急所に当たらずともショック死をするか、そこまで行かなくても気絶くらいはしそうな代物でした。
[左腕についての問い>>840に、またかるーーーーい口調で応じようとも思ったが。
顔見知り以外のお偉方だけならまだしも、隣に立つカサンドラ>>668にまで刺すような視線を向けられたら、渋々口調を改めた。
弾丸については、製作者のカサンドラから説明した方が詳しい事が伝わるのだろうが、頭の固いお偉方に開発者の事を知らせれば『なんでそんなものを敵に』とか騒ぎ出しそうなので、先程得た情報>>635については伏せておく]
被雷からしばらくは他も多少痺れていましたが、左腕以外はほぼ回復しているので、そこらの一般兵よりは戦力になるかと。
[この男のかるーい口調に慣れている雇い主親子の中佐の方は、無理に使っている敬語がツボに入ったらしく、部屋の隅で笑いを堪えていた]
― 報告後の執務室 ―
んー?
別に、上でも下でもどっちでもいいぞ。オレは。
[冗談に冗談で返してきたトール>>846には、さらっとそんな言葉を返す。
もちろん、これも冗談だが。本気でそういうコトになっても構わないタイプだった]
りょーかい。
斜め向かいだな、それなら異常感じればすぐ駆けつけられるな。
寝てても、殺気に反応して目ぇ覚める体質だし。
まあリエヴルの奴が、相手がオマエと知ってて刺客を差し向ける事はしねーだろうけど。
……帝国側でも公国側でも、勢力争いとか上官の命令無視して突っ走るバカ貴族とか、どこにでもいるしー?
[十分にもふった後、抱えていた隠密わんこを窓からぽーいと偵察任務に出してやった。
ちなみに、このときにもふってたわんこは柴九郎である。他の9頭は、先にシュヴァルベの闇夜に隠れて任務についていた]
― 執務室(その後) ―
否。相手がトール以外なら、刺客を放ってきてもおかしくはない程度には変わってるぞ。
[リエヴルが刺客を放ってくるとは思いがたい、というトルステン>>921に、さらっとそう応えた。
ほれた相手についてそんな事を他人から言われて納得できるかどうかはともかく]
だが、少なくとも相手がオマエさんなら、リエヴルからの刺客はないな。
刺客に殺させるくらいなら、自分で殺りに来そうなくらいに……つーても、周りに止められるだろうけど。
[窓からぽーいした柴九郎を見送り、がんばれよー、などと声をかけてから]
んじゃ、オレは早々に休ませてもらうかな。
おやすみー。
[ひらりと手を振って、与えられた部屋に向おうと]
― 帝国拠点偵察中の隠密ワンコ ―
――きゃいんっ!
[草むらや茂み、岩影などに目立たないように潜んで様子を見ていた柴犬が、飛来したスパイクを左後ろ足に受けて悲鳴をあげた。
口にくわえていた肉を落として、ぴょこぴょことあしを引きずり逃げ出す。
その肉は、帝国軍の雑兵Aがくれたものだった。
野良犬のフリしてるとたまにエサをくれる人がいる。
毒物さえ入ってなければ素直にもらうわんこたちでした。
ついでにもふ好きな人にはすなおにもふられもする。
もし追われたら必死に逃げるけど、さすがに公国側拠点に向かってはいかないよ]
― 夜の拠点内厨房 ―
ちょっと火ぃ借りるな。
糖分たりねぇ。
[わんこをもふり、トールの部屋を辞したあと。
運動したから糖分が足りないと言って、寝る前に調理場を借りて。持参したザラメ(ニコラス中佐からの支給品)をフライパンに入れて火にかけ始めた]
――〜〜〜♪
[下手な鼻歌とともに、甘い匂いが周囲にひろがる。
ザラメを焼いて溶かして固めただけの砂糖菓子は、分けてほしいという者があれば快く渡しただろう]
― 帝国軍拠点の調理場裏 ―
『なんだ、おまえ怪我したのか?』
[ウェルシュからスパイクを食らった隠密ワンコが、しばらくしてからエサ場に近づけば。
肉をくれた雑兵Aが、手当てをしてくれた。
ついでに、新しい肉もくれた。
手当てを受けてエサをもらって、もふ好きな兵たちにもふられている姿を、主要士官にも目撃されていたかもしれない]
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