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3人目、皇帝 ファミル が参加しました。
皇帝 ファミルは、呪狼 を希望しました(他の人には見えません)。
行け。進め。
[けしかける声に、あはははは、と高笑いが続く。
先頭で進む船の、さらに舳先に立っている人間こそが、クルーザン帝国皇帝その人であった。]
魔法使いどもを根絶やしにしてやれ。
───ん。
[学園都市の上空が、不意に真昼のように明るくなる。
無数の火球の群れが飛来したとみるや、皇帝は両手の得物を振り上げた。]
そぉれえっ。
[常人ならば両手で持つ両刃斧を片手で一本ずつ持ち、しかもそれを軽々と振り回したあげくに空へ高々と投げ付ける。
斧に直撃され、上空で炸裂する火球の明かりに照らされながら、船は島へと接岸し、雲霞のごとくに兵らが学園都市へ殺到した。*]
こちら、湖の冷たい抱擁を受け止めているところ。
[ 報告というよりは、アピール気のある声で伝える。]
[鹿も通わぬ険しい山を、船を担いで人が進む。
常人ならば狂気の沙汰と一蹴しよう所業を可能にしたのは、ウルの力だ。
同時に、それを命じた皇帝の兇猛でもあった。]
いいぞ。進め。
怪しげな魔道などに頼る惰弱な連中は、皆殺しだ。
[両の手に握った一対の戦斧で人も建物も等しく粉砕する。
先陣を切る皇帝に兵たちは奮い立ち、各々が常人ならざる力を発揮する。
魔道士たちの放つ炎や雷、光の矢>>21に打たれ貫かれようとも、彼らは怯むことも動きを鈍らせることもなく前進した。
致命には至らぬとも、深手を負った兵らが倒れるのは、ウルの効力が尽きた時だろう。]
[湖の表を進む軍船は、いわば大規模な陽動だ。
これだけで落ちる相手ならば、くだらないがまあ良い。
追い詰められた魔道士どもの最後の牙城たる学園都市には、名のある連中が多数集まっている。
火球を降らせるもの、風を操るもの、大波を引き起こすもの。数多の使い手による必死の防衛で、接岸に至らず沈む軍船も数多あった。
だが、切り札は山越えの船ばかりではない。]
帰ったら、温めてあげよう。
とびっきりの首でも挙げてきてよ。
[戦場の熱気そのままに、あかるいこえが応える。]
光栄です、陛下。
[ 届いたあかるいこえに、打てば響くような返事をする。]
陛下以上にとびっきりの首なんてあるはずもないけど。
まあ、勝手知ったるところです、
首都攻めより、ずっと気楽。
なんなら、5年前にあなたが迎えに来てくれた、あの場所でまたランデヴーしましょうか。
[抵抗を退けながら進む内、足元の質感が変わった。
踏み出した足が奇妙に滑る。
先ほど、前方遠くを横切った影が地面を見下ろしていたが、あれの仕業か。>>37]
鎚を持て。
[戦斧を部下に持たせ、代わりに鎚を持ってこさせる。
見かけはワイン樽サイズの鉄塊に鉄の棒を突き刺したものという重量物を、両手で振り上げ、振り下ろした。
雷鳴もかくやという大音量を響かせ、鉄塊が石畳に衝突する。
地面が揺れ、敷石がめくれ上がり、蜘蛛の巣状に地割れが走り、砕かれた石材の粉が舞い上がった。]
これで歩きやすくなった。
皆も習え。
[号令に従い、兵らが鎚を振るって地ならしする。
魔法の効力はそれで失われたが、帝国軍の進軍速度も鈍った。
そうして生まれた時間は、魔道士の雛らを逃がす隙>>43 にも繋がっただろう。]
[やがて、帝国軍の手は魔道学園の正門に到達する。
既に別働隊は内部に侵入しているはずだが、もとより開門など求めてはいなかった。
この程度、障害ですらない。]
破城鎚を。
[号令に従い後方から車両が一台現れる。
門を打ち破るための、巨大な杭を備えた車だ。
阻止しようと、城壁の覗き穴越しに必死の攻撃をしてくる魔道士たちは、片端から槍や弓矢や、巨大な投石によって潰されていった。]
[無数の防御魔法に守られた門は、数十人の兵らが操る破城鎚を幾度も打ち付けられ、歪み、軋み、ひび割れていく。
満身創痍の門にとどめを刺したのは、皇帝が振るう鋼鉄の鎚だった。]
征け。
蹂躙しろ。
[吹き飛ばした門を踏みしだき、皇帝は兵らをけしかける。
雄叫びを安慶名がら、帝国軍はついに魔道学園の内部になだれ込んだ。*]
お愉しみになられていますか? 陛下
こちらは、思ったほど組織だった抵抗はありません。
魔術士たちも、帝国が船を建造しているという情報くらいは得ていたはずですが、それで攻略目標がロンリコだとは予想しておらず、油断していたのでしょうか。
[城門を抜けた帝国軍は、広がりながら各所を制圧していく。
隠れているものを探し出し、抵抗を沈黙させようとする。
未だ、肝心の相手が見つかっていなかった。
学園の心臓である学長を捕らえねば、片手落ちだ。]
やはり、あそこかな。
[視線を向けた先に、学園都市の象徴たる塔がある。]
……あのとき、どうして落ちてきたのか、
そういえば聞いてなかったな。
[過去への述懐は誰に聞きとがめられることもなく消えた。]
ランデヴーなんて言い出すからには、もう向かっているのか?
[当然そうだろうと疑いもしない口調で言い]
なら、競争だな。
どちらがあれを落とすか。
[機嫌良い笑い声を添えた。]
魔法使いどもには想像力が欠けていたのだろう。
もう少し歯ごたえがあると思ったのだけれど。
魔導に頼る惰弱な連中に期待するのは酷だったな。
それでも、これが最後の都市攻めだ。
派手な有終くらいは飾らせてやろう。
魔法使いの首には賞金を出すぞ。
学園長なら十倍だ。
さあ、どんどんいけ。
[餌を投げられた兵らが歓声を上げる。
褒賞に目を血走らせる兵の間を歩む皇帝の姿は、既にここは己の町と言わんばかりの悠然たるものだった。**]
[塔の上に学長の部屋があるのは、ドロシーから聞いていた。
あれがこんなところに投げ棄てられたことも、たまには役に立つ。
魔導師たちの抵抗は数は減りつつも、しつこく続いている。
数で押せばどうとでもなるが、負傷者は増えるばかりだ。
忌々しい。
捕らえたのも殺したのも老いぼればかりとの話も聞く。
若い連中は逃がしたか。
自分たちは捨て石のつもりか。]
なら、せいぜい派手に砕いてやらないとね。
残ったことも、逃げたことも悔やむくらい、無惨に。
[微笑んで、塔を見上げた。*]
― 五年前・帝都震撼 ―
[別に目的とか、志は特になかった。
できる、と思ったからやっただけ。
あと、皇帝の生ぬるさには苛ついていた。
私なら、もっとうまくやれるのに。]
今の皇帝は、魔法使いの世界をひっくり返す気なんてない。
裏で魔法使いと手を組んで、自分と取り巻きたちだけうまい汁を吸っているんだ。
子供を魔法学園に入れたのも、追放したふりでうまいことやろうとしてるんだ。
[根も葉もない糾弾と証拠ともいえない証拠に、意外と簡単に兵たちは乗ってきた。
もともと魔法使いへの反感で成り立つ国だ。煽るのは容易い。]
[クルーザン帝国を興した皇帝は、魔導師のみ優遇される共和国のあり方に異を唱え、魔法の才を持たないものたちのための国をと唱えて立った人物だ。
ウルの力で電撃的に領土を確保し、国の礎を固めたあとは、無理に戦争ばかりを進めることはせず、少しずつ着実に版図を拡大していった。
《ウル》の原料であるアプルトンも、食糧増産の妨げにならないよう厳密に生産量を調節し、必要な場面にごく少数の《ウル》兵を投入して効果をあげてきた。
そんな皇帝を、ウルの被験者として、近いところからずっと見ていたのだ。
で、皇帝には魔導師を根絶やしにする気などさらさらないと悟った。]
いけ。
魔法使いと手を組む皇帝を殺せ。
富を独占する連中を皆殺しにしろ。
[反逆がうまくいったのは、最初に《ウル》の生産・貯蔵施設を奪ったからだろう。
魔法の恩恵が届かない国内は貧しく、生活水準を保つには多大な労力が必要になる現状に、不満が溜まっていたせいもあるだろう。
城の門は、一対の斧を手にした若者を先頭にした反乱兵らに破られ、ついには皇帝が弑されるに至った。]
皇帝を殺したのだから、次の皇帝は私だ。
文句があるなら掛かってくればいい。
私を殺した奴が皇帝だ。
[未だ幼ささえ残る顔を返り血に染めた若者の前に、兵らは膝をついた。
決闘を良しとし、力での解決を望む帝国の気質が、新たな皇帝の誕生を認めたのだ。**]
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