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3人目、赤虎目石の剣士 イェンス が参加しました。
赤虎目石の剣士 イェンスは、従狼 を希望しました(他の人には見えません)。
― シュラハト軍部・とある執務室 ―
……『神魔の領域』の調査?
[呼び出しを受けて出頭した師団長の執務室。
そこで与えられた任務に、ほんの少しだけ、声音が低くなった]
調査も何も、あそこは不可侵の結界で覆われてるから、入り込むのもできないんじゃ……。
[なかったのか、と。
問うより先に、結界に変化が生じている事を伝えられた]
……で、大部隊を動かすには向かないから、単独でも動ける俺に行って来い、と。
それで、こないだの任務失敗も帳消しになる……ってとこですか?
[投げやりな口調の問いに、師団長はひとつ、息を吐いた。
その様子に、あ、と短く声を上げて]
……ま、どっちにしろ、俺に選択の余地はないんでしょ?
軍人として行けと言うなら、どこにでも行きますよ。
[命として下されるなら受諾するのが当然。
ここは、そういう場所だ。
そして自分は、それとわかった上でここに身を置いているのだから]
『神魔の領域』の調査任務、承りました。
[そう、宣する事に躊躇いはなく。
返される、形式的な激励にも礼を返してから執務室を辞そうとした、その矢先にイェンス、と名を呼ばれた]
……はい?
[知らず、声が上ずる。
上官たる師団長は育ての親だが、執務室で名を呼ぶ事は滅多に……いや、ほとんどない]
「……気を付けてな」
[ぽかん、としていると、穏やかな口調でこう言われて。
戸惑いはあったけれど、でも、比較的素直にはい、と頷けた]
― 『神魔の領域』・外周の森 ―
……しっかし、まぁ。
ほんとに、入れるとは、なぁ……。
[任務を受けた数日後、青年の姿は『神魔の領域』と呼ばれる場所――普段は何者の立ち入りも許さぬ森の中にあった]
とはいえ、こんなとこ調査してどーするつもりなんかねぇ、お偉方は。
……まさか、『神魔』の力とかってのを、取り込もうとか考えてんじゃねぇよな……?
[ふと浮かんだその考えは、妙に信憑性があって。
慌てて、ないないない、と繰り返して振り払ったものの]
……とはいえ、わざわざあんなとこまで出兵するくらいだし。
ないとは言えねぇよなぁ……。
[呟きと共に思い返すのは、先日失敗した『任務』の事。
とある集落への軍事介入。
奇襲事態は成功し、その時点では制圧も容易いか、と思われたものの。
予想以上の抵抗により、制圧は適わず、隊は少なからぬ損害を出しつつ、撤退するという結果になった。
……もっとも、撤退の理由は隊の損害だけではなく。
部隊を率いていた自分自身にも、原因があったのだが]
……っとに。
なんだったんだよ、アレは。
[ため息とともに零れ落ちるのは愚痴めいた響きの呟き。
作戦途中で対峙した一人の若い女。
任務遂行を阻むならばと愛刀の一方を躊躇わずに向けたこちらに向けられた表情が――何故か、不可解な痛みを頭の奥にもたらして。
結局、戦闘継続が難しくなった所に隊の損害が想定を超えたため、撤退を余儀なくされた]
…………。
[総合的な判断としては、引いて正解だった。
とはいえ、任務失敗に変わりはなく。
その事と、あの痛みの理由がわからない事で色々ともやもやを抱えているのが現状、だった]
ぁー……やめやめ、今考えてても仕方ねー。
とりあえず、今は挽回のためにやれるだけ……って。
[とはいえ、このままでは今の任務に差し障る、と。
思考を切り替えようとしたその時。
ふわり。
そんな感じで風が吹き抜け、上から何かが落ちてきた]
……なん、だ、コレ?
…………花?
[とっさに手を伸ばして受け止めたそれは、花。
真っ直ぐな茎にいくつもの花が群れるように花弁を広げたもの]
あー……これ、なんつったっけ……紫羅欄花?
にしちゃ、色味が……。
[どこかで見たことがあるな、と。
ふと思いつつ、視線を落としたのは左の手首。
そこに嵌められた銀細工の腕輪の中央に煌く石と、落ちてきた花の色味は全く同じだった]
でも、なんでこんなもんが……。
[落ちてきたのか、と。
口にするより先に、声がひとつ、響いた。>>6]
……んだよ、今の声。
[呟きに答えるものはなく、ただ、風が揺れるのみ。
青年はしばし、手にした花と、進む先を見比べた後]
……ま、ここで立ち止まるわけにゃいかねぇし……行くか。
[そう、割り切りをつけて、一歩を踏み出した。**]
― 『神魔の領域』・外周の森 ―
[周囲の様子を確かめつつ、慎重に歩みを進める]
……しょーじき、何がいるかとかぜんっぜんわっかんねぇからなぁ……。
[遠い昔からあるという、人外の領域。
人の立ち入りを頑なに拒むこの地は、革命による新興の後、領土拡大に走るシュラハトの行く手を阻む最大の要因の一つ。
とにかく、入れない、というのは、何よりも手ごわい物理障害だ]
……っかし、歩き難いな……。
それだけ、往来がない場所……って事か。
[歩き難い、とぼやきながらも、その足取りはしっかりとしている。
理由は知らない……というか、覚えてはいないが、記憶を失う前はどうやら悪路を歩く事が多かったらしい。
歩き方の基礎が身についている、と教練所の教官に感心されたほどだ。
その辺りも、今回の任務が回された要因かもしれない……というのは、さておいて]
― 失われた記憶 ―
なー、次はどこに行くんだ?
[歩き方の基礎が身についているのは、往復数日の移動を幾度も繰り返していた幼い頃の暮らし故。
既に亡い父は腕のいい鍛冶師で。
その腕を見込まれて、仕事のために近隣の集落を巡る事も多かった。
まだ少年だった頃は、そんな父についてあちこちを巡り歩くのが楽しみのひとつで。
父が出かける支度を始めると、その周囲にまとわりついてこう問いかけるのはいつもの事だった]
「お前は本当に、他所に行くのが好きだなあ……」
だってさー、ウチにないものがあるとこいっぱいあるし。
[当時は知らないものを知るのが楽しくて仕方なかったから、ぼやくような父の言葉に悪びれる事もなくこう返していた。
その好奇心が家業に向かない事がどう思われていたかは知る由なく、今となっては知る術も失われているが]
で、どこから回ってくの?
「ふむ……こないだは西回りだったから、今回は東側から回るか」
……やった!
[提示されたのは、少年にとっての楽しみが先に来るルート。
それに素直に歓声を上げる様子に父が目を細めていた事には、気づく事もなく。
支度が整えば、父に教えられた歩き方を心掛けつつあちらこちらを巡るのが常だった]
― 『神魔の領域』・外周の森 ―
…………ん。
[ふ、と歩みが止まる。
気のせいか、他にも森を動くものがあるようだった]
あー……森が開かれた、って事は、入ってくる奴が他にいても不思議ない、か。
[あらゆる願いを叶える、とされる神魔の伝承。
それを求めて踏み込むものがいても不思議はない]
……願い……ね。
[ぽつ、と呟く。
自分には、そんなものはない……というか、浮かばない。
とはいえ、調査しろという事は、神魔の持つ力の事も突っ込んで来い、という事だろう……というくらいの読みはあった]
……ま、確保くらいは真面目に考えた方がいいんだろうなあ……。
[小さく呟き、手にした花をくるり、と回す。
本来ならばあり得ぬ色味の紫羅欄花。
それがどこへ自身を導くか、知る由もないまま、青年は再び歩みを進める。*]
― 回想 ―
[その集落は、父にとってはいわゆる『お得意様』だった。
鍛冶師として様々なものを作る父ではあったが、その本質は武器を鍛える刀鍛冶であり。
自身も刀の修行を積む途上の少年にとっては、手合わせできる同世代がいる希少な場所でもあった、のだが]
……え?
[訪れた先、父がいつものように仕事のための話を始めて、自由に歩ける時間を得て。
さてどうしようか、と思っていたら、何度か顔を合わせていた老婆に声をかけられた]
あー、うん。
いいけど……。
[孫娘を迎えに行ってはくれないか、というお願い事。
なんで自分に? と思いつつ、断る理由もないから、軽い調子で頷いた。
その子がいるであろう場所と、行き方を教えてもらって。
茂みの中に隠された道を通ってたどり着いた先で見たものは]
……て、わ……。
[たどり着いた先にいたのは、棒を振るって何かの型を繰り返す女の子。>>84
思わず上げた声と、直後に踏んづけ小枝が折れる音に手を止めて振り返ったその子は、何かに怯えているように見えた。
とはいえ、その理由なんて知る由もないから、あ、驚かしたかな、くらいに考えて]
あー、ごめん!
びっくりさせちゃったかな……邪魔するつもりは、なかったんだけど。
でも、すげーなー。
女の子で武術の稽古してる子って、あんまりみないのに。
[口にしたのは素の感想。
あちこち渡り歩いても、武術の鍛錬に励む女子、というのは、あまり見たことがなかったから、それをそのまま口にして。
『へんだって、おもわない…の?』という問いに、え? と言って、ひとつ瞬いた。>>85]
え、別に。
……俺のかーさんも剣士だから、ふつーに毎日鍛錬してるし。
[てか、鬼師匠だし、というのはさすがに口にしなかったが]
ここの女の子はあんまりやらないみたいだけど、別におかしくはないんじゃない?
[他所の集落の習わしなどは知らぬから、思うままを口にして。
続けて向けられた願いに、幾度目か瞬いた]
手合わせ……って、あー、うん。
俺も刀の修行中だからそれは構わないけど……って、ちょ、え!?
[少女の繰り返していた型はこちらにとっては見知らぬもの。
異種の武術との交流は自身を大きく磨けるから、とは武術の師たる母の口癖で。
知らぬ型との手合わせは望むところと諾を返した……ら、思いもよらぬ雨が降った。>>86]
え、ちょ、え、ど、どーしたんだよっ!
[俺なんかヤバった、やっちゃった!? としばしあわあわするものの。
その果てに向けられた言葉に、今のが嬉しさからのもの、とようやく認識して安堵の息を吐いた。
そこに至るまでは、はらはらしっぱだったりしたが]
パメラ、か。
俺は、イェンス……イェンス・トゥルエノ。
[よろしくな、と笑ってひょい、と手を差し出す。
握手の意図はちゃんと伝わったか。
ともあれ、向こうが落ち着いたなら、ポケットからハンカチを引っ張り出して]
そーいや俺、長さんとこのばーちゃんから、孫娘迎えに行って、って頼まれてきたんだけど。
それ、パメラで間違いないんだよ……な?
[なんて今更のように確認しつつ、ほい、と差し出した。*]
― 『神魔の領域』・外周の森 ―
[感じた動くもののの気配に意識を張りつめさせていたから、その存在に気付くのは比較的早かった]
……ん……。
[微かに聞こえた声>>98と、視線。
す、と視線を流した先に微かに見えたのは、構えられた杖の先]
……誰か、いるのか。
[投げかけるのは、低い問いかけ。
煌き帯びた紫羅欄花は軍服の胸ポケットに刺すように押し込んで、左の腰に佩いた二刀の内の短い方――『龍爪』の柄に、左手をかけた。**]
― 『神魔の領域』・外周の森 ―
[呼びかけに応じるように、気配が動く。
現れた女の姿>>117に、僅かに目を細めた]
グリュングレース……ああ。
[あそこか、と呟く声音は気のないもの。
青年にとっての彼の国は、形骸化した信仰に縋る小国、という認識に収まるもの。
故に、相手の肩書きを聞いても特に何の感慨を抱く事もなく]
何用……と言われてもな。
こちらは軍務にて行動している。
……それを、一般人に、教えるのは軍規違反なんでね。
答える事はできねぇな。
[淡々と返す声音は微妙にやる気がないが、気配は鋭い。*]
― 『神魔の領域』・外周の森 ―
[あ、この女めんどくせぇ。
言い募られる言葉に、最初に思ったのはそんな事だった。>>130]
ここが不可侵なのは、結界で入れないからに過ぎねぇだろ。
近づけば弾かれるところに大軍向けるなんて、無駄な事ふつーにしねぇって。
[入れないから入らない。シュラハトにとってはそれだけの事なのだ、と。
もっとも、こう言った所で納得はしないんだろうなー、なんて思いつつ]
どんな手も何も、ふつーに入ってきたら、ここまでこれたんだけど?
それこそ、アンタの言う『神魔様』が、認めてくれたから入れたんじゃねぇの?
[実際問題として、途中まで一緒に来ていた部隊の面々は、森に踏み込む事ができなかった。
まあ、あちらはあちらで別任務もあるから問題ないか、で済ましているのは余談として。
こちらに向けて一歩、踏み出す様子に僅かに目を細めた]
……っと。
俺は一応、荒事じゃない任務で来てるんですけどねぇ……。
[左の手は相変わらず、『龍爪』の柄を握っている。
逆手逆持ち、普通に抜いて振るえる握り方には見えないが。
必要とあらば動くにためらいない、というのは、気配で伝わるか。*]
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