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お前……龍の仔?
どちらにしても、早くお帰りなさい。
[ 声は穏やかながら、しかしきっぱりと
この花園から遠退く事を望んで居た。
争いの後なのだろうか、ツノはまるで
片方折られたようであったから。>>138
こうべを垂れる様に
こちらに敵対する意思は無しなのだと
勝手に解釈してはその口元に笑みを浮かべる。
そっとその折られた角に両手を翳して
瞼を伏せては魔力を高める。
掌に集まる癒しの光。
その折られた角を元に戻そうとするもの。
他に傷口らしきものがあるなら同様に。 ]
貴方に、神のご加護がありますように。
[ 癒しの光が収まれば、ふぁさと二対の翼を
緩やかに広げて風を生む。
空を飛ぶため、というよりも
この花園へと訪れた黒を、
花園から優しく送り出すために。 ]*
[ 天使の軍勢が悪魔と戦っていることは
もちろん知っては居た。
その彼らを讃える為にも、
そして傷を癒す手助けをするためにも、
この花園に咲くバラの他の薬草たちを
煎じて届ける事もあったのだから。
とは言え、この天使は専ら花園から動かない。
花園を管理し、薔薇を育てることが
一番の自分の仕事として疑わなかったから。
嗚呼、もしその戦いを目にして居たなら。
その戦いについて様々な事を耳にしていたなら。
もう少しばかり、この闖入者へと
警戒を示す事が出来ていただろうに。 ]
狩?いえ、ここでは狩は………。
[ 巣に帰ると言いながらも>>206
狩を、との言葉に眉を寄せた。
ここで血が流れることは望まないし、
それでは傷を癒した甲斐もないというもの。
狩を止めるために少しばかり、苦手ではあるが
荒事をしなければならないかと
首を傾げた所だった。
風が、変わった。>>210 ]
[ 相手を送り出さんと手向けた筈の柔らかな風は
闇の澪と混じり合い、冷たく淀んで落ちていく。
ぞわりと、体の芯から羽の先まで怖気が走り
知らずのうちに胸元で拳を固めて後ずさる。
周囲には枯れ落ち果てた花園。
萎れ、茶色く枯れ果てた花が風に舞った。 ]
なんて事を……!
何をするのですか、この花園は神に捧げる
神聖な……!
[ 眦を釣り上げて相手を睨みつける。
しかし今、何と口にした?
これが狩であると
飼い主になるのだと
連れて行くと……つまり、自分を。
何故自分だったのだろう。
自分よりも優秀な、そして美しい天使は
数多に存在していただろうに。
相手は花園を瞬く間に荒れ果てさせてしまう程の
闇の力の持ち主だ。
そんな相手に自分ができることと言えば。 ]
…………ッ!!!
[ 他の天使たちへと、この無法者の訪れを
そして花園の危機を伝えること。
そうして神にこれ以上危害を与えぬこと。
二対の翼をはためかせ、
ここから離れるべく空へと飛び立とうとした。
然し、それは叶わなかったのだ。
悲鳴を、仲間に届ける事すら。 ]*
……………薔薇、は。
[ 翼に枷を嵌められて、
今いる場所は何処だったか。
あの薔薇を守れなかったと唇を噛み、
一人沈鬱に瞼を伏せる。
唇を噛めば痛みが生じる。
このまま噛み締め続ければきっと、
己の嫌う血の香と味とが滲むのだ。 ]*
-闇の中-
[ 蛇に飲み込まれれば一瞬だった。>>250
全身が蛇の口内に収められてしまえば
ずしりと身体が重くなる感覚がした。
息が苦しくて、それでも僅かな光の魔法で
窒息する事なく生きながらえてはみたものの
意識を失い、目覚めてみればこの有様。
翼には枷があり自由に動かすことはままならず
体には今まで感じなかった確とした重みがある。
それまでは申し訳程度にしか無かったふくらみが
まあるく膨らんで、まるでそれは自分の肉体が
受肉してしまった事で性を得て
育ってしまったかのようで居心地が悪い。
その身にまとうのはシンプルな貫頭衣。
…服がある分、文句はないのだが。
しかしその居心地の悪さよりも、
やはり気にかかるのは薔薇のこと。
そしてこの暗闇には息がつまる。 ]
……光よ。
[ 掌に魔力を寄せ、光を呼び寄せたなら
その闇の中に灯をともすことは出来ただろうか。
できたならホッと頬を緩ませ、
出来なければ落胆して衣服を握りしめる。
こんなところに連れてきて
相手はどうするつもりなのか。
ここがどんな場所なのかを、
自分はまだ知らないでいる。
分かるのはそう。
悪魔の手により、自分が連れ去られその巣に
連れ去られてしまったらしい事くらいだ。 ]**
ですが光なくば草木は育ちません。
闇があるからこそ光も映えるのでしょう。
闇そのものを否定は致しません。
[ 闇の中に響いてきた声に>>310
静かに言葉を返してはチラと視線を向けた。
ゆるりとした仕草で相手を振り返れば、
光を返すのは胸元の金剛石。
そして先ほどの蛇ではない姿に、しかし
かけられる言葉に眉を微かに顰めた。 ]
私の全ては主のものです。
貴方のものになる事などありません。
それに私にはシュテラという名があります。
貴方のアンジェにはなり得ません。
[ 彼女が悪魔であろうことは、さすがに嫌でも
悟ることが出来ていた。
その彼女に狩られたのであろう事も。
その理由はイマイチ分からずとも。
今の彼女が己に害なす様に見えずとも。
彼女は、自分にとっての敵なのだ。 ]
[ 手元に灯していた仄かな灯をその身に散らす。
そうすればそれらの光は己の光輝となり
全身から仄かに光を放ち始めていた。
闇の中に白と緑が浮かび上がる。
そうして黒と紅を際立たせているのも構わずに。
相手に近づくことはしない。
それでも向けた顔を背ける事もしない。
警戒心を孕んだまま、
しかし背筋をしゃんと伸ばし
挑戦的とも言える笑みを浮かべるのだ。 ]
貴方、名も名乗らずに
失礼ではありませんか。
傷を癒してあげたというのに、
恩を仇で返すような真似をして
悪魔というものは本当に哀れなものですね。
[ 義に義を返す事も出来ないなんて、と。
愛らしく美しいと、それを受け入れると>>311
そんな事を甘く囁かれたとて
この天使の警戒は解けはしない。
むしろ、一層この悪魔が不可解に映り
しかし、受肉したと言うことは矢張り
悪魔に触れさせられた事で穢れたかと、
微かに痛む胸の内を悟らせまいと。
不敵な笑みを浮かべて、相対するのだ。 ]**
…………
[その声は弱く、その身は脆く
その光は容易く絶えてしまうというのに
天使の笑みは谷の百合のごとく凛と匂い立つ>>319]
……、
[闇の底にあって淡く発光する天使を、魔物は人面に微笑を咲かせたまま眺めていた。
首を飾る石は光輝を受けて表情を変えながら煌き。
時間の流れに意味があるのなら、沈黙は長かっただろう。
寄せては返す闇との境界で、天使の光は影と躍る。
──魔物の考えていたことといえば]
[ホールで見かけた飼い天使達の鳴き声にはどうとも心動かなかったが、この声は心地よい。
和音がよいのか、私の闇にいるからか。
それともこれが例に読んだ「うちの子が一番可愛い現象」?などなどと思考を弛緩させていた、のだが]
……!
[はっとしたように瞬いた。
「話を聞いていなかった素振りを繰り返して見せると、自然と天使は貴方に話しかけることをしなくなります。喉を潰したり轡を使用せずに、緘黙する天使へと躾けたい場合は、会話を無視することが効率の良い方法です」]
…(それはいかん)
[ 相手の心の裡の逡巡など、
この天使には想像もつかなかった。
ただ、穏やかな顔立ちに見えるこの女性が
先ほどの巨大な黒蛇であり悪魔なのだと
不思議とそれだけは悟っていた。
それは、相手との接触の中で
(その口内に収められて)
受肉してしまったからなのかもしれない。
何を考えているのかわからない。
しかし、瑠璃色の角が光る様に目を眇める。
何をするつもりだと、思わずの警戒を。
まさか先の会話を書き直す為とは思わず。
次いで紡がれた言葉には思わず
フ、と微かに息が零れた。 ]
見返りを求めてはおりません。
ただ、仇を返される謂れはありません。
[ 癒した時、その見返りなどは求めない。
しかし仇を返し自分を穢し受肉させ
あろうことか闇の中に閉じ込めるなど
許せるはずもない事だ。
それすら分からないから悪魔なのだろうと、
一笑に付そうとしていたが。
続けられた言葉に眉を顰めた。
眉間に深く皺が刻まれる。 ]
悪魔の貴方が愛を語るのですか。>>365
……わかりませんね。
貴方方は一番愛から遠い存在の筈。
……名は、もう良いですが。
[ 確かに迂闊に名を名乗ってしまった気がした。
そればかりは自分の迂闊さから目を背け、
名は知らずとも良いと視線を伏せる。
しかし、名が無いのは不便だとも思う。
相手ばかりが己の名を知っているのも。
しかし、禁忌でこれ以上自分を穢したく無いのも
この天使には事実であったから。 ]
私が、貴方を愛するはずもありませんが。
早くここから解放してください。
貴方の呼び名を考えずとも済むでしょう?
……それとも悪魔、と呼べば良いのかしら。
[ 相手も天使と呼んでいるようだし
そうすれば良かったと気付くも後の祭り。
名を知って穢れたくも無い
しかし悪魔では他の悪魔と区別もつかない
そも、ここに他にどれだけの悪魔がいるのか
気付けばここにいた自分には
推し量ることが出来ずに迷ってしまう。
近づかれた分、息を詰めた。
真正面から見据えながら強い視線を返す。 ]
フォンセ、と呼びましょうか。
フォンセ、私を解放しなさい。
今ならば、私は貴方を許しましょう。
[ 彼女を仮に闇色と呼べば、
口元には笑みを浮かべてみせよう。
じとりと背筋に嫌な汗が吹き出ていることなど
悟らせたくはない。
……汗で布が肌に纏わり付いて、
不愉快な事この上ない! ]*
[ 悪魔たちの愛がどんなものであるかなど
この天使は知る由もない。
何故自分に対してこんな風に振る舞うのか、
それすらもこの天使は理解してはいなかった。
しかしフォンセと仮の名で呼べば
それをよしとするらしい。
背をかがめて顔を近づけられれば
思わず身を引きかけて思いとどまった。
微かに上半身が揺れたものの、
完全に退くことはない。
相手が己と同じ、女性の形をしているために
心に余裕が出来ていた。
さらりと揺れた赤く長い髪。
長身とはいえ男の様には硬くは無さそうな体躯。
甘く耳元に囁かれても、それはまるで
戯れか何かのように思えていたから。 ]
………感謝いたします。
[ それでも、直ぐに解放に応じてくれたのには
些か拍子抜けでもあったが。
ただの戯だからこそ、直ぐに飽きたのだろうと
安堵した空気がその表情にも現れていた。
見通しの見えぬ闇の向こうは、
微かな恐怖を宿すけれど。
それでも文字通り解放されるならと、
他の扉にチラと視線を走らせながらも
彼女の背を追うのだ。
つばさの枷も外されると、信じて。 ]*
━ 瑠璃の部屋 ━
[扉をくぐれば空気が変わる。
広くない室内には光があった。
それはごく普通の
地方の町で細々と暮らす人間の小屋そのもののような素朴な石と木の部屋]
此処は魔界の只中だ
私は生憎と地上には出られないが、お前ならばどこぞに天使も通れる門があろう>>219
そこまで辿り着けば、私は追えない
行くか?
普通ならばこの天獄の泉から出ることも叶わないが、それは私が許そう。解放してやる
[油の灯されたランプが温度のある炎を揺らめかせている。
カーテンのかかった窓、灰の積もった暖炉、生成りのシーツがかかったベッド。
何も活けられていない一輪挿し。
質素な作りのテーブルには、誰かが淹れかけたような紅茶のセットが微かな湯気を立てていた]
お前は既に肉の殻は受けてしまったが、
……
……まあ、
天の国には入れずとも、神の為の花を育てるくらいならば、まだ許される程度の穢れだろうよ
[壁際の飾り棚へと歩を進め、無造作に引っ掛けられていた何かを手に取る。
瀟洒な、瑠璃石で飾られた金のティアラを指先でくるりと回した]
枷も外そう
ただし、魔界には決して神の加護は届かない
私の加護もない無垢のままで外に出れば、魔物の跋扈する空だ。お前は死ぬだろうから、保険はかけておくよ
[これは試練だろうか。
だが乗り越えられない試練をも与えるのが悪魔の業。
ならばこれは、ただの躾なのだろう]
それとも、今のお前に脱出できる見込みはないからやめておくというならば、──それも良いだろう
私はお前を飼い、私の印をお前に刻みつけることにする
選びなさい
[ 天使の知るのは、悪魔の悪たる所以。
花の育て方、傷の癒し方。
ただ悪魔とは縁の薄い場所で暮らしていたから
まさか、が抜けきれなかったのだろう。
まさか自分が巻き込まれるはずもない。
巻き込まれたとて、そこまで残酷なことを
されるはずもないのだと。
無知で、だからこその無垢を保つ。
この天獄の泉で行われていることを知れば
蒼褪め震える事もあっただろうが
幸か不幸かまだそれを知らぬままだった。 ]*
-瑠璃の部屋-
[ 扉の向こう側には質素に思える小屋があった。
先ほどの闇とは違い、光が通り
空気の流れも僅かに感じられる。
それでも静謐さはカケラも感じられない。
魔界と聞けば、やはりと言葉を漏らしていた。
人間の住む街であったなら、
まだここまで空気も淀んでいないだろう。
一輪挿しに華がない事がやけに寂しさを覚えるが
今はそれどころではなく、
ここから抜け出すべく彼女の言葉に耳を傾ける。
どうすれば、出られるのかを。 ]
行きます。
神の国に辿り着けずとも、
きっとその門には手が届く事でしょう。
そうして、神は私を救ってくださるはず。
神の国には入れずとも、地上で人々に
神の偉大さを伝え広めることは
きっと出来るはずですから。
[ その言葉に迷いはない。
嬉しげに目を細め笑みを深めては
金のティアラに目を瞬かせる。
あれは保険、なのだろうか。
神の愛さえあれば、行きて帰る事も
きっとできるのだとは思うけれど。 ]
フォンセ、有難う。
もう貴方も、花園に来てはいけませんよ。
[ それでも変えれると、解放されると
その喜びに心を踊らせ
相手に背を向けるのだ。
枷を外してもらうべく。
保険が何かも知らないまま。 ]*
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