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[対抗魔法を紡ぐにも一足遅く、
紅が散って王子ともう一人に纏わりつく。
次の瞬間には、彼らの姿は消え失せていた。]
くそっ。
誰か!誰でもいい!
第二王子を探して捕えよと全軍に伝えろ!
おまえも行けっ!
[魔王の命令に、魔物たちが慌ただしく動き始める。
その間も、槍にこめた力が緩むことはなく]
貴様、
[激情澱む声が青年へ向けられる。]
貴様も、自分の命より大事なものがある、
などと言うくちか?
[冷えた声は、青白い炎にも似る。]
一応聞いておこうか。
……なぜ、逃げなかった?
[どこへ飛ばした、という問いが無意味だと気づいて、
代わりに口をついたのが、そんな疑問だった。]
― 王都陥落から数日後:城門前 ―
あの若造に、それほどの価値があるのか?
[死なせるわけにはいかないと、青年は言う。
それを、揶揄するように問い返したが、
己の言葉の矛盾は自覚していた。
価値があるからこそ探させているのだ。
忌々しい血を根絶やしにするべく。]
逃げなければどの道死ぬ、
死ねば探し物とやらもできないと、思わなかったのか。
[槍を支えたまま、青年の横に膝をつく。
縫いとめる意図はさほどない。
むしろ、抜けば危険だろう。]
本当は、ここに残りたいと思ったのではないか?
意識してか、無意識かに関わらず。
[指先を青年の額へと伸ばす。
なにかに誘われるように。]
― 王都陥落から数日後:城門前 ―
[拒む手は、途中で止まる。
指は青年の額に触れ、刹那、なにかの脈動を感じた。]
ほら、 … いた。
[呼び声に応えるもの。
彼の内に秘められた闇が、ざわめいている。
指先から伝わる拍動は、己と同質のもの。]
望みを口にするといい。
生きたいと。
力を得たいと。
この血に眠る力を解放したいと。
[指先を額から鼻梁へ、唇へと動かし、顎の下で止めて]
自分でもわかるだろう?
もう隠さずともいい。
認めろ。
貴様は、俺と同じ側に立つ人間だ。
[喉に指を突き立てる代わり、言葉の矢を放った。]
― 王都陥落から数日後:城門前 ―
いいだろう。
[上がった手を掴み、引く。
水の中から引き上げるように。]
おまえが、おまえの望むようにありたいならば
強くなれ。
それが唯一のルールだ。
なにかのために生きるのは、もう終わりだ。
おまえの才を、
そんなことのためにすり減らすのは惜しい。
[青年が流す血を自分の血と混ぜる。
ふたつの血に濡れた指で、もう一度彼の額に触れる。]
おまえが望むおまえ自身を、
自分の力で掴みとるがいい。
俺は、そのおまえを迎え入れよう。
[血文字で記すのは自身の名。
それはいわば、新たな契約だった。]**
ん? ああ。
これは俺の跡を追うものだ。
[新しく配下となった青年を軽く紹介する。
そういえば名前も聞いていないことを思い出したが、些細なことだ。
腹心の意識が青年から報告へと移れば、それに応じる。]
ネストルの子孫? …あいつか。
あれは単なる道化だろう。
俺の復活に役立ったことが、今はあれの最大の功績だ。
未練がましくうろついているようだが、
おまえの脅しでおとなしくなるなら、奴も命永らえようがな。
[ネストルの子孫については、それ以上の関心を持たない。
だが第二王子の行方に話が及べば、氷山を溶かしたような色の瞳に青白い炎が走る。]
クレス。
俺が、「探せ」と言っているんだ。
[反問は許さない。
視線に込められた圧が、次の瞬間には霧消する。]
まあいい。
いずれ、あのような不安定な転移魔法では
遠くまでは逃れ得まい。
あるいは空へ放り出されるか、地へ埋まるか。
無事とは限らないだろうよ。
[軽い調子で可能性を並べる言葉が、
途中で途切れた。]
[遠い空へ向いた視線が、険を含む。
これだけ距離を置いていても分かる重圧。
太古よりたゆまず時を重ねてきた神獣の、
恐るべき存在感が、魔王をも振り向かせる。]
竜までしゃしゃり出てきたか。
……… 厄介だな。
[かつて自分とあいまみえた竜だとまでは気づかず、ただかの神獣の力を憂う。]
クレス。
俺の力はまだ万全ではない。
[すでにわかりきっていることを、改めて口にする。]
儀式の間のすべてを動かすためにも、
生贄が必要だ。
大量に。
[それは現状確認であり、意思であり、命令でもあった。]*
[炎に焼かれ、崩れたつ軍勢。
雪崩れを打って逃げ出す魔物の中央に、
竜の背より飛び降りる一つの影。
それ自体が光を宿しているように見えた金の髪。
手に持つ刃の、眩いほどのきらめき。]
貴様は───
[自らも、炎噴き出す剣を手に駆ける。
生涯の宿敵と、今度こそ雌雄を決せんがために。
───記憶は、いつもそこで途切れる]*
また厄介なことになったものだ。
[腹心の言葉を待つまでもなく、追跡が難しいことは理解していた。そこに竜まで現れたとあれば、第二王子を捕える子はほぼ不可能だろう。]
……… 戻るぞ。
[不機嫌を隠すこともせず、居城と為したジルヴァーナ城へ足を向ける。]
今は預け置く。
いずれはすべてを手に入れてくれよう。
[竜が飛び去るのを見送ることなく、心のうちを吐き捨てた。]
― 2年後:王都ジルヴァーナ ―
[魔王が封印より目覚めてから2年の後。
シェーンバルドの大地のほとんどを、魔王は掌握していた。
惜しむらくは、ハールト攻略に際して、
多くの人間を取り逃がしたということと、
港にあった船のほとんどを持ち去られたということ。
もっともどこへ逃げようともすべての人間はいずれ自分の前に跪くことになるであろうし、船ならばジルヴァーナにあるものを使えばしばらくは事足りる。
些細なことだった。]
[もっとも、かつて取り逃がした第二王子がハールトに現れたと聞けば地団太を踏んだだろうが、幸か不幸かまだその報告は魔王の耳に入っていない。]
[配下となる者もまた、順調に増えていた。
最初に地下より解放した魔物たちに加えて、
辺境に隠れ住んでいた魔物も恭順している。
またライナーやシェットランドなどが代表するように
人間の中からも自ら配下に加わるものたちがいた。
かつては自分もそうだったと心が一瞬追憶に飛ぶ。
力に飢えていたあのころ。
煮え切らぬ同朋たちに愛想をつかしたあの日。]
[頭を振って、思考を実務へと戻す。
コボルトやゴブリンといった連中は
数も問題なく増えている。
人間もむやみには殺すなと命じてある。
これも労働力としては使えるだろう。
ただ、オークやさらに上の強力な魔物に関しては
数も少なければ、そうそう簡単に増やせるものでもない。
儀式の間の機能を強化できれば
多少まとまった数での召喚も可能になるだろう。
完全に解放できれば、自分の力もまた戻るはずだ。
やはり、そちらが最優先かと判ずる。]
― 王城・玉座の間 ―
[魔王の居城となったジルヴァーナ城は、外観の美しさは変わらぬものの、各所に悪魔的な装飾が付け加えられて威圧的な雰囲気を増していた。
凝り性のコボルトたちに装飾を任せたからか、彫刻の数も調度類も増えている。
玉座の間には魔王の武威を示すタペストリーが飾られており、玉座も
玉座の背もたれに、あのときうっかり永続召喚してしまったコカトリスを止まらせて、魔王はここから日々、配下のものたちに命令を下している。]
[この日も居並ぶものたちを前に、指示を飛ばしていた。]
ライナー。
[呼んだのは、このところの侵攻戦で目覚ましい働きを見せている人間だった。
戦に出るたびに、有力な騎士たちの首級を上げて帰る。
もしかすれば、それはゴブリンあたりから巻き上げたものだったかもしれないが、そんな些細なことに魔王は頓着しなかった。
自分に対して力を示して見せることこそが、何よりも重要なこと。]
貴様にハールトを任せる。
守備隊を指揮し、彼の地を掌握せよ。
[それは功に応じての任務だった。
成功すれば、彼の実力が確かだというもの。
これが彼にとっての試金石となるだろう。]
/*
喉が残り108ptだ。煩悩〜。
あと15分だとできて2発言程度なので、飴はいらないよー。
(灰で言っても無意味)
むしろ使い切るのを考えるけれども、昨日夜更かししすぎて眠いので今すぐにも寝たい。
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