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………そう。
[聞き終えるが早いか、それともまだ言葉の途中だったか。
戦闘の無残な爪痕が生々しい壁を支えに立ち上がると、ふらりと歩き出す。]
誰の為の赦しなのだろう。
[落とされる言葉は、まるで他人事のよう]
……さて、日の出でも眺めてくるよ。
では、ごきげんよう。
[背を向けると、覚束ない足取りで歩きだす。
まるで、ついぞそこまで散歩にでも行くと言うように。]
…、Noli me tangere.
[聖書に綴られた中の一句を、口にする。]
―――…私に、ふれるな!
[優しさとさえ見えるような抱擁に、返る声は憎悪すら感じさせるものだった。]
はっ……
評議会とやらは…血親を失くした”孤児”に慈悲を施して崇高な生き物にでもなったつもりか?
優越感を満たすだけの玩具や道具として存在し続けるなんて、私は真っ平だ。
殉教?……私が殉じるのは、教義ではない。己の心にのみ。
[生きていても、死んだ今でさえも、根本的に何の変化もないのだと。
感情を吐露すれば、血を失っている呼気は容易に息切れを起こして顔色は青ざめる。
しかし、失態に気づけばすぐにその感情は顔から失せ、固く唇を引き結んだ。]
― 城館:何処かの個室 ―
[施された治療について知る由もなかったが>>324、目を覚ませば柔らかな寝台の上にいて、怠さは変わらぬものの痛みは消えてなくなっていた。
さらに自分を連れてきた偉そうな方の吸血鬼がくだらぬ扱いをするな>>325といったことはやはり知らなかったが、顔や髪に付着した血と土は拭き取られ清められていた。]
………、結局、
[半身を起し、周囲を見回したが、此処にいるのは己一人のようだった。
無意識にロザリオに触れようとして胸元に手を伸ばすが、あるはずもなく。
では、と刺されていた肩口に手を伸ばすも、そこには傷すら残っていなかった。]
…何一つままならない、か。
[持ち去ったであろう吸血鬼の顔を思い出して、唇袖口で拭うと、きつく噛みしめた。]
[やがて、覚えた強烈な渇きから意識を逸らすように、目を伏せ、手を組み、緩く首を垂れる。]
………。
[祈りとは、即ち内なる神との対話。**]
[真鍮の懐中時計が示す針の在処に、漸く今を知る。
相手の言葉に余程酷い顔色をしているのかと、頬に手をあててみたりもしたが、その動作すら緩慢だ。]
……そう、まだそんな時間だったのか。
休んで良くなる苦痛であればね。
[近づいてみれば、少なくとも自分と同じような雛ではありえない気配を感じとる。]
…自ら陽に身を焼くなら処分に好都合だろうに、理解に苦しむ。
まるでヒトだな、あなたがたは
[案じての言葉か、勝手をされては困ると言うだけか。
どちらの意図にせよ、先程の偉そうな吸血鬼よりは会話が成り立ちそうな相手にそう感想を漏らした。]
異形になってまで、ヒトのように群れを成し社会を作り縛られるとはね。
ーーーしかも、100年そこらでは終わらないないしがらみだ。
[鬱陶しそうな顔をしかめた。
血を糧とすることに対しては、答えず。]
…親に殉じるような人間であったならば、今此処に存在することはなかっただろうさ
[親、という単語の持つ意味は、ヒトであった頃からろくでもないという認識しかない。
招く声に、少し首を傾いで従う。]
…?
[ホールや居室、人の気配のする方向を一度だけちらりと見たあと、遠ざかるように歩く先導者の後を緩やかに歩む。]
弊害ね…
[縄張り問題なのか、ヒト社会との共生の方針かなにかなのか。
ヒトをやめても好き勝手にいられるわけではないらしいことは、この館の組織だった様子から伺うことができた。]
…どこに?
[連れていかれるのかと、ゆるりと辺りを眺める。]
ー 温室 ー
あ……!
[長い廊下を抜けた先にあったのは、温室だった。
ガラス張りの植物園は、見上げれば星空と、まだ高い場所にある月。
夜の帳に鳴く梟に目を細める。]
……確かに、素敵な場所だ。
[慣らされているのか、そろりと腕を伸ばせば梟が飛んで留まる。
重みによろめくのは今の体調では致し方ない。]
……できなくもない。
[少しの間の後、そう応えた。]
……永遠の命。美しさ。そんなものを欲しがるような者ならなおのことヒトとしての文明も、何も手放そうとは思わないんだろうな。
[この状況を喜ぶ者は少なからずいるとヒトのサガを知れど、大した慰めにはならない。
梟の柔らかな羽を撫でた。]
あなたは
存在しつづけることに、どんな意味を感じているの?
[終わりなき生を歩む相手に、今、自分が一番想像できないことを問う]
恩義。
僕はこの生を享けたことに感謝をした。
それだけ。
……肉のある命に囚われたものと笑う?
できないだろうね。
今更獣のような生活に馴染めるほど適応力は高くない自覚はある。
[返す言葉はあっさりとしたもの。
柔らかな羽毛に頬を寄せれば、暖かな脈動を感じ飢えを思い出す。]
……あなたはものを教えるのが上手いな。
魔物も化け物も、未知というヴェールを剥いでしまえばそんなものか
[乾きの衝動に梟を逃がすと、腰かける人の隣に座った。]
……手放すならやはり存在ごとだな。
[妙に納得して頷いた]
……そう。
どんな命であれ、生きることに喜びを見出だせるならば、それは幸いであると。
……私は思う。
[長い生に飽いている様子もなく、恩義だと言う声にすこし羨望にも似た思いを寄せる。]
……、罰なのかもしれない。
死してそのみもとに行くことすら拒まれた結果が、永遠の命とは神は皮肉がお上手だ。
[少し笑う。
最後まで己に冷ややかだった世界を思う]
言葉は、鏡
[秀麗な面立ちに過ぎる微笑に口を開く。]
君は今、己の生に喜びを見出さず、
拒まれたという皮肉によって拒んだ。
……罰であることを望んでいるの。
[なんのため、という問に一度瞬き。
くすくすと笑った。]
嫌だから、かな……
[思い出すのは、自分の運命を他人に握られ続ける屈辱。]
でも、どうかな……私が理由を見つける前に、神は私を闇に呉れてしまわれたから。
[小さく呟き、唇を結んだ。]
詭弁だね
[さして感情も動かさず。]
結局のところ、罪も罰も、ただのルールに過ぎない。
しかもその適用はケースバイケース。
……ねえ、あなたは、このせかい、すき?
そうかな。どこからが詭弁だった?
[声を柳のように受けて、首を傾げた]
……僕は、事例そのものを斟酌しないルールは
森ばかり見て木を見ないと思うから、
そうであることが適切だと思うけれど。
僕の好悪を答えることは、君の助けになるかい。
……"良くも、悪くも"、ね。
[相手の言を肯定し、ただしそっと後ろにつけ添える。
思い出すのは、苦い記憶。
正当防衛、過剰防衛、何とでも酌量の余地はあったかもしれないが、何の咎めも無かったのは、実際のところ権力者の隠し子であると言う大人の事情。
罰されないどころか、まともに大人に向き合ってもらった記憶が無い。
そうして少しずつ、年を重ねるごとに、神を信じていた少年に見える世界の真実は歪んで行った。
軋む音から目を背ける。]
……なるかもしれないし、ならないかもしれない。
恩義、と言えるあなたの目から見える世界はどんな風に映っているんだろう。
ね、
また会える?
……その時私がまだ消えていなかったら、あなたのことを、教えてくれる?
[青褪めた顔で儚げに微笑む姿は、最初より幾分柔らかい。]
この世界はいつだってわがままで、理不尽な選択を迫り、
それが、現実として連綿と続いていく……
良くも悪くもあるけれど、好きなのだと思うよ。
[温室を去り際振り返って、被るフードを深く直した。
再会を請う声には淡々と]
構わないよ。
夜明け前には、中に入りなさい。
[強すぎる陽光から、その儚さを隠す理由になるのなら*]
[>>496 頷く相手の端正な横顔を見る。]
……実に。
子供染みた浅はかで短絡的な思考だよ。
ただ気に入らない現実を拒む、その為だけに、ままならないのなら全てを灰に帰すことで抗おうと言うんだ。
[神を探し、求め、学び。そして多分、今でも焦がれている。
彼の中にあるのは、冷静で淡白な思考と、子供じみた感情がひしめく危うい均衡。]
―――実行に移す力もないくせにね。
……飢て狂う、か。
[今でも、十分に苦しいこの渇き。
他者の血を糧に生きることを想像して、己の手に視線を落とす。
黒衣の翻る裾が視界を過った。]
…………お気遣い、どうも。
[黒衣の背に視線を上げた後、更にその上、天を仰いだ。]
そう。
[フードを目深に被りなおすその人の答えに、吐息のような返事をする。]
……わかった。
でも、もう少しだけ。
[是の返事に、添えられた言葉に素直に首肯し、黒衣の背を見送った*]
― 温室 ―
[黒衣の背を見送ってしばらく、天井を見上げていたが、やがて立ち上がる。]
………だめだね、齧りついてしまいたくなる。
[先程戯れた梟を見て、喉を鳴らした後、苦笑いを浮かべた。]
……主よ
[唇から毀れる呟きは、心許ない。]
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どこに凸ろうかと思ったが、色々悩んで
よーし風呂か…風呂…風呂だな…?
と思ったところでどうやって入り込むか想像がつかなくて諦めたターン。
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