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[初手の一撃は、文字通りの想定外だった。
齎された情報>>49を遥かに超える規模の軍勢。
邪神の使いさながらの魔物の強襲。>>20
その時、自身は敵の第一陣を食い止めるべく、前線に出ていた。
それが、常の在り方で──それ故に、強襲を阻む事はできなかった。
クロイス家の兄弟との付き合いは、長い。
自身の気質的に弟の方が気心知れてはいるものの、同じ場所に護り手としての意思を持って立つ兄に対しての信義は厚く。
故に、最後までこの地を護る、という役目を引き継ぐに躊躇いはなかった]
……別に、気に病んでるわけじゃあないがな。
[ペンホールズへと帰還する第一陣>>52を見送りつつ呟いた言葉。
そこに隠された微かな悔恨を読み取れるのは、気心知れた
……なん、だっ!?
[走った光、その輝きに目を焼かれる事はないが。
光を纏って飛び出したものの姿には、目を瞠った]
いや、まて!
言いたいことはわかるが、いくらなんでも無茶だろうが!
世の中には、年寄りの冷や水って言葉がだなっ……!
[押し止めようとした言葉は、大剣振るう背に届いたかす。
否、届いたとて引く気がないのは、見てわかる。
戦場に立つ者の覚悟と、それに基づく気迫。
突然の乱入者からは、はっきりとそれが感じられたから]
……っ!
[物理的な衝撃の後、それとは異なる衝撃が走る。
直撃を受けた籠手が嫌な臭いと煙を立て、その内側へと痛みを通した]
『リエヴル殿っ!?』
……騒ぐな!
大事ないっ……。
[纏う鎧は、無茶な動きを妨げぬように、と軽量化の図られたもの。
その代償として、装甲は薄い。
薄い装甲でも立ち回れる由縁がある──文字通り、身に『刻まれている』が故の事ではあるが、魔法的なものには人並みに、弱い]
近場に、魔法の使い手がいる……と、いう事、かっ……。
[厄介な、と。思う理由は、二重のもの]
……ったく。
どいつも、こいつもっ……。
[苛立ち込めて吐き捨てる。
遠目に見えた老人の様子からして、長くは持たぬとの予測は立つが。
今、そしてこれから成すべきを思えば、そちらへ向かう事は選べなかった。*]
/*
ちなみに。
やろうとしていた事自体は、おんなじだったという、な。
[書いてる途中でファミルのが見えたんで、織り込もうとしたら時間かかった(]
― 砦陥落後/ティレル ―
[先陣を切り、殿を務める。
騎士となってから、そんな事を幾度となく繰り返していたから、今の状況に、釈然としないものはある。
けれど、それすら飲み込むのも必要な事、という意識もあるから、今はそれに煩わされる事はなく。
今は、託された役目を果たすを第一、と、向かうのはティレルの地]
……大体の避難は済んだ、か。
[人の気配の殆ど感じられぬ村の様子に、低く呟く。
最後にここを訪れたのはいつだったか──あの時に感じた穏やかさは、今は、まるで感じられない]
が、まだ残っている、という話だったが……。
[ぐるり、周囲を見回す。
隠れている気配>>245と見える姿>>242では、後者の方が見出すは早く]
……あれは……。
[見覚えのある姿に目を細め、黒馬をそちらへ向けて駆けさせた]
……しかし、何故、君がここに?
[次いで、投げたのは問いかけ。
自身がここにいる理由を問われるならば、撤退途上の出来事を簡単に話した後]
それで、避難は完了したのか?
……まだ一人残っている、と聞いて、立ち寄ったんだが。
[よもやそれが目の前の彼女とは知らぬまま、投げかけるのはこんな問いかけ。**]
/*
……いや、時計見て驚愕したのは久しぶりだ。
まあ、5時間は寝れる、問題ない。
しかし、ようやく自分の中でキャラが落ち着いてきたな……動かせばついてくるとは思っちゃいたが。
……どうした?
[呼びかけの後の空白に、緩く首を傾いで問う。
先の目を伏せる仕種と、老人の言葉と。
重ね合わせればそこに籠るものは薄ら察しはつけど、続いた申し出>>285にそれを言葉にするのは飲み込んだ]
ああ……構わんよ。
状況的にもそれが最善手だろうし……。
[ここで一度言葉を切り、ふ、と視線を移ろわせる先は、自らが駆けて来た方]
……諾を返したからには、果たさねばならんからな。
[後にしてきた場の状況は知る術ない。
だが、諾を返した以上、違えるのは主義にも反する。
そんな思いは言葉にする事もなく、黒馬へと飛び乗り、手を差し伸べる]
……さて。
こちらも、務めを果たすか。
何はなくとも、お前たちは休息。次に備えろ。
俺は、本部への報告と、状況の確認に向かう。
[言いながら、一部が不自然に溶け落ちた籠手を外して]
その間に、コレの修繕の手配を。
後は、ラクシュを休ませておいてくれ。
[近くにいた副官へと籠手を放り投げ、足を向けるのは、騎士団本部。*]
― 騎士団本部 ―
[帰還直後のその足で、真っ直ぐ向かうは騎士団本部。
鎧の傷もマントの汚れもそのまま、籠手が外され包帯の巻かれた右の腕。
それらは、撤退戦の状況を何よりも端的に伝え得る]
は。
リエヴル・リンドブルム、只今帰還いたしました。
[名を呼ぶ声に滲む安堵>>427に眉が落ちたのは一瞬。
すぐさま表情を引き締め、居住まい正して正式な礼を取る。
冬が奪っていったものの影は感じられるものの、今はそれに触れるべきではない、と判断して]
前線の状況は、既にお聞き及びかと思われますが……事務手続き上の報告書は、後に提出いたします。
先に、今後の方針をお聞かせいただければ幸い。
[最も知りたい、と思う事を単刀直入に問うのはいつもの事。
儀礼的なものを軽んじるわけではないが、まずは現実の方針を求める性格への評価は賛否両論割れている]
……団長職を、若手に譲られる……と?
[それ自体は、已む無き事かとも思えるが。
今の騎士団に、それが務まる者がいるのか、という疑問は一瞬、過るものの]
……俺も知る者……ですか。
[語る団長の様子と物言いからして、仕掛け人を悟るのは容易かったから。
その場で、それ以上の追及をする事はせず]
……それでは、明日の楽しみとしておきましょうか。
[ふ、と浮かぶのは柔らかな笑み。
本当に楽しみにしている、と言わんばかりの様子は何を思わせるやら]
それでは、俺は戻って出陣に備えます。
……団長も、どうぞ御自愛を。
[再び居住まい正して礼をした後、その場を辞す。
長話をして引き留めるべきではないだろう、という思いと、自身の身体も休息を求めているとわかっているから。*]
― 騎士団本部・私室 ―
[団長の所から辞した後、向かったのは本部内の自室。
父が死した後家督を引き継ぎ、現在はリンドブルム家の当主という立ち位置にはあるものの、家の事は実質、妹夫婦に任せていた。
こうしてペンホールズに戻ってきても、顔を出すのはごく稀な事。
妹自身は、その事を大層不満に思っている……と、聞いてはいるのだが]
……ここで、顔を出さんと煩かろうが。
出したら出したで、騒ぐだろうな、アイリのヤツは。
[言いながら、目を向けるのは腕の包帯。
騎士としての務めを果たす以上、傷が絶えぬのは妹も理解している……はずだ。
いや、そうでないと困る。非常に]
…………。
[ふ、と息を吐いた後、何はなくとも、と武装を解く。
緊張が僅かに緩むが、休息求めるままに眠りに落ち込むのはどうにか踏み止まった。
内を過るのは、団長から聞かされた今後の方針。
無意識、右の手が胸元に触れる。
手触れる部分に、とある印が刻まれている、と知る者はごく僅かだ]
……時は移ろう、か。
ま、何にしても、俺がなすべきはひとつ、だが。
[戦場に在りて、道を拓く。
それが、己が務めと見なしているから、迷いなどはなく。
小さく呟いた後、閉じていた眼をゆっくりと開いた]
[リンドブルム家の長子には、幼い内にとある『印』が刻まれる。
先祖が精霊と交わした誓願に基づくもの──とされているが、仔細な記録は残されていない。
わかっているのは、その『印』が、何かを対価に、刻まれた者に守護を与える、というもの。
リンドブルムを継ぐ者はその守護の力を持って常に前線に立ち続けてきた。
対価を要する、呪詛と紙一重の如き守護。
対価とされるものは個々で異なるが、大抵は物騒なもの。
その存在故に、他者との関わりは最低限に止めるようにしている……のだが。
時折、それを超えてこちらの領域に入り込んでくる者も、いる。
笑みを見せるのは、そんなごく一部の者に限られていた。
その『限られた者』の筆頭が、クロイス家の兄弟であるのは、知る者は知る話]
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