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和平だのなんだの言っていれば、その内にこの国は帝国に併呑される。
……それじゃ、だめなんだよ。
公国の民が帝国の貴族の奴隷にされかねない未来は、望ましくない。
だから。帝国も公国も、どちらも戦争で同じくらいに疲弊してもらわなきゃならねぇ。
そうなってからの合併なら、互いに遺恨は残っても、どちらの出身だからという理由での貴賎の差はつかない。
そんな未来こそ、オレの雇い主の要望でな。
[暗殺対象に殺す理由を話す必要も、そんな手間をかける趣味もない。
だが、今回に限っては。リエヴルではない方の、本来の雇い主からのたっての要望があったのだ。
甥でもある大公を暗殺する事について、思うところを伝えてから殺して欲しい――と。雇い主の自己満足に付き合うのも、仕事の一部だった]
そんなわけで……うらむなら、この時代に大公になった不運と、アンタの叔父サンを恨む事だな。
[抵抗をしようとする大公の剣を、銃弾を、兄たちの遺品である二振りの刀で弾きながら。ゆっくりと大公に近づいて――]
― 少し前の帝都・リエヴルさんち ―
よー。
シュヴァルベ行くんだって?
[ノックどころか、扉を開けることもなく。いつの間にか部屋に入り込んでいた男が、元教え子に声をかける]
護衛の手は必要ねえか?
優秀な暗殺者は、他の暗殺者の手口も知っている分、護衛にも役立つぜ?
[3年の間で、数え切れないほどの命を手にかけてきた男は。かつての明るい笑みを浮かべる事はなくなった。
その申し出への返答がどうであれ、特に帝都内で暗殺の仕事を与えられる事がなければ、シュヴァルベ付近には向かうつもりでいる**]
― 帝国軍拠点 ―
[かわいい教え子、という言葉>>116にも。その顔にかつての笑顔が浮かぶことはない。
カレルに近づくリエヴルに続いて馬を進めるが、表向きの上官であるリエヴル>>117が言葉を掛け終えるまでは口を開きはしない]
よう、久しぶりだな。
腕は鈍ってねーだろうなぁ?
[一礼するカレル>>175にはひとつ頷いて。
一歩退いた彼に、馬から下りて一歩近づいてからそう声を掛けて。
くしゃりと、その髪をなでようと]
お前さん一人にはできねぇからなぁ。
オレみてぇなのがそうそう居るとは思えんが、もし居たら危険だろ。
[見回ってくる、というリエヴル>>182にはそう声をかけ、自分も馬に飛び乗る。
お気をつけて、と見送るカレル>>193にはかすかな苦笑をこぼした。
ついてくれば、3人だけになれば、家柄だのなんだのという堅苦しいことを棚に上げ、一時だけでも昔のように話ができただろうに――と**]
ガマンしろ、地位ある者の宿命だ。
つーか、お供がオレ一人で済むならまだ気楽だろーよ。
[苦笑し、背負うものが増えたと零すリエヴル>>330には、そう返す。
リエヴルの腕は知っているが、自分のような家業の者がもし他に出てきたら、単独で生き延びれる保障がない]
まだ、お前さんに死なれちゃ困るんでな。
[本当の雇い主はリエヴルではなく、公国のクレメンス侯爵だけれど。
帝国内での宿主を喪うにはまだ早い。まだリエヴルの殺害命令は来ていない。
リエヴルがどこまでこちらの思惑に気付いているかは知れないが、少なくとも利用価値がある内は生かしておかれるだろう、とも思っている]
― 士官学校跡地 ―
ここまで、見事に破壊しつくされてると。
ラヴィの子供たちも、全滅しちまったんだろうな。
[見る影も無い、というリエヴル>>331に頷き、肩を竦める。
もふもふたちを愛で、教え子たちを見守ったあの場所が喪われる事はわかりきっていたから、リエヴルほど落ち込む事はない]
………見たくなかったんなら、ここに来ようとしねぇだろ。
むしろ、確認したかったんじゃないか? ……もうあの頃には帰れない、って。
[これが現実だというのに、と。表情を翳らせる>>332を見て。クッ、と笑みを浮かべた。
昔、教え子たちに向けていたのとは別種の笑み]
お前も、大概頭堅いよなぁ。
壊れたもんは、作り直せば良いんじゃねぇか。いくら時間が掛かってもな。
[リエヴルが公国をどうするつもりなのか、わかっているが。
それでも。もしリエヴルが、公国のクレメンス侯爵と同じ考えを持つに到る事ができるなら、と思っている。
……今の思想のままならば、いつかリエヴルを殺す事も厭わないが]
― 3年前・公国 軍務大臣公邸 ―
ほらよ、っと。
オレは軍務大臣本人を殺って来るから、オマエらは陽動よろしく。
[{1}日前に王太子を暗殺した際に、その護衛たちの懐から拝借してきた、公国の銃は(04)丁。
それを、リエヴルから付けられたお目付け役の2人に手渡して、自分は別行動を取ろうとする。
この銃弾と、王太子から護衛官が下賜された紋章入りの銃を残しておけば。
王太子を暗殺された事に対する和平派からの報復かもしれない、と。
ならば王太子を暗殺したのは、帝国ではなく開戦派だったのか、と。事実がどうであれ、和平派はそう思っているのか、と。
そんな疑心暗鬼が、公国内の和平派・開戦派双方に生まれるだろう]
………んだよ。
しょーがねーだろ、アンタらじゃオレについてこれねーし。
守備兵に見つからずに、オレと同じルート走れるか?
[それではお目付け役の任務が果たせないという二人にジト目を向けてそんな言葉を掛ければ、流石に反論は封じれるだろう。
殆ど凹凸の無い壁も道具なしで走り登るような芸当が出来る人材は、流石にリエヴルの子飼いの精鋭たちにも居ないだろう]
[オズワルドとヴェルナーの2人が、屋外の警備兵たちにみつからないよう、先に調べておいた軍務大臣の部屋を目指して潜入したのを確認して。
黒衣の暗殺者は、素足になって壁を3階まで駆け上がる。
執務室を覗けば、軍務大臣以外に護衛官のひとりやふたりは残っていただろうか。
本人しか居なければ、窓を蹴り割って速攻大臣を殺すつもり。
仮に護衛官がいても、実行することにそれほど差は出ないが、手間は増えるだろう]
― 現在・士官学校跡地 ―
まあ、頑張れ?
[作り直しますとも、と応じるリエヴル>>368には、無責任かつ軽いノリの相槌を打つ。
だがその視線は、値踏みするようなもの。
リエヴルの手が、革袋>>371に伸びるのが見えれば、視線を彼から反らす。
中身が何かはしらないが、誰に関わる物なのかは想像に難くない]
…………アイツと、もしここで遭遇したら、どうする?
[公国の国務大臣であるクレメンス侯爵に雇われている身なので、公国の主要人物についての情報はそれなりに手に入る。
暗殺が主任務だが、諜報も仕事のひとつ。
トールの身分については、リエヴルに調査を頼まれたなら報告したこともあるだろうか。それとも、リエヴルは知らないままだろうか。
いずれにせよ、そんな言葉を試しに掛けてみた]
[タバコに火をつける際、リエヴルに気づかれないようにそっと犬笛を吹けば。
訓練を積んだ隠密犬が、物音ひとつ立てずに瓦礫の影からそっと顔を覗かせる。
吸殻とともに、公国側の雇い主への密書を捨てれば。
犬は自分たちが立ち去った後に、それを咥えて公国側の城砦へと走り去るだろう。
国務大臣の子飼いのスパイ『狼』から、前衛基地に中佐として配属されているニコラス伯爵への書状には、帝国側の城砦の脆い箇所などが列挙されていた]
― 3年前・公国軍務大臣公邸 執務室の窓の外 ―
[物音ひとつ立てずに壁を素足で駆け上がり。
目的の部屋を窓から覗き込めば、ちょうど護衛官>>411らしき人影がドアを開けたところだった。
護衛のひとりやふたり、居ても構わず目標を暗殺する自信はある。
だができれば余計な死人は増やしたくない、というのが本音で。
書類を机に置いたその男――教官時代に見覚えのあった褐色の肌から、ベリアンであることはすぐにわかった――が部屋を出て行けば、軍務大臣一人で済むからと様子を見ていたのだが]
あ。
[窓辺に下がったベリアン>>412と、目が合ってしまった>>413]
[こちらは覆面をしているから、すぐに誰かはバレないだろうが。
それでも教官時代のことを知っているベリアンには、そのうちバレるかもなー…と、小さく舌打ちをひとつ。
だがすぐに窓を膝蹴りで破り、中に飛び込む]
王太子殿下の仇、とらせてもらう
[声音を変えて告げれば、軍務大臣は何のことだ、とでも言っただろうか。
王太子の護衛の懐から失敬しておいた短剣を護衛官のベリアンへと投げつけ、同時に刀で軍務大臣へと斬りかかる]
― 現在・士官学校跡地 ―
呪われた身、なぁ。
進んで呪われなくても、んなもん振りほどくって選択肢だってあるだろうに。
ま、お前さんの人生だ、お前さんの好きにすりゃ良いんだが。
[時折説教くさくなってしまうのは、教官時代の名残か。
公爵という地位も、名門の血筋も。
使い方によって、平和のためにも戦乱のためにも利用できるだろうに――と。持たざる者からは、そう思えるのだが、そう容易くもないのだろう]
騒がれてる頃合も何も。
んなもん、馬走らせてた時点でとっくにだろ。
[そろそろ戻りましょうか、という声>>456には苦笑いを零し。
白馬の鬣を撫でて、リエヴルの後について城砦へと戻り行く。
途中、士官学校跡地近くの帝国の陣地に居たどこぞの少尉殿>>446からリエヴルが進言という名の小言をいただいたかもしれないが、ついてきただけの護衛は知らんぷりである]
― 3年前・公国軍務大臣暗殺事件 ―
[肩を狙い振るわれた長剣>>464も、軍務大臣であるマーティンが迎撃に抜いた剣>>465も。まとめて左手の小太刀で受け流して。
短剣を投げた右手をもう一振りの刀へ伸ばし、抜刀の勢いのまま振り抜いた太刀で、マーティンの右肩から喉を切り裂いた。
再び振るわれる護衛官の長剣>>466がぶれるのを見て、受けることをせずに一歩退き避ける]
なぜ…?
[驚きから怒りへと変わり、それさえもすぐに冷えていく様>>468を見れば。
声音を変えたままで、ふっと覆面の影で笑みを零した]
先ほども言っただろう。王太子殿下の仇だと。
[もちろん、嘘だ。王太子を殺したのは他の誰でもない自分なのだから。
応じながら、足元に倒れている軍務大臣の胸へ小太刀を突き刺し、すぐに引き抜けば。室内の血の匂いが、さらに濃くなる]
もっとも、それがなくともいつかはこうなっていたがな。
軍務大臣のことを、邪魔に思う人物は一人や二人ではないんだから。
[これは事実。
帝国側での雇い主であるリエヴルにとっても、公国側での雇い主であるクレメンス侯爵にとっても、昨日殺した和平派の王太子たちにとっても。
軍の実権を握っている開戦派の人物は、邪魔者でしかなかったから]
[再びベリアンが剣を向けてくるなら、短剣が刺さったままの左腕を狙い太刀を振るった。
手負いの獣を思わせる気迫が向けられる、それさえも心地良く思うのは。
幼い頃から仕込まれていた殺しの為の剣術を、実際に試す機会を2日続けて与えられた事に興奮しているからか。
それとも、血の匂いに酔っているからか。
右手の太刀で応戦しながら、ベルトに挿しておいた短剣を左手で抜き、ベリアンの両足へと投げ、足止めを図る。
殺さない程度に傷を負わせ、小太刀の柄で鳩尾を殴る頃には。返り血が覆面に染み込み、血の匂いにさらに酔っていた]
――は…はははハハ…!
[当初の予定では、護衛官たちは、動けない程度の怪我をさせる程度にとどめるはずだった。
実際、昨日襲った王太子の護衛たちは、できる限り気絶させるだけに留めて皆殺しにする事は避けた。
けれど、2日続けての血の匂いに箍が外れた殺人者は、駆けつけてきた他の護衛官や守備兵たちにも斬りかかった。
その赤銅の瞳は、興奮ゆえか血の色に染まり。軍務大臣の執務室の毛足の長い絨毯も、その扉の外の廊下も、血の海へと変えた]
――は、ッは……ぁ。
[オズワルドとヴェルナーがやってくる前に我に返ったのは、疲れたからなどという理由ではなく。
ただ、気を失っただろうベリアンと、刀を手に立ち尽くしている自分以外、執務室にもその前の廊下にも、生者がいなくなったから]
……作戦終了。帰るぞ。
[1階から守備兵たちとの戦闘を経てようやく3階にたどり着いた2人が血の海に驚いているところへかける声は、常とおなじもの。
予定外に何人もの命を絶った理由について問われれば、『昨日の王太子殺しと同一犯とは思われないようにする為』などと応えておいただろう**]
― 回想・士官学校時代の夏の海 ―
スノウもラヴィも、海を見るのははじめてかー?
ほーら、新鮮な魚だぞー。
[もふーずの為にこの男が動かない筈がない。
なぜか当然のように生徒会の面々に紛れ込んでいた教官は、釣竿を片手にもう片手にはアイスティーで、
かってに連れてきたもふーずのためのパラソルのそばで、新鮮な魚や野菜を献上していたのだった**]
/*
すいません、ついついプロから暴走しすぎましたorz
酒飲んだら暴走しすぎるかと思って控えたのに、シラフでも暴走しすぎました。
風呂あがったらおとなしく寝よう。
― 3年前・公国軍務大臣暗殺事件 ―
――軍務大臣からの刺客によるものだという、タレこみがあった。
その有能さが、寿命を縮める事になったがな。
[太子暗殺からたどり着くのが早すぎる、という言葉>>555への応えとともに。覆面の裏で笑みが漏れた。
その笑いは、教え子の一人の優秀さにむけたものか。それとも、すでに血の匂いに酔っていたからか]
いずれにせよ、遅いか早いかだけの差だろう。
[振り下ろされた刃>>556を太刀で受け流し避ける。
手負いとなりながら、なおも刃を向けてくる気迫が心地よい。
やはり自分も、父や兄たちと同じ血を引き継いでいるのだな、と。血に酔い狂気に陥る裏で、わずかに残っている正気の部分が悟った]
[血と殺戮を好む、暗殺と破壊工作のスペシャリスト。
それ故に帝国にも公国にも属さず、どちらからの依頼も受け、どちらからの報復の刺客も返り討ちにし続けた曽祖父たち。
自らに流れるその血を厭っていた。平穏の中で、受け継いだ業とその血を眠らせておきたかった。
だがその平穏が崩れようとするならば。
終結を早める為に、戦乱を加速させる以外に。平穏を取り戻す術を思いつかなかった]
[軍務大臣にトドメをさしたところに、飛び込んでくるベリアンの突きを太刀で弾く。
血の色を帯びた瞳で、手負いの獣となったベリアンを見据え。
幾合か刃を打ち合わせた末に、わずかに残った理性が元教え子を殺す事を拒み、刃ではなく柄をその腹へと叩き込んだ>>560。
その際のベリアンの最後の一撃は、小太刀を握っていた左腕をかすめた。
駆けつけてきた守備兵たちの前で、その腕を伝う血を舐めとれば。自らの狂気が加速し、僅かに残っていた理性も吹き飛び。
目に付く全ての人間を殺し尽くすまで、その凶刃は振るわれ続けた。
もし、オズワルドとヴェルナーが、もう少し早く駆けつけていたならば。
大公暗殺よりも前に、その場で2人も殺していた事だろう]
― 前進拠点 ―
[ヴィンセントやジェフロイからお説教をされるリエヴルの後ろについて歩く護衛は、『オレは護衛としてついてっただけだもーん』『オレしーらね』とばかりに無言を貫いた。
暗殺や諜報活動で得た特務大佐という地位では、執務室についていき話を聞く事は適ったか。
それができずとも、帝国内で諜報活動を行うにあたって以前くすねておいた、通信用の魔石を使って盗聴くらいはするつもりだったが]
城砦ん中では、しばらくは護衛はいらんだろ。
暗殺者がもぐりこんでたとしても、騒ぎが起きれば駆けつける。
[聞くべき話を聞くなり、打ち合わせから追い出されるなりすれば。
城砦内を一通り見てくると、表向きの雇い主であり上官でもあるリエヴルに一言断ってから、そのそばを離れた。
自分の他に『猫』と呼ばれるスパイが居る事は知っている。
その素性までは知らないが、『猫』が齎す情報や兵器を考えれば、技術系以外は専門外だろうとわかる。
それ故に、自分が流す情報は、それ以外――城砦内部の見取り図や兵の配置状況などだった]
― 帝国前進拠点・執務室前 ―
まあ、そうだが。
前にも言っただろう、まだその予定はねぇって。
[暗殺者について、すぐ目の前にもいますけどね――と笑うリエヴルに肩を竦めて見せる。
公国側の雇い主からの命令があればすぐにでも暗殺するが、今はまだ命令はない。
リエヴルがジェフロイから受け取った通信機は、自分には渡されない。
自分が完全に信用されていない事を知っているから、それに対して疑問を持つことも不満もない。
そもそも、自分が本来所属すべきは帝国軍ではなく、公国軍なのだ。
命令が来れば、公国側に戻るのに。帝国軍幹部との直通用通信機など、貰っても困る。
見送る視線に背を向け、ひらりと手を振って。リエヴルから離れ、拠点内を徘徊しに行く]
[好きに動け>>66>>67>>627、というだけの指示を受けた後。
大公暗殺を実行したのは、公国側の雇い主の意向によるもの。
『帝国に負ける事はできない』
『だが帝国に勝ちすぎてもいけない』
『求めるのは、和平でもどちらかによる併呑でもない。平等な条件での合併のみ』
『そのためには、戦で互いに疲弊し消耗しなければならない』
『だがそれも、他国から侮られ侵略を受けない程度に抑えなければならない』
積極的な開戦派でも、和平派でもない、公国の国務大臣。
当時の大公の年下の叔父であり、現大公の同い年の大叔父である侯爵。
そしてその息子である、ニコラス伯爵。
彼らの配下となったのは、ひとえに『二国の全てをシュヴァルベに』という理想から。
二国の合併がかなえば、最初の内は国民間の遺恨が残るだろうが、それでもいつかはそれも薄れ行くはず。
シュヴァルベの士官学校に通っていた生徒たちが、開校からしばらくは過去の遺恨でギクシャクしていたのが、年月を経て自分が教官になる頃には、穏やかで平和な空気に染まっていたように。
その為に必要だと言われれば、ずっと忌避してきた血腥い仕事も厭わなかった]
[一通り、城砦内を見て回って。
誰かに見られないよう、挙動不審にならないよう、気をつけながら新たな密書を用意する。
執務室で見聞きした内容。城砦内のおおまかな見取り図。兵の分布状況。そして食料や武器などの物資の所在。
通常ならば部外者の侵入は見咎められるような場所には、見つからないよう体術を駆使して潜入し確認した。
その全てを記した密書を丸めて、紙巻煙草に偽装し箱に入れておいた。
紙には、犬の嗅覚以外ではそうそう気づかれない程度の匂いを発する、特殊な薬品を染み込ませている。
人目の少ない、かつ隠密犬が潜入できる程度に開けた場所にそれを隠し。
犬笛を吹けば、それは夜までにニコラス中佐のもとへ届けられるだろう]
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